ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ウルトラ・ヴァイオレット(カート・ウィマー監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;謎のウイルスに感染すると命が縮まる反面、驚異的な知能と運動能力を身につける。人類は彼ら感染者を「ファージ」と呼び、虐殺を繰り返していた。そうした中、「ファージ」を殲滅する最終兵器が開発されたという情報がファージの地下組織にもたらされ、究極の工作員ヴァイオレットがその奪回に挑む…
出演;ミラ・ジョボビッチ、ニック・チンランド、ウィリアム・フィクトナー
コメント;どこかでみたような演出が多いと思ったらあの「リベリオン」の監督だった。「リベリオン」自体も「マトリックス」のパクリだのなんだのといわれつつ個人的には非常に面白買ったが、この映画も「バイオハザード」以上にミラ・ジョボビッチがしなやかなアクション演技を披露してくれるのでそれほど不快な感じではない。もっとも映画の粗筋は途中でわけがわからなくなり、とにかくラストでは「壁」が壊れて自然界と人間が対峙するというとてつもないスケールになってしまうのだが…。むしろ低予算とおもわれる予算の枠内でアクションについてのアイデアを盛り込んだのがいいのかも。立ち回りが非常にユニークで一昔前の「必殺仕事人」シリーズを連想する。それにしてもこういう映画をみると西洋にはやはり一種の「メサイア」待望論みたいなものが根底にあるのだなあ、と実感。

ミュンヘン(スティーブン・スピルバーグ監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;ミュンヘン・オリンピックでパレスチナゲリラ「黒い9月」に対して報復行動を行うモサド。顔が割れていない地味な活動家を選出して、全員モサドを脱退させ、首謀者11人をリストアップ。その報復に望むが、4人の暗殺者たちは自分たちの行動に次第に疑問を持ち始めると同時に、首謀者の暗殺の後にさらに若く、しかも過激なリーダーが現れてくることに恐怖と疑問をいだきはじめる。そしてパレスチナ・ゲリラの報復も同時に進行していき…。
出演;エリック・バナ、ジェフリー・ラッシュ、ダニエル・クレイグ
コメント;南北冷戦の時代から地域間紛争へと時代が変化しつつある中で、一貫して地域紛争を継続しているイスラエルとアラブ地域。「ドキュメンタリーではない」「暴力は暴力」「理解するには共感しなければならない」といったかなり長い断り書きのあとから「ミュンヘン」が始まる。アメリカはもともと親イスラエル政策をとっており、しかも監督自身がユダヤ人であるという微妙な状況のもとで、イスラエルのモサドの活動を描写したこの映画はかなり「政治的な議論」を巻き起こすことは覚悟の上だったと思われる。1972年当時の西ドイツでパレスチナゲリラがイスラエル選手の宿舎を攻撃。宿舎で二人を殺害したあと警察と銃撃戦となり、人質にとられたイスラエルの選手全員が殺害された。映画はこのミュンヘン・オリンピック事件のあと、あくまで「仮想」としてこの事件を起こした「黒い9月」の首謀者11人をリストアップ。モサドの工作員たちの悩みなどを描く。この映画の最中に「ルドルフ・アイヒマン」(元ナチスの将校で戦後アルゼンチンに逃亡していたがモサドによりイスラエルに拉致、後日死刑となる)や「キブツ」といった当時の時代の様相が地味に描写されていく。正直、映画としての出来は失敗だと思った。特に爆弾シーンや回想シーンなどは同様の演出を北野武監督がやっているが、北野監督の演出のほうがはるかに上であろう。見ていてしかも楽しい映画でもないのだが、アカデミー賞候補になった最大の理由は「これまで誰も手がけてこなかったジャンルに挑戦した勇気」に対して、ということだと思う。おそらく実際にこのようなモサドの活動や暗殺行動が行われた可能性は高いが、それと同じくモサドの工作員たちがユダヤ教の教義と自分たちの行為について悩むということもありえたとは思う…。
 

