本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

少年事件報道・先日9/7付記事への補足他。

2006-09-09 10:23:49 | web・メディア
<山口高専生殺害>遺体男子学生報道 実名・匿名分かれる

 山口県周南市の徳山工業高等専門学校5年、中谷歩さん(20)が殺害された事件で、殺人容疑で指名手配中に遺体で発見された男子学生(19)の氏名・顔写真の掲載について、新聞、放送などメディア各社の判断が分かれた。読売新聞、日本テレビ、テレビ朝日は実名・顔写真の報道に踏み切った。匿名で報道した放送局の中にも、写真にモザイクをかけて報道する社があった。事件は、少年事件報道のあり方にも一石を投じた。
 毎日新聞は8日、東京と山口県に本社を置く新聞・通信の8社と、NHKと在京民放キー局の6社に対し、男子学生の報じ方と判断理由について取材した。
 実名報道に切り替えた3社は「容疑者が死亡し、少年の更生を図る見地で氏名などの記事掲載を禁じている少年法規定の対象外となった」(読売)など、死亡によって更生・保護の機会が失われたことと「事件の重大性」「事件の凶悪さ」を理由に上げた。読売と日本テレビは、男子学生の年齢が19歳であったことも判断材料の一つにしたという。
 新聞・通信各社は、毎日新聞を含め、読売以外の社は「匿名で報道する原則を覆す明確な理由はない」(日本経済)などと匿名報道を維持した。共同と時事は「少年法の趣旨の対象外になった」との認識を示した。時事は「今後裁判で釈明する機会が失われていること」を匿名の根拠とした。
 一方、共同の配信記事を掲載した東京は「実名報道に切り替えることも考えられるという意見があった」と回答し、社内でも見解が割れたことを明らかにした。
 テレビではNHK、TBS、フジテレビ、テレビ東京の4社が「男子学生」(NHK、フジテレビ)▽「同級生の少年」(TBS)などと匿名報道を維持した。写真については、フジテレビとテレビ東京がモザイクをかけるなど画像修正して放送した。
 <毎日新聞の見解>
 毎日新聞は、少年法の理念を尊重し、事件発生以来、容疑者の少年を匿名で報じてきたところ、少年の死亡が確認されました。新たに重大な罪を犯すなど社会的利益を損なう危険性もなく、匿名報道を続けています。
 少年事件の報道に当たって、毎日新聞は、個別の事件ごとに多角的に取材し、法の理念を踏まえ総合的に検討して紙面化しています。従来から報道指針として、少年事件は匿名を原則としていますが、新たな犯罪が予測されるときや社会的利益の擁護が強く優先するときなどは実名で報道することもある、と定めています。今回の事件はこの例にあたらないと判断しました。
 さらに、外部の有識者が新聞のあり方を提言する第三者機関「開かれた新聞」委員会などで今回のケースを引き続き検証し、その結果を紙面で報告します。
    <報道各社の見解要旨>
▽実名報道
読売新聞 容疑者が死亡し、少年の更生を図る見地で氏名などの掲載を禁じている少年法の規定の対象外になったと判断。事件の凶悪さや19歳という年齢も考慮した。
日本テレビ 男子学生が遺体で発見された段階で、少年の更生を前提に規定された61条の対象外になったと判断。事件の重大性、社会性、年齢などを総合的に検討した。
テレビ朝日 指名手配されていた少年の死亡が確認されたことで、少年法が尊重する更生、保護の機会が失われたと判断。事件の重大性もかんがみた。
▽匿名報道
朝日新聞 実名で報じるケースは(1)死刑が確定して、本人の更生・社会復帰への配慮が消える場合(2)逃亡中で再犯の恐れが極めて高く、一般市民への被害が想定される場合。今回の事件はいずれにも当てはまらない。
日経新聞 7日の時点では少年法の原則を覆す明確な理由はない。
産経新聞 逃走中で凶悪な累犯が明白に予想されたり、犯人逮捕に協力する場合など「少年保護より社会利益の擁護が強く優先する特殊な場合」は実名報道もあり得る。今回のケースは「特殊な場合」とは判断しがたい。
東京新聞 共同通信社の配信記事で、同社の判断を尊重した。拠点のない地域の事件であり、自社取材がなされていない。男子学生の死亡によって、少年法が保護法益とする「更生の可能性」は失われたとの判断から、実名報道に切り替えることも考えられたケースだったという意見もあり、社内でさらに検討を重ねる。
山口新聞 少年犯罪の場合、匿名を原則としている。例外としては無差別・凶悪かつ再犯の可能性がある場合のみと考える。
共同通信 少年の死亡で少年法の法的な保護対象からは外れたが、現時点で実名に切り替える積極的な理由を欠く。顔写真は入手していたが配信はしていない。
時事通信 少年の自殺報道では、家族の名誉を傷つけるケースでは匿名で扱ってきた。容疑者死亡で少年法の規定の対象外になったともいえるが、今回は容疑者が今後裁判で釈明する機会も失われており、総合的に判断した。
NHK 逃走中でも、新たな事件が引き起こされる恐れは低いなどの事情を総合的に判断した。
TBS 容疑者が死亡したといっても実名に切り替える必然性が見当たらない。
フジテレビ 総合的に判断した。
テレビ東京 19歳という年齢を考慮すると、実名報道に切り替えるかどうか議論のあるところだった。しかし、本人の死亡で事件の真相解明は困難な状況になっており、罪が確定できない段階では少年法の趣旨を尊重する結論になった。
 ■識者の談話
 土本武司・白鴎大教授(刑事法)の話 加害少年の氏名などの掲載、放映を禁止する現行少年法61条の規定は、訓示規定にすぎないが、捜査でも報道でもこれまでは厳格に61条が適用されてきた。少年犯罪が凶悪化した今、社会の安全も考慮に入れるべきだ。凶悪犯罪で、容疑者が逃亡する恐れがあり、18歳以上の年長少年といった場合、61条の適用除外とすべき。ただ、その61条の適用除外の要件は、法改正によって具体的かつ明確にすべきだ。今回の事件は、少年が自暴自棄になって第二、第三の犯罪を犯す可能性があり、自殺の恐れもあった。警察は、公開捜査に踏み切るべきだった。
 澤登俊雄・国学院大名誉教授(刑事法)の話 少年が死亡したら更生の可能性がなくなるという理由で実名にするのは、少年法61条の形式的な解釈だ。今回は、警察が容疑者として指名手配していたとはいえ、犯人と特定されているわけではない。死者の名誉を優先させなければならない。刑法230条2項では、死者について虚偽の事実を伝えれば名誉棄損となると規定している。名前を公表しないと社会公共の利益が害されるというケースでは全くない。社会に名前を知らせる必要性が見当たらず、匿名にすべきだ。
 服部孝章・立教大教授(メディア法)の話 少年法を尊重しつつも、凶悪な犯罪の容疑者が逃走中の場合などでは、少年の利益よりも社会的な利益を優先して独自の判断でメディアが実名報道に踏み切ることはあり得ると思う。今回の事件でも、男子学生が逃走中であれば匿名から実名報道に切り替える余地があったかもしれない。しかし、遺体が発見された後では、社会的利益や報道の自由を考慮しても、少年法61条の有無にかかわらず実名報道にすべきケースだとは思えない。
(毎日新聞) - 9月9日2時0分更新

