本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

放射能漏れ。

2011-03-26 05:21:13 | 社会
炉の水漏れ、可能性高く…核燃料損傷か
特集 福島原発

 東京電力福島第一原子力発電所3号機の作業員被曝(ひばく)事故で、経済産業省原子力安全・保安院や東電は25日、被曝の原因となった水たまりができたのは、原子炉につながる配管などに何らかの損傷が起き、炉内の水が漏れ出た可能性が高いとの見方を示した。核燃料が損傷しているとみられる。1号機でも高い放射性物質濃度の水たまりを確認。今後の復旧作業に大きな影響を与える恐れが出てきた。

 3号機タービン建屋地下1階で被曝した3人の足元にあった水たまりには、セシウム137など、核燃料の内部にあるものの、通常の状態では冷却水中に漏れ出すことはない放射性物質が含まれていた。

 漏えい経路について、経産省の西山英彦・大臣官房審議官は25日午前の記者会見で、「原子炉と使用済み核燃料一時貯蔵プールのどちらから水が漏れたのかは、よく分からない」としていた。しかし午後になって見解を修正し、「原子炉の水が漏れた可能性が高い」と踏み込んで説明した。

 冷却機能を失った3号機では、仮設のポンプを原子炉につないで海水を注入し、冷やしていた。だが、緊急措置だっただけに、無理な接続によってすき間から水が漏れた可能性があるという。

 さらに、原子炉格納容器内の蒸気を外部に緊急放出する弁開放が12日以降、計3回行われた。配管や弁に異常な圧力がかかって、蒸気が漏れた恐れもある。

 14日には大規模な水素爆発が起きた。原子炉建屋の上部が吹き飛び、機器や配管にも損傷が及んだとも考えられる。

 東電の武藤栄副社長も25日午後、「原子炉の温度や圧力が何度も上下しているので、ポンプや弁のすき間から水が漏れている可能性が考えられる」と話し、保安院と同様の見解を示した。

 原子炉とタービン建屋を直結する配管は主に、原子炉からタービンへ高温高圧の蒸気を送る系統と、タービンを回転させた後の蒸気を海水で冷やして水に戻し、再び原子炉に送り込む系統で構成されている。

 東電は当初、地震直後に原子炉が緊急停止した際に、これらの系統の弁は閉まり、炉内の水が漏れた可能性は考えにくいとしていた。しかしその後、完全に閉まっているかどうか確認できないと説明を翻した。水たまりは、これらの系統のポンプや配管が集中する箇所の真下にできていたことから、東電では、ポンプ付近が漏えい場所とにらんで調査している。
(2011年3月26日03時03分 読売新聞)

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福島第1原発 1号機でも高濃度水、核燃料の一部漏出か
毎日新聞 3月26日(土)0時0分配信

 東京電力は25日夜、東日本大震災で被災した福島第1原発1号機のタービン建屋地下でも水たまりが見つかり、採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質が検出されたと発表した。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。ヨウ素131やセシウム137などで、溶融した核燃料の一部が漏れ出した可能性がある。24日には3号機のタービン建屋地下で3人が被ばくし、2人が放射性物質に汚染された水たまりに足を入れて被ばくしている。3号機の水について東電や経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉から燃料の一部が漏れ出したとの見解を明らかにした。

【図説】被ばく量と健康への影響の目安

 東電によると水たまりは24日までに1~4号機で見つかった。タービン建屋の地下は2区画に区切られているが、配電盤などがある区画はすべて津波で水没しており、その水深は▽1号機約40センチ▽2号機約1メートル▽3号機約1.5メートル▽4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在しているという。東電は2、4号機の水たまりについても調べている。

 3号機で見つかった水について東電の武藤栄副社長は25日、「原子炉側から出てきた可能性がある」と話した。保安院も「原子炉から何らかの理由で放射性物質が漏れている可能性が高い」との見方を示しており、厳重に閉じ込められているはずの核燃料の一部が原子炉建屋の外に漏れ出た可能性がある。

