源氏物語と共に

源氏物語関連

上溝桜(うわみず桜)

2009-04-23 08:57:33 | 
去年石山寺に行った時に、源氏物語の植物の写真展示がありました。
樺桜(かばさくら)の所に見たこともない花の画像。
ずっと不思議に思っていました。


春になって桜図鑑が書店に並び出し、やっとその写真と同じものを見つけました。


上溝桜(うわみずさくら)です。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/BotanicalGarden-F.html
(植物園へようこそ)
http://shinrin.cool.ne.jp/sub132.html
(六甲山系の樹木図鑑)



紫の上が例えられた樺桜。樺は「かには」とも言われ、
一般には美しい樹木の表皮を使って細工される桜のことのようです。
今も茶筒やお皿、高級家具に桜の皮は使用されています。


平安時代の桜は山桜です。今の染井吉野ではありません。
時期的に開花も遅いです。


故蝶の巻に、
『盛りをすぎた桜も今盛りにほほゑみ、
廊をめぐれる藤の色もこまやかに開けゆきにけり』
とあります


現代では今まさに藤の花が咲きかけています。


樺桜を薄い紅色と称するものもありますが、
1000年昔の樺桜はどんな風だったのか気になっています。


国宝絵巻やその他の絵巻で表現される桜は八重ではないように感じます。
薄い桜色なのか白っぽい色なのか。単に普通の山桜なのか。


紅梅の着物を着ている紫の上。
その容貌に例えられた樺桜。きっと美しい桜だと思います。


後世の樺桜のかさね色は表蘇芳・裏紅色。赤みの強い桜になります。


この時期、紫式部はどんな桜を眺めていたのでしょうか。



見通しあらはなるひさしの御座(おまし)にゐたまへる人
気高くきよらに、さとにほふここちして、
春の霞の間より、おもしろき樺桜の咲きみだれたるを見るここちす (野分)