財務省は消費税増税法が成立さえすれば、施行は野田内閣でなくてもいいとするシナリオで首相を動かしている

2011-11-06 08:55:39 | Weblog

昨日のブログ、《野田首相は未だ説明責任を果たしていない消費税の形・内容とその増税効果 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で書き残したこと。

 野田首相がフランス南部カンヌで開催のG20サミットの首脳会合で消費税に関して、「法案を通して、税率の引き上げの実施前に国民に信を問いたい」と発言したことに関して、〈だがである、法案を通して法律として制定し、その実施前(施行前)に国民に信を問うために衆院解散、総選挙、民主党が過半数の議席を獲得できればいいが、国民が野田政権・民主党政権にノーを突きつけ、政権交代が起こったとしても、消費税増税の法律――税率の引き上げは残る。

 法律は既に成立しているのだから。

 いわば消費税増税が選挙前に法律として国会で成立した場合、国民が選挙で問うのは直接的には消費税の増税自体に見えるが、そうではなく、実質的には野田政権・民主党政権自体の信任か否かのみとなる。〉と書いた。

 あとで気づいたことだが、もし野田首相が誰からの口出しでもなく、自らの判断・主導で財政再建には消費税増税は必要不可欠だと、消費税増税以外の方法はないと消費税増税を目指し、その必要性の説明責任とどういった内容・形式の消費税とするかの説明責任を十分に果たした上で、それでよいのかの国民の信を先ず問うというごく当たり前の順番を取って解散・総選挙に打って出た場合、もし総選挙にで勝利すればいいが、敗北した場合、消費税増税は当分遠のくことになる。

 野党自民党にしても、選挙結果に諸に影響する火中の栗を自分から拾おうとはしないだろう。

 勿論、参議院与野党逆転のねじれ状況が消費税増税法案の国会成立を必ずしも保証するわけではないが、国会成立を予定事項として順番を先に持って来て、国民の信を問う総選挙を後に持ってくれば、選挙で野田政権が信任を受けようが受けまいが、あるいは政権交代を可能とする大敗を民主党が喫しようが、消費税増税の法律が残りさえすればという可能性を前提とすることは国の予算・税制を扱う、いわば国家の財布を預っている財務省にとっては少なからざるメリットとなる。

 このメリットに対して野田首相の方はみなが嫌がる消費税増税の法律を成立させて日本の財政再建に道筋をつけたという(これもそう簡単なことではなく、当てにならないことだが)名を残すことができても、政権担当という実(じつ)を捨てる交換条件となりかねない、かなり危険性を抱えたメリット――どちらかと言うと、デメリットを前方展開しなければならないことになる。

 「民主党政策集INDEX2009」でも、「引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け、具体化します」と謳っているごく常識的な順番を無視した、無視ゆえに実質性を損なうより危険性を抱えることになるメリットへの挑戦である。

 この両者のメリット関係を比較した場合、財務省の目的は消費税の増税そのものであって、増税さえ果たしさえすれば、法律の施行はどの内閣であっても、どこの政党の政権であってもいいということになり、このことから窺うことのできる情報は野田首相が言っている「法案を通して、税率の引き上げの実施前に国民に信を問」うという国会成立を予定事項とした順番の設定は野田首相自身のシナリオと言うよりも、財務省のシナリオと見た方がメリットの差引き勘定という点で理解可能となる。

 野田首相が例え財務省のシナリオに乗っかって消費税増税の実現に動いていたとしても、昨日のブログに書き、民主党のマニフェストに「引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け」と謳っているように、どのような内容・形の消費税増税とするかの説明責任を果たすことを何よりも最初の順番・手続きとすべきだろう。

 このことはG20の首脳会議で、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げます」と国際公約する前に果たさなければならない責任説明であるはずだ。直接的には日本国および日本国民を対象とした増税措置であるからなのは断るまでもない。

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