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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

競争効果

2009-01-07 | 研究ノート
・アカエゾ論文の修正稿〆切りが迫ってきたので、こちらで修正できる部分の改訂を行う。元の原稿、修正原稿、審査者からのコメントを見比べながら、修正原稿に手を加えつつ、審査者へのコメントを作成する。いきなりパソコンで打つと失敗することが多いので、いったん紙に書き込んで数時間放置。夕方から再び再開し、Tくんに送る。

・標高別試験地の最新データを元に、各樹種の隣のプロットの平均直径、平均樹高、BA合計、個体数などのデータを元データに反映させる作業。地図を見ながらアカエゾの左隣、右隣にいる樹種のデータを手作業でコピー。こればっかりは自動化できないので慎重に作業する。とりあえず、個体数(密度に相当)とBAを隣プロットの競争効果を考慮するために、樹高と胸高直径を説明するモデルに加えてみる。

・例えばエゾマツでは、標高だけで説明するとAICは3824なのに対して、隣のプロットのBAと個体数を入れると3778、BAだけを加えると3791のように改善される。アカエゾでも同様に、隣のBAが大きくなるとDBHが小さくなる。しかし、その他の樹種では意外なほど改善されず、例えば、トドマツでは標高だけモデルのAICが2424なのに、標高+隣のBA+隣の個体数では2428、標高+隣のBAで2426となる。



・思ったよりも隣プロットの影響を受けていないということで、ほっとするやら拍子抜けするやら・・・。個体数の影響はプラスになっていたりして、単に生存率が高いところが大きくなるという変な傾向も拾っているようなので、これは抜くべきだろう。全体的に見ると、やはり競争効果を加えた方がAICの合計値はかなり小さい(エゾマツとアカエゾマツの影響が大きいというのもあるが・・・)。とりあえず、隣プロットのBAを加えた競争効果を考慮したモデルを用いるのが良さそう。



・エゾマツとアカエゾマツでは見かけ上は標高が高くなってもDBHが低下するとは限らず、むしろ730mくらいでピークを示すように見える。しかし、競争効果(隣プロットのBA)を考慮すると、標高が高いほどDBHや樹高が低下することが分かった。樹種によって異なるのは、隣のプロットにどの樹種がくるかという組合せの問題があるからだろう。何はともあれ、完全ではないにせよ、ある程度は隣のプロットの影響を考慮した上で、標高が成長に及ぼす影響を評価できそうである。

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