 3号機で被ばくした3人は25日、福島県立医科大病院から千葉市の放射線医学総合研究所に転院した。放医研は3人の診察後会見し、汚染された水に触れた2人が放射性物質を吸い込むなどして内部被ばくをしていたことや、2人の患部から2~6シーベルト(2000~6000ミリシーベルト)という高い放射線量が検出されたことを明らかにした。しかし「局部的な被ばくで治療は必要でない」といい、3人は28日にも退院の見通し。

 原子炉の冷却作業では25日、1号機と3号機の原子炉に注入する水を海水から真水に切り替えた。注入手段も、現在の消防のポンプ車からやがて外部電力に切り替える。【斎藤有香、平川昌範、江口一、藤野基文】

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高放射線量、作業員に周知せず=東電「3人の被ばく防げた」-2号機に真水注入作業  時事通信

 東日本大震災で被災し、深刻な状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の3号機タービン建屋地下で作業員3人が被ばくした事故で、東電は26日、1号機の同建屋地下で18日の時点で高い放射線を検出しながら、現場の作業員に周知していなかったことを明らかにした。1号機も3号機同様、地下に高濃度の放射性物質を含む水たまりがあり、東電は「しっかりと注意喚起していたら、今回の被ばくは防げた」と認め、謝罪した。
 一方、同社は26日、1、3号機に続いて2号機でも、消防ポンプによる原子炉への真水注入を始めた。真水には核分裂反応を抑えるホウ酸を混入、2号機は中央制御室の点灯も同日中に行う。また、1~3号機のタービン建屋地下で高濃度放射能が検出された水を慎重に排出。4号機の水についても、濃度分析を急いでいる。
 東電によると、18日に1号機タービン建屋地下の放射線を測定。1時間当たり200ミリシーベルトの高い放射線量を観測した。24日午前9時には、同建屋地下の水たまりの放射能濃度を測るため水を採取したが、測定担当者は高い放射線が出ていることを意識し、短時間で作業を終わらせたという。
 しかし、被ばくした作業員3人にはこうした情報は伝わっておらず、3人は同日午前10時から3号機のタービン建屋地下で作業を開始。約2時間後に作業を終えた後、線量計の記録から最大約180ミリシーベルト被ばくしていたことが分かった。同社は、18日に検出された高い放射線量の情報について「知っていたのは1号機の関係者だけだと思う」とした上で、「情報の共有に甘いところがあった。反省している」と述べた。(2011/03/26-13:29)

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震災2週間、死者1万人超 各警察本部のまとめ  『河北新報』

 東日本大震災の死者は25日、各警察本部の午前11時のまとめで1万35人となり1万人を超えた。家族や親族が警察へ届けた行方不明者は1万7443人で、計2万7478人に上った。震災から2週間。ライフラインの復旧が進む一方で、生活再建の見通しが立たず、全国で約25万人が避難生活を強いられている。
 宮城県警によると、県内で確認された死者は6097人、行方不明者は6636人で計1万2733人。東京電力福島第1原発の事故の影響で、福島県内の被害把握が進んでいないこともあるが、全国の死者・行方不明者に対する宮城県の割合は約46%を占める。
 宮城県災害対策本部の発表では、避難者は前日から約1500人減り8万9592人となった。24日に10万人を切ったのに続き9万人を下回った。被災地で電気、ガスなどの復旧が進んでおり、帰宅する被災者が増えたとみられる。
 東北、磐越自動車道は全線で通行が可能になり、被害を受けた港もすべて再開、被災地支援の拡大が期待されている。一方、東北新幹線は盛岡―那須塩原間で再開の見通しが立っていない。
 福島第1原発の事故もあり、1都15県の避難所約1900カ所に約25万人が身を寄せている。
 政府は住宅や道路などの直接的被害だけでも16兆~25兆円に上ると試算している。 2011年03月25日金曜日

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MOX燃料:4月に日本へ 福島3号機と同タイプ
2011年3月26日 10時54分 毎日jp

 環境保護団体グリーンピース・フランスは24日、フランスの核燃料工場で再処理されたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船が、4月上旬にも日本に向けて出発すると発表した。

 運搬されるMOX燃料は福島第1原発3号機で使われているものと同タイプ。同原発の事故による不安が広がる中、危険を伴う遠距離海上輸送を実施し、日本に新たな核燃料を届けることに同団体は「フランス政府も核燃料会社アレバ社も全く無責任だ」と批判を強めている。

