普天間移設/鳩山首相は日米関係の悪化を恐れずに最低限県内移設に最大限努力すべし

2009-12-09 10:41:07 | Weblog

 昨8日夜のNHKニュースが都内で日米関係をテーマとするシンポジウムが開催されたことを伝えていた。

 米側出席者の一人のアーミテージ元米国務副長官「鳩山政権が普天間移設の決定を参議院選のある来年夏まで延ばすと、日本が日米同盟より連立政権維持の方が重要と考えているのではと米国は心配になるだろう」

 石破自民党政調会長「来年1月に名護市長選挙がある。安全保障を地域の選挙に委ねることは政府の責任放棄につながる」

 長島昭久防衛政務官「日米は対等の関係だと言うが、有事のリスクはアメリカが負い、平時のコストは日本が負うことでバランスが成り立っている。沖縄の皆さんの負担も含めて平時のコストを下げたいんなら、日本側は有事のリスクを少しずつ肩代わりしていかなければバランスが成り立たないのではないか」

 米軍普天間飛行場移設を鳩山首相が年内決着を断念、年明けに先送りしたことに対する米側の反撥を日本側出席者も含めて改めて代弁する議論内容となっている。

 だが、自民党の石破が言っている「安全保障を地域の選挙に委ねることは」云々は、名護市民も国民の一部であり、その意思を無視することは国民の意思の無視につながる、民主主義に反する思想でしかない。一国の安全保障政策に関しては地域住民の声は無視しても構わないと、独裁政権なら可能とすることができることを言っているのと同じ愚かしい発言となる。

 年内決着断念・年明け先送りがアメリカの対日不信感を増幅する、日米関係を悪化させると懸念する向きがあるが、対米関係の悪化はブッシュ前アメリカ大統領のイラク戦争に反対、軍をイラクに送らなかったためにシラク大統領のフフランスとシュレーダー首相のドイツが既に経験している。

 普天移設の年内決着の断念で日米関係が悪化した場合、かつてのフランス及びドイツとアメリカとの関係に似た局面に現在の日本も立ち入るということであろう。悪化という点でどちらがりより深刻な状況に陥ったとしても、ドイツとフランスは対米関係の修復に動き、悪化した関係を決定的に永遠化させたわけではない。

 ドイツはシュレーダーからメルケル首相に代わり、フランスはシラクからサルコジに大統領が変わると、両国は一度冷え切った対米関係を修復している。

 2005年11に就任したメルケル首相は翌06年1月に訪米、ブッシュと初会談を行い、独米関係の「新たな一章の幕開け」(asahi.com)とまで言っている。

 2007年5月に就任したサルコジフランス大統領は8月に父親のブッシュ元大統領の別荘に招かれ、ブッシュ大統領と会談。確か「アメリカとフランスは家族同様だ」といったことを口にして、アメリカへの親近感ぶりを示している。
 
 この独仏とアメリカとの関係の悪化と修復の変遷は例え沖縄の基地問題で日米関係が悪化したとしても、それを修復するチャンスはいくらでもあることを物語っている。

 1999年に大統領に就任したベネズエラのチャベスは強力に社会主義政策を推し進めてアメリカとの関係を冷却させ、「この宇宙に存在する最も邪悪な存在!悪魔の象徴!それは、ジョージ・W・ブッシュ」、「ブッシュはアメリカ史上最も知能指数の低い大統領だ」(Wikipedia)と公の場で激しくブッシュ前大統領を非難してきたが、オバマ政権となると、未だ実現していないが、関係修復に動く気配を見せている。

 要するに何らかの利害関係を残している以上、関係悪化は一時的に過ぎないと言うことができるのではないだろうか。鳩山首相も日米関係の悪化を恐れずに沖縄県民が望む以上、国外移設が無理なら、最低限県内移設に最大限努力すべきではないだろうか。


 

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