ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ドキュメント/シン・仮面ライダー』

2023-04-16 16:00:13 | エンタメ全般

大ヒットした『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』『シン・エヴァンゲリオン』と比べると、公開中の『シン・仮面ライダー』は興行成績がイマイチなんだそうです。

が、それは仕方ないかも知れません。予告編の段階で上記3作品よりトーンが暗く、スケールも小さい印象があったから、コアな特撮ファンと庵野秀明ファンの興味しか引けなかったんでしょう。

作品の良し悪しが、決して観客の動員数に直結するワケじゃない事ぐらい、ある程度エンタメに興味ある人ならみんな分かってると思うけど、ネット民たちはここぞ!とばかりにバッシングを始め、ネットニュースの類いは「失敗作」の烙印を押したりする。

実際にちゃんと観て「つまんない」と感じたなら、そりゃ遠慮無く叩いて構わないと思うけど、ヒットしてないからとか、みんなが絶賛しないからなんてアホな理由で、よからぬ先入観を植え付けるのはホントやめて頂きたいもんです。



うっかり読んでしまったネットニュースに、庵野秀明監督が俳優陣に何の指示も出さず、なのにダメ出しと撮り直しを繰り返して、撮影現場を大いに困惑させた、みたいなことが書かれてました。

で、それを象徴する場面としてクローズアップされたのが、地上波よりいくらか早くBSで放映されたNHKのドキュメンタリー番組における、主役=池松壮亮くんの「どうせやり直しでしょ?」っていう、投げやりとも受け取れる撮影現場でのお言葉。



確かに、観たらちょっと吐き捨てるような言い方してるし、そこだけ「切り取れば」現場の雰囲気が悪かった→キャストとスタッフがモチベーションを失った→結果、失敗作……みたいに連想しちゃいそうです。

そこがネットニュースの悪辣さなんですよ! 私自身、その記事を読んで「そこまで険悪な雰囲気だったのか」って思っちゃいましたから!

けれど今回、地上波で放映された本番組をちゃんと観たら、池松くんが後日、先の言葉が庵野監督に対する誤解だったことを認めてるんですよ! 逆にそれをキッカケにして、池松くんは以前より情熱を持って撮影に臨んでる!

そこまでちゃんと書くべきなのに、ネットニュースはわざとネガティブな部分だけ切り取ってアクセス数を稼ぐワケです。ほんとタチが悪い!💢



観てない方の為にいきさつを書きますと、アクションシーンが「ただ段取りに合わせて動いてるだけ」に見えることを避けたい庵野監督がなかなかOKを出さないもんで、その日、日没が迫ってる中、アクション監督が大急ぎで組み直した立ち回りを俳優陣は大急ぎで覚えなきゃいけなかった。

で、うろ覚えのまま勢いに任せて演じたもんだから、池松くんからすればボロボロのアクションだったのに、そのときに限って庵野監督が一発OKを出しちゃった。

なもんで、池松くんは「これ以上やってもムダだから仕方なくOKにしたんだろう」と思い込み、どうせ後日やり直しでしょ?って言ったワケです。

だけど後で池松くんは、庵野さんをよく知るスタッフたちから真実を聞かされるワケです。ボロボロに見えちゃう立ち回りこそ、監督が求めてたリアルなアクションなんだと。



庵野さんは最初の打ち合わせの段階で、ちゃんと言ってるんですよね。自分の思い通りにキャラクターを動かすことはアニメでさんざんやって来たから、実写ではあえて指示を出さないって。生身の人間に演じてもらうからには、まったく想定外の動きが見たいんだって。

それはもう、アニメ畑で頂点まで行っちゃったクリエイターならではの感覚でしょうから、ろくに裏も取ってないテキトーな記事をなんの責任も背負わずに垂れ流す、ネットニュース記者ごときに解るワケがない。

そいつらと違って池松くんは、子役からずっと第一線でやって来たプロフェッショナルですから、すぐに理解出来たはず。柄本佑くんや森山未來くんも然りでしょう。



とは言え、確かに庵野監督の要求は、そもそもムチャなんですよね。立ち回りは段取りをきっちり決めて、その通りに動かなきゃ生命を落とす事故にも繋がりかねない。

そうならないよう配慮しつつ、いかに立ち回りを格好良く見せるがアクション監督の仕事なのに、段取りするな、カッコ良くするなと注文されたら打つ手が無くなっちゃう。

庵野さんは「役者から殺気が伝わって来ない」とおっしゃるけど、仮面で表情が見せられない、声も出せないとなると伝える手段が無い。

アクション監督さんがいよいよ追い詰められ、あわや庵野さんと一触即発!ってな場面もそのまま放映されて、そこだけ「切り取れば」そりゃ険悪な撮影現場に見えるでしょう。



けれど番組では、そのあとカメラが回ってない時に「(監督が)涙目になって直立不動で謝ってくれた」っていう、アクション監督さんのコメントもちゃんと出してるんです。

私はもう、泣きましたよ! 庵野さんだって、自分の要求がムチャだってことを百も承知で言ってたワケです。

ムチャだけど「これまで誰も見たことがない仮面ライダー」を見せる為には、ムチャをやるしかない。その為ならスタッフ全員に恨まれたって構わない。

それだけの覚悟を持って作品に取り組んでるクリエイターが今、この国にいったい何人いるだろう?って話です。



スタッフもキャストも皆、どうすれば庵野監督が求めてるものを具現化できるか、必死に考えて考えて考え抜いて、本当に命懸けで取り組んでるのが画面からヒシヒシ伝わって来ました。リーダーが命懸けでなきゃ、誰もそんな風にはならんでしょう?

