監視カメラ等の「監視」に持たせた権威主義性が公務員の非能率・怠惰をも消去可能とする
『労働生産性の国際比較・2007 年版』によると、
<2005 年の日本の労働生産性(就業者1 人当り付加価値)は、61,862 ドル(789 万円/購買力平価換算)でOECD 加盟30 カ国中第20 位、主要先進7 カ国では最下位(図1)。(この「先進7 カ国で最下位」は1993年以降、13年連続で最下位だそうだ。)
1.日本の労働生産性は昨年(2004 年/59,156 ドル)より2,706 ドル(4.5%)向上したものの、順位は昨年と変わらなかった。
第1 位はルクセンブルク(104,610 ドル/1,334 万円)、第2 位はノルウェー(97,275 ドル/1,240 万円)。米国の労働生産性を1 とすると日本は0.71。対米国比率は2000 年以降ほとんど変化が無い。
2. 日本の製造業の労働生産性(2005 年)はOECD24 カ国中第6 位。日本の製造業の労働生産性水準(2005 年)は86,608 ドル(955 万円)で、OECD 加盟国でデータが得られた24 カ国中第6 位(図2)。2004 年の第7 位から1 つ順位を上げた。主要先進7 カ国でみると米国に次ぐ第2 位となっている。米国製造業の労働生産性を1 とすると日本は0.89 となる。
3. サービス業の労働生産性は、日本を含めG7 各国も停滞続く。日本のサービス業の労働生産性指数は、1991 年から2005 年間の15 年間で年率平均0.3%の伸びにとどまった(日本の製造業は同期間に年率平均3.1%の伸び)。G7 各国のサービス業も同期間に年率平均0.3~マイナス0.5%と各国とも停滞傾向が続いている(図5・6)。
4. 2001 年以降の日本の実質労働生産性上昇率は1.80%(年率平均)で、主要先進7 カ国中第2 位。2001 年以降(2001~2005 年)の実質労働生産性上昇率は、日本は年率平均1.80%で、主要先進7 カ国中第2 位、OECD 加盟30 ヵ国中14 位(図7)。1990 年代後半(1996~2000 年)が0.70%(主要先進7ヵ国中最下位)であり、大幅な改善をみせている。ただ、2001 年以降の米国は1.98%と主要先進7 カ国でトップの上昇率であり、日米間の生産性格差は依然として拡大する傾向にある(図8)。
5. BRICs の労働生産性はロシアの51 位が最高。ブラジルが55 位、中国は69 位。BRICs 各国では、ロシアの労働生産性が22,767 ドルで51 位(2005 年/世界銀行データによる購買力平価換算)が最高。ブラジルは19,016 ドルで55 位、中国は11,625 ドルで69 位(インドの労働生産性はデータ不備で計測できなかった) (表1)。1995~2005 年の実質労働生産性伸び率では中国が7.90%で第3 位に入り、ロシアは3.22%で第19 位、ブラジルは0.67%で第59 位となった(図9)。>となっている。
また<日本のサービス業の労働生産性が他産業と比較して低いことは明らかであるが、G7各国についても同様の状況がみられる。今後は、各国とも製造業からサービス業へのシフトが進むと考えられるため、サービス業の生産性向上を果たした国の存在感が高まることが予想される。>としている。――
いわばサービス業の労働生産性は労働製造業の労働生産性よりも低く、さらに一般論として公務員の生産性はサービス業の労働生産性りも低いと見做されている。
と言うのは、公務員の生産性の統計値を出すのは難しいそうで、統計が存在しないらしいが、省庁に於ける自分のカネを使って満足させるべき性欲や食欲、娯楽欲、金銭欲といった個人的・私的な欲望を公的行為を装いつつ、公的なカネで充足させる卑しいコジキ行為の蔓延は職務に於ける勤勉さを奪ってその方面に勤勉であることの証明だとすることしかできないから、状況証拠のみを取っても低い労働生産性にあると言える。
ついこの間までは社会保険庁の予算のムダ遣い、私的流用、年金保険料着服等の問題が騒がれていたが、最近は国土交通省とその所管法人に移っている。そのほんの一例を昨日3月14日の読売新聞インターネット記事≪道路財源支出先の22法人、職員旅行費6900万円を支出≫が次のように伝えている。
