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Go To Zeroを聴きながら

小山卓治を聴きながら夢の国
今日が終わってまた明日

煙突のある街

2010年08月01日 | 小山卓治

RAINの小山卓治

いい曲の流れで泣かされた。

〈西からの便り〉のあとに〈煙突のある街〉

〈ユリエ〉のあとに〈天国のドアノブ〉


子どもは親を選べない。

故郷を選べない。

だから子どもでいる限り

親を捨てることができない。

でもやがてその子どもも大人になっていく過程で

親を捨て

自分の故郷を捨て

外へと向かう。

でも、そう言うのは簡単だけど

実はものすごい葛藤があって

しがらみがあって

怖くて

嫌いで仕方ないくせに

実は愛着があって

そう簡単に捨てられるものじゃない。

そう間単に親や故郷は捨てさせてくれない。



家を出るということは

親を精神的に葬るぐらいの

二度とここには戻らないぐらいの

ものすごい大きな

そして強い

意思と力が必要なのだ。

親不孝者と言われながら

身の程知らずと言われながら

それを振り切って

家を出るって

そう簡単じゃないもの。


ユリエのとった行動は

確かに歪んでいて

病んでいるけれど

たくさんの子どもには

きっと似たような衝動があるだろう。

消してしまいたいとか

憎いとか

そんな衝動を抑えられる絆が

どこかに少しでも残っていたら

ただ家を出るという

人並みの

決心だけで済んだのに。


今夜は

生まれと育ち

親であること

子であること

そしてその先にあるもの

そんなことを

いろいろ考えた

そんなライヴだった。




   煙突のある街


   詞 真島昌利 曲 真島昌利


   アパートの窓を開けると憂鬱な気分になるぜ
   薄曇りの空の下に煙突がつき刺さってる

   赤と白のストライプで彩られたあの煙突
   灰色の工場の壁 スモッグを吐きだしながら

   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする
   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする

   工場のベルの合図でこの街は動き始める
   あんまり言いたくないけど俺もそこで働いてる

   工場の機械の音が俺から耳を奪い取る
   時間を殺す場所さ 自分を殺す場所さ

   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする
   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする

   この間のストライキで俺は前歯を失った
   怒号と血の騒ぎの中 要求は削りとられて

   組合幹部の奴らはうまいこと立ち回ってる
   下の方の俺達だけいつでも傷を負わされて

   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする
   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする

   青い空はもう見えない 白い鳩はもう飛ばない
   隣の部屋の学生もひと晩中咳をしてる

   煙突のあるこの街で俺達は訴えられた
   責任逃れはできない 俺達どこへも行けない

   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする
   この街を流れる河は耐えきれない臭いがする

   希望はスモッグの彼方 今にも消えかかりそうさ






ひまわり

2010年07月26日 | 小山卓治

   誰もがテーブルの周りでそれぞれに寄り添う
   小さな声で励ましあいながら


小さかった頃のテーブルは小さくて
寄り添うようにご飯を食べた。

父親が
今日1日の出来事を話し
母親が
「大変だったね」とねぎらい
祖母は
静かに頷いていた。
姉と私は
くっつきながら
クスクスと笑っていた。

家族がそこにいた

寄り添いながら
それぞれの役割を
当たり前のように
果たしながら

昔々の記憶だけれど
確かにそこに家族がいた

老いて今
一人天井を見つめ続ける父
その大きな瞳の奥深くには
何が映っているのだろうか



   ひまわり


   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   その人の女房はある日 絵葉書を受けとった
   丘の上のひまわりがほほえむように揺れる写真
   午後3時には荷造りと化粧をすませて
   日曜日にしかかぶらない帽子を深くかぶる
   彼女は部屋を出る時も笑顔を崩さない
   足早に階段を降りて歩きだす

   ガソリンが水たまりに虹を作る道の向こう
   すすけた赤い屋根が続いてる

   窓から射しこむ工場の照り返しを浴びて
   その人は粗末なベッドにただ黙って座ってる
   たまり場の女達のヒステリックな笑い声
   通りの向こう側から風に流されて聞こえる
   鏡の脇にピンでとめられた写真の中で
   はにかんだまま色褪せてる2人