そうして創り上げられた作品が、つまんないものになるワケないと私は思うけど、まあ感じ方は十人十色だから否定意見も出るのは仕方がない。

けど、面白半分にネガティブな部分だけ切り取って記事にするバカ、それを真に受けて悪い噂を拡散するバカ、つまり命懸けで何かに取り組んだ経験なんか一切無いであろう連中に、庵野作品を否定する資格が果たしてあるだろうか?

『シン・仮面ライダー』に文句をつけて許されるのは、庵野さん以上に仮面ライダーを深く、それこそ命懸けで愛してる人だけだと私は思うけど、まぁそうそういないでしょう。昭和ライダーをまったく知らない世代は別にして。



アクション撮影以外の部分も観たかったけど、これは歴然たる「アクション映画」だし、監督VSアクション監督のバトルを超える見どころは無いでしょうから、文句ありません。とても面白いドキュメンタリーでした。

セクシーショットは恐怖の「蜂女」を演じられた、西野七瀬さんです。


 

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『ヒロイン誕生!/ドラマチックなオンナたち』2022.10.3

2022-10-05 11:38:50 | エンタメ全般

NHKさんがまた面白いことを始めてくれました。元はBSプレミアムのバラエティー番組『レギュラー番組への道』内で企画され、2回のパイロット版(それは観てません)を経てこの10月、総合テレビ月曜夜11時からの30分枠でレギュラー放送がスタート。

毎回「ドラマチックな」背景を持った女性を取り上げ、それを新進気鋭の若手女優が演じるという、言わば「再現ドラマ」なんだけど、撮影するに当たって女優さんが「役作り」していく過程もドキュメンタリーとして見せる点がユニーク!



つまり、演じる女優さんが自ら取材する姿を通して、その回のドラマチックな女性について我々視聴者も知ることが出来る。と同時に、その女優さんの素顔や演技と向き合う姿勢、更にはドラマ制作の裏側まで観られるという一石二鳥! いや、三鳥? 四鳥?

これは特にクリエイターやアクターを目指してる人、あるいは今やってる人、過去にやってた人にとって興味深い内容でしょう。

で、レギュラー第1回目で取り上げられたのが、‘90年代に人気を博した音楽ユニット「ZARD」のボーカリストにして作詞家の、坂井泉水さん。



その坂井さんに扮した若手女優は、2018年にデビューされた河村花さん。2001年生まれの20歳!



ちなみに来週の第2回は「おばあちゃん女優」として親しまれた北林谷栄さんを、17歳の上坂樹里さんが演じられるそうです。

ZARDというバンドについては正直興味ないんだけど、今回の番組で再現された、1995年のヒット曲『Forever you』誕生秘話にはグッと来るものがありました。

坂井泉水さんはブレイク前、本名の「蒲池幸子」名義でレースクィーンやグラビアの仕事をされており、このブログにいつも載せてるようなセクシーショットもたくさん撮られてる。

それが人気絶頂のとき週刊誌にすっぱ抜かれ、ちょっとしたスキャンダルになっちゃった。芸名を変えてるだけに「秘密を暴かれた」感が強く、世間の人たちも食いついて面白がった。

当然、所属事務所は記事を差し押さえる等して火を消そうとするんだけど、そこで坂井さんご本人が「待った」をかけるワケです。

歌手を目指す彼女に何とかチャンスを与えようと、当時のスタッフたちが懸命になって取って来たのがレースクィーンやグラビアの仕事だった。彼らには今も感謝してるから、その過去を否定したくないって。

で、だったらその気持ちをYOU、歌にしちゃいなよ!ってプロデューサーに言われて創ったのが『Forever you』だったと。



素晴らしい!って思いました。スタッフへの感謝を忘れない坂井さんも素晴らしいけど、セクシーなお仕事を否定しない坂井さんはもっと素晴らしい!

そもそも、なんでそれがスキャンダルになるの?って話じゃないですか。なんにも悪くないし、恥ずかしい事でもない。お前ら、それまでさんざんセクシーな出版物のお世話になっといて、なんで軽蔑したり嘲笑したり出来んねん!?ってことです。

子供の頃にさんざんヒーロー番組を楽しんだクセに、大人になった途端「ジャリ番」呼ばわりしてバカにするような、映像業界のヤツらが私は大嫌いなんだけど、それと同じですよ!

坂井さんご本人が恥ずかしがるのを、我々が「もっと誇りを持って下さいよ!」って言うのが本来あるべき姿でしょう?

