場末の雑文置き場

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矯風会の話

2014年04月05日 | ジェンダー・家族等

NHKの朝ドラで村岡花子が主役になるという話を聞いたとき、矯風会での活動のことを取り上げてくれるだろうと期待していた。そのために「花子とアン」を見た。だから、つまらんラブコメに時間を割かれて矯風会のことを完全スルーされたことにはとてもガッカリした。

村岡花子と矯風会って、切っても切り離せない関係だったと思うんだがなあ。矯風会での活動のことは原作本にもしっかり書いてあったし。

なんでスルーされたのかっていう理由は、まあ大体見当がつく。
日本では、婦人運動っていうものに対してものすごくネガティブなイメージを持ってる人が少なくない。「フェミ」は生意気で、わけのわからんことでわめいてる女だって。で、場合によっては女性からも攻撃の対象にされる。おまけにNHKの会長はあの籾井だし、主人公が婦人運動やってました、なんてことが語られるはずもなかったんだ。
現在放送中の朝ドラ「あさが来た」の主人公、広岡浅子も矯風会と関わりがあったようだけど、そのことに触れられることはないだろうな。村岡花子の活動すらスルーされたんだから。

私の親戚には、昔矯風会で活動していた人が何人かいた。祖母もたしかそうだった。だから私はこの団体になんとなく親しみを持っている。そういうわけで、あまり詳しくはないけど、知っている範囲で矯風会についてのことを書いてみようと思う。

矯風会は日本で最も古い女性団体だ。1886年の創立で、市川房枝や平塚らいてうのいた新婦人協会よりも古い。女性参政権や禁酒、廃娼など、女性の地位向上を目指した活動をしてきた。
国際結婚をしたガントレット恒子(山田耕筰の姉)もいたし、近代日本の最初の女性医師、荻野吟子なんかもいたし、結構面白い面々が揃っていたようだ。
作られたきっかけは、アメリカの禁酒会で活動していたレビット女史の日本講演。これを聞いて感動した女性たちが、この会の日本支部を作ろうとしたのがはじまり。

初代会頭は徳富蘇峰の叔母、矢嶋楫子。この人は市川房枝なんかと比べると知名度が低いけど、本来だったらもう少し取り上げられてもいいんじゃないかと私は思っている。女子教育でも、婦人運動でも、かなり貢献してきた人なのに。
例の不倫問題(矢嶋楫子は妻のいる男性と関係し、子を設けている)が尾を引いてるんだろうか。男性だったらそれで大して評価は下がらないのにね。それに、不倫は良くないことだと思うけど、一番悪いのは配偶者がいながら浮気する方で、矢嶋楫子は独身だったからな。不倫はどんなケースでも女のほうが責められがちだけど。

矯風会、昔はかなり活発に活動していたようだが、今はあまり勢いがなくなってしまった。だけど、そんな勢いのないこの団体を妙に敵視する人がネット上では散見される。ネット上で声の大きい人達、つまり国士様とか、表現の自由の闘士様とか、その類の人たちね。
「国民が知らない反日の実態」ってサイトにも矯風会のことが載っている。反日団体として。まあ、ここに載るのは全然不名誉なことじゃないし、誉められるほうがヤバいよな。
某風俗ライターが矯風会と矢嶋楫子のことをえらい長文で批判してるのも見てしまった。風俗大好きな人からすれば、そりゃ廃娼運動やってた団体なんか憎くて仕方がないだろう。

買春をする人たちの中にセックスワーカーの味方を気取りたがる人が少なからずいるけど、壮大な勘違いだと思う。むしろ一番踏みつけている側なのに。
売春は病気になりやすくて危険な仕事だし、当時のセックスワーカーは家庭の事情で売られたりしていることが多かった。吉原も表向きは華やかに見えても、そこで働いている女性たちの状況は悲惨だったみたいだしね。

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