サンクスギビング・デイ(今年は11月25日)を過ぎると一斉にクリスマス商戦に突入します。
町を歩いても、そしてどの店に入っても「クリスマス音楽」が聞こえてきます。それぞれの店が「クリスマスの雰囲気を!」と選んだ音楽なのでしょう。オーケストラの演奏にはじまって、ウクレレの演奏、そして一番多いのがローカルの歌手たちがソロで歌う曲・・・と極めて多彩な演奏が楽しめます。
しかし、オーケストラの演奏はともかくとして、ローカルの歌手が歌うクリスマス・ソングはそのほとんどが???という感じを受けます。
「ママがサンタにキスをした」とか「ウィンター・ワンダーランド」「赤鼻のトナカイ」のように曲中で一時転調する曲は当然ですが、「ジングル・ベル」や「サンタクロースが街に来る」などの比較的単純な曲でも歌手ごとにメロディーが微妙にオリジナルとは異なっているのです。
普段はジャワイアン(ハワイのレゲェ)を歌っている歌手たちにこの時期だけクリスマス・ソングを歌わせてCDを売るのでしょうが、彼らは楽譜に基づいて歌っているのではなく、ヒトが歌っているものを耳から覚えてそれを歌っているとしか考えられない間違い方です。
ハワイアンのミュージシャンが歌っているクリスマス・ソングでもやはり間違っているものがおおいので、当初はいちいち間違いをメモしていたのですが、あまりにも数多くあるのでバカバカしくなって取りやめました。
でも・・・どうしても残しておきたい???を一つだけご紹介いたしますね。
あの名曲「聖しこの夜」のなかで右のように歌っているのを聴いたときには「お前もか!」と一瞬たじろぎました(笑)。
「メロディーが違う」のは「フェイク」とか「アドリブ」のため、と好意的に見たいのですが、それ以外のところではフェイクやアドリブが感じられないので、やはりそれらの???は歌手自身が間違って覚えているとしか考えられません。
クリスマス・ソングの楽譜はいくらでも入手できるのですから、録音にあたってちょっと勉強すれば済むのに、それすらやっていないのでしょう。
「お願いだから、録音前に楽譜を勉強して!」と声を大にして叫びたい気持ちで一杯です。
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普通のハワイアン・ソングもこちらではふんだんに聴くことができます。そして聴きこんでいるうちに、有名な歌手でもオリジナルを間違って覚えている様子がわかってきました。特に半音が含まれる曲でこの半音が歌えていない若手歌手がいるのには驚きました。
そういえばこちらにきたばかりのこと、あるCDのバックにスチールを入れて欲しいとのご依頼がありました。結果としてその中の3曲を無事録音したのですが、使われていたコードがいかにもロコ(ローカル)風だったのには苦労しました。すべてリハモ(コードの再構築)であるという解釈で通すことも可能ですが、やはり楽譜ではなく感覚的に付けたコードのため前後のつながりなしに登場する、という特徴?をもっていました。
ここでも「お願いだから、録音前に楽譜を勉強して!」と文字まで大にして叫びたい気持ちで一杯です。
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いままで触れてきた「勘違いや間違って記憶していた」メロディーではなく、歌手やコーラスグループがアレンジしたメロディーを歌う場合があります。
これは本来のメロディーを踏まえたうえでのアレンジですので聴く側もオリジナルのメロディーを感じながらそのアレンジも楽しめるわけですが、あくまでもこのアレンジされたメロディーは彼らをイメージさせるユニークな存在のはずです。
ところがあまりにもこれらのメロディーが有名になるとこちらのほうが「オリジナル」と思われてしまい、後続の歌手たちがそれに基づいた歌を歌うようになってしまいます。
もっとも代表的な例はザ・プラターズのコーラスでヒットした「煙が目にしみる」「オンリー・ユー」そして「トワイライト・タイム」です。いずれも当時のメンバーのトップ・テナー歌手トニー・ウィリアムスを中心としたユニークなメロディーが大変印象的ですが、これらのメロディーをそっくりそのまま歌う歌手が続出しています。それもアマチュアならまだしも日本のプロ歌手たちの中にもそのように歌う人たちがたくさんいるのです。
彼らにもまずオリジナルを勉強してから独自のアレンジを開発してほしいものです。
ハワイアン音楽分野でも同様なことがおこなわれています。フラのバック演奏として「CDそっくり」の演奏を要求されるためかもしれませんが、ハパやナー・パラパライさらにはIZ達の演奏とそっくりな演奏をするプロ、セミプロのグループが数多くいます。
一つの例として何年かまえにテレサ・ブライトの歌でヒットした「In A Little Hula Heaven(フラの天国で)」に触れてみます。