少なくとも私にとっては、ZARDのヒット曲なんかより蒲池幸子さんのグラビアの方が、百万倍も尊い!……なんて坂井さんの前じゃ言えないけどw、まぎれもない本音です。

だから堂々と載せますよ、今回も! 消すなよ!? 低能事務局のチンカスどもっ!


 

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『石原裕次郎がテレビと出会った時/太陽にほえろ!の時代』

2022-07-18 15:47:19 | エンタメ全般

2022年07月16日(土)の夜、NHKBSプレミアムにて放映された90分に及ぶドキュメンタリー番組。

自社製作映画の興行的失敗から多額の負債を抱えた石原裕次郎さんが、日本テレビのプロデューサーに口説かれ「13本だけ」を条件に渋々出演された刑事ドラマ『太陽にほえろ!』誕生の裏側と、裕次郎さんを通して回想されるテレビ界の黄金時代。

あらためて思い返せば『太陽にほえろ!』が放映されてた15年弱(1972年〜’86年)って、テレビ番組が一番元気で面白かった、まさに絶頂期。日本の映画界とテレビ界、両方の黄金期を象徴するスーパースターが石原裕次郎さんなワケで、そりゃNHKさんも繰り返し特集するってもんです。



しかし『太陽にほえろ!』が今年で放映開始50周年なら、私のマニア歴も50年近くになっちゃうワケで、その間ずっとアンテナを伸ばし続けて来たもんだから、これまで発信されたもので知らない情報は、ほぼ皆無。

だから過度には期待してなかったけど、やっぱりさすがは天下の国営放送局さん。実に濃厚で見応えある90分間、私は久々に食い入るようにテレビを観ましたよ!

なぜ、これを生みの親である日テレさんがやらない!?ってな疑問はとりあえず置いといて、特に印象に残った場面をピックアップしていこうと思います。

まず、3年前の『アナザーストーリーズ/運命の分岐点』における『太陽〜』特集にも登場された、東宝プロデューサーの梅浦洋一さん。

企画の立ち上げに際し、日テレ側のチーフプロデューサー=岡田晋吉さんが『ブリット』や『ダーティハリー』などアメリカ産のヒロイックな刑事映画からヒントを得られたのに対して、梅浦さんはまた違う理由で刑事モノをやりたかったと語られました。



「ぼくの場合は、特に浅間山荘事件で、警察官が人質をかばって死んでいくようなシーンを(リアルタイムで)目撃して、命を懸けて人を守るということが、一番わかり易い、人間の仕事だと思ったワケです」

悪人を捕まえたり処刑したりするヒーローじゃなく、命懸けで市民を守るという職業に就いた「人間」たちのストーリー。

まさにそのコンセプトこそが、時代の空気が変遷しても最後まで変わらなかった、良くも悪くも『太陽〜』の特長でした。私なんぞは「ええからそんな悪人、ぶっ殺せよ!」ってw、文句を言いながら観てたもんです。

そして、お馴染みの岡田さん。『太陽〜』のみならず『傷だらけの天使』『俺たちの旅』『あぶない刑事』など数々のドラマをヒットさせ、松田優作さんや中村雅俊さん等をスターに育てたチョー大物プロデューサー。

裕次郎さんには「13本だけ」と約束しつつ、局の偉いさんには「最低1年は出てもらいます」と言って見切り発車を敢行された大嘘つきでもありますw



「クビとか、違う部署に飛ばされても仕方ないやと思っていたんでね、強引にやっちゃったんですけどね(笑)」

今、そういうことが出来る人、つまり1つの作品に自分の人生を賭けちゃうクリエイターって、日本にいるんでしょうか? いや、当時でも稀有な存在だったからこそ、凄い作品を生み出すチョー大物になれたワケです。

「とにかく全シーンに刑事が出てて欲しい。あの7人いる刑事の誰でもいいから、刑事のいないシーンっていうのはやめようよって。このシーン、刑事が出てないからカットって(笑)」

徹底して刑事たちの心情を描くことにこだわり、犯人なんかどうでもいい!とまで言っちゃう岡田さんが、メインライターだった故・小川英さんとしょっちゅうバトルされてたのもマニア間じゃ有名な話。



そりゃあ脚本家の立場からすれば、犯人の心情を描かずにどうやって犯罪を描くの?って話だから、岡田さんの主張はほとんど暴論に近い。

今回、そのバトルの様子を隣の部屋でよく聞かされてたという、小川さんのご長男=小川真樹さんも証言を残してくれました。

「一言で言うと喧嘩なんですよね。お互いに主張して譲らない感じで、延々とやってました」

そうして徹夜でバトルするようなことを、1度や2度ならずしょっちゅう、何年も繰り返すという恐るべきエネルギー。そんな光景も昨今のテレビ業界じゃ見られないだろうと思います。

一言で表せば「情熱」ですよね。それが昨今のテレビ番組からは伝わって来ません。たとえ情熱があったとしても、そこまで作品創りに時間をかけられる余裕が、今の映像業界には無いっていう哀しい背景もある。