シカゴ(ロブ・マーシャル監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;1920 年代のアメリカ、シカゴ。ふがいない夫と貧しいアパート生活をおくりならがらもロキシー・ハートはダンサーとして舞台に立ちたくてしょうがない。「ショー」に出してやると約束してくれたケイスリーと浮気していたがそれが嘘であることを知り、ケイスリーを撃ち殺してしまう。一流ショーダンサーのヴェルマ・ケリーは妹とコンビでショーをしていたが、夫との浮気を知り二人とも射殺。かくして二人とも刑務所に収容されることになったのだが…ミュージカル映画の王道をいく素敵な展開。アカデミー賞を総なめに近い形にした「シカゴ」。たしかリチャード・ギアだけはノミネートもされなかった記憶があるのだが、ちょっと「いけすかない悪徳弁護士役」もなかなかのもの。
出演;レニー・ゼルウィガー、キャサリン・セタ・ジョーンズ、リチャード・ギア
コメント;「恋愛準決勝戦」とか「踊る大紐育」とか昔のミュージカル映画を彷彿とさせる見ていて楽しい映画。現実の厳しさを垣間見せつつ、踊りのアイデアを映画ならではの「切り取り」で展開。非常に楽しい。またそれまでは「ちょっとぽっちゃりしたおねえちゃん」的な役割が多かったレニー・ゼルウィガーが、見事なダンスと歌をみせる。しかも「ブリジッド・ジョーンズの日記」よりもかなり痩せて出演。この「人の良さそうな女優」が歌って踊る様子が見れるだけでも楽しい。

ダ・ヴィンチ・コード(ロン・ハワード監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;奇怪な死を遂げたルーブル美術館館長のソニエール。おりしもパリでソニエールと会うはずだったハーバード大学宗教象徴学の権威ロバート・ラングトンは、ベズ・ファーシュ警部の取調べをルーブル美術館で受ける。そしてそこで知り合った暗号解読官ソフィー・ヌブーとルーブル美術館を抜け出し、ソニエールが残した暗号をもとに「モナ・リザ」にたどり着く…。
 その一方、サンシュルピス教会ではシラスによる「キー・ストーン」の探索がおこなわれようとしていた…。
出演;トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、ジャン・レノ
コメント;原作で読んだ「シリスのベルト」。実際にどう使うのかは、写真をみてもわからなかったがシラス役のポール・ベタニーが「苦痛は善だ」とする「教義」を演技でみせてくれる。ルーブル美術館の内装も本当にルーブルで撮影されたとあって見事。粗筋はかなり原作に忠実にできているのだが、この映画ばかりはおそらく原作でストーリーをしっている観客向けにロン・ハワードが、「イメージをふくらませてあげよう」として映像に趣向をこらしたに違いない。とてつもない記憶力をもつラングトンが言葉の海からアナグラムを解き明かす様子などは「ビューティフル・マインド」をおもわせる映像の演出。夜のサンシュツピス教会で繰り広げられる惨劇と奇妙な宗教的敬虔さ。「ローズ・ライン」が描く映画を全編通じての「直線のイメージ」。そしてラストではめくるめくようなピラミッドの頂点から奥底まで、そしてまた反対側の頂点へと幾何学的なコントラストを描いてカメラが踊る。映画の美しさと原作の「面白さ」が絶妙な「コントラスト」で見ていて飽きる箇所がない…。

イルマーレ(ハリウッド・バージョン)(アレハンドロ・アグレスティ監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;アレックス・ワイラーは有名な建築家でもある父親に反発して、建設業界では現場監督をして暮らしている。ケイト・フォースターは救急病院に赴任してきたばかりのまだ経験の浅い医師。シカゴの湖畔の家に住む二人。アレックスはペンキの色をぬりなおして済み始める。そしてシカゴの湖畔の家を出たケイトは新しい病院で働くようになる。しかしある瞬間からアレックスは2004年、ケイトは2006年に存在していることを知る…二人を結ぶのは謎のその家の郵便ポスト…。
出演 ;キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、クリストファー・プラマー
コメント;もともとは韓国映画の恋愛映画をアルゼンチンの監督がハリウッドで映画化。しかも「スピード」から12年ぶりにサンドラ・ブロックとキアヌ・リーブスの共演というのが売りだったのだが、いまひとつ泣けないままラストシーンに…。SFだとすると、キアヌが植えた木が突然大きく育ってケイトの頭の上の雨を覆う…というシーンには不服があるし、恋愛映画だとするとこの二人は偶然時間を越えてしまったその「状態」に恋しているようにも思える。アルゼンチンの監督のせいか「雨の降り方」や「雪の降り方」とかにはちょっとセンスが見えず、さらに風邪をひきかけてクシャミをするキアヌ・リーブスの演技もいまひとつ。すべての偶然があまりにも都合よく組み合わされている…のがおそらく泣けない理由だろうか。もう少し2年間のタイムラグをうまく演出できるアイデアがあればさらにいい映画になったのかも。ちょっとね…最初のアイデア以外は全部御都合主義的すぎるので…。

