ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ワン・ミス・コール(エリック・ヴァレット監督)

2009-06-18 | Weblog
キャスト:シャニン・ソサモン、エドワード・バーンズ、アズーラ・スカイ、アナ・クラウディア・タランコン レイ・ワイズ、デーブ・スペクター、ジョニー・ルイス

評価:☆

コメント:三池崇史監督の「着信アリ」のハリウッド・リメイク版。場所や設定をすべてアメリカに移したのは正解だったが、やはりハリウッド流のデジタルな説明が逆に怖さを減速させる。爆発があっても、「アセチレンの爆発で…」と、とことん科学的な合理性にこだわろうとする。原作ではとてつもなく非常識な「動き」でエレベーターから落下してしまうのだが…。また児童虐待などDVをサブテーマに掲げたのもいまひとつ。あまりそうしたテーマを前面に押し出さないほうがかえってよかったのかも。
 自傷行為ではなくその対象が別にむかう代理ミュンヘンハウゼン症候群なんて専門用語が出てくるのもハリウッド流かな…。 「フェイス・オフ」で刑事役をやっていた人がこの映画でもリー刑事として出演しているのがなんだか嬉しい。

ストーリー:聖ルーク病院が火に包まれる中、身元不明の少女が救助された。その一方で、日本庭園風の家に住む女子大生ジェリーの携帯電話に着信がある。それを手にとったジェリーは池で溺死。アンドリュース刑事の妹も不審な死をとげ、謎の解明に乗り出すが…。

呪怨~パンデミック~(清水崇監督)

2009-06-15 | Weblog
キャスト:テレサ・パーマー、サラ・ローマー、エディソン・チャン、フジ・タカコ、サラ・ミシェル・ゲラー、アンバー・ダブリン、アリエル・ケベル、ジュニファー・ビールス、宇野実彩子

評価:☆

コメント:エディソン・チャンが出演していて、ジェニファー・ビールスも出演していてちょっとしたカルト的な作品としては今後生き残るかもしれない。英語では「The grudge」となっているようだが、なるほどわかりやすい翻訳だ。当初このシリーズをみたとき何がなんだかわからなかったし。で、実際にはあまり怖い映画という感じではなく、ビデオ版からこれまでにいたる一種の「説明的な映画」になっている。もちろんはるばる太平洋を越えてしまうカヤコも凄いが、なぜゆえにカヤコは階段を伝って降りてくるのかも理由が判明。

 でもなあ。このシリーズまだまだ続くのかと思うと、そろそろ潮時かな、ともいう気がしないでもない。

ストーリー:インターナショナルスクールに通学していた留学生がカリフォルニアに戻るがそこにもまたカヤコがついてくる…。そしてカリフォルニアでも日本と同様に妙な現象が起きるようになっていた…

アンドロメダ・ストレイン(ミカエル・サロモン監督)

2009-06-15 | Weblog
キャスト:ベンジャミン・ブラット、エリック・マモーマック、ダニエル・デイ・キム、アンドレ・ブラウア

評価:
☆☆

コメント:ロバート・ワイズ監督が映画化したものをリメイク。製作はかのリドリー・スコットとトニー・スコット。原作がマイケル・クライトンという布陣なので多少低予算映画であっても当然面白い。
 かなり進んだナノテクノロジーを用いた八面体というのがポイントで、さらに特別変異のスピードが異常に早い。この物体を覆うカリウムとルビジウムという2種類の物質から「解答」を出すあたりが見事。
 スピード感と「殉教精神」が後編の見せ場でこれがテレビ放送されたときにはさぞかしアメリカでの視聴率は高かっただろう。研究チーム内の人種もちゃんとモンゴロイドに配慮されており、視聴者を幅広く獲得するためのキャスティングもなされている。おそらく原作はもう少し科学的に細かく著述がされていると思うが、その原作の一部をここまで人間模様でドラマ化してみせてしまう手腕がすごい。

ストーリー:ユタ州ビードモントにプロジェクト・スコープが落下。マンチェック大将をリーダーとした陸軍回収チームが向かうが、続々と人間が感染して倒れていく。欠陥の傍聴と黄疸現象がみられ、出血するはずなのに出血しないというのが特徴。一種の生物爆弾かと思われたが、研究チーム内で検討していくうちにだんだんと隠されていた事実が浮かび上がってくる…