ライター陣のお一人、四十物光男さんはこう証言されてます。



「アニメなんかは1日か2日で書き上げるんだけど、『太陽〜』は20日から1か月ぐらいかかりましたから」

正味45分のドラマを書くのに何故そんなに時間がかかるかと言えば、岡田さんや小川さんが簡単にオッケーを出してくれず、何度も何度も「直し」を要求されるから。業界でも『太陽〜』の脚本家は「地獄らしい」と噂されてたそうですw

「刑事がどうやって関わって、人間的な解決をするか。それが刑事ドラマなんだ、という風にしてやって行ったワケです」

言うのは易しだけど、刑事側だけの描写で犯罪ドラマを成立させるのって、本当に至難の技。それを手間暇かけてやり続けた『太陽〜』を、十数年も夢中で観続けた私が、ただ事件の謎を解くだけで済んじゃう昨今の刑事ドラマに満足できるワケがありません。

さて、そうして創られた『太陽にほえろ!』の撮影現場で、石原裕次郎さんはどんな存在だったか? シンコ役の高橋惠子さん(当時は関根恵子さん)が証言されてます。



「とにかく周りが嬉しそうなんです。裕次郎さんのためにライト当てようとか、音声を録ろうとかっていうのがすごく分かって。周りの人を輝かせる、嬉しいなぁと思わせるのがスターなんだなって、実感しました」

だから「太陽そのもの」って言われるんですよね。緊張もするだろうけど、気持ちを明るくさせてくれるスター中のスター。

そんな裕次郎さんを、離れた場所から見つめるしか出来なかったとおっしゃるのは、第1話ゲストにして犯人第1号の、水谷豊さん。



『相棒』では髪が黒いから若く見えるけど、やっぱり水谷さんも歳相応に老いてられます。当たり前だけど、このドキュメンタリーにはご老人しか登場されませんw

第1話の撮影を振り返って、水谷さんはとにかく走るのが大変だったと苦笑。マカロニ刑事役のショーケン=萩原健一さんが「オレ、芝居はできないから」とか言って本気で走るもんだから、追いつかれないよう全力疾走するしかなかったワケです。



「でも、本気で、がむしゃらに走るとかってね、芝居を超えていけるんですよ。うん、別の世界があったと思いますね」

石原裕次郎という映画界のスーパースターに加え、演技という概念をあっさり超えて見せるショーケン。

「やはり特別な番組という意味ではそうですね、凄いことが始まるんだなというムードがありましたね」

そんな現場に立ち会えたことが、現在に至るまで俳優業を続けて来られた原動力になってると、水谷さんは仰ってます。

「徐々にテレビのエネルギーが(映画よりも)大きくなっていったっていうキッカケは、僕らにとっては青春モノであったり、まさに『太陽にほえろ!』なんてその代表ですよね。そこに石原裕次郎さんが出たということも物凄く、きっかけとしては大きかったような気がします」

しかし忘れちゃいけない、その裕次郎さんは「13本だけ」という約束で出演を引き受けたワケだから、当然、1クールで降りようとされます。

それを徹夜で説得して引き止めたのは、ゴリさん役の竜雷太さんってことに今まではなってたけど、当時チーフ助監督だった櫻井一孝さんが「僕が自宅に押しかけて承諾を頂いた」と衝撃の新証言w



誰も嘘はついてなくて、皆さん自分のお手柄だと思いたいんでしょうw けど実際のところは、奥様=石原まき子さんによる「あんなに仰ってるんだから、続けてみれば?」の一言が効いた、っていうのが真相みたいです。

男ってそんなもんですよね。いくらスーパースターでもそこだけは変わんない。結果、足かけ15年のご出演ですから、女性のパワーってのは本当に凄い!



そして、このブログでもさんざん書いてきた通り、番組の人気を決定づけたのはショーケンさんによる規格外の演技。デンカ役の小野寺昭さんも仰ってます。



「もう、突き抜けてるんですよ。えっ、こんな芝居あるのか?って思うくらい。僕らなんかがやったら、おいやめろ!そんなことするのって言われそうなことも平気でやっちゃう。監督がオッケーって言っちゃうんですよ」

そして、高橋惠子さんも。

「誰も今までやったことの無いことを、最初にやるって凄く勇気のいることだったと思うんですけど。そのショーケンと、裕次郎さんとのバランスがね、とっても良かったと思いますね」



そんなショーケンさんが斬新な「殉職」を遂げて話題をさらい、その後釜に無名の新人=松田優作を(上司らの猛反対をはね退けて)抜擢された、岡田プロデューサーの大英断。

だけど岡田さんが本当に神懸ってるのは、ショーケン、優作と続いた新人刑事枠の3人目に、今度はまったくタイプが違うこの人を選んだこと。



とんでもないプレッシャーの中でデビューされたテキサス役の勝野洋さんは、こんな呑気なコメントをされてますw

「あんなに走るとは思わなかったですけどね(笑)。僕はもう、陸上部に入ったんじゃないかと思うくらい走りましたから」

それじゃ事の重大さが伝わらないので、竜雷太さんが代弁して下さいました。

「ワケの分かんない長髪のムチャクチャな2人の後に、ホント絵に描いたような、新人のお巡りさんって言ったらこれだ!っていう人が来た。この鮮やかな変わり方がね、僕は楽しかったですね」



