源氏物語と共に

源氏物語関連

丁子(ちょうじ)色、蘇芳(すおう)

2007-11-05 11:35:14 | 
<丁子色>
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少し色深き御直衣に、丁子染のこがるるまでしめる 白き綾の・・ (藤裏葉)



丁子とはスパイスにもあるクローブの事。
それで染めた色である。
熱帯地方にある植物フトモモ科の常緑高木。
その花の蕾が開く前にとって乾燥させたもの。
香りが大変良い。
日本でも古くから輸入されていて、正倉院にも伝えられている。


丁子は香料、医薬品の他に染色にも使用。(吉岡幸雄日本色事典)


私は以前にクローブ染めをした事があるが、
みょうばんを使用したので、ベージュというよりは少し黄みの強い色となった。
絹ではなく綿だったのであまり色が染まらず、
退色が早くて色が褪せ、とても残念だった。


<蘇芳>



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紫檀の箱に蘇芳の花足   (絵合)


青き浅き白きつるばみ、蘇芳、葡萄染など  (藤裏葉)



熱帯雨林のインド南部や、マレー半島にあるマメ科の樹木の芯には、赤色の色素がある。
それを使用してみょうばんや椿などの灰も使って染めたやや青みのある赤色。
この木は家具には適さないようだ。


古くから輸入され、正倉院にも薬物、染められた和紙、蘇芳染めの木箱がある。


特に平安時代は染色によく使用されたようである。


ただし、<蘇芳の醒め色>という言葉がある通り、
色が褪せやすく、現在ではほとんど茶色に変色している。(吉岡幸雄日本色事典)


長崎盛兼氏によれば、
奈良時代の<衣服令>にも色が見え、紫の下、緋の上に位置づけされ、
高位の色となっているとの事。
また蘇芳は深・中・浅にわけられているが、中蘇芳が代表の色。
かさね色でも使用される頻度は高い(全48色中6位)



こうしてみると、
どちらも高価な輸入材料ゆえ、貴族だけがふだんに使用出来るといえますね~ 



画像は色名は日本の色事典、素材は別冊太陽「源氏物語の色」より


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二藍(ふたあい)、縹(はなだ)色

2007-11-05 09:14:33 | 
 (藤裏葉)

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<二藍>
  
 直衣こそあまり濃くて軽びためれ。非参議のほど、二藍はよけれ。
 ひきつくろはむや。 (藤裏葉)


源氏が内大臣(頭中将)の藤の宴に招待された夕霧に向かって、
親らしく服装について語る場面。
二藍は藍に紅花を掛け合わせるらしく、様々な色があるようである。


身分が低い非参議の人なら直衣は二藍色で良いが、夕霧は身分が上だから
もう少し大人っぽい色にしてはどうかと、縹(はなだ)色の特別素晴らしい直衣などを
夕霧にさしあげなさった。


吉岡幸雄氏によれば、
男性の直衣は若いほど赤味に、年齢を重ねるほど縹(はなだ)がちの色になっていったようである。
 
<縹(はなだ)色>


はなだ色は、藍より薄く浅葱色より濃い色をさす。
吉岡氏いわく、
古くは藍で染めた色の総括のよう。
日本書紀の色制に濃縹、浅縹の色が見えるそうだ。
普通は中程度の藍色を指すとの事。


花田とも記されるが、これは当字。


長崎盛兼氏によれば、花田は花色ともよばれ、
その花はつきくさ(つゆ草)の花をあらわしその青汁で染めた事に由来するとも。
この色はさめやすいので、後に藍で染められたとも。


画像は日本の色事典


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