井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

ブナ科ドングリの4タイプ

2010年11月17日 | 日記
「日本は森林博物館の国」という言い方があるくらい、日本には様々な形の森林があります。私たちはそれを当たり前のように考えますが、世界中のどこをみてもそんな所はないといいます。
日本の森の広葉樹を代表する樹といえば、ブナの仲間があげられます。常緑樹も落葉樹もあり、全国各地の森を代表する樹となっています。
そしてそのブナ科の特徴の一つに、堅果(ドングリ)をつけることがあります。



ミズナラのドングリです。ブナ科コナラ属。
ブナ科の樹の雌花は総苞に保護されていますが、その総苞片が変化して殻斗を作ります。ブナ科の樹木の殻斗はその姿・形から四つのグループに分けられます。ミズナラの殻斗は瓦を敷き詰めた形に見えるので、「屋根瓦タイプ」と呼ばれます。北海道では、コナラやアカナラがこのタイプです。



カシワのドングリです。同じくブナ科コナラ属。
カシワの殻斗はワイヤ状になっていますが、クリのように硬くはなく、触っても痛くはありません。ただ、線状なので「イガ座布団タイプ」と呼びます。
北海道ではカシワだけですが、本州ではクヌギやアベマキがこのタイプです。
北海道では、ミズナラもカシワも1年型(春に花をつけてその年の秋には熟す)ですが、本州のクヌギやアベマキは2年型(今年つけた花は、未熟な「ドングリ小僧」の形で年を越し、翌年の秋に熟す)です。



リングタイプのドングリ(アラカシ:本から写し取った写真です。)
ミズナラのドングリに一寸似ていますが、瓦敷き型ではなくリング状になっています。
2年型のドングリが北海道にないように、このリングタイプの樹も北海道にはありません。
以上の3タイプの殻斗に加えるもう1タイプは、「割れるタイプ」です。北海道で見られるのはクリとブナです。
前の3タイプでは、殻斗は堅果の半分ほどしかカバーしていませんが、「割れるタイプ」では堅果全体を包んでいて、熟すと割れる訳です。
ブナ科のドングリは古代人の重要な食料でしたが、現在でも哺乳動物の大事な餌となっています。
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