健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

小豆煮汁で骨粗鬆症を予防・改善

2013-07-11 08:30:54 | 研究
小豆煮汁中の成分に骨粗鬆症を予防、改善する効果があることが明らかになったそうです(QLife Pro)。新しい骨を作る骨芽細胞の骨形成と古い骨を壊す破骨細胞の骨吸収のバランスが骨格を形成、維持していることはよく知られています。加齢、栄養のアンバランス、運動障害やホルモン分泌の異常で骨吸収が骨形成を上回ると、骨量が減少し骨粗鬆症を発症します。骨粗鬆症の患者は推定1300万人、日本でも年々患者数が増加している。転倒による高齢者の骨折も増えて、大腿骨骨折で自力歩行が不可能になるケースもあります。小豆煮汁から調製したポリフェノール成分が豊かな抽出液をマウスの骨芽細胞に添加した結果、アルカリフォスファターゼの活性が増強、つまり骨芽細胞の分化が活性化したというのです。破骨細胞は骨髄由来の単球系細胞が分化、融合して骨を破壊するが、それを測定する酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼの活性は逆に減少したそうです。つまり破骨細胞の分化が抑制されたということです。したがって、小豆煮汁は骨を作る働きを強め、同時に骨を壊す働きを弱める性質を持つことがわかったというのです。骨粗鬆症患者の割合が高い高齢者にとって小豆食品の摂取が予防になる可能性があるというのですが、さてどうでしょう。
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学歴と病気

2013-07-10 08:30:54 | 研究
多発性硬化症について興味深い記事がありました(QLife Pro)。多発性硬化症とは、脳や脊髄の神経の病気で、炎症によって神経細胞の一部が壊される「脱髄」という状態が起こることで、神経細胞同士のコミュニケーションがうまく出来なくなってしまうもので、その結果麻痺やしびれが起こりるもの。炎症と脱髄のメカニズムはまだ明らかになっていませんが、免疫の異常と考えられています。日本では、5000人前後の患者さんが苦しんでいる特定疾患認定の難病。女性に多く、八割方が10代後半から20代で発症。認知機能に障害が起こることも知られています。これまでの調査で、ボキャブラリーが豊富な人では、障害の度合いが少ないことが知られていましたそうですが、今回イタリアの調査結果で、学歴が高くなるにつれて多発性硬化症の症状の度合いが低くなるという事実が指摘されましたそうでう。日常生活での頭(脳)の使い方にも影響があるのではないかと目をつけた調査チームは、今回は、ボキャブラリーではなく、学歴や職歴に注目したそうです。仕事の内容に関しては頭脳労働者は、アルツハイマー病のリスクを減らすという報告もあるため、認知機能に対するプラスの影響があると考えたそうです。50人の多発性硬化症の患者さんを対象に調査を行った結果、50人のうち、高校教育かこれより低い学歴の人が17人、33人が大学教育を受けていました。また、全員が、座り仕事についていましたそうですが、単純作業をしている人と、頭脳労働をしている人がいたそうです。高卒以下で単純作業、高卒以下で頭脳労働、大卒以上で頭脳労働の3つに分けたところ、高卒以下の人たちは単純作業でも、頭脳労働でも、認知機能の評価の結果に差は見られなかったそうですが、同じ頭脳労働をしている人たちでは大卒以上の人の方が認知機能の評価結果が良かったというのです。したがって、仕事での頭の使い方とは別に学歴が何らかの影響を及ぼすことが分かったというもの。なぜ、学歴が影響するのかは明らかではないそうです。10代に戻って勉強することは、大人となった私たちにはかなわないことですが、将来の多発性硬化症にかかるリスクを予測したり、自覚症状について前もって知識を得て、病気の早期発見に努めるなど、今後様々な方法で健康管理に活かすことができるかも。また、これを機に他の脳神経の病気についても、学歴や仕事、そして頭の使い方といった日常生活の一面と病気との関係に関する調査も進む可能性が指摘されています。これまで学歴は、将来の仕事や安定や収入のためと考える人が多くいましたが、実は健康のためにもなるのかもしれなというのです。
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航空機騒音は血管を損傷する!?

