枯木の梢越しの、時計台。
僕が、高校2年生になったとき、赴任してこられた、ピカピカの、新人の先生。
最初の、英語の授業で、大好きになった先生。
僕は、東京都立雪谷高校を受けた。落ちた。
で、何処もだめで、ある私立高校に、やっと合格。
劣等感の塊。
ピカピカの先生は、僕の劣等感を吹き飛ばしてくれた。
バス旅行で、先生が、
「俺の母校の歌を歌う。みんなの校歌を聞かせてくれや」
と言って、
みやこのせいほーーく
わせだ のもりに、そびゆる いらかわー
われらが ぼこお♪
と歌った。
僕たちも、僕たちの校歌を大声張り上げて歌った。
僕は、大学の名前は、恥ずかしいけれど、知らなかった。大学にゆけるかどうか、わからなかった。
で、わせだ、という大学があるんだ、と、その時知った。
で、先生の大学に行きたいと思った。
僕の高校は、おちこぼれの高校。
僕の高校から、わせだ、入った人は、開校以来、一人か二人だ、と、いう噂。
で、先生に、聴いた。
先生の大学に行きたいんです、と。
先生曰く、
「がんばれ」
の一言。
で、僕は、開校以来、3人目の、わせだ、に入った。
S先生。
当時は、偏差値とか何とかがなかった。
今だったら、お前、何言ってるんだ、偏差値、見ろ
よ! と一笑に付されたかも知れない。
偏差値、なんか、関係ない、オッパッピー。
英語と国語と社会。3科目。必死で勉強した。
何で僕が、入れたんだろう。
今でも、不思議だ。
憧れ、だ。きっと。憧れ。
先生は、僕に、「憧れ」を感じさせてくれた。
先生は、今、75才。
佐渡で、現役。今も教壇にたっておられる。
一生涯一教師、を貫いておられる。
在野精神。大隈重信候の精神。
せんせーい!!
妻と、都の西北に出かけた。
大隈庭園を散歩した。
庭園から、枯木の梢越しに、時計台が・・・。
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