ベネチアリキュールグラスとフランスの貴腐ワイン
暮に、年が明けたら飲もうと思って上野駅中の紀伊國屋さんでフランスの貴腐ワインを買いました。新しい、と言っても40年以上前ですが、ベネチアのリキュールグラスを使ってみました。
フランスの貴腐ワイン、”Chateau Doisy Vedrines SAUTERNES”2012年( シャトー・ドワジ・ヴェドリーヌ ・ソーテルヌ)です。
貴腐ワインはハンガリーの”トカイ”が有名ですが、紀伊國屋さんには置いてなくて、その代わりにこのワインを勧められました。
グラスはステムが太く、不規則でやわらかな凹凸があります。ボウルには繊細な模様が彫られていて、クラシックなデザインです。
これもステムが短いベネチアのリキュールグラスです。ステムの部分に少し黄色いガラスが使われていて、ワインの色とマッチしてとてもキレイです。色のついたグラスは、お酒の色がわからなくなるのでほとんど使わないのですが、このグラスはステムは黄色でも、ボウル(カップの部分)は透明です。まるで、このワインを飲むためのグラスのようです。
貴腐ワインは、ブドウの粒はその皮にセルロースが含まれていて果肉の水分が蒸発しないようになっています。ブドウの房に付く貴腐菌はカビの一種で、この皮のセルロース質を分解するので粒の中の水分が蒸発してしまいます。その結果、果肉に含まれる糖分が濃縮され、まるで干しブドウのようになります。このブドウを使って作ったワインが貴腐ワインです。アルコールは果糖が分解醗酵して作られるので、貴腐ワインはアルコール度数が高目になり甘みも強くて、しかも貴腐菌の香り高い大変上品なワインとなります。貴腐とは、高貴な腐敗という意味です。
貴腐ワインに使われるブドウは、貴腐菌をつけて繁殖させるため、どうしても遅摘みとなります。そうすると貴腐菌以外の雑菌がついてしまうこともあり、その場合はブドウが腐ってしまって、まったく収穫できません。貴腐ワイン用のブドウの栽培は、とてもリスキーなのです。その収穫量も少なく、したがって貴腐ワインもたくさんは作れません。年によっては、まったくブドウが収穫できなくて、ワインを作ることができないこともあります。
このように収穫量が少なく貴重なブドウで作られる貴腐ワインは、とても人気があります。非常にスッキリとした甘い味わいは、食前酒や食後のデザートワインとして大変好まれています。
このソーテルヌも2012年と若いですが、熟成した果実と爽やかな貴腐菌の香りがして、しかも非常にスッキリとした甘味です。アルコール度数は13.5%と低めですがシルクのような舌触りで、わずかに発泡性の微炭酸の刺激があり、貴腐菌の香りと相まって甘いだけでなく爽やかな酸味を際立たせています。美味い!です。
濃厚なチーズケーキなどとも合うかもしれません。今度、試してみようと思います。
栓を抜いてしまったのですが、あと3年程瓶内で熟成させたら、今の爽やかな味わいにさらに深みを増した違った味に変化するかもしれません。ヴィンテージワインは、少なくとも5~8年位は熟成させた方が良いと言われています。
ただし、家庭の冷蔵庫では温度も低すぎ(3~5度程なので)るし、湿度も保てません。瓶内熟成が確保できる、温度(10~15度)、湿度(70%前後)が管理できる専用のワインセラーが必要です。
まあ、飲むしかないか・・・レアチーズケーキをアテにして。
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