(以下に紹介します譜面はすぐに削除しますのでその後は説明だけになることをお許しください)
この曲は「Blue Hawaii」を作ったラルフ・レインジャーとレオ・ロビンのコンビがBlue Hawaii同様1936年の映画「ワイキキの結婚」の挿入歌として作った名曲です。残念ながらこの映画からアカデミー音楽賞を受賞したのはハリー・オウエンスの「Sweet Leilani」でしたが・・・。
テレサが歌ったメロディーは譜面の上2段のようなもので(彼女のキーはDですが)、彼女が最初にこのメロディーを歌ったのかどうか定かではないものの、彼女の歌がヒットして以来日本のプロ・アマ歌手たちもこのメロディーで歌うことが多いようです。
ただ、オリジナルのメロディーは下2段のようなもので、その昔の(!)エセル中田はキチンとこのメロディーで歌っています。
最近の日本のプロ歌手たちは上記ザ・プラターズの曲と同様にオリジナルのメロディーを知らずに安易な真似で歌っているのでしょうが、やはりプロでしたら自分独自のアレンジで歌うかオリジナルに忠実に歌うべきだと思います。
ハワイアン音楽には「Hapa Haole Hula Girl」や「Tomi Tomi」のようにたとえオリジナルとおぼしき譜面が有っても、誰かがユニークな演奏をするとそちらがスタンダードになるケースが多いのですが、あまりにも「誰かの真似」が通用しているのは残念です。
昨日もカピオラニ王妃生誕176年を記念したイオラニ宮殿の年一回限りの夜間見学行事に言ってきたのですが、屋外で演奏しているグループが歌う「プアマナ」のメロディーが違っているのです。
次に出演するグループでもともとこの曲の作者であるアームガード・アルリが結成した「プアマナ」に敬意を表したのかも知れませんが、メロディーが違っているのを何コーラスもきかされた「プアマナ」のメンバーはどう思ったでしょうね。
もっとしっかり勉強して欲しいものです。
このステージに出られるのはかなりのレバルのグループの筈ですから・・・
マニーKのThe Palm Trees Sing Alohaで、カハナベイが何故かカラカウアベイと歌われてます。
もうね、ガッカリです。あの名曲をよくもいい加減に料理してくれたな!という怒りの気持ちで一杯です。
http://www.geocities.jp/ukulelewabo/html/myukulele.html#Hawwaian
わたしが変わってSGなどというたいそうなものが弾けるわけはなく、御大がアレンジされた楽譜で歌ってるという意味です。
そうですか、スチールもまた弾かれるようになったのですね。今度是非お聞かせください。
楽しみにしております。
MATTさんがお元気にご活躍されていることは、私の知り合いから伺っていました。
いい加減さの代表のような私ですが、昨年から平均年齢68歳超の男声合唱団にも入り、月3回練習しています。若いとおだてられるので(苦)最近は、合唱に割く時間が増えています。
合唱メンバーには、クラシック畑の方が多く、楽譜を意識させられることが多いです。
ハワイアンのほうも、最近SGが弾けなくなった四国の御大のアレンジした曲を演奏することが増えたので、逆にオリジナルをきっちり確認するようになりました。
覚え間違いは論外としても狭い音域のためムリにメロディーを押し込めたり、「主題」だけなのにその曲の全部であるかのように謳うのは許されません。
クラシック曲をベースにしたポピュラー曲は「レッツ・ダンス」「アニバーサリー・ワルツ」「ストレンジャー・イン・パラダイス」「トゥー・ラブ・アゲイン」「ラブ・イズ・ア・メニー・スプレンダード・シング」そのほか数多く存在し、それぞれが受け入れられています。そのような形でクラシック曲のテーマがポピュラー曲として愛されるのは構わないと思います。
あるウクレレ雑誌に「バートーベンの交響曲第9番の楽譜を収録」というので中を見たところ、いわゆる「歓喜の歌」の、それも16小節だけが二部のメロディーとして載っていました。
編集部に、せめて「交響曲第9番より」とか「歓喜の歌より」と謳うべきだったのでは?と連絡したのですが無視されました。
ウクレレ奏者として著名なプレーヤー(あまりにも有名なので名前は伏します)の演奏にも失望したことがあります。クラシックの小品を演奏したものですが、ある部分で同じ音使いをします。音としては間違っていませんが、作曲家の書いた音ではありません。2コーラス目も3コーラス目も同じように弾くので、「私が間違って覚えていたのか?」と心配になり、ちゃんとしたオーケストラの演奏を聴きなおしました。やはり、そのプレーヤーの間違いでした。その瞬間から、私にとっては信頼のできないミュージシャンになってしまったことは残念です。ともかく、「うろ覚え」で演奏するなんて、**の風上にも置けません。
私は素人ですから、「うろ覚え」が得意です。これは許してもらいましょう。ダメ?