   ガソリンが水たまりに虹を作る道の向こう
   すすけた赤い屋根が続いてる

   工場にしがみつくように並んだアパートの群れ
   どの窓にも同じブルーの作業着が干してある
   いつもと同じ夕焼けが辺りを赤く染めると
   街中がつぶやきだす さあ仕事が終わる時間だ
   誰もがテーブルの周りでそれぞれに寄り添う
   小さな声で励ましあいながら

   ガソリンが水たまりに虹を作る道の向こう
   すすけた赤い屋根が続いてる









負けないで

2010年07月24日 | 小山卓治
人生いいことばっかりじゃないし

親がいたら
伴侶がいたら
子どもがいたら
兄弟姉妹がいたら

何かあって
切ない思いするのは仕方なくって
家族だから
当たり前のようにそれはやってきて

わかっちゃいるけど

でもでも
これでもか!って
背負う荷が重みを増していくのは

やっぱりしんどいね。

しんどいけど
泣きたくなるけど
下向きたくなるけど

どうか負けないで!
・・・と願って

ともだちへ送る1曲。





   負けないで

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   負けないで 負けないで
   負けないで 負けないで

   僕が疲れはてて
   うなだれている時に
   どこか空の向こうから
   その声を聞いた

   懐かしい歌声
   暖かい笑い声
   虚しくさまよってる
   僕の胸に届いた

   負けないで 負けないで
   負けないで 負けないで

   つまらない争いに
   僕が破れた時に
   君は僕を抱きしめ
   慰めてくれた

   だけど僕は君を
   置き去りにして行った
   君がくれた言葉を
   遠くに残して

   負けないで 負けないで
   負けないで 負けないで

   すべての街角から
   あふれだすメッセージ
   君にも聞こえるだろう?
   僕にも聞こえるさ

   僕は歩きだそう
   清らかさのために
   挫けそうな心に
   呼びかけながら

   負けないで 負けないで
   負けないで 負けないで



負けないで
勝ち負けじゃないけど。

泣いてもいいから
下向いてもいいから

でも負けないで。




ILLUSION

2010年07月22日 | 小山卓治
私は四方を山に囲まれた盆地に生まれて育った。

ジャングルジムのてっぺんに昇って

ぐるっと四方を見渡しても

山々がそびえ立ち

それは小さな私には

夢を阻む大きな壁のようにさえ思えた。


家の近所に

今では世界的に有名な女流画家の実家があって

当時、彼女がNYでストリーキングをやったらしいという話は

誰でも知っていることで

子供心にも漠然と

「NYはなんでもできるところ」なんだと感心し

それはやがて

「NYは夢を叶えてくれるところ」と

はっきり意識するようになった。


そしてたどり着いたNYの街の光は

24時間絶えることなくキラキラ輝いていた。

世界中から同じような夢を持って集まった“僕ら”には

輝かしい未来が約束されているような錯覚すらあった。

幻のような半端な夢だとどこかでわかっていながらも

それはきっとかなえられると

そう摩天楼は思わせてくれた。

 

   ILLUSION

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   電車が止まり扉が開くと
   僕らは行列を作り
   まぬけな顔とすきだらけの背中で
   通りへドッとくり出し
   都会のチンケなジョークにただ笑う

   君のアメリカンはコーヒーだけじゃなく
   今に始まったことじゃない
   綺麗な服着て綺麗な店で
   おいしいものを食べてる君は
   みんなとまったく同じに素敵だ