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自殺で3649件回収 消費者金融5社、05年度に 2006年 9月 6日 (水) 11:55
(共同通信)

 アコム、アイフル、武富士、プロミス、三洋信販の消費者金融大手5社が、借り手の自殺によって2005年度に3649件の生命保険金の支払いを受けていたことが6日、金融庁の調査で分かった。保険金で債権を事実上回収したことになる。

大手消費者金融会社は、生命保険会社との間で「消費者信用団体生命保険」という保険契約を結んでおり、借り手が死亡した場合には消費者金融会社が保険金を受け取る仕組みになっている。05年度に消費者金融側が受け取った生命保険は、全体で3万9880件だった。

同庁は民主党の長妻昭衆院議員からの問い合わせを受け、消費者金融5社と生保から聞き取り調査した。

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  生活保護、県内8万人超 就学援助も急増 20年間で最多 2006年 9月 5日 (火) (神戸新聞)

 兵庫県内の生活保護の受給者数が今年三月に八万人を突破し、過去二十年で最多となったことが四日、県の調査で明らかになった。連動して、小中学生に学用品や給食代などを支給する就学援助も、少子化にかかわらず、四年前の一・五倍と急増している。いずれも、小泉政権の「負の遺産」とされる格差問題の指標となるもので、県内でも低所得者層の広がりが裏付けられた。格差是正は、八日告示の自民党総裁選でも大きな論点となっており、次期政権には実効性のある施策が求められる。

 県などによると、今年三月の県内生活保護受給世帯数は五万四千四百五十八世帯、八万二百四十九人。小泉政権誕生の二〇〇一年度(平均)と比較すると、世帯、人数とも32%増えた。

 地域別では神戸市が全体の約半数。保護率(人口千人当たりの被保護者数)は26・8人に上り、県全体の14・4人、全国平均の11・7人(〇六年一月)などに比べて極めて高い。続くのは尼崎市で、保護率では27・1人と神戸市を上回る。

 世帯状況でみると、高齢世帯が四割を占め、傷病・障害者世帯が続く。じわじわと増えているのが母子世帯を除く「その他世帯」で、若年層への広がりを反映しているとみられる。県は「『その他』の増加傾向は新たな懸念材料」と危ぐする。

 子どもたちをめぐる状況も深刻だ。就学援助は生活保護世帯の「要保護」と、自治体が「準ずる程度」として独自認定する「準要保護」がある。

 文部科学省によると、県内の総受給者は〇四年度で七万五千九百九十三人と、〇〇年度から約二万人増加した。全体の児童・生徒数は少子化で約二万人減っているため、受給者の占める割合は11・0%から16・2%に膨らんだ。

 尼崎市では〇五年度、ほぼ児童・生徒の三人に一人が受給していることになる。阪神・淡路大震災の影響が残る神戸市も六年連続で受給率が上がっており、〇五年度は24・6%となっている。

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 以上、引用終わり。

*死人の衣類を剥ぐようなことを平気でやってのけるサラ金の収益に、大手銀行もメディア各社も大きく依存しているという嘆かわしい社会、それが今の日本だ。

*「尼崎市では〇五年度、ほぼ児童・生徒の三人に一人が受給していることになる。」という記述には驚くが、逆な発想をすると「子供は社会全体の宝なのだから(少なくとも経済面では公費の投入を惜しまず)公的な協力の下に育てて行くべきだ」という類の意見を一律に排除すべきではない。いずれにせよ地方切捨ての弊害が震災の被災地に大きく影を落としていたとしても意外感はない。 



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