たとえば「Henehene・・・」のなかで「二人はクチビルを交わしているが眼は交わしていない」というところは明らかに彼が子供の頃に逆に覚えてしまったのでしょう。
もちろん眼をそらしての口づけも無いとはいえないでしょうけど・・
正解はIZ自身がこの曲の中で「替え歌」として導入した「星を歌った童謡」の歌詞だったのですが、その童謡を知らない限り「正規の歌詞」と理解されてしまうのは当然です。そして彼はその歌詞のハワイ語訳でもうたっているので、この曲を「星の歌」と紹介するミュージシャンすら現れていますが、実際には激しい愛の交換の歌でとても童謡とは言えないものです。
jinnjarさんのレパートリーを思い出しましたので本文を追加いたしました。
特に歌詞は、変われば「替え歌」であって、作詞者が意図した内容とは違ってしまいますから
同じタイトルを付けてはイカンでしょう。
他のメンバーがどう思うかはわかりませんが、
もし「虹」をやるときは雰囲気はIZで、歌詞はオリジナルでやりたいと思います。
それにしてもこの「聖よしこの夜」の「heavenly」の終わりが「Sleep」や「peace」より高い音なのは気持ち悪いです。
ジャズ、ポップス系歌唱の「フェイク」「アドリブ」といっても、許容範囲を超えては、曲の良さ、本質が損なわれます。心しなければ----。
「虹の彼方」のIZバージョンの歌詞の問題点については、「古河」でMATTさんから直接伺っていましたので、よく承知しています。
この曲が、ジャズのスタンダードとして定着したのは、メロディーにも歌詞にも、それなりの良さと魅力があるからでしょう。
原点に戻って、オリジナルを大事にしなくっちゃ。ハワイアンのジャンルでも、言えることだと思いますが----。
結局時代と共に間違って、もしくは意識的に変更されてきたものが出版されているようなのです。
わたしの「ハワイアン音楽快読本」に楽譜を載せる際にもかなり苦労しました。
世の中で最もポピュラーな楽譜が必ずしもオリジナルとは限らないのです。
そのため可能な限りいろいろな曲集を調べて、最もオリジナルに近そうな!楽譜を選びました。
ある程度時間と共に変化するのは止むを得ないとはおもっていますが・・・・
2コーラス目で「やはり間違っている!!!」
それが3コーラスもあるとラクに楽譜が書けるほどの決定的な間違いであることが判明するという次第。
やれやれ終わった!と安心していると、次の曲でも似たような間違いが・・・・
よくもこのようなポピュラーな曲を間違えて歌うものだと感心するほどです。(彼らにとっては子供の頃にちょっとだけ聞いた曲なのでうろ覚えなのでしょうけど)
お店のほうは「クリスマスの雰囲気をお客様が味わってくれるように」と次から次へとこのような曲を流してくれるのでいたたまれなくなって店を出ることになります。
原曲を聞いて「あれ」と思う時があります。
聞いている場合は、私の場合いい加減ですから「あれ」ですましてしまいますが、いざ自分が演奏しょうと思うと有名になった「あれ」の方で演奏してしまい、再び「あれ」の曲が増殖してしまいます?(日本語が理解不能。)
こんな単純なものでもこんな間違えがあるんですか・・・?
びっくりです。
以前、ハワイの一流のミュージシャン二人が別な曲を同じように間違って記憶して演奏したのを楽譜を見せて修正してもらったことがあります。
ふたりともあまりにもポピュラーな曲だったので「自分の記憶だけで演奏できる」と楽譜を確認しなかったもので、すぐに修正してもらえました。
プロならば、間違えてる音程で歌っているのはNGでしょうね。
日本の歌手は大丈夫かな?