 輸送船はフランス北西部ラアーグの再処理工場で加工されたMOX燃料を積み、4月4日の週にシェルブール港から日本に向けて出発する見通し。一方、アレバ社は「その時期に出発する予定はない」と出発の延期を示唆している。

 日本の電力各社は、アレバ社に原発のプルサーマル用にMOX燃料の加工を依頼しており、これまで4回フランスから日本へ海上輸送されている。福島第1原発で現在使われている燃料は、このうち99年の1回目の輸送で運ばれたMOX燃料だという。(パリ共同)

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東北新幹線4月全線再開へ 東日本大震災

 東日本大震災で多くの設備が損傷し、那須塩原―盛岡間で運転を見合わせている東北新幹線が、4月中にも全線で運転を再開できる見通しであることが25日、分かった。

 JR東日本の調査では、大宮―いわて沼宮内間で線路がゆがんだり、高架橋が損傷するなど被害は約1100カ所に上った。

 復旧工事は順次進んでおり、あと1カ月程度で再開できるめどが付いた。ただ、大きな余震が続き作業が中断すれば遅れる可能性もある。
2011/03/25 23:15 【共同通信】

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 ↓ ここは情報量が多くて引用し切れない。25日の記事では原発とメディアとの人的関係を(ちょっと古いが)示していた。

cf.和順庭の四季おりおり

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被曝作業員の放射線量は2~6シーベルト やけど治療も
2011年3月25日23時11分  asahi.com

 福島第一原発で被曝(ひばく)した作業員2人が、汚染した水につかっていた足に浴びた放射線量は、約2~6シーベルトと推計されることがわかった。2人を検査した千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)が25日に発表した。10日ほどして足にやけどの症状が現れ、治療が必要になる可能性があるという。

 労働安全衛生法などで、作業員らが緊急作業時に皮膚に受けていいとされる放射線の限度量(1シーベルト)の2~6倍に当たる。今回の原発事故で1シーベルト以上の高線量の被曝は初めて。

 国際放射線防護委員会(ICRP)によると、今回のように皮膚の限られた部分に3シーベルト被曝した場合、一時的な脱毛が起こり、6シーベルトでは赤い斑点ができる。単純に比べられないが、全身の被曝量が3~5シーベルトだと半数の人が亡くなるという。

 放医研によると、2人とも現状では全身の状態に問題はない。白血球の数の変化や皮膚の状態を観察する。吸い込んだ放射性物質による内部被曝もあったが、治療は必要ないとみられるという。

 2人は24日、原発の復旧作業中に汚染された水が靴の中に入り、くるぶしから下に被曝した。

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放射性物質:食品や飲料水、規制値緩和へ 食品安全委  毎日jp

 食品や飲料水に含まれる放射性物質について、内閣府の食品安全委員会は25日、暫定規制値の根拠となっている健康への安全性の許容範囲を広げる方針を固めた。これを受け、厚生労働省は現在より緩やかな規制値を策定する見通し。暫定規制値は厚労省が17日に急きょ策定。原子力安全委員会の「飲食物摂取制限に関する指標」を用い、水や食品から1年間に摂取するヨウ素を50ミリシーベルト以下、セシウムを5ミリシーベルト以下としている。【小島正美、中西拓司】

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 泥縄で作った規制値を再度の泥縄で緩和しようとしているのだが、初動で躓くと後はもう国民の信用・信頼からは遠のくばかりである。

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 ↓ ホリエモンの発言が賛否両論、波紋を呼んでいる。(←波紋を起こす、反響を呼ぶやった!?俺も管並みの語学力や。あちゃ。)

1 名前:名無しさん@涙目です。(静岡県):2011/03/25(金) 23:15:00.06 ID:CxV0MLwy0 ?PLT
ホリエモン「いくら頑張っても100%の安全というのは無理なんですよ。
      99.9%の小数点以下の9の数をどれだけ増やせるかしかない。
      しかし、増やせば増やすほど比例級数的にコストは上がってくる。
      どこかでトレードオフするしかない。