   僕らは光に集まり都会を作った
   そしてビルの影でチャンスをうかがいながら
   幻のような半端な夢を見続ける

   子供達はアスファルトの公園で
   膝を擦りむきながら
   自分達の未来を切り刻む
   大人達をにらみつける
   細すぎる足と腕をふり回し

   セントラルパークのダンサー達は
   労働者階級のヒーローを目指し
   借り物の50's にステップをそろえ
   自分の額の汗に酔いしれる

   僕らは光に集まり都会を作った
   そしてビルの影でチャンスをうかがいながら
   幻のような半端な夢を見続ける

   ILLUSION IN THE CITY


夕陽に泣きたい

2010年07月15日 | 小山卓治
   巻き戻せる人生ならいらない

このことばを聴くたびにぐっとくる

だから

前へ
上へ
高く
っていつも思ってる

このままじゃいけない
変わらなきゃ
って思ってる

なのに

変われない
進めない
跳べない

そんな相変わらずの
自分がいて

相変わらず
非難されて

相変わらず
うつむく自分がいる

でも

あのときの夏の夕陽を
もう一度見たいから

歩き続けている
自分もいて

だから
見過ごしてしまわないよう
上を向いて歩く



   夕陽に泣きたい


   詞:高橋研 曲:小山卓治


   最後に本気で泣いたのはいつ?
   君の問いかけに答えられない
   時は矢のように俺を突き刺す
   いつもの声が聞こえてくるんだ

   このままじゃいけない このままじゃいけない
   河の流れに滑り落ち 飲みこまれそうだ 
   このままじゃいけない 変わらなきゃいけない 
   遠い夏の夕陽に会いたい

   傷つけ合うことを避けて歩いた
   君の哀しみに気づけなくなった
   鏡に写った痩せた男は
   ほんとの俺の形なのかい?

   このままじゃいけない このままじゃいけない
   握りしめたこぶしのまま君を愛したい
   あきらめちゃいけない ため息じゃいけない
   巻き戻せる人生ならいらない

   時は矢のように俺を突き刺す
   いつもの声が聞こえてくるんだ

   このままじゃいけない このままじゃいけない
   河の流れに滑り落ち 飲みこまれそうだ 
   このままじゃいけない 変わらなきゃいけない
   燃えるような夕陽に泣きたい








Passing Bell -帰郷-

2010年07月13日 | 小山卓治
この場所で小山卓治が生声で歌ったら

きっと最高だろうなって思った

AMIGO!のスタジオ


そして7月11日

そこに小山卓治はいた。


スタジオの高い天井に

小山卓治の歌が昇っていく

皆の声も吸い込まれていく

そんな不思議な空間がそこにあった


グランドピアノの最後の音が

静かに

ゆっくりと

消えて行く


今日のために

ここはあったような

私たちを待っていたような

そんな錯覚さえ起こしそうな

不思議な一体感


今日のために用意された

セットリストは

最初から最後まで

思わず涙腺も口元も緩むような

そんな選曲で

幸せな夜を過ごした


「さあ、そろそろ皆歌いたくなったかな?」と言ってこの曲を・・・



   Passing Bell -帰郷-

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   夕刊の片隅 懐かしいあいつの顔写真
   その晩電話のベルがいつもより静かに鳴った
   俺達はバッグに黒いスーツをつめ込み
   それぞれの街からあいつの眠る街へ急ぐ
   ディランを口ずさみながら
   むし暑い夜を抱いて
   苦い握手と笑顔
   昔とおんなじジョーク

   テーブルの周りで俺達は
   思い思いの形のグラスに
   1本のシャンペンを注いだのさ

   この街には敵とそして犠牲者しかいない
   ここから最後まで逃げだせなかった男
   13階のオフィス 仕事が終わったその足で
   廊下のダストシュートに頭から飛びこんだらしい
   あいつはいつも言ってた
   俺はクズみたいな男さ
   弱音さえ吐けなかった
   負け犬に乾杯

   テーブルの周りで俺達は
   思い思いの形のグラスに
   1本のシャンペンを注いだのさ

   この街を最初に飛びだしたのは私だった
   ヒットチャートを昇って輝く笑顔を手に入れた
   シルクハットに恋してみんなが肩をすくめた時
   私を照らすのはまあるいスポットライトだけ
   あの曲憶えてるでしょ
   イントロはピアノとバイオリン
   さあ歌うわ私
   拍手をちょうだい