SAW3(ダーレン・リン・バウズマン監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;「SAW2」の「終わり」から続く話。厳戒態勢中のジグソーの住処から、息子が「監禁されているかもしれない場所」へ向かった刑事エリック。同僚の分析担当のケリーはほっと安心したものの、重い病気で動けないはずのジクソーが自宅にあらわれて自らがゲームに参加することになってしまう。救急医療にたずさわるリンは、モーテルで愛人に「離婚をせまられ、集中力を欠いた状況で出勤。そしてそこで拉致されてゲームに参加する。自動車のひき逃げ事故で息子をなくしたジェフ。娘が残っているがかまってやれず、ひき逃げ犯人への復讐に燃えている。ジクソーはこのジェフを監禁して、「救済」「許し」をテーマにゲームに参加させる…。
出演;トビン・ベル、ショウニー・スミス、アンガス・マクファーデン
コメント ;1 作目や2作目よりはやや落ちるが、「ソリッド・シチュエーション・ホラー」に相応しい完結編の第3作。ジクソウは前頭葉に腫瘍があり脳内が圧迫されて痛みを感じているが、リンの手術によって頭蓋骨の一部を除去してゲームの進行を見守る。多少途中で「オチ」がわかってしまうゲームもあったのだが、まったくどんでん返しともいえる「オチ」もあって、やや3作目にありがちな「ご都合主義」も多少見えるものの「許すこと」というテーマとルールの遵守を重んじる怪奇なこの犯罪人はこれまで映画では取り扱ってこなかったタイプ。こういうタイプのホラー映画の量産がもっとできればいいのだが、アイデアがやっぱり思いつくのが大変なのかもしれないなあ。

ディック&ジェーン復讐は最高!(ディーン・パリソット監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;IT企業で働くディックは昇進がきまりマイホームも手に入れて意気揚々…としていたがいきなり会社が倒産。しかも社長は自分の資産を切り離し豪華な生活を堪能している一方で生活もままならずディックとジェーンの二人はコンビニエンスストア強盗をはたらこうとするが…。
出演;ジム・キャリー、ティア・レオーニ、アレック・ボールドウィン
コメント;映画のエンディングをみていると「エンロン」などの実際に倒産した企業の元社員が「協力者」として名を連ねている…。映画ではアレック・ボールドウィンが頭の働くエゴイスティックな経営者として登場しているが、実際には株主代表訴訟などで相当な賠償金額を払うこととなり、映画のようなハッピーエンドはちょっと考えにくい…。さらっとみているうちに映画が終わってしまうのだが、さして笑えるシーンもなくちょっと対応に困る映画。しいていえば街中から芝生を盗んできたりなど小さな悪事をはたらく小市民的なところを笑うべきなのかなあ…などとも思ったりするが…。隣の芝生と自分の家の芝生の比較とか自動車の比較などをするあたりは日本とアメリカでさして違うことはないのかもしれない。アレック・ボールドウィンの「経営者」役は「エリザベスタウン」でも同様の役だったけれどけっこうツボにはまった演技。ある意味では無難な演技だが、元アクション・スターが経営者役で落ち着いた演技を披露しているのをみるとちょっと哀しいかも…。