ワールド・オブ・ライズ(リドリー・スコット監督)

2009-06-14 | Weblog
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラファニ

評価:☆☆

コメント:リドリー・スコットとトニー・スコット。兄弟で比較してみてもリドリー・スコット監督の作品のほうが面白い。
 リドリー・スコットは「マッチスティックメン」で「嘘」を、そして「キングダム」でイスラムとキリスト教徒ととのエルサレムの攻防を描いた。過去の作品の流れからして、現代に設定をうつして、さらにテーマを「嘘」とするのは当然の流れかもしれない。
 ヨルダン情報局がたびたび登場するが、イスラエルと国境を接し、パレスチナ難民が多い地域。映画の中でもレオナルド・ディカプリオがパレスチナ難民地区でお茶を飲むシーンがあるが確かにここにアメリカ人が座っていると映画を見ている自分まで針のむしろのような気がしてくる。
 映画の中ではサウジアラビア情報局とヨルダン情報局は密接に連絡をとっているがラングレーとはあまり正確な情報のやりとりをしないように描写されている。アメリカ支配をおそれるサウジアラビアとヨルダンの警戒心をイメージさせているようだ。
 映画の出来としては今一つで、特にラッセル・クロウの演技が非常に大仰でみていると辛い。その点、マーティン・スコセッシ監督の作品に連続して出演したせいか初期の「タイタニック」とは大幅に変貌を遂げたレオナルド・ディカプリオのしみじみした演技が光る。

ストーリー:英国マンチェスターでイラク戦争を巡るテロが発生。CIA中東専門の工作員ロジャー・フェリスは、バージニア州ラングレーのエド・ホフマンの指示を受け、テロはアル・サリーム派によるものと断定。その拠点を捜索するが、なかなかリーダーの影が見えない。CIAの情報力だけでは限界があるとみたロジャー・フェリスはヨルダン情報局本部(GID)の力を借りることにしたがGIDとCIAの関係がうまくいかない。デジタルな連絡よりもアナログな連絡網を駆使するテロ組織に対抗するため、GID、CIAそしてロジャーはそれぞれに計画を立案し実行していくが…。

シリアナ(スティーブ・ギャガン監督)

2009-06-12 | Weblog
評価:

キャスト:ジョージ・クルーニー 、マット・デイモン 、ジェフリー・ライト、クリス・クーパー、ウィリアム・ハート、 アマンダ・ピート、 クリストファー・プラマー

コメント:実在するイランやレバノンをおりまぜつつ、実際のドラマは架空のイスラム国家を舞台にしているのでリアル・ポリティカル・ムービーの雰囲気を漂わせつつも実際にはSF映画と考えるべきだろう。ただしSF映画をみるような楽しさもドキドキ感もなく、ただひたすら陰惨な画面だけが連続し、やたらに俳優全員がシリアスなので途中で興ざめしてしまう。
 「アル・スパ一族」が支配する架空のイスラム国家と架空のアメリカ諜報部がどこでなにをしようと面白くなければやはり面白くないと言い切るべきなのではなかろうか。
 なぜかこの映画でジョージ・クルーニーはアカデミー助演男優賞とゴールデングローブ助演男優賞を受賞。ジョージ・クルーニーはこの映画では役者のほかに製作総指揮もつとめている。「シン・レッド・ライン」で最後のワンシーンにちらっと登場したのが一番印象的な役者で、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」でクエンティン・タランティーノと組んでバンパイアを闘うシーンも好きだったが、政治がらみの映画になるとなんだかなあという感じ。好きな人には好きなジャンルだとは思うが…。  