   テーブルの周りで俺達は
   思い思いの形のグラスに
   1本のシャンペンを注いだのさ

   昔からみんなに優しい男と呼ばれてた
   疑うことも知らずにあの子と一緒になったんだ
   この春に生まれた子供にあいつの名をつけた
   ありふれた暮らしのどこが悪いんだい
   こんな目に会うくらいなら
   死に急いだやつが利口だ
   息子の魂のために
   グラスを上げてくれ

   テーブルの周りで俺達は
   思い思いの形のグラスに
   1本のシャンペンを注いだのさ

   身の上話など俺には関係ないことだ
   流れ者にだって楽しむ権利はあるさ
   みっつ目の名前で新しい仕事を始めた
   今ではあの街の顔役に収まった
   しこたま儲けた金で
   みんなに酒をおごれる
   だけど今夜初めて
   泣けてくるのはなぜだ

   テーブルの周りで俺達は
   思い思いの形のグラスに
   1本のシャンペンを注いだのさ

   時計はいつまでも遅すぎる夜を指している
   若さなんて棒に振るもの 俺達の口癖だった
   雨の夜のために残しておいた哀しみを
   テーブルに並べて俺達は静かに笑う
   ラジオは調子っぱずれ
   ふるさとの歌を歌ってる
   外はどしゃぶりの雨だ
   さあもう1杯やろう

   テーブルの周りで俺達は
   思い思いの形のグラスに
   1本のシャンペンを注いだのさ




オリオンのティアラ

2010年07月12日 | 小山卓治
窓の外をふと見ると

真っ暗な空の向こうに

山のシルエットが続く


そうだ、ここは都留の町

高部座で歌う小山卓治の透き通った声が

大きな座敷に響き渡る


仏壇のご先祖様も

きっとうっとり聴いていただろうな


暖かなもてなしと

涼しい風と

熱い視線の中の小山卓治は

またいつもと違う顔をしていた


   俺たち笑っちゃうくらい
   ちっぽけな存在さ だけど
   2人は確かにここにいるのさ


私達はちっぽけだけど

確かにここにいる

そう感じた高部座の夜だった

オリオンのティアラがとても美しかった



   オリオンのティアラ

   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   ベランダに出てワインでも飲んで
   10万光年の銀河系の話 しようか
   少し寒いからセーターを羽織り
   1000万種類の生き物の未来 話そうか

   部屋の明かりも消しちゃってさ
   仕事のこともちょっと忘れ
   昨日の喧嘩のことも忘れてさ

   遠くでまたたく街の灯を眺め
   50億年に地球が見た夢 たどろうか

   俺たち笑っちゃうくらい
   ちっぽけな存在さ だけど
   2人は確かにここにいるのさ

   愛してるよ なんて言うのは
   どれくらいぶりだろうね
   思い出してみようよ
   張り裂けそうなときめきに焦がれた夜

   夜空に君の横顔のライン
   オリオンの三つ星 ティアラに見えるよ
   綺麗だ

   あきらめちゃっていたのかな
   もう戻れないんだって 違う
   俺たちきっとやり直せるはずさ

   愛してるよ なんて言うのは
   もう照れくさいことだけど
   忘れてはいないさ
   鮮やかな夢を抱きしめ眠った夜

   ベランダに出てワインでも飲んで
   2人が初めて出会った日のこと 話そうか
   もう一度 話そうよ



Seed Song Project

2010年07月06日 | 小山卓治
2001年

当然のようにそこにあったもの

それが消えてなくなってしまうということが

現実にあって途方に暮れた

ワールドトレードセンターの消失。


時間が経っても

受け入れがたい空しさや哀しみは

変わらずにそこにある。


小山卓治はその消失から半年後

ワールドトレードセンターの跡地“グラウンドゼロ”に立った。



そして彼は〈種の歌〉に彼の祈りを託した。



2010年

彼は新しいプロジェクトをスタートさせる。

Seed Song Project


彼が“種”に託した祈りを

もっともっとたくさんの人たちに向けて

国境を越えて

世界に向けて。


種の歌のメッセージに

たくさんの人が耳を傾けて

そこからまた種を飛ばしてくれたらいいな




   種の歌


   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   たんぽぽの種は空を飛び
   小さな庭に花を咲かせた
   少女がちっちゃな指で花を摘み
   海を渡る父に贈った
   花は歌う 小さな声で
   笑って、さあ笑って、と