デイジー(アンドリュー・ラウ監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー ;オランダで中古骨董店を開いている祖父のもとで絵画の勉強を続けるヘヨン。25歳となり祖父は孫を案じているが、ヘヨンは気にかけない。毎日デイジーの贈り物をしてくれる憧れの恋人がいるからだ。一方インターポールの刑事ジョンウは麻薬のヨーロッパからアジアルートの割り出し捜査にあたっていた。狙いをつけたある店舗の前でヘヨンを盾にして肖像画を描いているうちに二人は恋心をいだくようになる。そしてそうした二人を複雑なまなざしで見つめているもう一人の男が別の建物からその様子を見ていた…。
出演;チョン・ジヒョン、チョン・ウソン、イ・ソンジェ
コメント;「インファナル・アフェア」シリーズのアンドリュー・ラウ監督がオランダロケで韓国の有名俳優を起用しての恋愛映画、というだけでかなり期待していたのだが…。チョン・ジヒョンはやっぱりすごい女優だと思う。これといって目立つ特徴はないし、美人ではあるけれども突出した美人というわけでもない。しかも韓国映画特有のシナリオの「乱雑さ」を補う演技をしているわけだから、やはりその演技力を相当高く評価すべきだろう。「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」のコミカルな演技と「4人の食卓」で見せた疲れた離婚間際の妻という役どころ。そしてこの映画のオランダに留学している画学生でデイジーに入れ込んでいるという非常に難しい役にもはまっている。チョン・ウソンもかなりの演技力とルックスで、もう少し国際的な展開ができる男優だと思う。徹底的な悪役でハリウッド映画などで世界デビューというのも狙えるルックスだと思うのだが…。なにがまずかったのかというとやはり「撮影」。信じられないことに殴られた刑事役が気を失う場面では本当に画面が暗くなるという演出。しかも男女3人がばったり鉢合わせをするという場面ではさらに信じがたいことに画面が3分割されて3人の表情が画面に映るという…ちょっとその撮影と演出はいくらなんでも…ついていけない…。
 また脚本も悪い。「ゴッホのヒマワリは私にとってのデイジーだ」とかなんなんだろう。それって。しかもオランダの真昼間にインターポールの刑事をアジア系のマフィアがピストルを持ち出して銃撃戦をするなどいくら映画でも…。で、さらに孤高の暗殺者役のチョン・ウソンが黒皮のジャケットを着て「いかにも私は裏家業です」みたいな雰囲気でオランダの街をうろつくシーンもいただけない。「秘密は命」と信じている本当の孤高の暗殺者だとするならば、むしろ自分が目立たない服装と街に定住しているはず。オランダで東洋人が怪しい姿でボート暮らしをしていれば、普通、「東洋人系の暗殺者」という情報だけでガサ入れされて逮捕されるのが普通ではないかと…。むしろオランダロケにこだわらず場所を日本や上海にしておいたほうが良かったのではないかと思う。北野武が監督をしてればそうした「不自然さ」のかけらもない演出と編集をしていたはずだ。
 それはそれとして、夜中にヘヨンが画の勉強をしながら缶詰のキムチとスパゲティを一緒に食べる場面は非常に良かった。またパクワが印象派のモネやドガなどの勉強を一生懸命している場面も非常にいいことはいい。素材はなかなかのものだし衣装も美術もいいわけで、後はやっぱり脚本と撮影だろうなあ…。
 ま、究極の結論をいえば、三角関係とはいってもこの場合はチョン・ウソンかイ・ソンジェのどっちをとるか、という選択となるわけで。この場合、普通はチョン・ウソンの方を圧倒的に支持する人が多いわけで…となると別に三角関係とはいっても通常は勝負になるはずもない、といったところが最大の難点だったのかもしれない…

ザ・フォッグ(ルパート・ウェインライト監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;オレゴン州アントニオ島では島の歴史を振り返るとともに、街の隆盛に手を貸した4人の勇者の銅像が建立されようとしていた。釣り船シーグラス号の船長ニックは島のラジオ放送局のアナウンサーと浮気しつつニューヨークに姿を消した恋人エリザベスのことを心配していた。そんなおり、シーグラス号は海底で何か荷物のようなものをアンカーにひっかける。そしてその後エリザベスが故郷にもどると、不可思議な現象が立て続けに起こり、1871年にプリンス・ウィリアム島から出航したエリザベス・デイン号の不審な事故がうかびあがってくる…。
出演 ;トム・ウェリング、マギー・グレイス、セルマ・ブレア
コメント;名作「ザ・フォッグ」のリメイクバージョン。セルマ・ブレアがお母さん役で出演しているのにちょっとびっくり。確かにふけ顔ではあるのだけれど。映画を見ているとやはりアメリカでは「契約書」って神との契約なんだなとあらためて実感。霧にまぎれて120年以上も前の復讐をするために海上16キロメートルからわざわざやってくる亡霊。その最終的な理由は契約書違反だったから、という日本ではちょっとわかりにくい動機だが、契約を破るのは神との約束を破るのに等しいと考えれば、なぜ市長のマーロンが契約書とともに火あぶりにされてしまうのかはわかる。ただ話が長い割にはそれほど怖いわけでもなくて、1871年というともうアメリカの国土の現在の形がほとんどできあがっていた頃でもある。もしかするとこうした疫病船というのもあったかもしれないが、その割にはずいぶん皆さんお金持ち…。ゴシック・ホラーというわりには、逆にありそうもない話がえんえんと展開されて辛い。

