ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ハプニング(ナイト・シャマラン監督)

2009-02-27 | Weblog
キャスト:マーク・ウォルバーグ、ジョン・レグザイモ、フランク・コリソン、スペンサー・ブレスリン

評価:☆

コメント:白い雲が湧きたつ冒頭のシーンからだんだん黒い雲に変化し、雲の動きが早くなっていく展開は面白い。そのあと午前8時33分のセントラル・パークの様子が映し出されるが、そこから先は急につまらなくなっていく。8時59分、9時58分とやたらに字幕が増えてくると個人的には「映画に説明されている」ような錯覚になり、その世界にのめりこめない。
 この映画では風にそよぐ木々が一つのポイントだと思うのだが、これもなんだかいま一つ情緒がないというかなんというか…。理科の教員役をマーク・ウォルバーグが好演。「変化する対象の確認」「実験データの観察」という普段授業で教えている内容を映画の中でも実行して一つの仮説にたどりつく。どうしてもナイト・シャマラン監督の作品の場合には「オチで勝負」という認識があるため、最初から身構えてみてしまう自分がいる。アメリカ北東部のフィラデルフィア、リッテンハウス公園、ペンシルバニアといった線路上の地域の様子が映し出されるのは興味深いが…。
 映画の本筋にはまるで関係がないがお祭りの縁日で売っているような「ムードメーカー」というオモチャの指輪がほほえましい。なんだか複雑な事情を抱えた夫婦が出会った時の会話を思い出してほほ笑む。なんだかそういうシーンはいいなあ。

ストーリー;ある日突然「それ」ははじまった。すでにフィラデルフィアでは殺人事件が急増し、24の州で同時にミツバチが姿を消していた。しかも死体は残さずに…。当初は新たなテロ攻撃かと思われたが、そうでないことが公表され、やがて「人間から離れれば安全」という仮説が立案される…。

カタコンベ(トム・コーカー デヴィッド・エリオット監督)

2009-02-11 | Weblog
キャスト:シャニン・ソサモン、アリシア・ムーア、フランス・ロウ

評価:なし

コメント:「カタコンベ」というタイトルからしてもっと凝った内容なのかと思いきや、怖くもなんともないただのただのB級映画だった。せっかくのパリロケもこれじゃ予算の無駄遣い。しかも途中から結末の予感めいたものがだんだんわかってくるというのも残念。主役の女優はやや精神不安定で、姉の招きでパリにきたという設定。白いコートにジーンズ、緑のリュックサックが可愛く、ちょっとパリジェンヌしている「姉」役の女性のほうがケバケバな印象。
 アパートメントのらせん階段の急な傾斜などもけっこう面白いのだが、それを活用することなくいきなりカメラはカタコンベの中に入ってしまう。エッフェル塔なども一部映るのだが、せっかくのパリロケが台無しの映像展開。  
 原題のサバトのように若者が集いカタコンベで踊りまくるという発想は面白いのだが、この光と音楽の電源はどうやってひいてきたのか、飲み物はどうやって搬入してきたのか、そもそも毎回場所を変えているというのに、だれも迷わないのはなぜかといった初歩的な疑問がわきおこる。実際の「サバト」も黒魔術そのほかの催しとされているがその実在性そのものが疑われている。
 だがおそらく現在のパリでこうした地下パーティの開催もやはりただの幻想だろう。パリのカタコンベがさほど有名とは思わないが、地下礼拝堂や地下墓地は初期キリスト教の時代からあちこちにある(ローマ、グラナダなど)。
 パリの場合、1786年ごろから墓地が不足してパリ市長の命令で作られたというから歴史としては新しいほうのカタコンベだろう。第二次世界大戦時にはレジスタンスの基地としても利用されたとともに、フランス革命で命を落とした方々の死体も埋葬(?)されているという。映画では約700万体とされていたが、600万から800万までちょっと幅のある推定死体数となっている。もともとサバト自体もローマ時代に2月15日に行われていた祝祭が起源という説があるらしいのだが(「オカルトの図像学」原書房より)その祝祭の主役はヤギのひずめをもつ牧神パンだったという。そう考えればこの映画で「悪魔」がヤギの仮面をかぶるのも当然の流れか。

ストーリー:精神安定剤を飲みながら生活しているビクトリアは姉に招かれたパリのカタコンベ(ブ)のパーティに参加するが…。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン監督)

2009-02-10 | Weblog
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、ディロン・フレイジャー、ポール・ダノ、ケビン・J・オコナー、キアラン・ハインズ