   たんぽぽの種は空を飛び
   国境の丘に花を咲かせた
   赤い雨に打たれ咲く花は
   たくさんの靴に踏みつぶされた
   花は歌う 小さな声で
   笑って、さあ笑って、と

   たんぽぽの種は空を飛び
   廃墟の街に花を咲かせた
   人はみんな黙りこんだまま
   花に気づかずこうべを垂れた
   花は歌う 小さな声で
   笑って、さあ笑って、と

   たんぽぽの種は空を飛び
   兵士の墓に花を咲かせた
   両手を合わせひざまずく妻は
   花の上に涙こぼした
   花は歌う 小さな声で
   笑って、さあ笑って、と

   たんぽぽの種は空を飛び
   小さな庭に花を咲かせた
   窓辺のベッドで眠る赤ちゃんの
   かたわらにそっと花は飾られた
   花は歌う 小さな声で
   笑って、さあ笑って、と












睡蓮

2010年07月04日 | 小山卓治
やまがたすみこのアルバム
「歌が降りてくる 2010」から

美しいことばを聴くと
それだけでその日が豊かに感じる

美しい響きはそれだけで
心の汚泥が洗い流される気がする

   たどりつくため
   立ち止まるとき
   絵描きの眼には
   すべてが見える


急ぐのはよそう
立ち止まってみよう
そう思いながら
ずいぶん遠くまできてしまった

立ち止まることができたら
いろんなものが見えてくるのだろう
きっと



   睡蓮

   作詞・作曲:井上鑑


   時の流れを
   抜け出したまま
   雲を映して
   まどろむ水面

   初夏の緑と
   青は抱きあい
   ゆれてにじんで
   過去へ未来へ

   言葉が生まれ
   人が追いかける
   どこかでなくした
   夢を夢見て

   睡蓮が咲き
   絵描きはつぶやく
   知らなくてもいい
   感じていたい

   風よ柳よ
   教えてください
   光のなかで
   生きる知恵を

   たどりつくため
   立ち止まる時
   絵描きの眼には
   すべてが見える



Bad Dream ’86

2010年07月01日 | 小山卓治
土砂降りでも

暴風雪でも

落雷でも

炎天下でも

   走りだせばまだ間にあう
   汚れた手でつかみ取れ

そんな気分にさせてくれた

6月最後の日のバンドライヴ


小山卓治が全開

かっこよくて

セクシー

そして

クスッと笑う一瞬のキュートさに

女はコロッと騙される


たとえ彼の365日のうちのたったの53日だけが

かっこよくて、セクシーで、キュートで

他の312日はただのオヤジでも

それでいい


365分の53の

そのひとつひとつのライヴの真ん中に

小山卓治がいて

彼の歌を聴きにやってくる

男達と女達のストーリーがある


   僕の耳はまだ聞こえるしこぶしだって握れるさ


と、小山卓治が歌い続ける限り

ストーリーは続く



   Bad Dream '86


   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   僕は正直者のふりをし続けて
   今までずっと馬鹿を見てきたけど
   あしらわれながら利用されるほど
   やつらに言いなりのうすのろじゃなかったんだ
   君を養ってあげると肩を叩くやつがいる
   唇で転がす約束に僕はだまされない

   人を傷つけまいと努力している君は
   とても辛そうな顔で暮らしてる
   僕はいつでも人を傷つけてきた
   だからごらん こんなに身軽だ
   誰もが握手できるんだとうそぶくやつがいる
   カーテン越しの正義感 そんなものクソくらえ

   走りだせばまだ間にあう
   汚れた手でつかみ取れ

   人が死ぬことにすら僕らは慣れ始めてる
   サイレンの音も今ではただのBGM
   誰も彼もが知らぬふりをし続けて
   僕らは少しずつ離ればなれになる
   これ以上望んじゃいけないとたしなめるやつがいる
   僕の耳はまだ聞こえるしこぶしだって握れるさ

