先日、区の図書館から「中務集(伝西行筆)」(日本名筆選34 二玄社)を借りてきました。
標題は「な可つ可佐可しふ」(なかつかさがしふ)となっています。
高木厚人先生の教本(大字かな創作法)にある古典シリーズの“西行”編で、
拙ブログでは関戸本、本阿弥切に続くものです。
高木先生の教本では、「山家心中集」を採り上げられていますが、これが図書館には無く、
上記「中務集」はありましたので、こちらでという次第です。
ともに、西行筆と伝承されているものです。
中務(なかつかさ 平安中期(10世紀中頃)の女流宮廷歌人)の歌集を
西行(平安末期から鎌倉初期(12世紀中頃)の歌僧)が書にしたと伝えられているものです。
中務は、中務卿敦慶親王の王女。
母・伊勢も歌人で、母娘双方とも三十六歌仙に選ばれているとのことです。
西行筆と伝えられる本書の特徴は
この中務集(伝西行筆)の解説者・古谷稔氏によれば、
運筆はテンポが早くリズム感に富み
筆致は歯切れよく 見事の一語
線質は伸びやかで切れ味もよい
所蔵元の出光コレクションの解説では
颯爽とした字形
細かいが力強い筆線
伸びやかで直線的な連綿
と、されております。
二百数十首(ほとんどが3行書き)がおさめられていますが、いずれも溜息がでる作品ばかりです。
難しそうですが、チャレンジしてみたくなるお手本です。
左のページに出てきている仮名文字からも
"ろ" "は" "み" "や"などは、個性的で魅力ある字に自分には映ります。
原本は縦13.1cm 横(片面)15.2cmと小さいもので、これを拡大・臨書しながら学びたいと思っています。
しばらくは小字から、といったところです。