Twitter民「車だってパソコンだって恋愛だって危険ちゃ危険ですもんね。」

ホリエモン「そう。まだ今回の原発放射性物質漏れ事故で死者いないのにこれだけ批判されるが、
      毎年数千人の死者を生み出してる自動車が批判されないのはなぜ?
      そしてほとんど誰も自動車反対運動をしないのはなぜ?
      安全対策は技術的にはもっと進められるのになぜしない?
      全てはトレードオフなんだよ。」
http://twitter.com/#!/takapon_jp/statuses/51281059568025600
http://twitter.com/#!/takapon_jp/status/51284087998132224
http://twitter.com/#!/takapon_jp/status/51284420375752704

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*私は『車社会』には批判を留保するものであるが、車と核は比較にならない。車は個々の事故を逐一集積しなければ数千数万の死傷者を出さないが、原発は一回の事故で計測不能の災害を齎し得る。
 原発なしで電力が賄えるなら推進論者でも廃止した方がいいと考えるに決まっている・・?

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*テレビでは高校野球もやっているし、競馬中継もお馬鹿さん番組もドラマも料理番組も、そして勿論震災報道・原発報道もやっている。こんなのを全部見ていたら頭がおかしくなる。

*政府は早期情報伝達の徹底化を東電に要請したと言うが、それは我々が政府に対して言いたいことだ。これでは悪戯のばれた子供が「悪いのはあいつだ」と他の子に責任をなすりつけているのと同じである。
 私は管ら四人組以外なら誰がこの国を仕切っても今より悪くなることはあり得ないと考えるが、これは暴論だろうか。
 いずれにせよ国全体としてはなかなかそういう気運にならず、我々はズルズルダラダラといつまでも無能な管一派に国政を委ね続けているのである。
 誰かが一言「倒閣」を言い出せば状況は一変するのではないか。

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「思いは見えないが思い遣りは見える。心は見えないが心遣いは見える」という公共広告機構のCMは余りに皮相的かつ俗流で良くない。
「思い」も「思い遣り」も「心」も「心遣い」も、見える人には見えるし見えない人には見えないのである。
 見えるからやれ、見えないからやらなくていいということではないだろう。
 具体的行動を採る採らないはまた別の問題なのである。

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被災企業、内定取り消し相次ぐ=従業員からも相談急増-東北3県
時事通信

 東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島各県の労働局に、被災企業から雇用計画の変更に関する相談が相次いでいる。既に福島労働局管内では、ホテルや旅館など十数社が高校生や大学生の内定を取り消した。会社や工場、店舗が津波で丸ごと流失したケースも多いとみられ、雇いたくても雇えない状況にどう対応するかが被災地の大きな課題となっている。
 宮城労働局職業安定部には水産加工業や製造業からの相談が27件寄せられた。うち半数が「採用を延期したい」という内容で、対象者は計約200人に上る。仙台市のハローワークでは新卒者対応の職員を昨秋から29人増員し、求人開拓に力を入れていたが、担当者は「中小企業の求人も、今となってはどれだけ有効なものが残っているか」と無念そうに話す。
 福島労働局で相次いだ内定取り消しは、直接的な震災の被害に加え、福島第1原発の放射能漏れ事故が背景にあるとみられる。同局は、内定者にできるだけの補償を行うよう企業を指導しているが、原発事故の影響が雇用面にさらに広がる恐れが懸念されている。
 宮城労働局によると、従業員側からの相談も700件を突破。26日に相談に来た旅行会社勤務の女性は3月末で契約を打ち切られると言い、「関東か関西で仕事を探す必要もありそう」と声を落とした。雇い止めのほか、「自宅待機に休業手当は出るのか」「給与が振り込まれていない」といった相談も多い。年度末を控え、退職金をめぐる相談も増えそうだという。同局は、被災者限定の求人票を避難所に提供することも検討している。(2011/03/26-20:47)