2013-07-09 08:30:58 | 研究
航空機騒音がストレスホルモンのアドレナリンの分泌を増加させ、血管内皮機能障害を発症させることが明らかとなったそうです(QLife Pro)。これまでに過去の研究で、航空機騒音が高血圧や心臓発作、脳卒中と関連があることは示されていたそうでうが、これらの心血管疾患につながる正確なメカニズムは、明らかにされていなかったそうです。研究では、健康な成人75人(平均年齢26歳)の家に配線をし、睡眠中にデュッセルドルフ空港の騒音を流したそうです。騒音の平均は60デシベルで、30回の騒音に暴露するグループ、60回の騒音に暴露するグループ、そして対象群は騒音なしの状態で寝てもらったそうです。被験者を赤外線カメラで撮影し、超音波機器で血管機能を調べ、騒音が特定の循環機能障害を通じて、高血圧を引き起こす可能性を発見したそうです。多くの被験者に喫煙者に見られるような血管内皮機能障害が生じたそうです。しかも航空機騒音は、一夜にして健康な被験者の血管機能を悪化させたそうです。航空機騒音を30回流した次の日に60回流してみると、騒音を直接60回流された被験者よりも、明らかに血管機能の悪化につながったそうです。また、血管の損傷はビタミンCで処置できることも示したそうです。騒音により血液中に増えたフリーラジカルは、血管の内壁にある内皮細胞を傷つけるが、ビタミンCはそのフリーラジカルを抑えてくれるというのです。しかし、ビタミンCにより航空機騒音の影響の問題を解決できるということではないそうです。
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エアコンあるのに半数が使わず

2013-07-08 08:30:54 | 研究
先週の土曜日、気象庁は「関東甲信が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。これから、熱い夏がやってくるのでしょうか。夏といえば熱中症ですが、気になる記事がありました。熱中症で救急搬送された高齢者のうち半数が、部屋にエアコンがあるのに使っていなかったことが、日本救急医学会の調査で分かったそうです(朝日新聞デジタル)。政府は7月から3カ月間、節電を求めていますが、調査の担当者は「エアコンをうまく活用して、暑さを乗り切って」と呼びかけているそうです。日本救急医学会が2012年7~9月に、全国103の救急医療施設に熱中症で救急搬送された2130人の症状などを調べたそうです。重症度や発症のきっかけなどを聞き取って集計したそうです。調査対象者が搬送された時期は7月下旬が最多。昨年は7月16日から26日にかけて本州、四国、九州が梅雨明けし、連日35度を超える猛暑日だったそうです。室内にいて搬送された患者について、エアコンの使用状況を「使用中」「(設置しているが)停止中」「設置なし」に分けて聞き取った結果、65歳以上は「停止中」が111人と53%を占めたそうです。40歳未満と40~64歳は「設置なし」が最も多かった。 エアコンは電力を多く消費する、エアコンの風は体に悪い、などなど特有の考えが背景にあるのかもしれません。
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脳卒中と血流

2013-07-07 08:30:34 | 研究
心臓拡張期に大動脈内で逆行性の血流が存在し、大動脈の硬化にしたがってこの逆流が増加することが明らかになったそうです(QLife Pro)。脳内の太い動脈が閉塞して起こる脳梗塞は、脳主幹動脈や頸動脈内の粥腫(動脈硬化性プラーク)、心房内の血栓などが原因で発症します。なかには発症の原因がわからない場合も多く、原因不明脳梗塞と診断されています。高血圧患者の胸部下行大動脈の血流を測定し、記録した血流波形から、心臓の拡張期に下行大動脈から頸動脈へ向かって血液が逆行性に流出する、逆流の現象を発見したそうです。そして、大動脈が硬化すると、大動脈内の逆流の比率が増加することもわかったそうです。脳卒中患者の約20%の大動脈内に不安定なプラークが存在することから、大動脈内逆流でプラークが破綻・遊離して頸動脈、脳内動脈に流出した場合、プラークや血栓が脳動脈内へ運ばれ逆行性脳塞栓を引き起こす可能性があるというのです。大動脈の血圧ばかりではなく、大動脈の血流も脳卒中の発症機序に関与するということになりますね。
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ノロウイルスを捕捉する腸内細菌