   走りだせばまだ間にあう
   汚れた手でつかみ取れ


週末は嫌い

2010年06月28日 | 小山卓治
『そんな彼なら捨てちゃえば?』という映画をみて

〈週末は嫌い〉の男と女を思った。


男と女

振られたあと、別れたあと・・・

それぞれに引きずるけれど



女は強い

というか

気持ちの切り替えが早い

というか

前向きに行動する


一方、男は・・・




昔々、大学の女の先生が自分の離婚の顛末について話してくれた。

 「彼が出て行って3日間は泣いて泣いて、涙が枯れるまで泣いて

 4日目には彼のもの全部捨てて

 5日目にはジムに行って汗を流して、エステにも行って

 6日目には・・・

 新しい恋を見つけにお洒落して出かけて

 そして・・・」



まあ、そんな女ばかりではないし

〈週末は嫌い〉みたいな女の子も

もちろんいるのだけれど





   
   週末は嫌い


   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   あの頃はいつもの地下鉄のB2出口から外へ出て
   週末には駅前のスーパーで2人分のお買い物
   電話がかかる前に下ごしらえをすませて
   食事の後はシャワーを浴びてシーツの上で背泳ぎ
    
   昨日はレンタルショップで軽めの映画を1本借りてきて
   ワインと一緒に大笑い でもテレビを消したら急につまんなくて
   気がついたら自分の手をぼんやり見てた
   バカみたいって顔だけ洗ってベッドに潜りこんだ
 
   誰かに大切にされてないのに 自分を大切になんかできっこない
   笑ってでもいなきゃ泣いちゃいそうだから 最近思うんだ
   週末は嫌い
 
   食事をした友達は少し話題に困ってたみたいだから
   私は平気な顔をして「彼は元気なの?」って聞いてあげた
   帰りにおっきめの本屋さんに寄って
   嫌いだって言ってた赤川次郎を買って帰った
 
   何かお稽古ごとでも始めようかな やっぱりあの猫をもらうことにしようかな
   有給がずいぶんたまっちゃった しばらくぼんやり過ごしてみたいな
   でも週末は嫌い
 
   いつものように地下鉄のB2出口から外へ出て
   デパ地下で買ってきたお総菜を冷蔵庫に入れる
   ブロッコリーを買いすぎて駄目にした
   明日はひさしぶりにちゃんとお掃除をしよう
 
   1人の方がすっごく自由だな 全部が私の時間なんだから
   パスタにパセリをかけながら 降り出した雨の音を聞いてる
   週末は嫌い
   週末は嫌い

Army Dreamers / 大統領様

2010年06月25日 | 小山卓治
やまがたすみこの歌う〈Army Dreamers〉

このうえない母の悲哀


息子を失うということは

母親にとっておそらくもっとも深い哀しみ

しかも戦争で失うなんて

What a waste・・・

どんないい理由を考えても

What a waste・・・

としか言えない

what a waste・・・

   

   Army Dreamers

   訳詞:井上鑑 作曲:kate Bush

   あたたかな午後
   喪服の飛行場
   つめたい家路
   花束に埋もれて

   私のArmy Boy
   ママのヒーロー
   4人の兵士が
   おごそかに運ぶ

   Rock Starになったかもしれない
   Guitarをもってなかったけど
   政治家になったかもしれない
   勉強するひまもなかった
   父親になったかもしれない
   恋人のそばにいられたら

   What a waste
   Army dreamers

   涙あふれても
   イエスは気づかない
   ウサギはキツネに
   勝てないってことに

   私のArmy Boy
   きちんと着飾り
   黒い土の中
   二度と笑わない

   