マイアミ・バイス(マイケル・マン監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;売春組織の摘発のためにマイアミ警察のメンバーは地下バーで潜入捜査。しかしその潜入捜査の最中に情報屋アロンゾからソニー・クロケットの携帯電話に連絡が入ってくる。妻を人質に取られて、自宅にもどる途中、FBIの潜入捜査官の情報を組織に漏らしてしまったというのだ。麻薬取引の潜入捜査にあたった覆面捜査グループは壊滅。FBIの担当捜査官フジマは、マイアミ警察のクロケットとタブスに連邦麻薬捜査班として潜入捜査を依頼する。目標はコロンビアのイエロという元締めのAVCという組織。製造から精製まで一貫して作業を行うコロンビアの巨大麻薬組織だ。イエロの麻薬をハイチ経由でコロンビアからマイアミに密輸するという運び屋だったが、AVCの上にさらにロシアの武器なども売買しているモントーヤを発見。組織のかなり奥深く入り込んだ二人はモントーヤの秘書であるキューバ人のリタと出会う…。
出演;コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス、コン・リー
コメント;マイケル・マンの「マイアミ・バイス」のリメイクと聞いて嫌な予感がしたが、的中。ソニー・クロケットとリカルド・タブスの二人は麻薬と売春の摘発のために言語もぺらぺら、ヘリコプターや飛行機、船舶の操縦もうまいという設定だが、リタというキューバ人との恋愛関係までに至り、「苦渋」の色がにじみはじめるあたりから映画にあきてくる。フロリダ半島というと名作「キー・ラーゴ」とかのイメージのほうが強いが…。コロンビアのグアヒラ半島→ハイチのポルトー・フランス、そしてマイアミと地図で見てみると国境を2つ越えることになる。カリブ海はともかくとして、衛星による国境監視などをくぐりぬけてフロリダ海からもぐりこむテクニックというのはおそらく映画で描かれていたような飛行機の後ろに追尾してレーダーに1機しか映らないようにするとか、船尾をくっつけて2つの船が1つのように見えるとかかなりの術を必要としそうだ。マイアミから小型船舶でキューバに行ってしまうというのも地図を見るとなるほどと思うが、実際にはどうかなあ…。1キロ3,000ドルの運送料となるとだいたい30万円。全体の取引量の18パーセントのマージンを運送料として応諾するシーンがあったが、究極の物流の様子を描いたものとしても見れなくはない。サン・ホセ・デル・グアビアーレというコロンビアの山奥の街が映画にでてくるが、オリノコ川の上流にあるグアビアーレ川の横。船舶で行くのには相当な距離のように見える。
 コリン・ファレルの「チンピラ」ぶりはなかなかのものだったが、FBI捜査官に対してあそこまで地元警察が大きな権限をふええるとはとても思えず、また巨大組織の潜入捜査にしてはデータ照合がUSBメモリというのもなんだかなあ。コン・リーの無表情な演技もなかなかよかったがちょっとコリン・ファレルの相手役としては物足りない面も。現在公開されている「ハンニバル・ライジング」にも出演している。「始皇帝暗殺」や「紅いコーリャン」などに出演していたコン・リー。国際的女優になったという証拠か。
 夜中の銃撃戦はアル・パチーノとロバート・デ・ニーロが共演したというのに散々の出来具合だった「ヒート」を連想させる訳のわからなさ。いくら夜だからって本当に画面を真っ暗にしてどうするといった感じ。「ラスト・オブ・モヒカン」で見せた男性の独特の感情のゆれを背中で表現するというのはうまいのだが、はたして「マイアミ・バイス」でそんなうざったい展開されてもなあ…。
(モヒート)
 キューバのハバナが発祥のラムベースのカクテル。映画の中でコン・リーがハバナのお店にモヒートを飲みに行くシーンあり。確かに美味しそう。
(ポロックの抽象画)
ジャクソン・ポロック。20世紀のアメリカの抽象画の画家だが、おそらく「訳わかんない」という皮肉もあるのかも。
(クレアール語)
 一種の英語のなまりとでもいおうか。「言語の本能」という本ではじめてクレアール語というのがあるのを知ったが(スティーブン・ピンカー著作NHK出版から翻訳)、マイアミ警察の二人は潜入捜査のためにこのクレアール語などもマスターしているという設定。