評価:☆☆☆☆

コメント:ダニエル・デイ=ルイスはこの映画で二度目のアカデミー主演男優賞を受賞。音楽も素晴らしいが、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドがクラシックあり、民族音楽ありの素晴らしい映画音楽を映像に付している。人間のエゴと歪んだ愛情がとことんまで描写されつくした映画だが、なんと配給はあのウォルト・ディズニーだ。
 ディズニー映画とは思えないほど極端に「油井」に取り付かれた男の生涯が描かれる。ハリウッドでは俳優の人望と尊敬を集めながらも最終的にヨーロッパにとどまったロバート・アルトマンに捧げられているのも印象深い。
 大別して4つの時代が描写されているが、やはり1911年が大きな見せ場といっていいだろう。油井に火が燃え移り、「火の柱」となってすさまじい燃え方をするシーンは忘れがたい。青空がどんどんその色彩を変化させ、すさまじい顔で油井をみつめるダニエル。「すべての人間から遠ざかりたい。人を見るだけでその最悪の部分が見える」とつぶやくダニエルには、「息子」も「義理の弟」も他人で、ましてや結婚などは考えることができない。
 この映画では女性はほとんどストーリーにからんでこず、妹がいるという設定だが、手紙の外側だけがちらっと映画に映し出されるだけ。後は、息子が結婚することになるメアリーがやや登場する程度。「悪魔」に取り付かれたように人を殺害してしまうダニエルが死体を生めるために掘った穴にも石油がチャプチャプ揺れているのがわかる。
 そして石油に取り付かれた男とともに道を歩むニューエナジー系の教会を主宰するイーライ。もう一人の主役といってもいいイーライは、精霊を自らの体内にはなち、悪霊を追い出すという一種のエクソシズム的な教会を主宰している。
 この二人は1911年からずっと同じ土地で布教と石油の発掘の両方を行う。そして1927年にこの二人は再会するが、お互いがお互いに不足しているものを埋めるために一つの決着をつける。その場所が屋内ボーリング場だったのは結局、布教も発掘も自分自身のボーリング(掘り下げ)だったということか。  

 徒手空拳で山を掘り始めたダニエル・プレインビューがニューメキシコにいたころ、すでにロックフェラーはクリーブランドでスタンダードオイルを設立していた(1870年)。1884年にはアメリカの石油精製や販売市場をほぼ独占状態にしていた。映画の中ではそのままスタンダードオイルとして登場してくるが、1911年にはあまりの独占のため会社は分割されている状態だったはず。当然1911年の3年後に第一次世界大戦が始まるため、軍用機や軍艦などの燃料として石油の需要は相当に高かったはずである。

ストーリー:1898年。ニューメキシコ州の山を一人で掘り続け、左足をいためながらもまず342ドルを手にしたダニエル・プレインビュー。さらに1902年。設備はやや近代化され、いつのまにか子供を連れていくこととなるダニエル。鉛筆で帳簿をつけ、さらに道具の工夫をはかりそして1911年。リトル・ボストンに油井があるという情報を仕入れ、息子とともに偵察に行くが…。

デッド・サイレンス(ジェームズ・ワン監督)

2009-02-10 | Weblog
キャスト:ライアン・クワンティン、アンバー・ヴァレッタ、ドニー・ウォルドバーグ、ボブ・ガントン、マイケル・フェアマン、ジュディス・ロバート

評価:☆☆

コメント:「SAW」シリーズで一躍名をあげた中国系アメリカ人のジェームズ・ワン監督の作品。アジア系の監督らしい色彩と「風」「雨」のこだわりがハリウッド映画の定番ホラー映画の中でやはり一種の「違い」をみせつける。「SAW」も人形が大きな役割を果たしていたが、この映画でもパペット(puppet)がとてつもなく怖い存在となる。 
 映像がなかなか面白いのに対して脚本がややお粗末なのがちょっと残念ではあるが…。この映画の中では「腹話術の人形」は不吉なもので死をもたらすもの…とされている。それが本当の伝説かどうかは不明だが、極端な装飾を施した「ビリー」という名前の人形はホラー映画にふさわしいメイクぶり。さらにヴィクトリア王朝を意識したという舞台装置の数々がまた映画を盛り上げる。
 雰囲気としては1940年代で、「現在」から始まるアパートメントの機材もレコードや古めかしいアンプ、アンティークな時計が用いられており、舞台装置のこだわりがみえる。また、照明のムラと奥行きの深さを感じさせる演出も素晴らしい。照明もあえて間接照明を用いて部屋の中が薄暗くなっていたりして、下手なホラー映画のどうにもならない照明とはワケが違う。予算はおそらくそれほどは取れなかった映画だと思うが知恵と工夫でこれだけ「見せる映画」というのが21世紀の今もこうして職人芸で鑑賞できるのは嬉しい。
 「呪いの館」(マリオ・パーヴァ)やそして1940年代の舞台の上の居住空間を流れる風やカーテンには日本の黒沢清監督の名作「叫」を思わせる雰囲気も漂う。  
 腹話術の歴史はこの映画では紀元前6世紀とされているが実際には紀元前5世紀のギリシアのエウリクレスが著名な腹話術師の始祖ということになりそうだ。奇術とのセットのショーもあるが、最近ではカウンセリングなどにも利用される局面があり、もちろん不吉なものではさらさらない。これはあくまで映画の演出の一つということだが、演出材料としてはやはり最高。特に画面全体に101体のパペットが現れてくるシーンは圧巻だ。

ストーリー:大雨の降る夜。配水管を治そうとしていたジェイミーはそれを諦めて中華料理のテイクアウトを買ってくることにする。そこへ誰かがドアの外に「ジェイミー・アーション様」と宛名を書いた大きな荷物を置いていく。妻をおいて出かけるジェイミーだったが、残された妻はアパートメントの奥に不気味な気配を感じ…。