安倍晋三から100万円を有り難く頂いた森友学園理事長(当時)籠池泰典が数々の補助金詐欺疑惑で攻勢から一変、守勢一方に立たされている。
籠池泰典は2017年7月31日、大阪地検特捜部は在宅で取調べていた籠池理事長を逮捕した。容疑は実際の小学校建設工事費15億5500万円に対して設計会社役員らと共謀、23億8400万円と記載した虚偽の工事請負契約書を2016年2月下旬に提出、木材使用の先進的な建築を対象に支給される国の補助金計約5600万円を詐取したというもの。
2017年8月21日、大阪地検特捜部は籠池泰典を再逮捕、妻も逮捕した。容疑は森友学園運営の幼稚園を舞台に障害児童数と専従教員数を水増し申請して大阪府の補助金合わせて約9200万円を詐取したというもの。
その内容が酷い。実際に在園している障害児童に対して専門の職員を配置するなどの特別な支援を一切行わず、補助金の申請に必要な保護者の同意も得ていなかった疑いがあるという。
籠池泰典は補助金詐欺を働いているなどとは思ってもいないだろう。教育にはカネがかかる、日本の教育のために補助金を最大限に活用しているに過ぎない、最終的には日本の教育に利益は還元される。何事もウラがあるんだと自己を正当化し、結果、海千山千の処世術となって現れているはずだ。
一つ一つの正当化が自身の生き方の正当化へと繋がっていく。生き方さえ正当化できれば、罪の意識は毛程もなしに教育に関するありとあらゆる補助金制度を虚偽申請を用いて利用、得た補助金を日本の教育のために活用しているという“好循環”の信念を手に入れることができる。
籠池泰典は自身が抱いているのと同じ天皇主義・国家主義の思想を安倍晋三が血とし肉としている近親性から極めて高い尊敬の対象にしていた。建設を計画していた瑞穂の國記念小学院の名前を当初安倍晋三記念小学校と命名を希望、安倍晋三に断られて断念していたが、尊敬自体は相互の思想の近親性が理由となっていたとしても、安倍晋三という政治家の存在を国有地をタダ同然(不動産鑑定評価額約9億5600万円に対する購入額約1億3400万円はタダ同然に当たる)で手に入れるために利用したのは世の中は何事もウラがあり、自分なりのウラを活用してきた信念となっている生き方がある種の嗅覚を身に付けさせていて、安倍晋三に似た者同士を嗅ぎ取っていたからであろう。
もし安倍晋三がウラ・オモテの些かもない、自分とは似ても似つかない清く正しい政治家だと嗅ぎ取っていたなら、経験上、ウラでの相互利用の関係は拒絶するだろうと分かっているだろうから、晋三の妻安倍昭恵を通して安倍晋三の名前を利用するようなことは考えもしなかったはずだ。
政治資金規正法は第21条で個人献金は2千万円を、資本金50億円以上の企業は3千万円を、資本金10億円以上50億円未満の企業は1千5百万円を、資本金10億未満の企業は750万円を超える企業献金を禁止している。
一方で第12条で、個人献金5万円以上に対して領収書を提出、その領収書(写し可)と共に政治資金報告書に記載しなければならないとし、収入が1千万円以上の政治資金パーティーについては20万円を超えるものについては領収書と共に支払者の氏名等を記載した政治資金報告書を提出しなければならないとしている。
問題は政治資金パーティーである。5万円のパーティー券を同一企業が50枚100枚と購入しても、企業自体が購入した形式を取らずに従業員50人100人の名前を使って、勿論、本人の許可を取るというよりも上からの指示で承諾させて購入し、そういったパーティーが年3回、4回あったとしても、各パーティの合計額が1千万円を超えなければ、報告しなくてもいいし、あくまでもパーティー券の購入代金であって、個人献金ではないから、一人ひとりに対しての領収書も不要となり、例え各パーティーの収入が1千万を超えたとしても、全体の収支の報告だけで済ませることができて、パーティー参加者に対する領収書不要ということは前者・後者いずれの場合も収入金額を操作できることになる。
籠池泰典は政治の世界でもこのくらいのウラがあることは承知しているだろうし、政治家にしても政治はカネがかかる、日本の政治のために国民の浄財(=献金)を最大限に活用しているに過ぎない、最終的には国家建設に利益は還元される、何事もウラがあるんだと自己を正当化していることも飲み込んでいるはずでである。
籠池泰典はこのように何事もウラがあることを知っている海千山千の処世術を手に入れた似た者同士だと自らの嗅覚を以てして見做して、安倍晋三に近づけさせたに違いない。
その嗅覚が当たって、オモテに出さずにウラのことに収めておくようにとの意味で名前を出さないようにとの断りと共に安倍昭恵の手を通して100万円を受け取ることになった。
その瞬間、海千山千の処世術を以てして生きる者同士としての親近感を強く抱いたに違いない。