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放射線の専門家に自重を求める

テレビ出られて福島原発の放射線について「安全だ」と言っておられる専門家の方に自重を求めたいと思います。
わたくしたち原子力の専門家は、原子力や放射線の正しい利用を進めるために、国際的な勧告や放射線障害防止に関する法律を厳しく守ることを進めてきました。
決してレントゲンや CT スキャン等だけを参考にして安全性を議論してきたのではありません。また、1年間の被曝量で規制値を決めても、それは1年間ずっと続く場合だけではなく、規制値を超える場合には、危険があると考えて良いということだったのです。
委員会では、半減期はもとより、元素の種類による身体への影響等極めて詳細で厳密な議論を経て決めてきたのです。
確かに国際的な基準になっている空間の線量率が1年に1マイクロシーベルトという数値、WHO が定める食品の放射性物質の量など、日本の委員会では厳しすぎるという意見があったことは確かです。
しかしわたくしたちはそのような議論を経て、現在の基準を作ってきたのです。
特に私が問題だと思うのは、3ヶ月に1.3ミリシーベルトを超える場所は「管理区域」として設定し、そこでは放射線で被爆する量を管理したり、健康診断をしたりするということをわたくしたちは厳密に守ってきました。
福島市においては瞬間的な線量率が1時間に20マイクロシーベルと程度まであがり、現在でも毎時10マイクロシーベルトのレベルにあります。この線量率は、文科省の測定方法を見ると外部被爆だけであって、規則に定める外部被曝と内部被曝の合計ではないと考えられます。
今後、内部被曝などを考えると、毎時数マイクロシーベルトの状態が2、3年は継続すると考えられます。
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一方、福島市には、幼児や妊婦も生活しておられます。また、1時間だけの被曝量を言っても、その人たちは24時間ずっと生活をしているのです。たとえ屋内にいても換気をすればあまり差はありません。
放射線障害防止規則による妊婦の被曝量の限界は毎時約0.5マイクロシーベルトですから、私達専門家は福島県の東部の多くの市町村において、妊婦等の避難を勧告する立場にあるのではないでしょうか。
現在ではむしろ政府より放射線の専門家の方が「安全だ」ということを強調しているように見えますが、むしろ放射線の専門家は国際勧告や法律に基づいて、管理区域に設定すべきところは管理区域に設定すべきといい、妊婦の基準を超えるところでは移動を勧めるのが筋ではないかと思います。
その上で、政府や自治体がどのように判断するかというのは放射線の専門家の考えるところではないとわたくしは思います。
政治家やメディアでは「国民を安心させなければいけない」と言っていますが、現実に法律で定められた規制値を超えている状態を安全といい、それで安心していいというよりもむしろ、現実をそのまま伝えて判断を社会に任せるべきと思います。
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また我々は学問的立場で考えていますので、各々の専門家に各々の考え方があることは十分に知っています。
わたくし自身が国際勧告のレベルは少し厳しいと考えている人間ですが、しかし、放射線防護に関する日本の法律も50年を経ています。その間、十分に検討を尽くされてきたのです。わたくしたちは原発問題とか社会問題とは切り離して、厳密に放射線と人体への影響を考えて発言していかなければいけないと思います。
特に核分裂生成物に汚染された土地は、長寿命半減期の元素によって線量率は直ちに下がらないと考えられます。このような場所に長く生活しなければならない子供たちのことも考えて発言をお願いしたいと思います。
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むしろわたくしたちは、福島原発の事故がもたらす新しいこと、例えば東京のようなコンクリートとアスファルトで固まったところにどのくらいの残留放射線が残るかとか、福島第一、3号機のようにプルトニウムを燃料として用いている原子炉の放射性物質の影響等を至急検討する必要があると考えています。
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2011年3月26日のあるテレビの番組を見ていましたら、今まで「安全だ」と断言していた人が「私の言っている「安全」というのは東京だけだ」と最後にご発言になったのに強い違和感を覚えました。
東京が人口も多く、重要なことはわかりますが、最も危険なのは福島県とその周辺であり、安全だと発言されるには福島県の人のことを考えなければならないと思うからです。
わたくしの経験では、原子力や放射線を扱っている方々は決して不誠実な人ではありませんでした。むしろ会議等を行っている時にわたくしは、皆さんが十分に考え放射線の身体に対する影響を少しでも減らそうと努力されていると思っていました。
その我々の専門家の雰囲気をぜひ思い出していただきたいと思っています。
(平成23年3月26日 午前9時 執筆) 武田邦彦

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