井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

春の花・レンプクソウ

2018年05月26日 | 日記


レンプクソウの芽出し。レンプクソウ科レンプクソウ属。
地下茎をツルのように伸ばし、その先が偶々フクジュソウにつながっていたというので「連福草」と名付けられたという。
根出葉は2回3出複葉(小葉は羽状に中裂)とされているが、この株は羽状複葉(小葉は3出複葉)に見える。



レンプクソウの茎葉と蕾。
茎には3出複葉が対生し、頂部に花序1個をつける。
1科1属1種のユニークな存在。学名(種名)の「モスカテルリナ」は「ジャコウの香り」の意味だと言うが、日本産のものは不快な匂いと言われる。日本人と欧米人とでは香りに関する好みが違っているからだろう。日本人の好むマツタケのの香りも彼等には「軍人の靴下の匂い」になってしまうという。



レンプクソウの花。
茎の頂部にサイコロ状の花床があって、茎につく面以外の5面に5個の花がつく。
頂部の1個は花冠が4裂の4数性の花がつき、側部の4個は花冠が5裂の5数性の花、2種類の花がつく。5個の花がつくので、「五輪花」の別名がある。
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春の花・スミレサイシン2

2018年05月25日 | 日記


スミレサイシンの花。スミレ科スミレ属。
スミレ属の花は5弁花で、上弁2個、側弁2個、唇弁1個からなる。唇弁には紫色の筋が入る。
雌しべの花柱を取り巻く橙色の部分は雄しべ、花糸はなく葯が合着したもの。



スミレサイシンの花後の葉。
スミレサイシンの葉は花後も更に大きくなり、スミレ属で最大と言われる。
スミレの仲間、殆どの種は「○○スミレ」と呼ばれる。スミレサイシンのように「スミレ○○」と呼ばれる例は他にない。
スミレサイシンは「菫細辛」と書く。「細辛(さいしん)」はウマノスズクサ科ウスバサイシンから得られる生薬で、スミレサイシンは葉がそのウスバサイシンに似るところから命名されたものだという。



オクエゾサイシン。ウマノスズクサ科ウスバサイシン属。
ウスバサイシンの近縁で、同じように根茎が「細辛」として薬用になると言われる。葉はやはりスミレサイシンに似ている。
オクエゾは「奥蝦夷」でカラフト(現在のサハリン)のこと、分布が多かったことからその名がついたと言われるが、札幌周辺でも多く見られる。
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春の花・スミレサイシン1

2018年05月24日 | 日記


スミレサイシンの芽出し。スミレ科スミレ属。
雪融け後すぐに芽出しする。
葉は両側から中央に向かって巻きあげる形で姿を見せる。芽出しと同時に蕾を用意している。



スミレサイシンの開葉。
両側から巻きあげた葉をほどくようにして展葉する。
開花時に葉はまだ開ききらない。



スミレサイシンの開花。
スミレサイシンは地上茎をもたないタイプ。地下茎から花柄と根生葉とを立ち上げる。
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春の花・ツボスミレ2

2018年05月23日 | 日記


ツボスミレの群落。スミレ科スミレ属。
湿り気のあるところを好み、時に大きな群落をつくる。



ツボスミレの閉鎖花と果実。
ツボスミレの花期は遅い方だが、それでも夏までには花期は終わる。
ツボスミレに限らず、スミレの仲間は秋に閉鎖花をつける。蕾の形のまま開かずに種子をつくる。
開放花(開く花)で多様性のある子孫を残し、閉鎖花(開かない花)で確実に種子をつくる。そういう2面作戦をとる。 



ツボスミレの果実と葉。
果実は蒴果、熟すと果皮は3裂して、舟形の3片の上の種子を外側から絞るようにして種子をはじき飛ばす。
葉は深い心形、横に開くようにブーメランのような形になる個体があって、「アギスミレ」と呼び、1変種扱いする。
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春の花・ツボスミレ1

2018年05月22日 | 日記


ツボスミレ。スミレ科スミレ属。
湿り気のあるところを好み、草丈は25cmほどになることもあるが、茎は弱々しい印象がある。オオタチツボスミレと同じ地上茎を持つスミレである。



ツボスミレの托葉。
オオタチツボスミレの托葉は櫛の歯状に裂けるが、ツボスミレの托葉は裂けず、全縁。



ツボスミレの花。
花期はオオタチツボスミレより遅く、スミレの仲間全体の中でも遅い方。
花は全体的に白っぽく、唇弁には紫色の筋が入る。
ニョイスミレの別名がある。ニオイスミレではなく「如意スミレ」と書く。「如意」は孫の手のような形をした仏具でその形に似ているというが、如意を実際に見る機会もなく、全くイメージは湧かない。

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