 まず架空のイスラム国家の化石燃料の採掘権を中国系企業が獲得したことが問題視されるのだが、この架空のイスラム国家は産油国のようなので経済発展が続く中国とその架空国家が直接取引をしてもさほど不可思議な結びつきではない。実際にイランと中国の結びつきは強いはずと認識している。主人公のCIA諜報部員はイスラム国家、特にシーア派の動きに強い専門家のようだ。イランでこうした特殊工作員がいろいろな活動をするのはこれまでの歴史を見ても当然だし、イランのシーア派から派生したヒズポラが活動するレバノンに出入りするのも当然だろう。ただし物語の中心となる架空国家とこのCIA諜報部員との関りはいまひとつよくわからない。  
 パキスタンから来た移民が描写されているが、パキスタンのイスラム教徒はスンニ派に近くイランを敵視している。映画の中でこのパキスタン青年が「突然の行為」にうってでるのだが、これは単に「洗脳された」というだけではない背後事情があのだろう。いわば中東では異端のイランで、スンニ派に近いであろうパキスタンの青年が「テロ行為」に出る…という背後事情だ。レバノンのシーア派→ヒズポラ→イランのシーア派VSサウジアラビアのワッハーブ派といった図式である。そうした図式でとらえられにくい「切迫感」がパキスタンの青年をシーア派に近づけていった…という見方はできると思う。ただこれでも唐突ではあるが。

 かろうじて理解できるのは反米主義と近代合理主義の両方をみすえるナシール王子と石油アナリスト・ブライアンの立場と行動。まだ現実としてそうしたイスラム国家は存在しないが、中国との結びつきをより強める一方でデリバティブ取引などにも積極的に手を伸ばすとともに、パイプラインをヨーロッパに伸ばして経済規模の拡大をめざし、石油中央取引所の設立や基本的人権の確立などを目指そうとする。イスラムでも王侯貴族の氏族が欧米の大学に留学することが多いため、こうした近代合理主義に立脚していくリーダーや貴族も増えてはくるだろう。王位継承権が確定していない段階で、そうした兄に対して民族主義やイスラム原理主義を掲げる王位継承権が次となる弟が存在する…という「仮定」もそれほどリアリティのない話ではない。そして兄が中国との関係を重視するのであれば弟は米軍基地の設立も含めた親米派へ…という流れも理解できなくはない。さらにそうしたナシーム王子の親中国主義・反米主義に対してCIAの一部がどう反応するか…というシナリオを一つ考えると確かに一定のリアリティはある。またその片腕となる石油アナリストもこれまで歴史上存在しなかった近代イスラム国家とヨーロッパの結合という世界観には強く共鳴することは想像できなくはない。基本的人権を重視するナシーム王子がベドウィンに対しても一定の配慮を見せるシーンがあるがこれも一つの見せ場ではあるだろう。  

 こうしてみるとこの映画で一番不可解なのはやはりジョージ・クルーニーが演じるCIAの一匹狼の工作員の行動だろう。中東からバージニア州ラングレーのCIA本部に戻るもののデスクとなかなか話が合わずにまた中東に降り立つ。そしてなぜかその後「アル・スパ一族」とCIAの「いろいろなこと」に巻き込まれていくがそのプロセスはまったく理解不可能…。現地に理解のあるCIA工作員はまた人情にも厚かったとでもいうのだろうか…。  
 ウィリアム・ハートが事情通の元CIA工作員として登場するのだが、どうしてウィリアム・ハートが事情通なのかはまったく不明。

(「ロックフェラーはシカゴ大学も作った」)  
 1890年に実際にロックフェラーはシカゴ大学を設立している。この映画では新古典派のノーベル経済学者フリードマンの名前も別のシーンで引用されるが、そのフリードマンもシカゴ学派の泰斗。フリードマンは市場競争こそがベストというアダム・スミスの考えを継承しているのでこの映画で引用されるシーンはまさしくそれに相応しい。

 (「もうすぐモサデクになる」)
 1950年代にイランで石油の国有化を進め、石油資源が英米に搾取されるのを防ごうとした人物。ただし当然こうした動きに英米が反応し、CIAが民衆を扇動してモサデクを追放したとされている。その後、シャーが就任してアメリカの指示を受けつつイランを統制するが、その後、シャーの政治も民衆に抵抗されホメイニによるイラン・イスラム革命が勃発することになる…。この映画ではモサデクはナシーム王子のことをさしているのだろう。

