ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』1977~1978

2018-10-25 00:00:16 | 刑事ドラマ HISTORY







 
ボンを特別視するようになってから、私の『太陽にほえろ!』を観る姿勢がそれまでと違って来ました。肩入れの仕方がハンパじゃなくなって来たんです。

マニア体質は生まれつきだったかも知れないけど、ここに来て遂にそれが目覚めちゃったんですね。『太陽』が放映される毎週金曜日の夜8時から約50分間は、私が生きてる中で最も集中力を使う時間となりましたw

毎回、オープニングから予告編までちゃんと観ないと気が済まなかったし、電話がかかって来ても無視w 夕方の再放送を観るために、学校が終わったら全力疾走で帰宅ですよ。

まだ世の中に家庭用ビデオデッキが存在しなかった時代ですから、替わりに毎回テープレコーダーに録音して、繰り返し聴いたりもしました。

ノベライズ本を皮切りに、グッズ収集も始まりました。私が生まれて初めて自分で買ったLPレコードは『太陽』のサントラベスト盤です。

何か『太陽』関連のグッズが出てないか、書店やレコード店をチェックしに通う習慣も、インターネットという便利なツールが出現するまでは続けてました。いまだに『太陽』の新刊を見つけて買う夢を見るくらい、生活に深く根付いてたんです。

もはや、単なる「好き」を超えてますよね。心の拠り所になってたんじゃないでしょうか。友達がいないワケじゃなかったけど、基本的にはクラスに馴染めない子供でしたから。

拠り所、すなわち依存。タバコも酒もやらない私ですが、その替わりに『太陽』中毒になっちゃった。同時に、ボンを演じる俳優=宮内 淳さんにものめり込みました。

この時期からボンが殉職するまでの2年間、私はボンを中心に『太陽』を観てたし、宮内さんのブロマイドとか、歌手デビューすればシングルもアルバムも全部買いました。服装も真似してましたね。

石野真子さんも好きになったけど、それはオナペット的な目線でした。大槻ケンヂさんも中学時代は石野さんをオカズにしてたそうですw

私が本格的にファンになった役者さんは宮内淳さんが最初。その次にハリソン・フォード、そして多部未華子さんへと変遷して行きます。統一感ありませんw


#256 ロッキー刑事登場!

そんな時に登場した新人刑事が、レスキュー隊から転属して来たロッキー=岩城 創(木之元 亮)です。ヒゲ面の山男で、カナディアンロッキーの縦走を夢見てるからロッキー。(本当の由来はスタローンの『ロッキー』と思われます)

松田優作、勝野 洋、宮内 淳に続く無名の新人起用ですが、岡田Pが候補者達の写真を会社の机に並べてたら、挨拶に来た優作さんがそれを見て「このヒゲ、面白いんじゃない?」って言ったのが、木之元さんに決まる引き金になったんだそうです。

しかし当初、新人を迎える視聴者としての私は、ちょっと複雑な心境でした。番組としては当然ながら、新しいメンバーを売り込まなきゃいけませんから、しばらくロッキーがメインを張るか、他の刑事が主役の回でもロッキーをサブにつけたり、要するに木之元さんの出番が多くなる。

そうなると、同じ若手刑事のポジションにいる宮内さんの出番が削られちゃうワケです。この時期の私はボンを中心に『太陽』を観てましたから、なんとなく「ロッキー、うざい」ってw

朴訥としたロッキーのキャラクターは決して憎めないんだけど、ボンがメインの回でもロッキーとのコンビで描かれる事が多く、最初の頃は不満でした。ホント、普通の観方じゃないですよねw


#260 宝くじ

チンピラが若い男につかみかかってる現場に出くわしたボン&ロッキーが、職務としてチンピラを押さえてるスキに男は逃走。ところが逃げたその男が実はスリの常習犯で、チンピラは財布をスラれて取り返そうとしてただけなのでした。

チンピラは財布に宝くじの当たり券が入っていたと主張、ボンとロッキーに当選金100万円を弁償するよう要求して来ます。

勿論それはチンピラがとっさに思いついた嘘なんだけど、お人好しな二人は真に受けてローンの支払いを約束しちゃう。

で、少しでも生活費を切り詰めるため、ロッキーがボンのアパートに引っ越し、二人は共同生活を送る事になります。以来、ボンが殉職するまで2年に渡って、この2人の同棲生活が描かれました。

この展開を宮内さんは「気持ち悪い」と仰ってましたがw、視聴者の立場から観れば実に楽しくて、絶好の息抜きになってました。この2人、関西人のボンがツッコミ、朴訥キャラのロッキーがボケで、絶妙な組み合わせだったんですよね。

『太陽』では様々な組み合わせによるコンビが生まれましたが、このボン&ロッキーが間違いなくNo.1の名コンビだったと私は思います。2年間も同棲するだけの事はありますw

だからボン&ロッキーがセットで扱われる事への不満は、徐々に感じなくなって行きました。


#266 逃亡者 #267 追跡者

『太陽』初の海外ロケで、舞台はオーストラリア。現実では所轄署の刑事が海外で捜査する事など有り得ないそうですが、この時代のドラマはまだ、そういう嘘も通用したんですよね。