「コレで、やったねっていう、ある結果が見えたねっていう感じはありました。3人で『太陽にほえろ!』の基礎というか、建物っていうのが見えたなっていう」

なんだか抽象的ではあるけど、解るような気がします。それまではショーケンさんや優作さんのカラーで注目されてた番組が、まったく無色な勝野さんでも成立したことにより、はじめて『太陽にほえろ!』という器そのものが世間に認識された……ってことでしょうか。

さらに、最終回を演出された鈴木一平監督、大物脚本家の鎌田敏夫さん(声のみ)、メインカメラマンの安本英さんまで登場され、貴重な証言を残して下さいました。

そしてそして、これまで映像メディアの取材は断り続けて来られたこの御方が、満を持してのご登場!



作曲家の大野克夫さん! 日本で恐らく最も有名なインストゥルメンタル曲『太陽にほえろ!メインテーマ』をはじめ、全BGMの作・編曲を担当されたレジェンド中のレジェンド!

「なんか熱いものを感じましたね、あの頃。何をやっても熱く、観てる人の答えが返ってくるし」

あの『傷だらけの天使』や『名探偵コナン』、そして全盛期のジュリー=沢田研二さんの名曲&大ヒット曲も数々生み出された大野さんにとって、『太陽にほえろ!』の音楽創りはどういう位置づけだったのか?

「ライフワークとして、これは一生やり続ける音楽になったなという、自負はありましたね。これが私の音楽の中で一番だなという、そういう感覚がありました」

過去に紙媒体のインタビューでも「ライフワーク」って言い方はされてたけど、こうして表情込みでコメントを聞くと(決してリップサービスじゃなく)本心からそう思われてるのが伝わってきて、私は感動しました。



今回のドキュメンタリーは『石原裕次郎がテレビと出会った時』ですから、石原プロモーション初のテレビ番組『大都会/闘いの日々』についても時間が割かれ、そのドラマで俳優デビューされた神田正輝さんが裏側を語られました。

『太陽〜』の後期を支えたドック刑事についても語って頂きたかったけど、いくらなんでも90分じゃ収まんないから仕方ありません。

そしてラストは、番組終了後の’87年春に催された「太陽にほえろ!さよならパーティー」に、ハワイで療養中だった裕次郎さんが寄せられた音声メッセージのフルバージョン公開。部分的には聴いたことあるけどフルは初めてです。

「昨年の春でしたか、岡田・梅浦 両プロデューサーと、こうなったら丸々15年やろうねと、私の口から言ったことを思い出します。それがあんなことになってしまい、大勢の皆様方に多大なご迷惑をお掛けしてしまいました。今更ながら何とお詫びしてよいやら、心から大きな責任を感じております」

あんなことっていうのは、裕次郎さんが体調悪化により降板を決意され、番組も終了を余儀なくされた顛末を指します。

「思い起こせば、この『太陽にほえろ!』を私が初めて手掛けたのは、37歳の初夏でした。それから足掛け15年、色々なことがありました。この14年4ヶ月は、私にとって、第ニの青春だったのかも知れません。大勢の方々と知り合い、また大勢のスタッフとの出逢い、数限りない俳優さん方との出逢い。これは私にとって、大きな大きな宝ものであり、今後これからの私の人生にとって大きな糧となるでしょう。皆様に感謝いたします。ありがとうございました」



「私にとって、長かったようで短かったこの14年4ヶ月。舌の手術やら、生死をさまよったあの6年前の大手術。また、ついに降板やむなくに至った昨年の入院などを考えてみると、ご心配とご迷惑ばかりかけっぱなしの14年4ヶ月でした。体調をしっかり整えて、また出直します。その節はまた皆様方と、違う仕事場でお目にかかれることでしょう。皆様ほんとに長い間ありがとうございました。遠くハワイの空から、私も乾杯させて頂きます。太陽にほえろ!に、乾杯」



裕次郎さんが亡くなられたのは、その年の夏でした。

「こういうの聞くと、今になって後悔してね。やっぱり、最後までやることも、あったなぁという気がしますね」

竜雷太さんが仰ってるのは、かつて自ら強く希望し、満10年で番組を卒業したけれど、最後の最後までボスに寄り添う道も選べたし、そうすれば良かったと今は思う、ってことみたいです。

次は、竜さんと一緒に先の音声メッセージを聴かれた、梅浦プロデューサーのコメント。

「石原さんは最後まで、どの番組よりも『太陽にほえろ!』を優先してくれて、本当に石原さんご自身が命懸けて取り組んでくれたという風に実感しますね」

実際、様々な証言を聞くと、裕次郎さんはかなり無理をしてテレビの仕事を続けておられたのが分かります。片手間で顔出しされてただけ、みたいなイメージが世間にはあったと思うけど、全然そんなんじゃない。

そして、裕次郎さん以上に命懸けだったに違いない、岡田プロデューサーの一言。

「僕自身も『太陽〜』が第二の青春でしたね」

しつこいようだけど、現在のテレビ制作者さんたちに、そこまで言える作品は無いだろうと思います。そこまでやりたくても、やらせてもらえないのが今の現実。

それを思えば、本当に『太陽にほえろ!』に関わられた人は皆さん、幸せですよね。そして、50年経った今でもこうして感動を分けてもらえる我々ファンもまた、ホントに幸せです。

堂々とパクります。太陽にほえろに乾杯!