 (中国政府の法輪巧への拷問)
 中国で弾圧されている一種の「気功」を重視した宗教(団体)。儒教と道教の影響を受けているとされるが、いずれも宗教というよりも哲学に近いので宗教団体というのには抵抗があるかもしれない。ただ少なくとも共産主義とは相容れない部分が多いため、反共路線のスタンスをとらざるをえない。そのため「信者」(?)の増加とともに中国共産党政府が警戒を強め、信者というか活動家というべきかを一説には数十万人拷問したとされている。

ストーリー:ペルシャ湾岸の天然ガス採掘権を中国系企業のキリーンという会社が獲得した経済事件が発生。どうやってアメリカ系の石油会社を押しのけて中国系の企業が採掘権を入手したのか。  
 テキサス州ヒューストンではコネックス社でテンギス油田の採掘権をキリーンに奪われた影に海外汚職行為防止法違反の収賄があったのではないかとの疑惑が浮上。そしてキリーンとコネックスの合併話が持ち上がる。ワシントンDCのジョージタウンでは弁護士ベネット・ホリデイはその合併調査を依頼される。キリーンの影にはカザフスタンの高官との間に汚職の噂がただよい司法省も捜査に乗り出す。コネックス・キリーン社となると37,000人の従業員を抱え、年間の当期純利益はパキスタンのGDPを上回る。  
 そしてスイス・ジュネーブでは石油王の単独会見にのぞむ石油アナリスト・ブライアン。家族をなくし悲嘆にくれるが、そうした中ナシーム王子と面識を得る。一方、架空のそのイスラム国家ではコネックス社が導入した近代設備(液化天然ガス施設)により外国人労働者の調整解雇が行われていた。パキスタンから父親とやってきたワシームとその友人もまた解雇される。その一方でアメリカではCCI(イラン自由化委員会)が活動を進めている…。  

〔○REC〕(ジャウマ・バラゲロ, パコ・プラサ監督)

2009-06-11 | Weblog
キャスト:マニュエラ・ヴェラスコ、フェラン・テラッツァ、ホルヘ・ヤマン、カルロス・ラサルテ、パブロ・ロッソ

評価:☆

コメントゾンビ映画にはその道のマニアによるとだいたい過去に1,000作品ほどあるようだ。「バイオハザード」や「バタリアン」シリーズなどの細菌感染によるものも一種のゾンビ映画といえなくはない。
 この「○REC」も細菌感染しかも空気感染する一種のゾンビ映画だが、スペイン映画であるということといわゆるPOV<主観的撮影)によるという点が特殊だ。「ブレアウィッチプロジェクト」や「クローバーフィールド」の手法だが個人的には画面がぶれて気分が悪くなり、あまり好きな手法ではない。
 ただいきなり聖母マリアの像や古い新聞紙がライトに照らし出されるとやっぱり気持ち悪い。古い新聞紙に夜中に光をあてるとそれだけ怖い。なんだかこの映画を見終わってそう思ったが、逆にそれ以上のことは別になんともかんとも…。

ストーリー:テレビ局レポーターのアンヘラ・ビダルは「眠らぬ街」というタイトルのドキュメンタリーを撮影しにブラボー128消防署の真夜中を取材する。そして消防士のアレックスとマネーとともにアパートに人が閉じ込められたという通報を受けて現場に向かうが、救助作業の途中に保険当局によってアパートが封鎖。さらに警察と衛生検査官によって周囲を囲まれ外に出れなくなる…。

シャッター(落合正幸監督)

2009-06-11 | Weblog
キャスト:ジョシュア・ジャクソン、レイチェル・テイラー、ロイ・リー、奥菜恵、デビッド・デンマン、マヤ・ハンゼン 、ジェームス・キーソン・リー

