谷垣自民党総裁には次期政権を任せる力量はないことと野田首相の手から解散の専権事項は離れた

2012-08-10 11:01:40 | Weblog

 8月8日午後7時半から野田首相と谷垣自民総裁が国会内で党首会談、解散時期の「近いうちに信を問う」の両者合意が早くも迷走状態に入り出した。

 城島民主党国対委員長(9日)「1票の格差の是正や、国会議員の定数削減を盛り込んだ衆議院の選挙制度を改正するための法案は、なんとしても成立させたい。これをやらずして解散ということはあってはならない」(NHK NEWS WEB

 各党の党利党略から簡単には一致を見ない、それゆえに熱心に取り組んできたわけでもない衆議員選挙制度改革を持ち出し、一致に必要な長い時間に見合った解散先送りの欲求をありありと披露に及んでいる。

 「『近いうちに信を問う』という言葉に拘る必要はない」とシカトを決め込もうとしていた輿石民主党幹事長が9日、具体例を上げて無効となるケースを示した。
 
 輿石幹事長「来月には民主党代表選挙と自民党総裁選挙があり、2人とも交代することはないと思うが、仮に2人が交代すれば、2人の話は終わりだ。合意がまだ継続していると考えるならば、再度やればいい」(NHK NEWS WEB

 社会保障と税の一体改革関連法案が参院を通過したなら、野田降ろしに取りかかる号令かと勘繰ってしまった。

 この輿石発言に対して谷垣自民党総裁の9日夜、記者団に語った反論。

 谷垣総裁「論評のしようがない。社長が替わったら、社長同士が話し合って決めたことを、全部、一から始めなければと言っていたら一般社会人として通用しない。与党の幹事長がよくそんなばかなことを言えると思う。政治家失格だ。

 (赤字国債発行法案の取り扱いについて)予算のムダを省くなど、いろいろやることがある。早く解散して、新しい体制のもとで整理して通すのが王道だ」(同NHK NEWS WEB

 では、「社会保障と税の一体改革」関連法案修正協議入りの条件に消費増税法案成立と引き換えに衆院解散の確約させる「話し合い解散」を求め、その線に添って3党合意し、解散の確約が怪しくなると、衆院内閣不信任案の提出だ、参院問責決議案の提出だ、確約がなければ参院は関連法案に反対だの条件闘争を持ち出したことは胸を張って「王道だ」と言えるのだろか。

 野田首相にしても参院採決先送りの政局に転じようとしたものの、谷垣自民党側にしても党利党略剥き出しの政局で対応しようとした。

 3党合意による「社会保障と消費税増税等の一体改革」は解散時期明示の道具として賛否の態度を決定することができる程に軽いものらしい。

 そういった姿勢を見せること自体が既に王道とは程遠い不純な態度そのものとなっている。

 なぜ話し合い解散などといった密室の取引に陥りやすい分かりにくい手を使ったのだろうか。大体が消費税増税政策も増税率も民主党と自民党はほぼ同じだが、その使途と社会保障制度改革の内容が大きく違う。民主党は年金制度一元化や最低保障年金といった新制度を持ち出しているのに対して自民党は現行制度の改善でいく、大違いの政策を取っている。

 また、野田政権の消費税増税はマニフェストに書いていなかったことで、マニフェスト違反だと激しく批判を繰り広げていた。

 「消費税増税率は同じだとしても、民主党の増税はマニフェスト違反であり、民主党の社会保障制度は我々のと大きく違っているゆえに賛成はできない。マニフェスト違反の是非を問うためにも解散して、どちらの社会保障制度と税の一体改革を選択するか、選挙を行うべきだ」と言った方が国民に分かりやすい方法だったはずだ。

 公明党も民主と自民の修正協議に後から参加する前は消費増税法案否決・解散総選挙の構えを基本姿勢としていたのだから、公明党の協力は問題なく獲得できたはずだ。

 野田政権にしても、参院で賛成を得ることができなければ、解散して、国民の判断を仰ぐしかない。

 多分、消費税増税に関わる賛成・反対の世論が賛成が少し上回る形で約半々の状況で推移していたことから、双方消費税増税を掲げて選挙を戦ったとしても、消費税増税反対の中小野党に票が流れる可能性を計算して、自分たちの議席を減らす恐れから民主党政権のうちに増税を決めてしまった方が面倒はない、後腐れはないと色気を出したといったところではないだろうか。

 そういった色気のために解散を確約させる、あるいは解散の密約を交すといった分かりにくい手法を選択したとしたら、まさしく王道から遠く離れることになる。

 正々堂々と正面から解散を求める戦術を採らずに解散を法案賛否の道具とする、王道とはかけ離れた不純な政治手法に走ること自体、例え次期総選挙で自民党が第一党を取ったとしても、谷垣総裁には既に次期政権を任せる力量はないと言える。

 解散時期の明示がなければ衆院不信任案提出だ、参院問責決議案提出だ、参院は法案には賛成できないとあれ程騒いでいたのに、党首会談で一転して、「近いうちに信を問う」という国民には分かりにくいゆえに国民に対する説明責任を果たすことができない内容で(それとも説明できると思っているのだろうか)決着をつけた腰砕けを新党「国民の生活が第一」の小沢代表が批判している。

 《小沢氏“自民迷走は今の政治の象徴”》NHK NEWS WEB/2012年8月9日 18時48分)

 衆議院の会派の全議員総会での発言だそうだ。

 小沢代表「ここ数日間は、いらぬ気遣いをさせられたが、『大山鳴動にしてなんとか』という結果になった。勇ましいことを言っても、いざ最後になると、腰砕けになるというのは、最近ではよくあることだが、半世紀も政権を担い、今なお第2党の自民党の総裁らが、このように迷走するというのは、今日の政治を象徴しているようで、心配でならない。

 私どもは、政権交代の大義や初心を堅持することが、国民の期待に応えることだと考えている。きょうの内閣不信任決議案の採決でも、堂々とわれわれの主張と姿勢を堅持しつつ、頑張りたい」

 当然、例え次期選挙で自民党が第一党を取ったとしても、これだと決めて突破するのではなく、決断力なく迷走するような谷垣総裁には首相として次期政権を任せる力量はないということになる。

 藤村官房長官は野田首相の「近いうちに信を問う」の解散時期提示に関して次のように発言している。

 藤村官房長官「受け止め方はさまざまあると思う。ただ、衆議院の解散は、総理大臣の専権事項であり、ほかの人が憶測を述べるのは適切ではない」(NHK NEWS WEB

 「近いうちに信を問う」の解散時期に関しては野田首相と谷垣総裁の間で合意したのである。あるいは山口公明党代表を加えて三者で合意した。
 
 合意は一種の契約である。契約である以上、「近いうちに」がいつなのか、三者が決めることになる。決して野田首相一人で決めていいことではない。

 いわば解散が総理大臣の専権事項であることから離れたのである。
 
 野田首相一人で決めることができるなら、合意の意味を失うし、契約の意味も失う。例え確認書の形を取らなくても、口頭の契約であっても、契約として生きる。

 後は信義の問題である。野田首相が菅仮免みたいに信義を欠く男なら、何をか言わんやである。

 このことを裏返して言うと、野田首相は菅仮免みたいな人間になるかならないかの瀬戸際に立たされているということになる。

 信義を欠くことによって首相の専権事項としての解散権を手元に置いておくことができる。

コメント (1)
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