誰もがテーブルの周りでそれぞれに寄り添う
小さな声で励ましあいながら
小さかった頃のテーブルは小さくて
寄り添うようにご飯を食べた。
父親が
今日1日の出来事を話し
母親が
「大変だったね」とねぎらい
祖母は
静かに頷いていた。
姉と私は
くっつきながら
クスクスと笑っていた。
家族がそこにいた
寄り添いながら
それぞれの役割を
当たり前のように
果たしながら
昔々の記憶だけれど
確かにそこに家族がいた
老いて今
一人天井を見つめ続ける父
その大きな瞳の奥深くには
何が映っているのだろうか
ひまわり
詞:小山卓治 曲:小山卓治
その人の女房はある日 絵葉書を受けとった
丘の上のひまわりがほほえむように揺れる写真
午後3時には荷造りと化粧をすませて
日曜日にしかかぶらない帽子を深くかぶる
彼女は部屋を出る時も笑顔を崩さない
足早に階段を降りて歩きだす
ガソリンが水たまりに虹を作る道の向こう
すすけた赤い屋根が続いてる
窓から射しこむ工場の照り返しを浴びて
その人は粗末なベッドにただ黙って座ってる
たまり場の女達のヒステリックな笑い声
通りの向こう側から風に流されて聞こえる
鏡の脇にピンでとめられた写真の中で
はにかんだまま色褪せてる2人
ガソリンが水たまりに虹を作る道の向こう
すすけた赤い屋根が続いてる
工場にしがみつくように並んだアパートの群れ
どの窓にも同じブルーの作業着が干してある
いつもと同じ夕焼けが辺りを赤く染めると
街中がつぶやきだす さあ仕事が終わる時間だ
誰もがテーブルの周りでそれぞれに寄り添う
小さな声で励ましあいながら
ガソリンが水たまりに虹を作る道の向こう
すすけた赤い屋根が続いてる