評価:☆

コメント:原作のタイ映画「心霊写真」を先に見てしまったせいかもしれないが、やはりタイの原作のほうが数段怖い。ヒロインの名前は原作と共通でジェーン。日本人が監督ということで無理にも日本をからめたかったのかもしれないが、日本人監督だから日本を映画のロケに使うという発想が一つの「思い込み」になっているのかもしれない。純粋なハリウッド映画として全員アメリカ人のキャスティングで、監督もハリウッドから起用しても良かったはずだ。どうして怖くないのかなあ…といろいろ考えてみるが設定そのものが「心霊写真」を扱うという点で不自然なのに広告宣伝会社のビジネスパーソンが日本にまできてわざわざトラブルを引き起こしてまた日本に来るかなーという前提からの疑問がラストまでついてまわる。「リング」のハリウッド・リメイクが素晴らしかっただけに日本やタイの映画であってもリメイクはすべて相手国の事情に任せてしまったほうがリメイク作品らしい名作がでてくるかもしれない。 「ヒーローズ」で韓国系アメリカ人ながらアンドウ役を務めているジェームス・キーソン・リーが英語の堪能な日本人役として登場

ストーリー:東京グローバル広告社につとめていた関係で新婚旅行を日本にした二人。しかし新婚旅行の途中で交通事故を起こしてしまう…。

ウォンテッド(ティムール・ベクマンベトフ監督)

2009-06-11 | Weblog
キャスト:ジェームズ・マカヴォイ、アンジョリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ、トーマス・クレッチマン、マーク・ウォーレン、コンスタンチン・ハベンスキー

評価:☆☆☆

コメント:「弾丸は直線に飛ぶという思い込みを捨てろ」というモーガン・フリーマンの台詞が印象的。
 機織職人のギルドが発展して形成されたフラタニティでは、運命の「布」を基にして暗殺を行う集団。モラヴィア地方(チェコの東部地方)が発祥の地と仮定されている。イスラムの「アサシン」と石工のギルドから発展したフリーメーソンの折衷的な性格を持つ組織だ。
 ストーリー自体はあまりよくできているとは思わないが、画面の「曲線運動」がとてつもなく滑らかで美しい。この監督の「デイウォッチ」でもスポーツカーがホテルの壁を優雅な弧を描いて走るシーンが印象的だったが、弾丸も人もすべて直線というよりも曲線の美しさを追及していく。
 そういえばこの映画で「ロシア人」とよばれていた役者は文字通り「デイウォッチ」「ナイトウォッチ」で主役を務めていたコンスタンチン・ハベンスキーのような気が…。また主人公の下宿に住んでいるネコの名前がアナベルなのだがぜんぜん白いネコじゃないあたりが面白い(白い紫陽花がいわばアナベルという花なので)。
 フラタニティそのものはアメリカの大学のクラブのようなものだとイメージしていたが友愛やら兄弟愛やらを重視する社会貢献を目的とする日本でいえばサークル的な感じにちかい名称のようだ。  そして「秘密」がもちろんあるのだが、その秘密の鍵はバイナリ・コード、つまり2進法だ。ちょっとここで脚本についていけなくなったのは、このフラタニティが組織化されたのは1000年前だが、その時期にアスキーコードはない。しかし主人公のウェスリー・ギブソンは映画の冒頭でエルゴノミック・キーボードを熱かったりしてパソコンの知識がそれなりにあることは画面で示されている。だがアスキー・コードはアメリカン・スタンダード・コード。だからモラヴィアで始まったはずなのになんだかおかしい…。1000年前のモラヴィアにはアメリカ規格協会はないし、もしそれに相当するものがあったとしてもローマ字ではなくキリル文字のコード表でなくてはおかしいのでは…とふと映画を見ながら思ったが、まあこれはどうでもいいことかもしれない。
 パニック障害をかかえた主人公が次第に「覚醒」していく様子がとても愉快で快適なアクション映画だ。

ストーリー:顧客管理担当マネージャーのウェスリー・ギブソンが上司ジャニスの嫌味にたえ恋人の浮気に耐え、自分自身のストレスとも戦う毎日を送っていた。しかし薬局での美女との出会いから急速に運命が変化していく…。

イーグル・アイ(D・J・カルーソー監督)

