詭弁家枝野のやらせメール九電原発再稼働問題に見る合理的厳格性を欠いた越権行為

2011-11-18 10:25:12 | Weblog

 九電のやらせメール事件。これまでの経緯をざっとお浚いしてみる。 

 九電の玄海原子力発電所2・3号機運転再開に向けた経済産業省主催「佐賀県民向け説明会」で運転再開に関して地元の形勢有利とするために九州電力が関係会社の社員らに運転再開支持の電子メール投稿を指示していた世論偽装工作事件の原因分析や再発防止を目的に九電自身が設置した第三者委員会の中間報告書、最終報告書が共に古川康佐賀県知事の関与を指摘。

 だが、九電はこの最終報告書に対する対経産省提出の自らの最終報告書で知事の関与を否定したばかりか、経営責任を明確にするためと表明していた社長辞任を撤回、続投を決定し、第三者委員会の検証意思に反する姿勢を示した。

 対して第三者委郷原委員長と所管大臣の枝野経産相が批判で応じた。

 郷原委員長「第三者委の指摘に対する認識が示されず、全く内容がない。まやかし。

 形だけ(第三者委の)提言の受け入れを強調して社会的批判をかわそうとするもので、本質に向き合い、透明で公正な事業活動を行う姿勢は見受けられない

 (第三者委が示した2005年の公開討論会での「仕込み質問」への佐賀県側の関与について最終報告書が一切触れなかったことを問題視して)九電が置かれた環境と経営陣の認識のずれがいっそう深刻化している」(MSN産経

 枝野経産相「続投以前の問題だ。最終報告書には、みずから委託した第三者委員会が先月まとめた調査報告に記載のあった項目が載っていないと聞いている。第三者委員会に検証してもらい、それを踏まえて対応するのが趣旨なのに、報告書のつまみ食いをするようなやり方は公益企業としてありえるのか。深刻な問題で、何を考えているのかと思う」
NHK NEWS WEB

 このような批判を受けて九電は最終報告書の再提出の方針を表明。

 11月1日、作業手順のミスで停止していた玄海原発(佐賀県玄海町)4号機を再稼働。 

 11月17日、瓜生九電副社長が都内で記者会見。九電側の知事関与否定と第三者委員会側の知事関与指摘の両論併記の最終報告書再提出の11月内提出の可能性を示唆し、あくまでも第三者委員会の検証意思を無視する態度を示す。

 同じ11月17日の参院予算委員会。《九電原発再稼働「認めない」 枝野氏、経営姿勢を問題視》asahi.com/2011年11月17日23時23分)

 枝野経産相(福島瑞穂社民党の質問に)「自ら委託した第三者委員会の報告書を受け止めず、メンバーとトラブルになっているガバナンス(企業統治)の状況では、到底(原発の)再稼働を認めることができる会社ではない」

 福島瑞穂党首「傲岸不遜(ごうがんふそん)な九電の態度を見ていると(電力会社の)地域独占が問題だと思う」

 枝野経産相「九電に対する評価は全く同感だ」

 〈第三者委の委員長を務めた郷原信郎弁護士ら3人の元委員もこの日、福岡市内で記者会見を開き、九電のトップが暴走しているとして経産省が適切に指導、監督するよう要望した。郷原氏は、真部氏は第三者委の見解を受け入れず、細部の反論にこだわっているとして「自分たちの組織を変えるつもりがなく、原発を運営する事業者として信頼は得られない」と述べた。〉・・・・

 「九電のトップが暴走している」と言っても、あくまでもやらせメール事件誘発の企業体質と事件収拾に於ける合理的対応不能と責任遂行能力欠如に限った企業統治の問題、企業のモラルの問題である。

 特に違法と言える犯罪を犯しているわけではない以上、捜査機関等の第三者が関与できない九電という一企業の問題であろう。 

 もしそれが違法と言える犯罪であったなら、原因究明や検証に関して所管省庁か国会が設置した第三者委員会、あるいは捜査機関が当たるはずだが、そうではないから九電自身の設置で済んでいる。

 小泉内閣時代の教育タウンミーティングでの謝礼を支払ったヤラセ質問でも、捜査機関が介入して捜査したわけではない。犯罪ではなく、モラルの問題であった。

 九電という一企業のモラルの問題、経営姿勢の問題でありながら、再稼働はストレステストに基づいた原発の安全性の確認と地元自治体の同意を厳格に條件とすべきを、その権限もないにも関わらず、「ガバナンス(企業統治)」を條件に付け加える越権行為を犯している。

 枝野がやろうとしていることは販売商品自体が産地偽装や表示違反、認可外成分・違法成分混入等で欠陥製品である場合の販売差し止めはできるが、社長に問題がある、あるいは企業モラルに問題があるからと言って商品の販売まで禁止しようとすることと同じことであろう。

 オリンパスの巨額の損失隠蔽行為が問題となっているが、だからと言ってオリンパス製品の販売を禁止できないのと同じである。

 九電のガバナンス(企業統治)の問題、企業モラルの問題は原発再稼働問題と厳格に切離して、ガバナンス(企業統治)の問題、企業モラルの問題としてあくまでも合理的な厳格性に立って対処すべきである。

 脱原発か原発推進か以前の問題として、合理的な厳格性を過った本分を越えた越権行為は往々にして独裁主義に陥りかねない。

 枝野経産相は前任の官房長官時代、東電が原発事故対応と賠償で一企業では負い切れない巨額資金を必要とすることから、その権限もないのに東電の取引金融機関に債権放棄を求めるという合理的な厳格性を欠いた越権行為を既に前科としている。

コメント (1)
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