2013-07-06 08:30:59 | 研究
ノロウイルスを捕捉することができる腸内細菌の存在が証明されたそうです(QLife Pro)。ノロウイルスは例年多くの胃腸炎患者を発生させているのは周知のことですが、その感染経路は未解明な部分が多いとのこと。感染拡大を防ぐ有効な手立てはまだ構築されていないのが現状だそうです。ノロウイルスが人の血液型を決定する多糖(血液型決定抗原)に吸着することに注目し、ノロウイルスがある種の腸内細菌に結合した状態で人体内や環境中に存在するという仮説を立て、“ノロウイルス吸着性ヒト腸内細菌”の存在を立証を目指したそうです。血液型決定抗原様物質の産生能力を手がかりに便から腸内細菌を選り分けて、単離された菌株についてノロウイルス粒子との吸着能力を評価し、ノロウイルス粒子吸着部位を探索したそうです。その結果、菌株Enterobacter sp. SENG-6が血液型決定抗原様物質を細胞外に分泌し、その物質を介してノロウイルス粒子を強く捕捉することがわかったというのです。この腸内細菌にノロウイルスを捕捉させれば腸の細胞へのノロウイルス感染を抑制できる可能性があるそうです。また、下水処理のノロウイルス除去の際に腸内細菌を使用することも考えられるとも。
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免疫系の老化

2013-07-05 08:30:04 | 研究
血液・免疫細胞を生み出す造血幹細胞において核クロマチン構造を調節する蛋白質Satb1が加齢とともに低下することが発見されたそうです(QLife Pro)。また老化した造血幹細胞を骨髄から分離してSatb1を発現させると、リンパ球を産生する能力が部分的に回復することも明らかになったそうです。リンパ球造血の初期過程は老化に伴い衰えるそうです。その原因は造血幹細胞の質的変化と考えられるそうですが、免疫系の老化に関係する遺伝子は不明だったそうです。造血・免疫系の加齢による変化は、高齢で発症する白血病・リンパ腫の病型、血液系の悪性腫瘍にも影響を及ぼすため解明が待たれていました。研究では造血幹細胞と目される細胞集団から早期のリンパ球前駆細胞を分離・培養する方法を開発。細胞集団は高いリンパ球産生能力をもつ多能性前駆細胞だったそうですが、すでに長期造血再構築能を失っていたそうです。リンパ球への分化を誘導する遺伝子を精査した結果、Satb1の発現量が免疫系の老化に関係するとわかったというのです。造血幹細胞は骨髄球、赤芽球、リンパ球へ分化するが、老化するとSatb1が低下してリンパ球に分化できず、免疫系で中心的な役割を担う白血球が作られないそうです。免疫系が調節できれば高齢者のワクチン接種の有効率が高まり、感染症、がんの罹病率が減少する可能性があります。個人の生活の質が向上するばかりではなく、これからの高齢化社会にとっての福音となるとも。今回の研究ではSatb1の発現を誘導しES細胞からリンパ球を効率よく産生できることも確認でしたそうです。今後、Satb1の発現を調節しES細胞やiPS細胞から大量の免疫細胞を誘導する技術ができれば、免疫機能が低下する疾患に誘導細胞を用いた治療法が開発されることが期待できるそうです。
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母乳育児は社会的成功チャンスを高める

