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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

森林内の40m

2007-03-07 | フィールドから
・ここ富良野の森には、1910年代に発生した大規模な山火事の後に再生したウダイカンバを中心とした広葉樹二次林(再生林と呼んでいる)が1500ha程度広がっている。現在、この二次林の中に小さなパッチをつくり(つまり、小面積皆伐して)、再び、ウダイカンバの再生林を作ろうという試み(?)が始まっている。焼松峠は、そのトライアルだったわけだが、”どうやらうまくいきそう”ということで、いよいよ事業的に展開することになった。皆伐すること自体は全体の検討会で既に決定されていたので、本日は具体的な設置ポイントを検討する。

・モービル3台、Uくんも含めて5名で出かける。天気は穏やかだが、風は冷たい。スノーシューズを持っていったのだが、ほとんど”つぼ足”で歩けるくらい雪がしまっている。というよりも、見事なアイスバーンで、斜面になると歯が(足が?)たたない。予測できない確率で足を取られるので、皆それぞれにこけていた。



・今回の設計では、20×50m(0.1ha)と40×50m(0.2ha)という2種類の面積をセットとして、通常の地がきとA層を戻す地がきの2処理を2反復で行う予定である。つまり、0.1haが4箇所、0.2haが4箇所ということになる。地図上でみる0.2haはごく小さい面積だが、いざ、現場に行って40mのラインを引っ張ってみると、その長さに驚いてしまう(毎度のことながら・・・)。今回は、その範囲を伐ってしまうわけだから、責任は重い。焼松峠のときもそうだったんだけど、これを全部伐った後に見ると、「やっちまった・・・」という感想を持つんだろうなあ・・・。

・しかし、再生林をこのまま放置していてもウダイカンバの将来世代はまず育たないので、小面積皆伐+地がきのセットで更新を促進する本手法はやはり魅力的である。今回は、特にきっちりとしたデザインになっているので、データ解析もずいぶんと楽になるはずである。今秋に伐採、来年に地がきと気の長い計画だが、こうした計画が立てられるのもここならではの強みだ。オリジナリティが高い研究になるはず!である。

・さて、ウダイカンバそのものに目を移すと、非常にたくさんの果穂をつけている個体もあれば、まるでつけていない個体もある。おそらく既に落としてしまっているものといつまでもだらだらとつけている個体があるのであろう。こうしたつけている時期の差に”適応的な意味”があるのかねえ、とUくんと漠然と考える。種子をだらだらと落とし続けることが有利な場合なんてのが起こるんだろうか?それとも、単に結果的にそうなっているだけなのだろうか・・・。

・最後に、Iさんがかつて調査した試験地を見ながら、再調査の方法について検討。この試験地では、個体ごとの樹冠の広がりが継時的に計測されており、今回もう一度測って、論文としてまとめましょう、などとお話する。それにしても、質・量ともにすごいデータだが、時間が入っている時点で既に構造が複雑である。ここは、樹冠の広がりということに注目して、シンプルな目標設定にした方がよさそうである。そのシンプルな目標に答えるだけでも十分にインパクトがあるはず・・・である。

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