 

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『ショーケン/天才と狂気』

2021-09-16 00:11:00 | エンタメ全般

 
大下英治さんの執筆によるノンフィクション『ショーケン/天才と狂気』を読みました。(青志社刊、2021年5月発売) 460ページに及ぶ長編なので読破まで日数がかかっちゃいました。

ちょっと文脈がおかしいというか雑というか、下書き状態の原稿をそのまま本にしちゃったような粗い文章には閉口しました(単なる趣味で書いてるこのブログでさえ、出来るだけ読み易いよう何度も推敲してるのに!)けど、内容自体はすこぶる面白かったです。

なにせショーケン=萩原健一さんと一緒に仕事をされて来たキャスト&スタッフたちによる証言で構成された、伝記というより「暴露本」に近い内容。不謹慎ながらご本人が他界された今だからこそ語れる、忖択なしの「ぶっちゃけ話」ばかりだから面白くならないワケがない!



いやあ~本当に……つくづく厄介な人だったみたいですw ある程度は知ってたけど、想像を超えてました。晩年、恐喝容疑で訴えられた事件があったけど、これを読めば「ああ、この人ならやるわ」と納得できます。破天荒とか野放図っていう類いとはまた違う、とにかく「厄介」としか言いようのない人。「面倒くさい」なんて生易しいもんじゃありません。

だから、ショーケンさんに対して良いイメージを持ち続けたい人、これまで以上の醜聞には耳を塞ぎたいと思ってるファンにはオススメ出来ません。この記事も先は読まない方が良いかも? 私自身、本は面白かったけど「読まなきゃよかった」とも思ってます。

もちろん、それでも『太陽にほえろ!』や『傷だらけの天使』で見せてくれた演技が神憑り的に素晴らしかった事実、その才能と功績に対するリスペクトの気持ちは1ミリも揺らぎません。マカロニ刑事は『太陽~』で私が好きなキャラクターBEST3に今後も入り続けるだろうと思います。

けど、萩原健一という俳優(あるいはミュージシャン)のファンには、これを読んじゃうと到底なれません。書かれてることを全て鵜呑みにするワケじゃないけど、火のないところに煙は立ちませんから……



私が特に「残念」と感じたショーケンさんのエピソードが2つあります。まず1つは連ドラ『課長サンの厄年』('93) の撮影現場における新人ディレクターいじめ。

当時すでにショーケンさんはベテランの大物俳優であると同時に「すぐキレる人」として業界人から恐れられ、いつも腫れ物に触るように扱われる存在。

ただでさえ萎縮してる新人ディレクターのTさんを夜中に呼び出したショーケンさんは、翌日に撮る葬式シーンの稽古に徹夜で付き合わせた挙げ句、「お前、黒澤さんの『生きる』が好きって言ってたけど、いつ見た?」といきなり質問されたそうです。

で、Tさんが正直に「10年くらい前です」って答えたら、ショーケンさんはいきなりハイパー激怒してこう仰ったそうです。

「貴様ぁー!! 黒澤先生の『生きる』を直前に見ずして、葬式の演出が出来るとでも思ってるのかぁーっ!? 俺はもう、明日の撮影には出ねえからなっ!!」

言ってることの全てが理不尽で、若手を鍛えてるというよりは「イビり」に近い。これはほんの一例で、とにかくいつ、何がスイッチになってキレるか判んないもんだから、誰もがビクビクしてイエスマンになっちゃう。ショーケンさんはたぶん、それを分かった上でわざとキレてる。

つまり撮影現場を自分の思い通りに動かすため、早い段階で皆に恐怖心を植え付け、支配するワケです。これはもう完全にヤクザの手口。いや、ヤクザ以下のチンピラがやるような事で、私は絶対にこんな人と一緒に(どんな職種であれ)仕事はしたくありません。実際、多くの若いスタッフや俳優たちがショーケンさんを恐れ、現場を降りていったそうです。これほど残念な話はありません。



だけど『太陽にほえろ!』の現場では全然そんなことは無かったそうです。そりゃあ当時のショーケンさんは俳優としてはド新人で、石原裕次郎さんというスーパースターがいて共演者も大先輩ばかりですから、そんな横暴が出来る筈もないんだけど、それにしたって現場は終始なごやかで、ショーケンさんは皆に可愛がられてたそうです。(後釜の松田優作さんの方がよっぽど厄介だったみたいです)

人間、やっぱ偉くなると変わるんです。特にショーケンさんは10代の頃からGSの大スターでチヤホヤされて来ちゃったから……

だけど俳優としては、物凄く研究熱心で真面目な人だったとか。だからこそ周りの人たちに課すハードルも高く、思い通りに出来ないとカンシャクを起こしちゃう。

『太陽にほえろ!』や『傷だらけの天使』に出てた頃のショーケンさんには、それでも多くのディレクターやプロデューサーが使いたくなるだけの魅力が、確かにあったと思います。それは本当に間違いない。けど、中年になってからのショーケンさんに、それだけの価値が果たしてあったのか?

