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山本周五郎人情時代劇 第八話「あだこ」感想

2016年01月14日 | BSジャパン時代劇

前回と同じく悪役もいなくて誰も死なない、明るい話だった。女性受けよりは男性受けが良さそうな感じの、男の夢ファンタジー。
無気力ニートのもとに、ある日突然若い女の奉公人が来て、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれて、顔をわざと汚しているけど洗ったら美人でした、なんてね。まるで今時のラノベのようじゃないか。

こう言っちゃなんだが、あだこって要するに「都合のいい女」なんだよな。あだこだけじゃないか。友人たちもそうだな。主人公の周りにいる人たちみんながいい人で、親身になって主人公を助けてくれる。接待してくれる。主人公自身は……特になんもしてないね。

主人公の周りはいい人ばっかり。でもあだこは周囲の人に恵まれず、ずっと苦労してきたんだよね。母親からも守ってもらえず。
夢物語みたいな話なのに、あだこの回想部分だけは妙に生々しくて現実的だった。当時、弱い立場の女性に狼藉を働くクズ、実際多かったんだろうな。

ラスト、結局二人は恋愛関係になるっていう解釈であってるのか? 素直に見るとそうなるよね。
ただ、恋愛話にするには、主人公に魅力がなさすぎる気がしないこともない。主人公があだこに惚れる要素は沢山あるけど、あだこが主人公に惚れる要素が全く思いつかん。事情があるとはいえ、ただの怠け者だしな。乱暴なことをしなかったのは他の奴らより幾分マシかもしらんが、それって本来当たり前のことだし。

こんなこと書いてると批判してるみたいだけど、好きなんだよこの話。爽やかなハッピーエンドで良かったし。
筋だけ書くとすんごい陳腐な感じになるんだけど、見てる最中はそんなこと気にならなかった。後で冷静になって考えてみるとラノベだなと思うだけで。

見せ方がうまいのかな。時代劇というクッションもいい方向に働いていて、都合の良さへの違和感をかなり緩和してくれていた気がする。
主人公がお米屋さんに説教されるシーンなんかは本当に素晴らしかった。お米屋さん、出番は少ないながら、あの一シーンだけでものすごいインパクトを残してくれた。


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