6月5日の金曜日に、フジテレビで「池上彰緊急スペシャル『反日』韓国の謎とは」という番組が放送されていた。
新聞のラテ欄には強烈な煽り文句が並んでいた。韓国の憲法前文は反日だとか、その他もろもろ。これだけで気分悪くなって番組本編は見なかったけど、twitterで確認したところ、想像通りの内容だったらしい。
この番組のコピーは「韓国が『反日』になった本当の理由、あなたは知っていますか?」。理由なんて考えるまでもない。植民地支配して、その精算がきちんと済んでないからに決まってる。
河野談話のようなものが出ても、それを必死に撤回したがったり、日本は悪くないんだって擁護する連中がいる。ネットでクダ巻いてるだけの一般人だけならともかく、それなりの地位にある政治家がそういう主張をしたりするから。
これとは別の番組で、以前池上彰が慰安婦問題について解説していたのを思い出した。アジア女性基金の話を出して、韓国側がこの基金の受け取りを拒否した、そして今でも問題がこじれていると。
日本側は精一杯の誠意を示した、それを拒否した韓国側に問題がある、という方向に持っていきたいのは見え見えだった。
慰安婦側には、お金が貰えればそれでいいんじゃない、政府にきちんと補償してほしいんだという気持ちがあったこと。一民間団体であるアジア女性基金がこの役割を担うことになったのは、政府が補償しようとしないからであること。こういった、拒否に至った背景や相手側の事情などについては一切説明されず。
このとき、池上彰は自分の意見を明確には述べなかった。「皆さん自身で考えて結論を出してください」と。明らかに一定の方向に誘導しておきながら、そういうことを言う。
これが、この人のやり方。自分の感情らしきものは出さず、中立風に見せるのが上手い。
池上彰のわかりやすい解説が好きだった時期もあった。この人が書いた本も何冊か読んだことがある。でも今はもう無理だ。
韓国sageに徹した番組が作られて、国士様たちは大喜びしている……かとおもいきや、これでも韓国に媚びすぎとお怒りのご様子。そして自称中立派の方々は「ウヨもサヨも文句言ってるw」とバカにしている。
自称中立派って実に厄介な存在だと思う。自分が中立だと称する人間は大概レイシストかセクシストだ。差別を煽る人間と差別を批判する人間を「どっちもどっち」だと評するのが、彼らにとっての「中立」。でもこういう人が平均的な日本人なのかもしれない。
韓国の人たちが日本を嫌うのと日本人が韓国を嫌うのだって、どっちもどっちじゃないよ。日本は加害者側なんだから。被害を受けた人で、まだ生きている人もいる。妙に韓国に対する被害者意識の強い日本人がネット上には少なくないけど、本当に不思議だ。
その翌日、6月7日の土曜日にも、池上彰は似たような煽り番組を別の局でやっていた。本当にどうしようもないな。