2009-06-08 | Weblog
キャスト;シャイア・ラブーフ、ミシェル・モナハン、ロザリオ・ドーソン、ビリー・ボブ・ソーントン、イーサン・エンブリー

評価:☆☆☆

コメント:時期が時期だけにこうした中東のロケーションから始まる映画は観客をひきつけるのにもってこいかもしれない。画面に一瞬地図めいたものが映し出されるのだがパキスタンかアフガニスタンか…。  
 いずれにせよ携帯電話に国防総省のコンピュータが侵入してマイクから会話を聞き取るというのは当然に行われているスパイ活動だろう。悪辣なテロリストかあるいはただの一般人か、そしてジュネーブ協定に違反するかどうか。実際にそうした緊迫した場面は今後ログ記録も情報開示されることになれば深刻な問題になるに違いない。
 表向きはよくできたスパイ・アクション映画だが、ポリティカルなメッセージがこめられているのは明らか。スピーディに展開していく画面の流れはさすがに製作がスティーブン・スピルバーグだけのことはある。シャイア・ラブーフの台詞回しも見事。メリーランド州がやたらにロケーションされるが国家安全保障庁(NSA)があるほか高級官僚のベッドタウンにもなっているためと推定される(粗筋に微妙に関係してくる)。NCTCという最近よく聞く組織も映画にでてくるが2004年にブッシュ大統領が創設した国家テロ対策センター(National Counterterrorism Center)。
 冒頭はCIAとこのNCTCが動いているが途中からFBIのテロ合同捜査班捜査官トム・モーガン(ビリー・ボブ・ソーントン)と空軍の連邦捜査官の縄張り争いとなる。映画の中にでてくる「ヒズポラのダミー銀行…」のヒズポラとは、1982年に創設されたレバノン・シーア派の武装集団のこと。シリアの影響が強いとされている。
 最新鋭の情報機器がいろいろ登場するのだが、途中でメモリー・ブロックを手作業で抜き取る場面がでてくる。これをみると最新鋭ではあっても主記憶装置にデータやプログラムを格納してCPUで取り出して作動させるというフォン・ノイマン式のパソコンが使用されていることがわかる。ただ、ニューロタイプのコンピュータでないとつじつまが「大きく合わないこと」が出てくるのだがそれはまた次回作品の課題になるのだろう。面白い映画であることは間違いない。

ストーリー:スタンフォード大学を2年前に中退したジュリー・ショーは、アラスカやシンガポールなどを転々として現在は「コピー・カパナ」の店員として暮らしている。しかし双子の兄(IQが183の軍人)が交通事故で死亡してから2日後、突如自宅に銃や暗視カメラ、硝酸アンモニウム、F-16戦闘機マニュアルなどが大量に送付され、いきなりFBIに逮捕された。そして、銀行口座には75万1,000$が振り込まれていた…。

BONES~骨は語る~第3シーズン第44話~第49話(ハート・ハンソン総指揮)

2009-06-07 | Weblog
キャスト;エミリー・デシャネル、デヴィッド・ボレアナズ、ミカエラ・コンリン、エリック・ミレガン、T.J.サイン、ジョナサン・アダムズ

評価:☆☆☆

第44話「金庫室の晩餐」(The Widow's Son in the Windshield)  
 天才バイオリニストが意外な場所で意外な形で発見される。そして12世紀のアルカンタラ騎士団、グノーシス、カバラ、ドルイド教といったカソリックとは相容れない用語が…。そして犯人が捕まるが、人肉は鳥やブタよりも牛肉に似ている…と語ったあと、「父なき息子」と呼ばれる姿で牢獄で殺害されているのが発見される…「秘密結社」についてはwikipedia参照http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%98%E5%AF%86%E7%B5%90%E7%A4%BE。
 ただしこのwikipediaでもいまひとつはっきりしないのは公から隠された集団であるため定義自体がしにくいためだろう。「秘密結社」を政治的秘密結社と入社的秘密結社に大別したのは「秘密結社」(クセジュ文庫 白水社 セルジュ・ユタン著)に由来するものと考えられる。  
 アルカンタラ騎士団はスペインにおいてイスラム勢力に対抗するために実際に組織化された武装集団で1176年にレオン王国が設立したもの。「何か」を守るために秘密結社は存在するはずなのだが、カンニバリズムを特徴とする以外のヒントはまだこの第44話では示されない。おそらく4世紀後半以降からグノーシス派とよばれる異端の「知識の集積」が地下にもぐり、そこからカバラやオカルティズムへの流れを作るが、その「流れ」の中にゴルゴモンという架空の秘密結社が位置するのではないかと思われる。
 ただしこのドラマではゴルゴモンとフリーメーソンは対立した組織として描写されている。近代の秘密結社のかなりの部分はフリーメーソンの影響を受けているため、架空の存在だとしても相当にカルトな教団であることはわかる。

