森本防衛相の「想像していた以上に」なかなかの役者だと思わせるオスプレイパフォーマンス遊覧試乗

2012-08-05 12:12:03 | Weblog

 我が日本の森本防衛相が訪米、日本時間の8月4日未明、ワシントン郊外の国防総省でパネッタ国防長官と会談したあとオスプレイに約1時間試乗、その安全性を確認した。

 《防衛相“想像以上に飛行が安定”》NHK NEWS WEB/2012年8月4日 9時5分)

 1時間試乗して安全性を確認できるということは最初からその安全性に疑いもないことを前提としているからだろう。

 乗用車の試乗販売展示会に出かけて、一回り試乗、なかなかいい車だと契約するのは、最初からその車の安全性を前提としているからだ。

 要するに森本オスプレー試乗は安全性を確認するための試乗ではない。安全性を確認すると称したパフォーマンスに過ぎない。実質は遊覧試乗といったところだろう。

 パフォーマンスの遊覧試乗だというのに、「想像していた以上に飛行が安定していた」とは、なかなかの役者だ。政治家の中には菅や野田首相や仙谷や前原といった役者が揃っているが、民間評論家出身の森本防衛相までが役者だとは、隅に置けない。

 隅に置けない役者同然だから、防衛相として政治の表舞台に立つことができたのかもしれない。

 試乗後の記者会見。

 森本防衛相「想像していた以上に飛行が安定していて、短距離で離着陸するので、全体としては市街地にあまり大きな影響を与えることはないだろう。

 私が乗っただけで沖縄の人たちを説得できるとは思わないが、今月中、できるだけ早い時期に沖縄に行き、仲井真知事に説明したい」

 パフォーマンスに過ぎない約1時間の遊覧試乗を以ってその安全性をオスプレー配備に反対している地元首長や地元住民に保証できると考えている根性の点でも、「想像していた以上に」なかなかの役者だと思わせる。

 根性はときに図々しさを必要とする。森元首相の根性の場合、図々しさが優っているようだ。100%中、90%は図々しさが占めているに違いない。

 森本防衛相パフォーマンス遊覧試乗の間のオスプレイの飛行はヘリモードでの離着陸や、ヘリモードから水平固定翼への変換と水平飛行、その逆の飛行、そして高度を下げて地上近くでホバリング態勢に入り、着陸して直ちに離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を行ったりしたそうだ。

 要するにこれまでの墜落等の事故を設計のミスではない、機体上の欠陥ではない、操縦などの人為的ミスだとして公表している人為的ミスの内容通りに条件づけた飛行は試していない。

 ミスした操縦なのだから、真似しなくてもいいと言うかもしれないが、オスプレイの2001年から2012年までの11年間の事故発生件数は40件だそうで、これらの事故はオスプレイが機体上の欠陥は抱えていないとするなら、全て人為的ミスとなって、あまりにも発生頻度の高い人為的ミスの誘発は機体上の安全性の裏に隠れた何らかの欠陥、あるいは欠陥を隠した安全性が誘発していると考えないと、あまりにも多過ぎて不自然である。

 このことを証明する記事がある。《オスプレイ“小さな操縦ミスも事故に”》NHK NEWS WEB/2012年7月14日 11時50分)

 アメリカ国防総省の関係機関である国防分析研究所でオスプレイの性能に関する分析を行い、2003年に評価書を纏めたレックス・リボロ元分析官がNHKのインタビューに応じて明らかにしたという。

 レックス・リボロ元分析官「沖縄の空港周辺を飛行しているかぎりは、現在、普天間基地で運用されているヘリコプターより安全だ。

 (但し)通常の航空機と異なり、オスプレイの場合は、パイロットの小さなミスが大事故という結果をもたらすことは当初から明らかだった。特に戦場で使用された場合に事故が懸念される。

 (米軍・モロッコ軍合同訓練中のモロッコ墜落事故は)回転翼を動かすスイッチを数分の一秒、長く押したために発生したものだ。パイロットのミスではあるが、ひどい操縦だったとは言い切れない。

 オスプレイの事故発生率は今後、悪化していくだろう」――

 「パイロットのミスではあるが、ひどい操縦だったとは言い切れない」「回転翼を動かすスイッチを数分の一秒、長く押した」だけで合同訓練中の米兵2名死亡・2名重症の墜落事故を起こす人為的ミスは機体上の安全性の裏に隠れた何らかの欠陥の存在を考えなければ理解できないはずだ。

 あるいは欠陥を隠した安全性を考えなければ、理解できない。

 とすると、レックス・リボロ元分析官が「沖縄の空港周辺を飛行しているかぎりは、現在、普天間基地で運用されているヘリコプターより安全だ」と言っていることは、「特に戦場で使用された場合に事故が懸念される」と言っていることと併せて考えると、訓練時や戦闘時のような急旋回、急降下、急上昇を伴わない飛行をしている限り、あるいは急旋回を伴った急降下、急旋回を伴った急上昇といった操縦を行わない飛行をしている限り、そのような限定条件下では現運用のヘリコプターよりは安全だする趣旨の発言となる。

