ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『キック・アス』

2018-10-21 06:00:09 | 外国映画








 
大好きな作品です。マーク・ミラーのアメコミを原作にした、2010年公開の一風変わったヒーロー・アクション映画。ブラッド・ピットの製作会社「プランB」による作品で、監督&脚本はマシュー・ボーン。

不良でも優等生でもない、ごく普通の高校生デイヴ(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、女子に見向きもされず学校じゃ空気みたいな存在だけど、正義感だけは人一倍強い。

スーパーヒーローに憧れ、例えばバットマンみたいな超能力を持たないヒーローなら、自分でもなれるんじゃないか?と、日課のオナニーついでに妄想を膨らませる日々。

で、これまた日課のごとく不良達にカツアゲされてる自分を、通行人が見て見ぬフリして通り過ぎるのを見て、デイヴは決意します。

自分は、困ってる人を見殺しにするような人間にだけはならない! こういう時にこそ颯爽と現れ、悪者を退治して人助けするヒーローになる!

デイヴはまず、ネット販売で全身タイツを購入しますw 決してスタイリッシュとは言えない自作コスチュームに身を包み、自ら「キック・アス」と名乗って街をパトロール。そしたら早速、チンピラ2人組が車上荒らしをやってる現場に出くわします。

で、意を決して諫めたら、笑われた挙げ句に速攻で腹を刺され、オマケに通りがかりの車にハネられて瀕死の重傷を負っちゃいますw

普通なら、もう二度とあんな馬鹿なマネはすまいと心に誓い、自分も「見て見ぬフリをする人」になっちゃうと思うんだけど、デイヴは違ってました。

彼は諦めないどころか、退院するなり武装を強化し(武器の棍棒を1本から2本に増やした!w)、再び「キック・アス」となって夜の街に繰り出すのです。

舞台はニューヨークですから、早速1人の男が数人のチンピラ達にリンチされてる現場に出くわし、デイヴは臆せず立ち向かいます。

それはほとんど自殺行為に近いんだけど、デイヴには強みがありました。重傷を負った後遺症で末端神経が麻痺したまんまで、どんだけ殴られても痛みを感じない!w

ボコボコにやられながらも、デイヴは立ち向かいます。その現場をただ面白がって見物してる連中を見て、デイヴが言うんです。「僕は絶対、あんな風にはならない!」

この場面で私は、心を鷲掴みされました。涙が出ました。「痛くない」というある種の特殊能力を得たとは言え、彼は見知らぬ男の為に捨て身で戦ってる。地位や名誉が欲しいワケじゃなく、ただ自分の信念を貫く為に!

ヒーローとはまさに、そういう人間のことを言うんだと思います。彼はこの時、本物のヒーローになったんです。弱いけどw

で、ガールフレンドを助ける為にデイヴは、無謀にもマフィアのアジトに足を踏み入れます。もちろん即座に殺されそうになるんだけど、絶体絶命の彼を救ったのは、なんと12歳の女の子=ミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)。

「ヒット・ガール」を名乗る彼女は、元警官の父=ビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)に物心もつかぬ内から英才教育を受けた、完全無欠の暗殺者なのです。

この父娘の目的は、マフィアへの復讐。かつて彼らに汚職の濡れ衣を着せられたビッグ・ダディは、警官の職と愛する妻の生命を同時に奪われ、もはや復讐こそが生きる支えになってる。

そんなクレイジーな父親に育てられたミンディも、誕生日のプレゼントには可愛いペットやお人形さんよりも、殺傷能力の高いバタフライ・ナイフを欲しがるというw、立派なクレイジー少女に成長。同じ目的を持つこの父娘の絆は強いです。

で、父娘に手下を何人も殺されたマフィアの親分は、キック・アスを利用してビッグ・ダディをおびき寄せ、惨殺しちゃう。

独り残されたミンディ=ヒット・ガールは、涙を流す代わりに大量の武器を用意し、マフィアの本拠地へと乗り込んで行きます。父と母の仇を討つ為に……

12歳の少女が恐るべき戦闘スキルを駆使して、何十人もの悪党どもを一撃で倒して行くクライマックスの爽快感! そして窮地に陥ったヒット・ガールを助けるべく、空から颯爽と現れるキック・アスの勇姿!

とにかくヒット・ガールが可愛くて強くて抜群にカッコイイし、萌えますw この役で一躍スターになったクロエ・グレース・モレッツちゃんの演技がまた素晴らしい!

12歳の少女が屈強な大男どもを片っ端からぶっ殺すという、有り得ないアクションに説得力をもたらした脚本と演出も素晴らしい!

また、私が個人的に何より重要視してる、シリアスとコミカル、緊張と緩和のバランス感覚が絶妙なんですよね。その点でこの映画はパーフェクトです。

殺しの描写はかなり残酷なんだけど、それこそが無くてはならないスパイスなんだと私は思います。毒が無ければこんなに笑えないし、胸に迫って来る物語にもなり得なかった筈です。

この映画、日本じゃ最初ほとんど無視されてました。全国でたったの4館しか上映されてなかったのが、口コミで評判が広がり、最終的には70館以上にまで規模が拡大した、真の意味での話題作です。

こんな駄文じゃ、その面白さをちゃんとお伝えする事が出来ません。未見の方は是非、特にアクション物がお好きな方なら、何を置いても観ておくべき作品です。

PS. 本作も後に続編が創られましたが、これも1作目がパーフェクトだっただけに落胆せざるを得ない仕上がりでした。身内の救出や復讐の話で燃えるのは、やっぱ1回限りですね。
 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『96時間』 | トップ | 『アトミック・ブロンド』 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なにはなくてもあのシーン。 (gonbe5515)
2018-10-21 11:48:41
以前、この映画の記事をハリソン君のブログで読んだのが観るきっかけでした。(私はWOWOWでしたけど)

殺戮シーンの多い映画は私ダメなのですが、ハリソン君の褒めようが尋常じゃなかったので「じゃ、ためしに」と観てみたらびっくり、実に面白かった。

ヒットガール、可愛かったし強かったし萌えました。
とにかくかっこよかったですね。人を殺すのにかっこいいなんて不謹慎かもしれませんが、だって相手は殺されてもしょうがない奴らですから。

自分のブログにも書いてますが、あの廊下でのヒットガールの動きは、ぜひスローで見ることをお勧めします。あれは名シーンですよ。

この映画を観ることが出来たからといって、私の嗜好は変わっていないのですが、ハリソン君のブログで「これなら・・」と思えるものがあったら、また乗ってみようと思っています。

これからもよろしくお願い致します。
返信する
>gonbeさん (ハリソン君)
2018-10-21 12:48:19
『キック・アス』と出逢った時は本当にコーフンしてました。映画を観てコーフンしたのは『96時間』と『キック・アス』以来、残念ながら無いですね。『スター・ウォーズ』や『マジンガーZ』の新作でウルッとは来たけど、それは懐かしさの涙ですからね。

この『キック・アス』はもう、ヒットガールの可憐さと格好良さに尽きますよね。筋肉スターのアクションとは違う新鮮さとギャップ萌えで、我々のハートを鷲掴みしました。もうクロエちゃんも大人ですから、パート3は無いだろうし、やっても意味ないでしょうね。
返信する

コメントを投稿