第45話「青空に散った正義と真実」(Soccer Mom in the Mini-Van)  
 サッカーママのミニバンが突然爆破される。70年代の反権力闘争集団NLAにかかわっていたが今では過去をかくして普通に暮らす主婦だった。真犯人はラストでみつかるがこのドラマにも秘密結社が暗示されるマークが登場する。

第46話「サラブレッドの最期」(Death in the Saddle)
  「ポニー・プレイ」の趣味をもつ男が殺された。食事はコーンと燕麦で、主人にかしづくという典型的なM.ありアリストテレスにも馬になる趣味があった(?)とかヴィクトリア朝の「馬の女」といった歴史の含蓄のすえ犯人は捕まるが…。

第47話「土の中の秘密」(The Secret in the Soil)  
 ペンシルバニア大学卒業22歳の臨床心理学博士ランス・スイーツが初登場。さらに有機農業(エコ資本家)の殺害事件が発生する。バイオディーゼル燃料で動く農機具やコンポスト場などエコ活動の一部が紹介されていて興味深い。

第48話「ハロウィーンの悪夢」(Mummy in the Maze)  
 ハロウィンを向かえ、ジェファソニアン研究所でも仮装する。キャット・ウーマンやワンダー・ウーマンといった色々なコスチュームのサービスがてんこ盛りの回。「ハロウィンそのものはエジプトでは2倍の歴史を持つのよ」とドラマの中で指摘される場面があるが、これはだいたい正しい指摘のようだ。エドワード・ジョン・スミス(タイタニックの船長の仮装)やシェールとかかなり面白いコスチュームも。精神科医のスイーツ博士も捜査に協力。呼吸器疾患系の薬物である「エフェドリン」がこの回では大きな役割を果たす。

第49話「燃え尽きた優等生」(Intern in the Incinerator)
 「大きな謎」であるゴルゴモンを巡るドラマ。18世紀にフリーメーソンを一掃しようとしていた秘密結社だが現時点では「ないはず」と指摘される。13世紀にテンプル騎士団が持ち帰ってきた銅のナイフや、イラクからの古代製品の密輸とゴルゴモンの関係などが浮かび上がる。クリステン・ディアロンという若手有望の学生が400度の熱で6時間から8時間燃やされた事件なのだが…はたして…という展開。

フロンティア(サヴィエ・ジャン監督)

2009-06-05 | Weblog
キャスト:カリーナ・テスタ、サミュエル・ル・ビアン、オルレアン・ウィイク、エステル・ルフェビール、パトリック・リガルド

評価:☆☆

コメント:ハリウッド・ホラーとはまた趣向の異なるスプラッタ・ムービー。おそらくアメリカが舞台だとテキサスあたりが設定されるのだろうが、フランス映画なのでフランスからオランダに向かう途中の地域アラスとかカンブレーとかそうしたあたりの田園地帯となる。「フランスには自由と平等がない」といった台詞などスプラッタでありながら映画もきわめてポリティカルなメッセージを発信しつづける。
 ヒトラーの写真が飾られ、20世紀に開発されたという鉱山のエレベーターが怖い。アキレス腱を切断するときに「アフリカの鉱山で奴隷が逃げないようにやった方法だ」とフランス映画らしく詳細な解説が台詞で行われるのもハリウッド・スプラッタとは異なる怖さ。言葉はコミュニケーションの道具だがシーンによっては「武器」にもなりうる。ラストでは振るべくして雨が降るのだが…。それまでの演出はなかなかだったのに「雨」がちょっといただけないんだな。それが残念。

キャスト:保守系大統領に抗議するデモがフランスで勃発。アラブ系移民の5人はその最中に強盗をおこないオランダへの逃亡を図る。しかしそのうち一人が死亡。さらに二手に分かれるが、国境前の民宿で4人ともその民宿の家族に監禁されてしまう…