イーオン・フラックス(カリン・クサマ監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;ヒューマックスシネマ・パラマウントなど複数の映画会社が製作に関与。2011年に謎のウイルスが蔓延して人類の99パーセントが滅亡。残る1パーセントの約500万人は外界から隔絶されたブレーニャでトレバー・グッドチャイルトというウイルスの免疫体を作った一族の子孫の独裁体制の下にいた。その独裁体制の期間はおよそ約400年。2415年を迎えてグッドチャイルド一族に対する反政府組織も活動を始めていた。また都市の上空にはクラゲのような飛行船レリフレカがゆったりと飛び、人々は自分が経験したことがない悪夢で不眠症を訴えていた。反体制組織はモニカンと呼ばれ、イーオンはそのモニカンの中でも凄腕の一人。薬物の力を借りてハンドラーとよばれる指導者の指示を脳 内で受信していた。妹ウーナが秘密警察の手によって「殺害」され復讐にもえるイーオンはハンドラーから得た情報をたよりにシサンドラとともにグッドチャイルドの抹殺のために議会場へ潜入。今にも暗殺が可能な状態でトレバーはイーオンを「キャサリン」と呼び、その瞬間にイーオンは謎のデジャブに襲われる。一方独裁政治体制の中でもリベラルな政策をもちかけるジロー、強硬路線と貫くオーレンの対立は続き、トレバーは弟オーレンの暴走に危機感を持っていた…。
出演;シャーリーズ・セロン、ジョニー・リー・ミラー、フランシス・マクドーマンド
コメント;台所の様子や都市内部の様子がきわめて亜細亜的。演出のためだろうが独裁者トレバーの看板は現在の何某国を思わせるような赤い色と斜めを向いた偶像の看板だ。傘をさして歩いている人などもいて低予算ながらも美術面でいろいろな工夫がみられて面白い。また「睡眠センター」への参加のよびかけはあるが、睡眠センターそのものは画面に出さないという美学も好ましい。イーオンの妹のウーナはどうみてもロシア風でその時点ですでに映画のラストを思わせる何かがあるのだが、ウーナの恋人クローディアスもまた植物の研究者として「壁」の外側の植物の研究を続ける。外部の植物の様子もまったく映し出されないのだが、議会場の防衛システムとして使用されている凶悪な植物から想像させるという仕組み。また人々が突然姿を消していくというシチュエーションもなんだか不気味…。シャーリーズ・セロンが「モンスター」であえてみせただぶついた体は見事にスリムアップ。さすがプロというべきか。スタントの動きと御本人の演技との境目がぶつぎりすぎて非常に映像が見にくいのだが、シャーリーズ・セロンの熱演があるのでまあ、許せるかなあ…。アカデミー主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンドがハンドラー役でチョイ出演しているのも嬉しい。

ポセイドン(ウォルフガング・ピーターゼン監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー ;サザンプトンからニューヨークに向かう豪華客船ポセイドンでは新年を祝うパーティの準備が始まっていた。「海は再生の力」「宝石の宮殿で新年を迎える」と司会者はパーティを盛り上げる。そしてその大人数の中にまぎれてコックのバレンタインの手引きで密航しちえるエレナ。何気ない会話をまじえながらポーカーの勝負をする男たち。5,000ドルのコールが4万ドルにもはねあがる。冷静に勝負をみきわめる勝負師デュラン。さらに息子を連れた独身女性マギーとその息子コナー。失恋の腹いせに1988年もののロマネ・コンティをやまほど注文する初老の老人ネルソン。
 そこへ突然の巨大な波(ローグウェーブ)が襲い掛かり、ポセイドンは上下さかさまの状態に。GPS信号を発したと船長は報告し、客室の空気を密閉して救助がくるまでこの部屋にとどまるべきだと指示。その意見に反対の設計士のネルソン、勝負師デュラン、元ニューヨーク市長で妻に逃げられたラムゼイは娘のジェニファーと娘の婚約者クリスを探す。この寄せ集めのグループはプロペラ穴からの脱出をめざして艦艇をめざして上に上り始める。フラッシュファイヤーが炸裂する中、「thinking」「道具」「機転」「協力」「手段」といったアイテムを用意して、数々の困難をうちやぶるこの寄せ集めのグループ。途中、デュランが海軍に長期いたことや勝負師特有の「裏を読む」という発想が画面の中で小道具を使って展開されるのが面白い。
出演;ジョシュ・ルーカス、カート・ラッセル、リチャード・ドレイファス
コメント;「運頼み」のラッキー・ラリーや敬虔なクリスチャンと思しきエレナのストーリーがかつての「ポセイドン・アドベンチャー」とは一味違うリメイクストーリーになっている。前作のケースでは牧師を演じるジーン・ハックマンの宗教的救済映画の様相を呈していたが、このリメイクは明らかに「合理的判断をどこまでおこなうべきか」という視点で同じ話をリメイクした。冒頭の賭博のシーンも男三人のキャラクターの違いをポーカーで表現しているし、賭博に合理的に勝とうとしているデュランが次第に人望を信頼を集める根拠も納得のいく展開。かなり無謀に思えるバラストに水をためて別のタンクへ移動(せざるを得ない状況)というのも理解可能。最後はやはり助かるべくして助かるメンバーが助かるのだが、かなり合理的なストーリー展開だ。
 危機的状況の中で意思決定をするのには知識と判断しかないのだが、肝心の船長が「判断を間違える」…というのはおそらく実際にはない。もう少しそのあたりを描写してほしかったような気がする。徹底的な「近代的サバイバルゲーム」にするには、なぜ大多数が同じ場所にとどまったのかを丁寧に描くべきだったような気がする。いわゆるパニック映画だが、パニックの描写に終わらないで緻密に「架空の合理性」を追求する姿勢はリメイクにふさわしい。宗教的ポセイドンから近代的ポセイドンへ移行したともいえる。となると次はポストモダンな「ポセイドン」のリメイクを是非展開してほしいものだが、主人公は牧師から賭博師となったわけで、次は小説家になるのだろうか…。「ビューティフル・マインド」で頭の切れる数学者を演じたジョシュ・ルーカスがかなりいい。アクション向きの俳優だったのだなあ…。また「ミスティック・リバー」「オペラ座の怪人」のエミリー・ロッサムが超美形…。
(maybe)
 バラストにあえて水をためて水ごと脱出する作戦に対して、デュランが答えた台詞。ライトハウス英和辞典によるとこの場合、「もしかするとね」という感じで「likely」よりも確率は低く、「possibly」よりは若干確率が高いことがわかる。