<道路特定財源の支出先となっている国土交通省所管の50の公益法人のうち22法人が2006年度中に、職員旅行の費用として計約6900万円を支出していたことが、国交省の調査でわかった。
法人が負担した職員1人あたり費用は最大約9万4000円に上り、2法人は全額が丸抱え旅行だった。公益法人で、道路整備に使われるはずの財源の福利厚生への流用が常態化していることが明らかになった形だ。
国交省は、公共用地補償機構が職員旅行をほぼ丸抱えしていた問題の発覚を受け、同機構を含めた50法人について調査を実施した。
その結果、06年度中に22の公益法人が職員旅行の費用を支出していたと回答。参加した職員は計2022人で、支出総額は6877万4460円に上った。
このうち、先端建設技術センターと河川情報センターの2法人は、職員の負担はゼロで、旅行費用の全額146万円と232万円をそれぞれの法人が支払っていた。先端建設技術センターでは11月、職員44人が1泊2日の日程で山梨県の石和温泉に旅行。親睦(しんぼく)の宴会を開いたほか、渓谷や寺院をバスで巡った。同センターでは「時代遅れという批判を受け止めなければならない。旅行を取りやめるか、職員が負担して続けるかを話し合いたい」と話している。
また、河川情報センターも、62人が「研修旅行」の名目で金曜日の勤務終了後、群馬県内の温泉宿に集合。宴会を開いていた。
公共用地補償機構、道路保全技術センター、日本道路建設業協会の3法人でも個人負担はそれぞれ2132円、4671円、1274円だけで、ほぼ丸抱えの状態だった。
公費の支出額が最も多かったのは近畿建設協会の約1329万円で、これに次いで中国建設弘済会約937万円、中部建設協会約798万円の順。職員1人あたりでは、道路新産業開発機構約9万4000円、公共用地補償機構約8万3000円など、12法人で3万円を超えた。
同省官房総務課では「公益法人にこれほど丸抱えが広がっているとは驚いた。事業収入の多くを公費から得ている以上、その使途には慎重であるべきで、過去の支出分を含めて見直しが必要だ」 と話している。>・・・・
「時代遅れという批判を受け止めなければならない。旅行を取りやめるか、職員が負担して続けるかを話し合いたい」、あるいは「公益法人にこれほど丸抱えが広がっているとは驚いた。事業収入の多くを公費から得ている以上、その使途には慎重であるべきで、過去の支出分を含めて見直しが必要だ」は、何か事が露見してから改める姿勢を打ち出したもので、事が露見しないまま放置していたからこそできる、決して褒めることはできない泥縄式の組織管理の構図を曝け出している。そのことに気づかなければ、同じことの繰返しを永遠の宿命とすることになるだろう
50法人のうちの22法人と半数近くの法人にのぼることと役人たちの予算の私的流用が旅行費用に限った話ではないことを考え併せると、まさしく日本の役人世界を覆った卑しいコジキ行為の蔓延状態と言える。当然そこに注がれるエネルギーが職務能力を阻害し、鈍磨させ、その先の生産性を低下させているのは自然な成り行きとしてある流れであろう。
『労働生産性の国際比較・2007 年版』
正規雇用者にしても製造現場で上司の目が光っている上に仕事量が製品の数量によって計測される。いわば上司の直接的な監視と仕事量という間接的な監視が効いて、否応もなしに生産性を上げざるを得ないが、非正規雇用者の場合は正規雇用者以上に直接的、間接的とを問わず心理的により強い監視を受けているということなのだろう。
いわば「監視」が働かせるための一種の権威(「他を支配し、服従させる力」『大辞林』三省堂)となっている。上司やその他の「監視」を上の権威とし、自らを下の権威に置いて下が上に従う権威主義性に囚われて行動していることを示している。
このように労働生産性が他からの「監視」状況に影響を受ける変数であるとすると、公務員の仕事の場合はその能力が製造現場での製品の数量に当たる目に見える形の成績で表しにくい上に主として座仕事であることの関係から、仕事上の立居振舞いの動作からその能力が判断困難で、製造現場に於けるのと違って直接的・間接的「監視」の影響をそれ程受けない恵まれた状況に生息することができていると言える。