私は思う

どんな手段を使っても

息子は戦争なんかに行かせたくないと

強く思う


大統領さま・・・

どうか私の息子に召集令状を送らないでください。

どうか・・・



   大統領様 Le Deserteur

   詞 Boris Paul Vian 曲 Harold Bernard Berg
   訳詞 高石ともや


   大統領殿 お暇があれば
   読んでほしい この手紙を
   僕は今 戦場へ行く
   徴兵カードをもらったところ
   僕は逃げる 戦いたくない
   哀れな人を殺したくない
   大統領殿 腹を立てないで
   聞いてほしい 僕は逃げる

   父は昔戦争で死んだ
   子供達は泣きじゃくってた
   女手ひとつ苦労をしていた
   母も今はお墓の中
   爆弾をもてあそび
   僕の心を奪っていった
   旅に出よう 明日の朝にも
   僕の住み慣れた家を後に

   世界中のすべての兄弟
   僕は行こう 言って歩こう
   人生を大切にしなさい
   僕らはみんな兄弟だ
   血を流すならあなたの血を
   猫っかぶりの偉いお方
   僕は逃げる 武器は持っていない
   憲兵達よ 撃つがいい
   撃つがいい



空を飛ぶたんぽぽの種のように

平和への想いが

遠くの地まで届きますように

祈らずにはいられない

戦いで息子を失う

母の悲哀が

なくなる日が来ますように



歌が降りてくる

2010年06月24日 | 小山卓治
コヤママサシのアートワークがとても美しい

やまがたすみこのアルバム

『歌が降りてくる 2010』



青色が紙ジャケに映える

パッケージングも手が込んでいて

繊細で美しい

そしてまた

やまがたすみこの歌も繊細で美しい


   歌が降りてくる

   人が昇っていく

   そしていつか

   人は歌と出会う


   歌が降りてくる

   人が昇っていく

   そしていつか

   人は歌と出会う




こわれた自転車

2010年06月17日 | 小山卓治
昔々のこと

NYのWest112 Stのアパートの8階からは

リバーサイドパークが見下ろせた。

ある日、パーク入り口に新しい自転車が1台

鉄柵にしっかりとロックでくくりつけられて

ハドソン川を赤く染める夕日に輝いていた。

でも

翌日になると前輪が消えていた。

翌々日には後輪が

そして次の日はサドル

また次の日はハンドルと

次から次へとなくなっていき

最後にはロックがかけられたフレーム部分だけが残った。


持ち主にも見捨てられたこわれた自転車は

それでも夕日に照らされて

輝き続けていた。


雨に打たれても

走れなくても

そこで輝いていた。




   こわれた自転車


   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   乗り捨てられた車の
   ボンネットの上に
   座りこんで俺は
   君を思ってる
   遠く離れたこの街角で

   窓際に立って俺を
   見送ったシルエット
   本当は泣いてたのかい
   それとも笑ってたの
   遠い空だけ見続けてた俺を

   いつかこの手につかんでやる
   それは明日かもしれないんだ

   笑い声をあげながら
   たくさんの背中は
   行き先も知れずに
   ネオンに溶けていく
   とても綺麗で嘘に見えるよ

   歩道に転がっている
   こわれた自転車に
   霧のような雨が
   降りそそぎ始めた
   まだ帰れない
   何も見つけていない

   この街のステップで踊れないよ
   雨に打たれてもう走れないよ

   いつかこの手につかんでやる
   それは明日かもしれないんだ

   broken bicycle
   just like a broken bicycle






ひかり

2010年06月07日 | 小山卓治
ひかりはみえないけれど

葉っぱをとおして

ひかりがみえた

森の午後

光のオルガンが聴きたくなった


   光のオルガン
   
   詞:小山卓治 曲:小山卓治


   空を仰ぐあなた
   あなたを見上げてる僕
   静けさに聞き入る
   輪郭だけになる
   風の道を歩き
   空の行方知れば
   心はほどけてく
   すべてがすべてにつながる
   幸せはそこに
   ほら もう そこに

   新しい自由
   思い出のような未来
   美しく哀しい
   激しくて優しい
   空と大地の真ん中
   小さなふたつの点
   それが僕らの姿だ
   消えそうにもろくてはかない
   空に両手かざし
   光のオルガンを弾け
   光のオルガンを弾け
   光のオルガンを弾け