ミッション・インポッシブル3(J.J.エイブラハム監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;バージニア交通局に勤めているという名目でIMFの訓練教員イーサン・マシュー・ハントは情報局の現場からしりぞき、ワナカ湖で知り合った看護士として働いているジュリアとその家族と結婚式の前祝をしていた。そんな中、緊急出動の要請の電話がかかってくる。かつての優秀な教え子リンジー・エリザベス・ファリスがベルリンで行方不明になったというのだ。武器商人あるいは情報商人であるオーウェン・デヴィアンにとらわれた可能性が高いという。オーエン・デヴィアンは情報を販売してパキスタンから北朝鮮に核物質の輸入などをして大量に稼いでいるといわれているが肝心の本人の情報はまるで確保されていない。作戦責任者マスグレイブの要請で仲間4人とともにベルリンに向かうが…。その後情報局のブラッセル局長に叱責されたイーサン・ハントはバチカン市国に出席するというオーウェン・デヴィアンの誘拐作戦に乗り出す。カメラ200台、18メートルの壁をクリアして作戦にとりあえず成功、そしてマイクロドットの磁気再生に成功したイーサンはおどろくべき内密者がいることを知る。8億5千万ドル(約900億円)の価格がついた「ラビットフット」の奪うが、またも失敗。マスグレイブの助けを受けてIMFから上海に向かい、地上56階のヘンシャル・ルー・ゼルビルから再び「ラビットフット」を奪回して、再びイーサンはジュリアの救出作戦に向かう…。
出演 ;トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ローレンス・フィッシュバーン
コメント;ミッション・インポッシブルシリーズの中では実はこの第3作目が一番面白かった。ジョン・ウーの第2作はやや「気取り」がみえて好きになれなかったが、バイクの追走シーンは印象的だった。この第3作でも「バージニア交通局」に突如向かうトム・クルーズがバイクを走らせているシーンがほんの少し出てくるのだが、これは第2作を意識した演出ではないかと思う。ラビットフットの具体的内容は最終的には明らかにされないのだが、オックスフォード卒業の分析官が「怪しいテクノロジーに金を出し、それが世界を滅ぼす。それは神への冒涜だと教授が言っていた」という台詞をしゃべるシーンがあり、観客にはおのずとその中身が「ろくなものではない」ことが印象づけられる。バチカン市国への進入作戦の様子は非常に面白く、カタコンベの様子や「バチカンはバチカン」という台詞の中に機密を世界でも最大級に維持している独立国家についてはプロの情報局でも一目おいていることが示される。ハイテク機器が満載でかつての007シリーズや第1作・第2作よりも衛星放送やハイテク武器の現実的な使用方法が画面で展開。実際にはありえないがハイテク武器がもし活動する場面になればこうなるしかないだろう…という必然性を製作者が維持しているのが面白い。やっぱりリアリティがないアクション映画はつまらないし、そのリアリティに細部までこだわるあたりが、この第3作の凄いところか。頭の中に埋められた小型爆弾を破壊するために150ジュールの電流を頭に流さなければならない、そのためには充電をしなければならない、と段階をおって映画の画面が展開していったり、地上何メートルのビルがあるから振り子の原理でこう移動できると図解入りで観客にも説明してくれる。こういう細かいところにこだわるアクション映画は貴重だ。
「交通分析は生き物なんだ」
「ケルヴィン」(とイーサンは映画の中でよばれる)
クールな台詞の言い回しもなかなかシリーズ3作目にしてはむしろ1作目、2作目を上回る。
 悪役のフィリップ・シーモア・ホフマンがやはりアカデミー主演男優賞らしい堂々とした悪役ぶり。情報を売買している武器商人ともなれば、おそらくこういう振る舞いをするであろうという緻密で用心深く、そして復讐を冷静におこなう様子を縁起する。
(ケルビン)
 字幕では「ケルビン」となっていたが、おそらくこれは「ケルビム」を翻訳するのが正しいのではないか。旧約聖書に出てくる半身半獣の天使のことで、「創世記」では「神は人を追い払い、エデンの東にケルビムと…を置き、生命の樹への道をみまもらせることにした」とある。半人半獣という意味ではジュリアに対しては普通の勤め人の顔、IMFについては冷酷なスパイという二重の顔をもつイーサン・ハントを皮肉ったコードネームといえる。「ケルブ」そのものは「知性あるもの」という意味に中東地方ではなるらしいのだが、中国語、イタリア語、ドイツ語を映画の中で使いまくるトム・クルーズはハイテク機器や武道のみならず語学にも堪能な様子を見せる。そして翼をもつケルビムは中国のハイテクビル56階に飛び移るシーンでまさしく空を飛ぶ…。

