goo blog サービス終了のお知らせ 

Go To Zeroを聴きながら

小山卓治を聴きながら夢の国
今日が終わってまた明日

YELLOW WASP

2010年11月29日 | 小山卓治




車を運転しながら

小山卓治の〈YELLOW WASP〉を聴いた。

映画「グラン・トリノ」に登場するアメリカに生きるモン族の若者たちと

〈YELLOW WASP〉の中の日本に生きる残留孤児2世の若者たち。

彼らは共に、自分が生まれる前に起こったとっくに終わったはずの戦争のおかげで

自ら望んでやって来たわけではない国にいて

自分の居場所をみつけられずに哀しみと怒りと絶望を抱えて生きている。


モン族がベトナム戦争でアメリカに利用されて、戦後、祖国ラオスから追われたこと

太平洋戦争後、多くの日本人が中国に取り残され、そこで生きるしか方法がなかったこと

そういった事実も長い間知らずにいて、日本という平和で超Bigになった(と錯覚してた)国で

自分のことばかり考えて大人になってしまった。


「グラン・トリノ」の映画には泣けるエンディングがあっても、現実のモン族はそこに生き続けるし

小山卓治が歌った〈YELLOW WASP〉の現実は、20年を経ても風化せずそこにある。

戦争の傷跡が世代を超えてそこにあること

忘れちゃいけない。



   YELLOW WASP

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   盗んだバイクにまたがって
   女をケツに乗せて走りだした
   浦安のボーリング場の
   駐車場で決闘が始まる
   夜の9時コンビニの前
   集まったバイクと車の群れ
   急げばまだ間に合うはず
   5月28日のこと
   俺や仲間達は
   いつでもこう呼ばれる
   残留孤児2世
   黄色いワスプの住んでるこの国じゃ

   暗闇の駐車場の隅
   俺達は族に囲まれた
   ナイフや曲がった鉄パイプ
   キラリと光って襲いかかる
   殴られて必死に逃げて
   迷いこんだ袋小路
   金網にへばりつきながら
   盗んだナイフ握ってた
   殺される
   この国へ来てから
   いつだってこうだった
   黄色いワスプの住んでるこの国じゃ

   言葉も分からないうちに
   この国の学校に入れられた
   喋れないだけで殴られ
   先生は俺を馬鹿呼ばわりした
   戦争が終わった時に
   お袋はまだ5歳の女の子
   俺と兄貴が生まれ育った
   黒竜江を後にして
   7年前の朝
   親父だけを残して
   俺達帰ってきた
   黄色いワスプの住んでるこの国へ

   うめき声が聞こえてくる
   俺の足元にうずくまる男
   吹きだす血の音が聞こえ
   俺は水たまりにしゃがみこんでた
   やられっぱなしじゃないぜ
   俺は腰抜けじゃないんだ
   だけど震えながら見あげる
   今にも降りだしそうな空
   中国へ帰りな
   てめえらは臭いぜ
   この不良ども
   黄色いワスプの住んでるこの国じゃ

   俺の手に手錠がかけられ
   男は病院で冷たくなった
   俺のすり切れた指紋は
   殺人者の烙印に変わった
   検察は俺をにらみつけ
   ぶちこんでやると叫んだ
   弁護士は正当防衛と
   傷害致死を主張した
   中国が恋しい
   この国は俺のこと
   好きになっちゃくれない
   黄色いワスプの住んでるこの国は

   親父はいつでも自分を
   中国人だと思い続けてた
   お袋はいつでも自分を
   日本人だと思いたがってた
   俺はいつでも自分を
   人間だと思っている
   国籍が違うってだけで
   どうしてそんな目で見るんだ
   おまえらも黄色だ
   みんな黄色じゃねえか
   同じ黄色じゃねえか
   黄色いワスプの住んでるこの国じゃ

   鑑別所 家庭裁判所
   高等裁判所と回された
   タマネギ臭い指をした
   仲間達が俺を見守ってくれた
   心から話しあえるのは
   同じ境遇の仲間だけ
   俺は一体誰なの
   どこの国の人間なの
   3月17日
   5回目の判決で
   俺はたたき出された
   黄色いワスプの住んでるこの国へ

   北京の広場じゃ仲間が
   戦車にひかれ死んじまった
   古いボートに乗った仲間
   東シナ海を越えてくる
   俺達一握りの自由に
   命賭けて戦ったのに
   この国じゃでっかい自由を
   クソまみれにしているんだ
   こいつは俺達の
   俺達の戦争だ
   俺達の戦争だ
   黄色いワスプの住んでるこの国じゃ