私は、偉くなってからのショーケンさんには魅力を感じませんでした。それはきっと、先に書いたような内面の変化が、顔つきや演技に表れてたからに違いありません。

人間、偉くなっちゃダメなんです。私の周りにいる偉い連中にもろくなヤツはいないし、政治家たちの顔つき、態度、発言、どれもこれも醜悪です。私は偉くならなくてホントに良かったw いやマジメな話、偉くなりたいなんて願望は若い頃からいっさい無かったですから。



私が特に残念と感じたもう1つのエピソードは、ショーケンさんが映画『居酒屋ゆうれい』('94) に主演された際、相手役の山口智子さんを撮影現場でずっと、しつこく口説いてラブレターまで渡したっていう話。

当時、山口さんは後の夫=唐沢寿明さんと既にチョメチョメな関係にあり、そのサバケた性格でうまくかわされたお陰で問題は起きなかったらしいけど、私がもしその作品の監督なら、こんな迷惑なことはありません。両者とも主役なんだから、もし万が一関係がこじれたら作品が空中分解しかねない。そもそも俺の現場を合コンに使うなよ! やるなら全部終わってからやれ!って話です。

さらに残念なのは、その映画で泊まりがけの地方ロケがあった時、出番が無いはずのショーケンさんが「たまたま近くに用事があったから」とか言って撮影現場まで押し掛けて来たっていうエピソード。もちろん、他の誰かが山口さんに手を出さないか心配だったからw

そうした行動自体は「大人げなくて可愛い」と言えなくもないけど、それより私が心底ガッカリしたのは、その時の現場スタッフたちの反応です。

「やった! 今日は萩原氏がいないぞ!」ってみんな喜んで、久々に伸び伸びと仕事してたのに、ショーケンさんがこっちに向かってると聞くや「ええーっ、なんでっ!?」って、途端に士気が下がっちゃったそうです。

で、プロデューサー氏が出迎えて接待して、何とか撮影現場まで来させないよう必死に食い止めたっていう顛末。これを読んで私は「ショーケンさん、もう終わってるやん」って思わずにいられませんでした。一緒に映画を創る仲間たちに、ここまで疎まれてしまうとは……

同じ映画でユーレイ役を演じられた室井滋さんは、ショーケンさんのことを「本当に怖かったけど(現場の緊張感を保つには)ああいう人も必要だと思う」ってフォローされてます。確かにそうかも知れないけど、ちょっと限度を超えてますよね……

私は過去に撮影現場を仕切る役職を経験してるもんで、どうしてもそっちの立場から考えてしまう。いくら憧れのマカロニ刑事でも、こんな人と一緒に作品創りは絶対したくありません。



だけど、クドイかも知れないけど、私はそれでもマカロニ刑事が大好きだし、あの頃のショーケンさんは本当に素晴らしい俳優だったと、その想いは今もまったく変わりません。

ショーケンさんはどんなキャラクターにもなり切る器用な役者ではなく、あくまで自分自身を役に乗せて表現する人だから、マカロニ刑事が魅力的ってことはすなわち、当時のショーケンさんも同じように魅力的だった筈なんです。『太陽~』の現場じゃ皆に愛されてたっていう証言が、まさにそれを裏づけてます。

地位と名声と金が、ピュアだった天才俳優を狂わせてしまった。よく聞くような話ではあるけど、本当にそんな事があるんやなって、つくづく納得させられちゃいました。



ちなみに今回の画像は全て『太陽にほえろ!』の第35話『愛するものの叫び』('73) からのもの。後にショーケンさんの最初の妻となる小泉一十三さんがヒロインを演じ、後にジーパン刑事としてレギュラー入りされる松田優作さんもチョイ役(テスト出演)で参加されてる重要作。永遠のライバルであるショーケン&優作が共演した唯一のフィルムです。

新米刑事の惚れた相手が殺人犯だった!っていうストーリーは定番だし、小泉一十三さんはモデルが本職で演技は拙いんだけど、それでも屈指の名エピソードになったのはやっぱり、ショーケンさんの演技が抜群に素晴らしいから!なんですよね。

ずっとそのままのショーケンさんでいて欲しかった……なんて考えても仕方がないんだけど、魅力溢れるマカロニ刑事を見るたびそう思わずにいられません。


 