オーストラリアのだだっ広い大地を、夕陽をバックに犯人(橋爪 功)を追って延々と走るボンとロッキー。この映像が神がかり的に美しくて、今観ると当時の『太陽』の充実ぶりを象徴してるように感じたりします。

そんな当時ならではの余談ですが、『太陽』は日テレ(読売)系の番組でありながら、あの頃は巨人戦であろうがナイター中継で休みになる事がありませんでした。

現在じゃすっかりプロ野球人気も廃れてしまって巨人戦もあまり中継されないけど、当時はドラマよりも野球優先が当たり前の時代だったんです。

で、王貞治選手のホームラン世界記録が懸かった試合が『太陽』オーストラリアロケの後編と被ってしまい、その日だけはナイター中継が優先されちゃった。

私はもちろん激怒したしw、実況のアナウンサーが視聴者に対して平謝りしてたのをよく憶えてます。TVドラマもプロ野球も、存在感のスケールが現在とはまるで違ってましたね。


#274 帰ってきたスコッチ刑事

ロッキーには「拳銃恐怖症」という弱点がありました。他の署で犯人に胸を撃たれ、九死に一生を得たトラウマから、銃を向けられると体がすくんじゃう。レスキュー隊に移ったのはそのせいでした。

白昼堂々、人混みの中で射殺事件を起こした犯人は、麻薬中毒者で頭がイカレちゃった状態。山田署からその犯人を追ってきたスコッチ(沖 雅也)は、あえてロッキーと組んで、動く物なら何でも撃っちゃうガイキチ男と対決します。

クールで百戦錬磨なスコッチでさえ、ここまで危険な相手を捕まえるとなると、冷や汗が出て足がすくみ、手が震える。そんな自分を見せる事で、銃が怖いのは当たり前である事を教え、ロッキーのトラウマを克服してやるんですよね。

言葉には一切出さず、自分の背中を見せる事で七曲署のホープを救い、サッサと自分の署へ帰っちゃうスコッチ。相変わらず格好良すぎです。


#275 迷路

『俺たちの朝』の撮影を終えた長谷直美さんが、七曲署の交通課婦警・早瀬令子としてセミレギュラー入りします。後にロッキーと結婚する事になりますが、この時点ではロマンスが生まれそうな気配はまるで無しw

ボーイッシュで眼がくりっとした長谷さん、可愛かったです。


#276 初恋

前年に朝ドラのヒロインを務めた大竹しのぶさん(当時20歳)がゲストって事で、かなり話題になった回です。私が記憶する限り、大竹さんが連ドラ(それも刑事物)に1回限りのゲストで出演される機会って、他にはほとんど無かったように思います。

殺人事件の捜査で自宅にやって来た殿下(小野寺 昭)に恋心を抱いた大竹さんが、彼を引き止める為にあの手この手を尽くします。

そう書くとコメディタッチに感じられそうですが、話の内容は両親の不倫が絡むドロドロしたもので、洋館を舞台に家政婦(片桐夕子)が何かを見てたりしてw、大映ドラマや横溝正史ミステリーを彷彿させる異色作でした。

まさに天才若手女優・大竹しのぶの演技力を堪能させる為に用意された、スペシャルなエピソードかと思います。


#279 愛と怒り

ボンが通勤のバス内で毎朝見かける女性(立枝 渉)にほのかな想いを寄せるんだけど、そのバスで爆破事件が発生、彼女を含む3人が犠牲になっちゃいます。

犯人への憎しみを抱きながら捜査に当たるボンですが、調べを進める内に意外な事実が次々に判明。爆破は彼女こそを狙った怨恨による暗殺であり、その動機は彼女自身が犯人の弱みにつけ込んで恐喝を繰り返していたから。

新人刑事がこういった事件で傷つき、それを乗り越えて成長するエピソードは定番なんだけど、通常ならばその新人刑事の暴走ぶりが見所になるのに、今回のボンは自分を見失うこと無く冷静に捜査を進めて行くんですよね。

「彼女以外にも巻き添えで2人の人間が死んでる。その事でも同じように犯人を憎めなきゃ、俺は刑事じゃない」

そんなボンに当時は物足りなさを感じたものですが、今思えばボンも着任から3年目に入り、ロッキーの先輩にもなって、もはや新人刑事ではないって事を視聴者に認知させる狙いがあったのかも知れません。

演じる宮内さんもそれを意識して、髪型や服装を以前よりもワイルドなイメージにシフト、声のトーンも低くする等して、ボンがより大人っぽく見えるよう演出されてました。


☆1978年

この年、TBSが裏番組としてかつての大ヒット作『七人の刑事』の新シリーズをぶつけて来ますが、『太陽』は余裕で撃退しちゃいます。まさに絶頂期であり、良くも悪くも『太陽』の1人勝ち状態でした。

他には加山雄三・藤竜也・沖雅也・柴田恭兵・長谷直美の『大追跡』、鶴田浩二・田中邦衛・中村雅俊ほかの『大空港』等、所轄署とは違う特殊セクションを主役にした刑事ドラマも増えて来ます。


