ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『踊る大捜査線 THE MOVIE』

2024-06-05 20:55:32 | 日本映画

'70年代を代表する刑事ドラマが『太陽にほえろ!』なら、'80年代は『あぶない刑事』、そして'90年代は『踊る大捜査線』ってことになるでしょう。

『太陽にほえろ!』が築き上げたスタンダードからハミ出た『あぶない刑事』と、打ち砕いた『踊る大捜査線』はどちらも刑事ドラマの流れを大きく変えた点で、なおかつ劇場版の大ヒットにより人気が決定づけられた点でも共通してます。

だからなのか、あるいは偶然なのか、『あぶない刑事』が映画で8年ぶりに復活した今年、なんと『踊る大捜査線』も12年ぶりに新作映画が公開されるんだとか。マジかっ!?

それ、観たいですか長嶋さん?

ん〜〜〜っ、どうでしょう!?

私自身が最初のTVシリーズに“どハマり”し、だけどその熱が映画化によってみるみる冷めていった点でも『あぶない刑事』と『踊る大捜査線』は共通してるんですよね。

『あぶない刑事』は近作の『さらば〜』と『帰ってきた〜』で原点回帰を果たし、我々オールドファンを魅了してくれたけど、『踊る大捜査線』は一体どうするつもりなのか?


「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」

主人公=青島俊作(織田裕二)の名台詞が光る’98年公開の劇場版第1作『踊る大捜査線 THE MOVIE/湾岸署史上最悪の3日間!』は、TVシリーズの斬新さと面白さをうまく2時間に凝縮させた点で素晴らしかったと思います。

私は当時「ただの焼き直しやん!」って批判した記憶があるけど、今にして思えば「TVドラマを映画化する」にあたっては手本にすべき作品かも知れません。

ところが、これが想定外の大ヒットを記録したせいで、『踊る大捜査線』シリーズは本来の斬新さと面白さを失っていく。

過去の記事でさんざん愚痴ったから細かくは書かないけど、要するに創り手たちの姿勢が「ヒットしなくていいから新しいことやるぞ!」から「何が何でもヒットさせるぞ!」へと、あからさまにシフトチェンジしちゃった。

2作目の劇場版を観てホントに私は「魂を売りやがった」と感じたし、それがまんまと「日本の実写映画 歴代No.1ヒット」の座を今だにキープする興行収入を上げたもんだから「可愛さ余って憎さ百倍」ってワケです。

特に、TVシリーズと劇場版1作目には無かった「仲間」っていうフレーズが2作目以降は乱発され、あの悪名高い「少年ジャンプ」や「日曜劇場」を彷彿させる“お涙頂戴システム”が私をさらに辟易させたという顛末。

本来の『踊る大捜査線』は、そういう“万人受け”狙いの王道をひっくり返したからこそ面白かったのに!

なまじ劇場版1作目が大ヒットし、2作目から製作費が格段に上がった=勝手な注文をつけてくるスポンサー(それこそ“会議室”にいる連中)の数が増えたことが諸悪の根源。いわゆる「製作委員会」システムの落とし穴。

会議室の言いなりに動くしかない“下々の民”の悲哀をコミカルに描き、大いに我々を共感させたはずの番組が大作映画になったとたん、自ら進んで会議室にシッポを振るようになったという“現実”の皮肉。そうするしかない実情は解るけれど。

そんな『踊る大捜査線』を今さら観たいと思いますか?

ん〜〜〜っ、どうなんでしょう!?


しかも新作(2部作になるらしい)の主人公は青島ではなく、本庁のエリートで四六時中眉間にシワを寄せながらホッペを舌で膨らませてた、あの室井慎次(柳葉敏郎)なんだとか。ん〜〜〜っ、どうでしょう!?

確かに室井さんは第2の主人公と言える存在だけど、それは対極に青島っていう熱血漢がいればこそ光るキャラクターなワケで、スピンオフでも客が入った全盛期ならともかく……


もし青島を出せない事情があるなら、いっそ恩田すみれ(深津絵里)を主役にした方がファンの興味を引くのでは? それなら私も「ん〜〜どうでしょう、観てみたいかも!?」って思うかも?


柏木雪乃(水野美紀)という第2ヒロインだっているし、TVスペシャルに登場した内田有紀さんやフレッシュな若手女優も加えて“女性の時代”に相応しい『踊る大捜査線』なら「ん〜〜っ、観に行くでしょう!」って言いますよ、きっと。

別にギバちゃんが嫌いなワケじゃないけど、四六時中眉間にシワを寄せながらホッペを舌で膨らませてる爺さんの映画を、いったい誰がわざわざ観に行くの?って思う。


最初の頃は大いに笑わせてもらった、通称“スリーアミーゴス”(北村総一朗、小野武彦、斉藤暁)のコント芝居もシリーズ末期にはウンザリしたもんです。


これでもかと“哀愁”を漂わせる和久さん=いかりや長介さんの芝居にはTVシリーズの頃から「あざとさ」を感じてたし、劇場版2作目に至っては単なる“名言生産マシーン”にしか見えなかった。(彼に名言を吐かせるためのお膳立てが何よりわざとらしい!)

こんなに悪口ばっか言っちゃうのはホントに最初のTVシリーズが大好きだったからこそで、前述の通り「可愛さ余って憎さ百倍」なんです。


犯人役の“意表を突いたキャスティング”も劇場版1作目の小泉今日子さんまでは楽しめたけど、2作目の岡村隆史さん以降はやっぱり「あざとさ」しか感じなかった。創り手の変わり身とその下心は、確実に伝わるんですよ。特に熱心なファンには!

今回の記事は「踊る大捜査線まで(あぶデカと同じく)完結を謳ったクセに復活しちゃう!」っていう事実を皆さんに伝えるだけのつもりだったのに、結局また恨みごとを書き連ねちゃいました。

繰り返しになるけど、それほどTVシリーズは革新的で面白かった。テレビにはテレビならではの良さがあるんです、ホントに。

コメント
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