場末の雑文置き場

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イスラエルによる虐殺と西側の欺瞞

2023年10月14日 | 政治・社会

今、イスラエルはガザでの虐殺を続けていて、日本を含む西側諸国はそれを支持している。
本当に、イスラエル問題(敢えてパレスチナ問題とは呼ばない)では「先進国」と呼ばれる国々の勝手さ、ダブルスタンダードがはっきりとあらわれる。不当に攻撃されているウクライナの人たちを助けよう、などと言っているのも偽善でしかないことがよくわかる。自分たち側の国は何をやっても正しく、逆も然りということ。それだけ。この人たちの言う「人権」ってなんなんだろうな。

パレスチナは70年以上ずっと占領されている。そしてイスラエルの兵士や入植者たちのちょっとした気分で簡単に殺される。日常的に。子供も含めて。しかもそれがなんの罪にも問われない。ある日突然家が取り壊されたりもする。インフラもイスラエルに握られているし、イスラエル軍は医療従事者も記者も平気で攻撃する。そのことには声を上げずにずっと無視してきたくせに、イスラエル側に犠牲が出たときに限って声高に非難する。今回の、報復と称するイスラエルによる虐殺をハマースの攻撃と同じように非難することすらしない。クズすぎる。

フランスでもドイツでもイギリスでも、パレスチナ支持のデモが禁止されたらしい。民主主義が聞いて呆れる。ただ、デモに大勢の人が集まっていることには希望が持てるかな。

イスラエルとパレスチナは本当に非対称な存在で、占領と被占領という圧倒的な立場の差があるうえ、ホロコーストはみんな知っているのにナクバはほとんど知られていないということもある。ナクバというのは、イスラエル建国に伴ってパレスチナ人たちが虐殺され、故郷を追われた悲劇のことだ。しかもホロコースト自体にも、ユダヤ人だけがナチスに虐殺されたいう誤解が多くの人に共有されていたり(実際には障害者・性的少数者・ロマなども大勢殺されている)。
イスラエルは自分たちが攻撃的に振る舞うことを正当化するためにホロコーストの歴史を大いに利用しており、そういう意味でドイツはパレスチナの間接的な加害者だ。ドイツはアメリカらと一緒にイスラエルを支持する声明を出す前に、ユダヤ人だけでなくパレスチナ人に対する自らの加害性について省みるべきだ。

イスラエル問題の本質を知るためには、最低でもナクバの頃まで遡らないといけないと思う。起点をハマースにするのは根本的に間違っている。シオニストたちは「土地なき民に、民なき土地を」のスローガンのもとパレスチナに入植してきた。そこには人が住んでいて、「民なき土地」などではなかったにもかかわらず。なんでこんな認識になったのかといえば、西洋人以外を同じ人間とみなしていなかったからなのではないか。
そしてパレスチナの地はユダヤ人たちにとって2000年前からの約束の地だったという理屈をつけて先住民であるパレスチナ人を追い出したことを正当化したわけだが、2000年前なんて古すぎて今住んでいる人を追い出す理由としてめちゃくちゃすぎるうえ、当時移住してきた白人中心のユダヤ人たちは2000年前のユダヤ人の子孫ですらない。
そして、イスラエルは今、パレスチナ人たちは先住民ではなく後から侵入してきたのだという嘘の歴史を教えているらしい。日本と同じ、歴史修正主義を国家ぐるみでやっている。

よく誤解されるが、イスラエルはユダヤ人の代表ではない。シオニストの代表だ。そしてイスラエルに批判的なユダヤ人は少なくはない。ただそうしたユダヤ人の声はあまりメディアなどで取り上げられることはなく、残念ながらシオニストの方が圧倒的な権力を持っている。シオニストたちはユダヤ人とイスラエルをほぼ同一視させようとするキャンペーンを繰り広げていて、イスラエルを批判する者に「反ユダヤ主義者」のレッテルを貼る。このレッテルは欧米ではとても不名誉なものらしく、効果絶大だ。

私も暴力には反対だが、植民地支配され、希望を全て奪われている人たちの抵抗のための暴力を非難する資格は私にはない。ハマースを非難する資格があるのはパレスチナ人だけ、という意見も何度か聞いたが本当にそのとおりだと思う。
「武装組織」を悪魔視するのも違う気がする。最初は非暴力での解決を望んでいて、でもそれは叶わなくて絶望した、普通の善良な市民が武装組織に入ったりする例は多い、と聞いている。黙って殺されるのを待つくらいなら敵を巻き込んで死にたい、となってしまうのを、平和にぬくぬくと暮らしている人間が非難していいんだろうか。まずは、イスラエルによる占領と暴力を終わらせなければなにも解決しない。


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