そのような監視の効かない状況――指示・命令の権威主義がそれ程働いていない状況が、「監視」がそれぞれの働く姿勢に影響するとする考えからすると、非能率・怠惰を生じせしめていて、それが公務員の労働生産性を低めている原因とすることができ、その不完全燃焼の生命エネルギーを仕事以外の娯楽――接待ゴルフや予算・財源の類を使った旅行、宴会等々に注ぐことになっているということではないか。
「日本人は勤勉で真面目だ」という評価が日本人対する全体評価となっていて、日本人自身も多くがそうだと信じているが、これは日本人の陰日向のない行動性を自画自賛も含めて賞賛した言葉であろう。この場合の「陰日向がない」とは、人が見ている、見ていないに関係なしに言葉や態度が変らない表裏一致の行動性を言う。
しかし製造現場労働者にしても公務員にしても人が見ている、見ていないに関係なしに、あるいは誰からの指示・命令があるなしに関係なしに自らの考えと判断を基準に主体的・自発的に「陰日向がなく」「勤勉で真面目」に行動することを自らの行動性としていたなら、労働環境に関係なしに労働生産性は等しく高い数値を獲得していてよさそうなものだが、実際にはそうはなってはいない。有形無形の「監視」を受けて、それを自らに向けた指示・命令の権威的行動基準とし、それに従う機械的従属性(=非主体的・非自発的従属性)を行動性としているからこそ、同じ日本人でありながら受ける「監視」の強弱の違いがそのまま各労働生産性の違いとなって表れているいるということなのだろう。
となれば、公務員という役人の世界に何らかの「監視」を設けて、その職務態度を四六時中監視し、彼らの尻を叩く構図で労働生産性を上げるしか公務員の非能率・怠惰を改善する方法はないのではないか。非能率・怠惰を改善するということは役人たちの予算の私的流用の防止の一助にもつながる。
防衛省は前事務官の守屋武昌天皇の接待ゴルフ漬けによってその休日の行動を把握できなかった反省から防衛省幹部の休日行動を把握する目的で全地球測位システム(GPS)機能付き携帯電話の所持を義務づける方針を示したが、すべての省庁、そしてすべての関連法人のすべての部屋にどの方角にいてもその姿を見逃さずに撮影できる数だけの監視カメラを設置して、すべての公務員の出勤ら退社までの仕事ぶりを一日中監視したらどうだろうか。
そして「公務員監視機構」といった民間による第三者機関を設けて、カメラが撮影したビデオを常にチェックする。その設置費用とチェック費用は膨大な額にのぼるだろうが、役人たちのムダ遣い・コジキ行為費用の予算からの捻出を抑えることができたなら、補っておツリを出してくれるに違いない。
いやそれだけでは足りない。省庁内のすべての電話を交換台を通すシステムとし(既にそうなっているかもしれないが)、どこからかかってきたか、どこにかけたかを自動的に記録し、それをもチェックする。当然交換台を通らない携帯電話の勤務時間内の利用は禁止する。
パソコンを使ったメールのやり取りもすべてのパソコンを省庁内サーバを設けてネットワークで接続し、サーバーを通すことにすれば、そこに送受信の記録が残るような仕組みにすることができて、すべてのメールがチェック可能となる。勤務時間中にアダルトサイトにアクセスすることも、あるいは宝くじを買ったり馬券を購入したりすることも記録が残るから防止可能となる。
勿論各部署からのカネの出入り、その使用目的も含めてすべてをチェックする必要がある。
そうでもしなければ、役人たちの予算を使って私的な娯楽を充足させる卑しいコジキ行為はなくならないだろうし、彼らの労働生産性も改善することはできないだろう。
幹部の休日行動を把握する目的で全地球測位システム(GPS)機能付き携帯電話の所持を義務づける方針を示したとき、石破防衛相は「危機管理官庁なので居場所を明らかにするのは当たり前。行動が把握されるのが嫌だったら、そんな人は防衛省にいなくていい」と言ったが、「公務員なのだから、『陰日向がなく』「勤勉で真面目」に働くのは当たり前。監視カメラで行動が把握されるのが嫌だったら、そんな人は公務員でなくていい」と言わなければならない。