安倍晋三のパフォーマンスに現を抜かしている場合ではない福島復興遅れ

2013-05-15 04:25:24 | Weblog

 安倍晋三のパフォーマンスが続いている。4月27、28日の2日間、「ニコニコ動画」のイベント「ニコニコ超会議2」が千葉市の幕張メッセで開始された。

 ネット政治時代を迎えて自民、民主、日本維新の会、共産の計4党が特設ブースを解説。それぞれアピールをしたと言う。

 初日27日の午後、安倍晋三は自衛隊ブースに赴き、「10式戦車」(ひとまるしきせんしゃ)に自衛隊の迷彩服を着用、ヘルメットをかぶって試乗。内心の国防軍願望を表現したのかもしれない、右手を高々と上げるパフォーマンスを見せた

 5月5日こどもの日の午後、わざわざ東京ドームで国民栄誉賞授与式を開催、一方の受賞者松井秀喜をピッチャーに、もう一方の受賞者長島茂を打者に仕立てて、授与者安倍晋三が審判を務めるという、明らかに人気取りのパフォーマンスを演じている。

 5月11日夕、南こうせつのコンサートに飛び入り参加、「女房から絶対に歌うなと言われているが、ここは度胸で」(47NEWS)と約3千人の聴衆を前に南こうせつデュエットを披露。
 
 5月12日、東日本大震災被災地宮城県女川町を視察。午後、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地を訪問、殉職隊員の慰霊碑に献花後、自衛隊の操縦服を着込んでブルーインパルスの一機に試乗、得意気に親指を突き立てるポーズを見せている。

 安倍晋三「復興の加速化は私の使命だ。先頭に立って希望あふれる東北をつくりあげる。ブルーインパルスの勇姿は希望の象徴だ」(MSN産経

 「復興の加速化は私の使命」と言おうと、復興の先頭に立とうと、ブルーインパルスの勇姿が希望の象徴であろうと、親指を突き立てたことについては復興に即したポーズだったのだろうか。

 いわば復興の結果を出している自らの成果に対してのその見事さを誇る行動の一つだったのだろうか。

 単にブルーインパルスに試乗した高揚感からの親指の突き立てだったとしたら、あまりにも個人的な感情の発露にとどまる。

 ブルーインパルス試乗後、仙台東地区の農地の復旧状況を視察、田植機に試乗し、田植えに参加している。

 農家の人から左にハンドルを切るよう指摘されると、「どうしても右に行くってよく言われるんだ」(MSN産経)と冗談。

 このような冗談を口にする安倍晋三の心理状況にしても、最大公約数の被災者が復興が進んで日常普段に心置きなく冗談が言える程の心の余裕を取り戻している心理状況と対応させることができるのだろうか。

 こんなことを書くと、冗談も言えないのかとなるが、多くの被災者が心の余裕を取り戻しているとはとても言えない状況にあった場合、復興を主導する政治家一人の冗談に素直に付き合うことができるだろうか。苦々しく感じる被災者も少なくないはずだ。

 被災者の多くがもしこういった心理状況にあるなら、安倍晋三の冗談は被災者とは孤立した冗談でしかなくなる。

 次の記事を見ると、パフォーマンスに現(うつつ)を抜かしている場合ではないと思わせる。

 《使われない復興予算 1兆2600億円余りに》NHK NEWS WEB/2013年5月11日 17時45分)

 NHKの取材での判明だそうだ。被災東北3県と市町村で昨年度未使用、今年度繰越しの復旧・復興関連事業関連予算が合わせて1兆2600億円余りにも上るという。

 繰越し予算の内訳。

 ▽道路や漁港などのインフラ復旧費が2613億円
 ▽除染費用が1909億円、
 ▽漁港のかさ上げなど水産業関連費用が940億円
 ▽内陸や高台への集団移転費用が426億円

 要するに予定していた復興が予算額で言いうと、1兆2600億円分遅れていることになる。

 繰り越した理由。

 31の県と市町村
 工事を請け負う業者、作業員、資材の不足で、入札が成立せず、契約に結びついていない。

 27の県と市町村
 職員不足から集団移転や災害公営住宅の事業で用地確保の交渉などが進まず、業者と契約ができない。

 東北3県と津波被災地や原発事故の避難区域を持つ39の市町村の今年度の職員不足は1991人。

 内、国が各自治体に呼びかけて被災地への職員派遣が決まった人数は今年3月末の時点で1409人、582人が不足。

 去年1年間に東北3県で発注された工事で業者が集まらず入札が成立しなかった事業。

 ▽宮城県28%
 ▽福島県20%
 ▽岩手県12%

 国は原則、業者が負担することになっている作業員の宿泊費用や交通費などを肩代わり負担することで、被災地以外からも作業員が確保できるよう促し、被災地に生コンクリートを生産する工場を建設して資材の供給量を増やすことを決めているが、追いついていない。

 記事は地方財政に詳しい増田聡東北大学教授の発言を伝えている。

 増田聡東北大学教授(改めて復興の遅れが裏付けられたとしたうえで)「この状態が続くと復興に向けたプロジェクトが効率的に行われるかどうかといった問題が出てくるおそれがある。

 (入札業者の参加不足について)国は様々な対策を導入しているが、うまく復興につながるようにはなっておらず、なかなか特効薬はない。今後事業が本格化するなかで一つ一つの自治体ごとではなく、広域でどの事業を優先して行うかといった議論も必要だ、

 (自治体の職員不足について)民間の方が豊富にノウハウをもっていることもあるので、行政と民間企業との役割分担を検討したうえで、やれるものについては業務を委託すべきだ」

 勿論安倍政権のみに責任があるのではない。民主党前政権にも責任がある。

 だからなおのこと復興の遅れが恒常化しないように効果的な政策を迅速に打たなければならないはずだ。

 なのに安倍晋三はパフォーマンスに現を抜かして一人悦に入っている。

 例えそのパフォーマンスが体裁は被災地で復興をアピールする形を取っていたとしても、復興が遅れている以上、実質的には復興を顧みていない、復興とは孤立したパフォーマンスということになって、内閣支持率の高さに裏打ちされた、そのことに得意な気分となったパフォーマンということだけが残ることになる。

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