 この趣旨からすると、森本試乗は安全性を保障された試乗ということになって、まさしくパフォーマンス遊覧試乗そのものだったと言うことができ、この表現は妥当性を得る。
 
 但し沖縄空港周辺飛行が常に急旋回や急降下、急上昇を伴わない好環境の飛行条件を常に約束するのだろうか。次の記事がその懸念をもたらす。

 《オスプレイ:「弱点」指摘…米軍系研究所、03年に意見書》毎日jp/2012年07月14日 02時33分)

 再びレックス・リボロ元分析官の登場である。この記事ではレックス・リボロ博士(68)となっている。

 元空軍パイロットで米国防総省の国防分析研究所(IDA)でオスプレイの分析官だったレックス・リボロ博士が同研究所のもとでオスプレイの危険性に触れた8ページの意見書を纏めた。 

 国防総省の責任者はオスプレイ開発に否定的な意見書の受け取りを最初は拒否した。

 〈リボロ氏によると、マニュアルには角度を変えて飛行モードを切り替える際の規定が明確に定められているが、戦闘任務や実戦を想定した訓練では規定を超えた急な切り替え操作を迫られる局面があり、墜落の危険性もあるという。〉――

 レックス・リボロ博士(7月11日の毎日新聞の取材に)「平時に飛ぶ限り何の問題もないが、戦闘任務では事故が続くだろう」

 要するにオスプレイーは戦闘任務向きではない、民間任務向きだと言っている。

 レックス・リボロ博士(日米両政府の説明には)「事実の歪曲(わいきょく)がある」

 どういうことかと言うと、〈米海兵隊は離着陸時に両翼のエンジンが同時停止した場合、降下による空気抵抗で回転翼を回転させ、揚力を利用して着陸するオートローテーション機能があると説明してきた。

 しかし、試験飛行では落下速度を十分に抑えることはできず、墜落を防ぐためエンジンを再起動せざるを得なかったという。〉――

 実際のエンジン停止の場合、オートローテーション機能は役に立たないということである。

 レックス・リボロ博士「『オートローテーション機能はないが、両エンジンが止まる可能性は極めて低い』と沖縄の人に説明すべきだった」

 班目原子力安全委員会委員長の福島原発事故海水注入時の、「再臨界の可能性はないが、ゼロではない」の発言同様に、「両エンジンが止まる可能性は極めて低い」としても、ゼロではないはずだ。

 このゼロではないとする根拠は記事の次の記述から証明できる。

 〈ヘリは急降下した場合、回転翼による下向きの風と下降することによって生じる地面からヘリに吹き上げる風がぶつかって「渦巻き状態」(VRS)と呼ばれる不安定な状態に陥る。とくにオスプレイは二つの回転翼があるため、より複雑な気流が発生し、操縦不能になりやすいという。〉――

 このことは明らかに機体上の欠陥である。この機体上の欠陥に、「回転翼を動かすスイッチを数分の一秒、長く押」す条件が重なった場合、墜落が起きないと保証できるだろうか。

 〈地面からヘリに吹き上げる風〉が大した風でなければいい。そこに強風という悪条件が重なった場合、操縦不能は最悪の影響を受けるはずだ。

 沖縄は台風地帯である。台風の大雨を受ける前から、強い風の影響を受ける。いわば大雨が降っている時間よりも強風が吹いている時間の方が遥かに長い。

 穏やかな風ばかりを提供してくれるとは限らない気象条件下での飛行の機会が操縦不能の可能性をゼロとしないはずだ。

 また、台風という条件下で急旋回や急上昇、急降下、急上昇、あるいは急旋回を伴った急上昇、急降下といった訓練時、戦闘時のような飛行を強いない保証があるのだろうか。

 モロッコ墜落事故は人為的ミスだとしているものの、風が影響していることを森本防衛相自身が米側の説明として発言している。一度ブログに使ったが、6月26日の記者会見。

 森本防衛相「(フロリダの墜落について)射撃訓練中、プロペラを上向きと前向きの中間の位置で飛行している最中に墜落し、炎上した。

 (モロッコの墜落について)プロペラを上向きから前向きに傾ける動作を行いながら、追い風を受ける方向に旋回したことで、機体がバランスを崩した」

 モロッコの墜落は風の影響を原因の一つとしているが、両事故とも、プロペラが垂直方向と水平方向の途中にある飛行時点での事故となっている。

 ここに操縦上の欠陥、もしくは弱点があり、風という条件が加わると、操縦不能に陥りやすいことの証明であろう。

 以上見てきたようにオスプレイは機体上の欠陥、もしくは弱点、操縦上の欠陥、もしくは弱点を抱えている。このような機体上・操縦上の欠陥、もしくは弱点と同じ条件を課さないたかだか1時間程度の試乗を以て安全性が確認されたとすることはできないはずだし、遊覧飛行だと言われても反論はできない。

 例えば強風の日を選んで、プロペラを垂直方向と水平方向の中間の位置に置いた状態で急旋回や急降下、急上昇、あるいは急旋回を伴った急降下、急上昇の飛行実験や、米側はオートローテーション機能を有していると言っているのだから、飛行中に両エンジンを停止して、降下による空気抵抗で回転翼を回転させ、揚力を利用して着陸する実験を何回か行なって見るべきだろう。

 そういう過酷な条件下の試乗を行なって何事もなかったとき初めて、「想像していた以上に飛行が安定していた」と言うべきである。安全性を前提とした安全性確認のパフォーマンス試乗ではないことになり、役者であることを免れることができる。

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