プロポーズ

2010年11月29日 | 小山卓治
映画「Ghost」
照れくさくて
絶対に「愛しているよ」と言えない男。
プロポーズも彼女に先を越されて
しどろもどろになって
おまけに死んでしまって
天国にも行けやしない。

最近よく考えること
「明日は何が起こるかわからない」

だから伝えたいことは
その時に言っておかないと
映画のようにゴーストになって
伝えることはできない

愛してるでも
だいすき!でも
ありがとうでも
お前がいちばん可愛いよでも
ずっとあなたといたいでも

なんでもいいけど

そのことばは大切だからとっておく・・・
のではなく

大切だからこそ

伝えよう




   プロポーズ
  

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   凍えそうな長すぎる夜
   君は何に立ち向かっていたの
   人ごみの中で出会った夕暮れ
   君は何を見つめたの
   最初のキスに目を閉じた夜
   君は何を信じたの
   シーツを手探るまどろみの朝
   君は何に感謝したの

   街路樹の花を指さした朝
   君は何を伝えようとしたの
   温かい夕食をすませた夜
   君は何に笑い転げたの
   ささいな誤解に背を向けた午後
   君は何を恐れたの
   小さな嘘に気づいた朝
   君は何を知ってしまったの

   離ればなれのいくつもの夜
   君は何に押しつぶされていたの
   電話の音に飛び上がった午後
   君は何を許してくれたの
   なつかしい場所で手を振った夕暮れ
   君は何を取り戻したの
   そして僕のプロポーズに
   君は何と答えてくれるの
   君は「はい」と答えてくれるね







オリオンのティアラ

2010年11月23日 | 小山卓治
星は男女の距離をぐっと縮め

ロマンチックにさせるもの


   愛してるよ なんて言うのは
   どれくらいぶりだろうね
   思い出してみようよ
   張り裂けそうなときめきに焦がれた夜


張り裂けそうなときめきに焦がれた夜が

どの男女にもあって

忘れてしまったわけではないけど

いつのまにかどこかに

置いてきてしまっている

でもたまには外にでて

星を二人で見上げて

銀河のロマンや

生き物の神秘を語るなら

二人がここにこうしていることへの感謝を

ためらわずに

ことばにできるだろう

ここにこうして共にあることが

ちっぽけだけど

ものすごく必然的で

ものすごく素敵なことなんだって

だからお互いが愛しいと

ことばにできるだろう

小山卓治は

いくつになっても

こんなことを歌える男で

いくつになっても

きっと星をながめて泣ける男なんだろう



   オリオンのティアラ


   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   ベランダに出てワインでも飲んで
   10万光年の銀河系の話 しようか
   少し寒いからセーターを羽織り
   1000万種類の生き物の未来 話そうか

   部屋の明かりも消しちゃってさ
   仕事のこともちょっと忘れ
   昨日の喧嘩のことも忘れてさ

   遠くでまたたく街の灯を眺め
   50億年に地球が見た夢 たどろうか

   俺たち笑っちゃうくらい
   ちっぽけな存在さ だけど
   2人は確かにここにいるのさ

   愛してるよ なんて言うのは
   どれくらいぶりだろうね
   思い出してみようよ
   張り裂けそうなときめきに焦がれた夜

    夜空に君の横顔のライン
   オリオンの三つ星 ティアラに見えるよ
   綺麗だ

   あきらめちゃっていたのかな
   もう戻れないんだって 違う
   俺たちきっとやり直せるはずさ

   愛してるよ なんて言うのは
   もう照れくさいことだけど
   忘れてはいないさ
   鮮やかな夢を抱きしめ眠った夜

   ベランダに出てワインでも飲んで
   2人が初めて出会った日のこと 話そうか
   もう一度 話そうよ






靖国通り、月曜の午後

2010年11月13日 | 小山卓治
男と女の出会い。

恋に落ちるその瞬間からはじまる

男と女の心の探りあいとすれ違い。

やがて恋が終わりを告げ

別れがきた後も

男が築いてきた「僕達の恋」と

女が築いてきた「私達の恋」は

きっと違う甘酸っぱさで

記憶に閉じ込められている。


〈靖国通り、月曜の午後〉を聴いていると

そんな気持ちにさせられてしまう。

女にとっての〈靖国通り、月曜の午後〉は

きっとこんなだったと思う。


〈彼女の靖国通り、月曜の午後〉

薄曇りの月曜日、保育園のお迎えのあと
子どもと歩く靖国通り

なんでもない日の、なんでもない帰り道に
幸せを感じる

遠くの空の雲の間から光が・・・
昔どこかでこんな景色みた記憶があるけど
なんだっただろう
なんて考えながら歩く

あっ、あれは彼?