#284 正月の家

一係のマスコットガール=アッコ(木村理恵)の初主演作であり、彼女の中学時代の同級生役として柴田恭兵さんをゲストに迎えた新春の特別編。

既にメキメキ頭角を表してた恭兵さんは、この直後に『大追跡』のレギュラーキャストに抜擢され、本格的なブレイクを果たす事になります。


#287 ある娘

映画の主演デビューで若手スターになった原田美枝子さんがゲスト出演し、ボス(石原裕次郎)とがっつり共演します。

当時1話限りのゲスト出演は断る方針だった原田さんですが、『太陽』に限っては以前から(特にボスと山さんの)ファンだったそうで、特別にオファーを引き受けたんだとか。いい人ですw


#288 射殺

射撃の名手・ゴリさん(竜 雷太)が、追い詰めた犯人の眉間を撃ち抜いて射殺。査問委員会でその是非が問われる事に。

ゴリさんの腕前ならば犯人の拳銃だけを撃ち落とせた筈なのに、なぜ射殺する必要があったのか? その正当性を証明する為に、一係の仲間達が奔走します。

銃弾1発を重く扱う『太陽』ならではのエピソードであり、査問委員会の場面からスタートして事件のあらましを回想していく構成が異色の回でもありました。


#292 一流大学

長女の結婚が片付いたと思ったら、今度は長男の進学問題で頭を痛める長さん(下川辰平)。叩き上げの苦労人である長さんの大学コンプレックスも描かれました。


#299 ある出逢い

殿下に番組史上3人目の恋人(香野百合子)が出来ます。もちろん、それは悲劇の幕開けを意味します。女性人気が特に高い殿下に、幸せな恋愛や結婚が許されるワケが無いのですw

後のエピソードで彼女は爆弾事件に巻き込まれ半身不随となり、治療のため海外へと旅立つ事になっちゃいます。


#300 男たちの詩

ボスが何者かに狙撃され、重傷を負うという一係史上最大のピンチに、スコッチや警察犬のジュン、ジーパンのママ(菅井きん)も駆けつけるイベント編。マカロニ、ジーパン、テキサスも久々に回想されました。

めちゃくちゃ嬉しかったです。私はワクワクして放映日を待ちました。というのも、『太陽にほえろ!』っていうドラマが当時あまりにも安定し過ぎて、正直マンネリを感じてたんですね。

刑事どうしの対立も無く、ただ毎週起こる事件を淡々と解決するばかりの日々。新人のロッキーはマジメ一辺倒だし、ゴリさんや殿下もすっかりベテランの域に入って来ましたから、波乱が起きないんですよね。

ジーパンやテキサスの時代にはたっぷり時間をかけて描かれた、立ち回りやカーアクションもすっかり淡白になり、より一層、人間ドラマに力点が置かれてる感じでした。

あえて『太陽』はそういう方向に向かってたのかも知れません。他の刑事ドラマ群が打倒『太陽』を目指して、派手なアクションや特殊な設定で目を引こうとしてるのを横目に、本家である我々は逆に落ち着こうじゃないかと。

それと、番組も7年目まで来るとファンの年齢層が上がって来ます。それに合わせて、より大人向けの内容にシフトしていく意図もあったのでしょう。だけど私はまだ中学生のガキンチョですから、刺激に飢えてたんですよね。


#302 殺意の証明

名古屋ロケ編で、ボン&ロッキーが交換殺人の犯人(三浦浩一)を追います。証拠も無ければ動機も見当たらない犯人の、一瞬だけその眼に宿った殺意を見逃さなかったボンが、自らのカンを信じて行動する様にまた、刑事としての成長が感じられます。


#304 バスジャックの日

悪役専門の俳優から人情ドラマもこなす性格俳優に脱皮された川谷拓三さんが、気の弱いバスジャック犯としてゲスト出演。人気絶頂の頃だったんで話題になりました。

川谷さんは後に裏番組の『3年B組貫八先生』で主演を務められる事になります。


#309 危険な時期

ボンの成長ぶりが強調して描かれて来たのは、どうやら着任から丸3年になるこの時期に「殉職」が予定されてたから、のようです。

ところがボンの延命を願う多数のファンから助命嘆願書が局に殺到した事と、高視聴率をキープして安定してる時期にメンバーチェンジの必要は無いだろうとの判断から、ボンは更にもう1年間活躍する事に。

というワケでこのエピソードは、もはや恒例となった「殉職するかと思ったけど助かっちゃった」編のボン・バージョンです。

ゲストとしてジーパン・ママの菅井きんさんが300回記念作に続いて再登場、「人の死なんて決して美しいものじゃないのよ」とボンに生命の尊さを説きます。

さて、ボンの延命が決まった事で、ロッキー登場からの2年間はメンバーチェンジが無い、番組史上最も安定した期間となりました。

ボンのファンとしては勿論嬉しい事なんだけど、番組にとっては良かったのか悪かったのか……? 時代の変化も確実に影響したとは思いますが、やがて『太陽』は大きな危機を迎える事になります。

(つづく)
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『赤×ピンク』―2 | トップ | 『太陽にほえろ!』#300 »

コメントを投稿