2013-07-04 08:30:03 | 研究
母乳は赤ちゃんの免疫システムと健康を強化するだけではなく、社会的成功のチャンスを上昇させることが明らかになったそうです(QLife Pro)。母乳で育った人は、人工栄養で育った人に比べ、成人後に高い社会的地位につく傾向にあり、また、精神的にも良好な状態が上昇するというのです。研究では、1956年と1970年生まれの英国人3万4190人のデータが分析されたそうです。その際、被験者が10~11歳と33~34歳の時のデータを比較。その結果、母乳で育った人が社会的に高い地位につく可能性は25%高かったというのです。母乳は脳の発達に影響し、知性や社会的上昇チャンスを促進すると考えられるそうです。重要な役割を果たしているのは、脳の形成に必要とされ、母乳に多く含まれる多価不飽和脂肪酸でだそうです。また、母乳で育った人には、ストレスによる神経症状があまり見られなかったとも。考えさせられますね。
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散歩よりも持久的な運動

2013-07-03 08:30:31 | 研究
血糖を正常にコントロールするためには、適度な運動をする以外にも散歩などの日常身体活動が重要だという指摘があるようです。そのため2型糖尿病患者20人を対象として研究を実施し、24時間血糖コントロールの影響を調べたところ、1日に15分間の散歩を3回行うことよりも1回に45分間持久的な運動をした方が、有効であるということが示されたそうです(QLife Pro)。研究の対象は、2型糖尿病の男性20人。実験プロトコルでは、1日中座って過ごすコントロール日と、毎食後15分間の散歩を行う日、45分間の持久運動を行う日の3日間としたそうです。1週間という間隔を空けながら、この3日間のプロトコルを20人全員が実行。日内血糖変動を見てみると、1日のうちで高血糖だった時間は、コントロール日が6時間51分で、持久運動日は4時間47分と減少したのだが散歩を行った日と比べると変わらなかったそうです。平均血糖値も、持久運動日はコントロール日よりも減少したのだが、散歩を行った日とは変わらなかったそうです。
しかし食後の累積血糖上昇は、持久運動日だけでなく、散歩を行った日も減少したそうです。また食後の累積血漿インスリンも、コントロール日に比べると、散歩を行った日で17%、持久運動日で33%と両方とも減少。毎食後の散歩は食後血糖の改善には有効ですが、日内血糖変動には効果がないというのです。ですが、持久運動は有効。血糖コントロールを改善するためには、ある程度の身体活動が必要なのかもしれないと指摘しています。この研究結果は、筋力トレーニングが糖脂質代謝改善に有効であるという私たちの研究結果(投稿中)をサポートするものです。
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胃食道逆流症と虫歯

2013-07-02 08:30:25 | 研究
胃食道逆流症を患い、胃液が口まで逆流することにより虫歯になったり、貧血や胸痛を起こすことがあるそうです(QLife Pro)。この胃食道逆流症は、日本人の5人に1人が抱える疾患だそうです。胃食道逆流症(GERD)とは、胃酸などが食道に逆流することで引き起こされる疾患で、逆流性食道炎も病態の1つに含まれるもの。主な症状として胸焼けや、胃酸の逆流が知られるますが、意外なものでは虫歯、胸痛、咳、貧血、中耳炎などがも。GERDが悪化して食道がんに至った例もあるそうです。GERDの可能性を判定するために、医療機関で実際に使用するチェック項目として、下記のFスケール問診票があるそうです。

チェック項目:
(1) 胸焼け
(2) お腹が張る
(3) 食後に胃がもたれる
(4) 思わず胸をこする
(5) 食後に気持ち悪くなる
(6) 食後に胸焼け
(7) 喉に違和感
(8) 食事途中で満腹になる
(9) 飲み込むとつかえる
(10) 胃酸が上がってくる
(11) げっぷがよく出る
(12) 前かがみになると胸焼け

・いつもある・・・4点
・しばしばある・・・3点
・時々ある・・・2点
・まれにある・・・1点
・全くない・・・0点

スコアが8点以上であれば約6割、10点以上だと約7割の確率でGERDの可能性が高いと判断されるそうです。
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