懐かしさがこみ上げる
走っていって声をかけたい
でもこんな格好で恥ずかしい

突然走り出す子ども
思わず叱りつけたら
彼に先に気づかれちゃった

叱っている顔で再会なんて
ちょっと恥ずかしくて
何だか彼もぎこちないから
私もぎこちなくって

「スターバックス入ろうか」って彼
「あら、タバコはやめたの」って言ったら
「ふふ、やめてないよ」
相変わらずだけど
でもちゃんと気を使ってくれるのね

そういえば昔よくドライブ行った時
車の中では絶対タバコ吸わなかったね
そんな人だったね、あなた

そうだ、さっきの光
最後に二人で行ったあの丘だったね

あの小さな丘覚えているかな
私が言ったことば覚えているかな

「ねえあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのよ
でも誰も姿を見た者はいない
私たちいつか会えるかしら」

って言ったら
「天使がいたら
きっと僕達の手をひっぱって
まためぐり合わせてくれるよ
いつかきっとね」
そう言ったね

「あれから・・・」
って二人で同時に

同じこと考えていたのかな

照れくさそうに
「子供の父親は誰なの? 
まさか僕じゃないよね」
違うよ、理想の人見つけたんだから
でも失敗しちゃったけどね
今は子どもだけが私の宝物

でもあなたとの恋も
それも私の宝物だって
この人は知っているのかな

相変わらずの優しそうな笑顔に
きっと女はころっと騙されるんだろな
でも目尻のシワが
ちょっと大人っぽくて
いい顔になったな

みつめていると照れくさい
何だか心があの頃に戻っていくようで

ふと見ると
ビルの上の薄い雲の間から光が差し込んでいる
あの時みたいに

彼もそれを見ている

それからまっすぐ私を見て
「ほらあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのさ
でも誰も姿を見た者はいない
僕たちはいつか会えるのかな」
そう言った

嬉しくて
何て言っていいかわからないから
ただただ微笑んだ

「会えたね、こうやって」って
言ってくれないのはわかってる
変わってないね
昔からあなたはことばが足りなかったけど
今ならその分私が補ってあげられるかな

彼が子どもを眺めている隙に
ナプキンに携帯の番号書いた

「もう行かなきゃ」って言ったら
彼、何も言わず私の肩に手を置いた
てのひらの感触が変わってない
ちっちゃくたたんだナプキン
そっとてのひらと肩の間に押し込んだ

天使が舞い降りてきている間に
私の恋
もう一度だけって
お祈りした

雨降ってきちゃった

あなたは左へ
そして
私は右へ

さよならって言わなかったから
きっと会えるかな

この雨
きっとすぐ晴れる
そんな気がする

「ママ、きれいだね
 キラキラしてるよ」って
子どもに言われて
思わずショーウインドウに映る自分をみたら
そこにはあの頃の自分がいた



   靖国通り、月曜の午後

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   薄曇りの月曜日 靖国通りを歩く
   東急ハンズの袋を抱える僕の前に
   子供を叱りつける1人の女性の横顔
   淡い記憶より少し痩せていた

   名前を思い出すのに少しかかって声をかけた
   君は眉をひそめたままの顔で僕を見る
   瞳がかすかに揺れて僕を思い出し
   それから笑おうとして うまくいかなかった

   スターバックス ラテをふたつ カフェモカをひとつ
   「私ひどいかっこで」と君は髪を耳にかける
   昔ドライブで小さな丘の上に立った時の
   君の言葉と横顔 ふいに思い出した

   「ねえあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
   あそこから天使が舞い降りてくるのよ
   でも誰も姿を見た者はいない
   私たちいつか会えるかしら」

   2人同時に「あれから」と言いだして笑う
   「子供の父親は誰なの? まさか僕じゃないよね」
   君は「馬鹿」って笑って言う 「今は元の名字なの」
   「それじゃ僕と一緒だ」 2人で吹きだす

   君は歩道で遊ぶ子供を目で追っている
   ほほえむ君の目尻のシワがとても素敵だ
   顔を上げるとビルの上の薄い雲が割れ
   渋滞の車に光が射し始めた

   「ほらあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
   あそこから天使が舞い降りてくるのさ
   でも誰も姿を見た者はいない
   僕たちはいつか会えるのかな」