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『プロフェッショナル/庵野秀明スペシャル』

2021-03-25 21:45:11 | エンタメ全般






 
NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル/仕事の流儀』で庵野秀明さんが特集されてました。最近観たテレビの中じゃダントツに面白かったですw

言わずと知れたロボットアニメのパイオニア『新世紀エヴァンゲリオン』の生みの親であり、特撮映画『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』等の総監督。

庵野監督と現在一緒に仕事されてる方、又はかつてされてた方々による庵野さん評は「謎の人」「大人になれなかった人」「少女少年」「宇宙人」「テロリスト」「使徒みたいな人」「使徒ちゃん」と散々なものw(『エヴァ~』の世界における使徒は『マジンガーZ』で例えると機械獣のポジションですw)

けど、それくらい常軌を逸した人でなければ『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』みたいなとてつもない作品は生み出せないって事が、今回のドキュメンタリーを観るとよく分かります。

一言でまとめれば「創作のためなら死ねる人」ですよね。それだけならカッコいいんだけど、周りの人も巻き込んでさんざん振り回す極めて迷惑な人だから「使徒ちゃん」w

裏を返せば、死ぬ覚悟と嫌われる勇気さえ持てば、誰だってエンタメ史に残る作品を生み出せる。けど、その苦痛に耐えられる人はほんのひと握りだけ。だから有名にもなれるしお金も稼げる。

TVシリーズの『エヴァ~』を終えた時に、一部マニアから「庵野は作品を投げ出した」とバッシングされまくり、庵野さんは鬱状態になって死のうとしたんだけど、痛そうだからやめたそうですw

つまりホントは使徒でもなければ宇宙人でもない、普通の人間なんですよね。なのに他のクリエイターたちに出来ないことが出来るのは、寝食を忘れて仕事し、極限まで自分とスタッフを追い詰められるから。これが私みたいな軟弱者には出来ないワケです。

私自身もかつてクリエイターだった時期があるけど、庵野さんみたいに「まだ誰もやってないやり方」が見つかるまで、フラフラになろうが憎まれようが妥協しないなんてこと、絶対に出来っこないと断言できますw だって、そんなのひたすら苦しいだけだし、ちっとも楽しくないじゃないですか。

そもそも「まだ誰もやってないやり方」なんてまだあるの?って思うし、たとえ真似事でも面白ければそれでええやんって思っちゃう。

けど庵野さんからすれば、どこかで見たことあるやり方は無条件に面白くないワケです。だからそうじゃないやり方を追究する以外に選択肢がない。

たぶん庵野さんは、作品創りを楽しく感じたことなど一度も無いはず。ひたすら苦しみながらエヴァを操縦する主人公=碇シンジとダブりますよね。

そんな人でなければ、歴史に残るような新しい作品は生み出せない。考えてみれば当然のことなのに、その覚悟を持ったクリエイターは滅多にいない。クリエイターに限らず、アスリートでも会社経営者でも根本は同じですよね。

これからBIGになりたいと思ってる人には今回の番組を観て頂き、そこまでの覚悟があるのかどうか、自分自身に問うてみることをオススメします。ほんと単純なことです。その目的の為に死ねるかどうか。

いよいよ公開された新作『シン・エヴァンゲリオン』には丸4年(脚本の執筆開始からだと10年以上?)の歳月が費やされており、その間ずっと庵野さんを追いかけて来たNHKのスタッフさん達もかつてない苦行の日々だったとか。そりゃダントツで面白いワケですw

その事実こそが、苦しまずして面白い作品は生まれないってことを物語ってますよね。好きなことも嫌いになっちゃう覚悟を決めなきゃ一流にはなれない。私にはとても無理です。

番組恒例の締めの質問「プロフェッショナルとは?」に対して、庵野さんは「プロフェッショナルなんて言葉は大嫌い」「出来れば番組タイトルを変えて欲しいくらい」って、ミもフタもない回答をされてましたw

そこだけ切り取れば「なんちゅう天の邪鬼なオッサン!」って思うけど、番組を最初から観た上でならストンと腑に落ちます。

何かをやり遂げるのにプロもアマも関係ないし、天才も凡才もない。ただ死ぬ気でやる覚悟があるか無いかだけ。……ってことを庵野さんは仰りたいと思うんだけど、使徒ちゃんの事だから分かりませんw

1つだけ確かなのは、丸4年も「誰もやってないこと」を追究して生まれた『シン・エヴァンゲリオン』は、間違いなく凄い作品であること。今まで見たことない映像が展開されるワケだから、そりゃ面白いのも間違いないでしょう。

ただ、その面白さが我々の求める面白さと一致するかどうかは別問題。私はTVシリーズ前半の新しさにはハマったけど、禅問答みたいになっちゃった後半には辟易しました。今回もまた「なんか凄かったけど、よく解らんなあ」って感想になっちゃう気が、凄くしますw

その予想を覆して、すっきり爽快に完結してこそ誰もがあっと驚くと私は思うんだけど、庵野さんは絶対そうしないですよね。使徒ちゃんだからw


 

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