アンダーワールド2~エボリューション~(レン・ワイズマン監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー;第1作で自分をだましていたバンパイアの大物ビクターを殺害したセリーン。第2作ではそのビクターはもともと残忍な人間であったことと、ヴァンパイアの本当の祖先はマーカスであることが冒頭に明らかにされる。1202年ごろの兄弟、親子の確執から兄弟はそれぞれバンパイアと狼男の血筋へと分家していく。(という粗筋だと思うが…)。そして現代、処刑人セリーンは狼男と吸血鬼の「複合体」と化したかつての恋人マイケルとともに逃避行を続ける…
出演 ;ケイト・ベッケンセール、スコット・スピードマン、デレク・ジャコビ
コメント;人間関係が第1作よりも複雑らしい。吸血鬼と狼男が親族関係だった…とか明らかにされてもちょっと見ているほうとしては困るわけで…逃避行を続ける二人に切迫感があまりないのは「二人とも強いから」。なにせ片方はバンパイア、片方は第1作のラストで吸血鬼と狼男の合体した新種になっているわけで、空を飛ぼうがなにしようか「まあ、そうかな…」と納得して見ていくしかない。こういうシリーズものっていうのは…嫌いではないけれど…でもあんまし工夫がなさすぎるとも…ケイト・ベッケンセールがどういう考えでこの第2作目の出演を受けたのかがわからないが、ただの銃撃シーンとか戦闘シーンの連続として集中してみていけば、まあ、それなりに時間はつぶせるのかもしれない…。正直いってでも疲れた…。

ギミー・ヘブン(松浦徹監督)

2008-01-16 | Weblog
ストーリー ;ある大金落ちの家で殺人事件が発生。そしてその死体のそばにはワインで描かれたマークがのこされている。一方、盗撮ヴィデオをネットで販売している葉山雄介は千葉の病院で「共感覚」であることが判明する。街頭などあちこちに仕掛けてあるカメラから、浮く絵不明の豪邸の養女麻里が発見されるが、「ピカソ」はそれもお見通しだった…。
出演;江口洋介、安藤政信、宮崎かおり
コメント;殺人者が全員「マリオネット」というゲームにはまっており、そのゲームで「ピカソ」とであってなんらかのマインドコントロールを受ける。死の証人ともいわれ、ジャーナリストの自殺現場などを1000ドルで販売して大もうけをする。その収益力は地元のヤクザもふれひすほどのものであり、情報が一つの力になっていくことを暗示しているかのようだ。「赤」の種類だけでも山のようにあり、恋人との会話で列挙される台詞の空しさが画面にとってはむしろふさわしいのかも。小島聖も安藤政信もいずれもかなりダイエットしたようだ。顔が細面になっていて役者らしい演技をみせてくれるのだが、ちぐはぐなのは個性も実力もある俳優のバランスがとれていないことと、もったいぶっているわりには「何も死ぬこと無いじゃん」という平凡な人間からみた当たり前の結論に対して、おそらくこの映画は無力だからなのだろう。感覚のズレはだれしもある。それを埋めようともせずにただただお互いの世界に沈殿していくこと。それはデジタル社会のメリットでもあるが、弱点でもある。結局人は他のだれでもない、ということを受け止める勇気があるかないかしかないではないか。
 ラストには救いがぜんぜんないのだが、「ただの感覚のずれ」といいながら、それでもそうした「選択」「決定」をしなければならない必然性がぜんぜんわからずセンチメンタルな音楽だけが残りつつ…。