   君はラテを一口飲んで首を傾げ
   何のことか分からないって顔でほほえんだ
   僕たちは少し見つめ合い 目を伏せる
   「もう行かなきゃ」と君は腰を上げる

   「さよなら」の代わりに君の肩に手を置いた
   てのひらは君の肩の丸みを憶えてた
   君は右へ 僕は左へ
   雲は厚くなり雨が降りだした





クリスタルレインドロップ

2010年11月10日 | 小山卓治
小山卓治のアルバム《Circle Game》の1曲目
〈クリスタルレインドロップ〉が美しい。

北海道で3夜連続歌われたこの曲は
その美しさと切なさで
北の人を魅了した。

でも
この曲は裏パートが歌われてはじめて
美しさと切なさの裏にある
嘆きと絶望が醸し出される。

夢を求めて永遠を旅する男
男は果てしない夢を追い続ける。
男は本気で思う。
2人にふさわしい愛を探し当てたなら
野に咲くひなげし あなたに届けようと。

女はひたすら待つ。
クリスタルレインドロップのキスの愛を信じて。
でもそれが温かい唇の温もりにとってかわることはないことも
女は知っているけれど。

やがて時がたち
クリスタルレインドロップは
哀しく輝き続けるけれど
野に咲くひなげしが
届けられることもない。

さよならと
女はつぶやいたけれど
でもきっとずっと待っている

女はだれでも待っているものだ。
野に咲くひなげしが
ある日届けられることを。



 クリスタルレインドロップ

 詞:小山卓治 曲:小山卓治

 クリスタルレインドロップに毎朝キス
 2人だけのおまじない
 遠く遠く離れた
 2人同じ時つむぐ
 あなたは私の夢の一部だよ(あなたが私に残してくれた宝物)
 クリスタルレインドロップに毎朝キス(クリスタルレインドロップに毎朝キス)
 あなたはとわの恋人(あなたはとわの恋人)


 砂漠と谷を越えて
 私は旅を続ける
 2人にふさわしい(待ってるわ)
 愛を探し当てたなら(そう いつまでも)
 野に咲くひなげし あなたに届けよう(野に咲くひなげし あなたが届けてくれる日を)
 クリスタルレインドロップに毎朝キス(クリスタルレインドロップに毎朝キス)
 あなたはとわの恋人(あなたはとわの恋人)


 深い森に迷って
 暗いむくろで眠った
 野獣の声がする(聞こえるわ)
 私の勇気を試す(もう 私にも)
 恐れ まどって 私は逃げだしていた(恐れやまどいに あなたは逃げだしてしまった)
 クリスタルレインドロップに毎朝キス(クリスタルレインドロップに毎朝キス)
 あなたはとわの恋人(あなたはとわの恋人)


 闇の国に捕らわれ
 私は変わり果てた
 ただひとつ気がかり(待てないわ)
 ぼんやり浮かぶ約束(もう あなたを)
 野に咲くひなげし 誰かに届ける(野に咲くひなげし あなたは届けてはくれないでしょう)
 クリスタルレインドロップに毎朝キス(さよなら)
 あなたはとわの恋人
 あなたはとわの恋人













100万回生きたねこ

2010年11月07日 | 小山卓治

「100万回生きたねこ」は
子どもたちに読んであげた本の中で
一番好きな本だった。

読んであげるたびに
泣いてしまったものだった。

あのねこのストーリーは
小山卓治の歌の世界とどこか似ていると
そんなことを思いながら
父の眠る顔を眺めていた今日。

自然に眠るようにこのまま逝ってしまいそうに見えながら
その呼吸は強く確かなものだった。

100万回生きたねこの
最後のたったひとつの一生のように
そんな風に人も生きられたら
そして終えられたらいいのになと

そんなことを考えながら
車を飛ばして家路に着いた。

佐野洋子さんの絵本もエッセイも大好きでした。
ご冥福をお祈りします。





南の国で ー青の世界ー 

2010年11月04日 | 旅の空
青が美しい。

空や海の青にかなう青はないと思っていたけれど

すっかり虜になってしまった青の世界。













ドアのその青の美しさには

ため息が出る。

年月の重みと自然の流れに身を任せたその青は

淡く、はかなく

今にも朽ちて消滅しそうに見えて

でもそこにある。


美しい青の世界が損なわれることなく

手を加えていってほしいと

心から祈りたい。
















































南の国で ー光と猫ー

2010年11月03日 | 旅の空
南の国の人の眼差しは

温かく

優しい。

そしてその眼差しは猫達にも向けられている。







この国には太った人も少ないが

太った猫もいない。



この手の顔の猫が一番多い。





子猫はなんでも珍しい。





たまには獲物も狙うけど

その眼差しは優しく見える。



下手に動かないのがクールさを保つ秘訣。











でもたまには婚活もしないと・・・。







猫の背中は口ほどに物を言う。









少ししかないけど

足りないものもない。





どんなところでも

自分でいられる

そんな南の国の猫たち。

南の風は

ちょっと湿っぽく

ちょっと生温かく

時々雨雲を連れてくる。

でもすぐに光がやってくるから

人も猫も

何も変わらぬように

ゆっくりと午後の時間を

過ごしている。