地域発展を掲げながら、建物だけを立派に建てる。道路だけを立派に造る。「地域」を〝面〟として把えていても、生活空間そのもとして存在する一つの生きた「社会」として把えることができないから、道路や公共施設を社会を構成する他の生活機能と有機的に関連させ合って相互に高め合う役目を持たせ、社会全体を高め合った場所で一つに統一する仕掛けとなるよう最初から設計できない。結果的に道路は道路だけ、公共施設は施設だけの役目しか果たさないハコモノで終わる。
いわば社会全体の設計の中で計画し、設計するのではなく、建物だけの設計、道路だけの設計となっている。このことは「社会的効果」と言いながら、そのような「効果」を多くが望めていないことが証明している。
道路だけが生活機能機関ではない。道路建設や公共施設建設の借金や経営赤字、維持費負担が他の生活機能機関を圧迫して、それを機能不全に追いやったなら、道路建設も公共施設建設も意味がなくなる。
そういった状況が日本全国に見られると言うことではないか。「地域発展」(=社会的効果)を目的としていながら、それとは逆方向の地方が疲弊し地盤沈下している皮肉な逆転状態。従来的な道路建設のコンセプト、公共施設のコンセプトそのものを根底から変える発想が必要ではないのか。
08年3月2日フジテレビ「報道2001」、民主党菅直人代表代行と東国原宮崎県知事との道路特定財源問題に関わる討論を聞いていたら、上記印象を持った。道路特定財源を一般財源化することができたなら、国交省や道路族の既得権益を剥奪することはできるだろうが、例えそれが「必要な道路」だと認定されたとしても、社会全体の設計の一環として計画されなければ、他の生活機能と有機的に関連させ合って地域社会を生かす生活手段の一つとはならずにハコモノ的要素を残すことになるのではないのだろうか。
司会者・黒岩祐治(小池何とかの名前だと思っていて、以前ブログで「小池と言う名前だと思う」と「小池」を使っていたが、今回やっと「黒岩」だと分かった)、東国原に菅直人の主張で最も納得のできかなったポイントを聞く。
東国原「具体的にどの道路がムダで、どの道路が必要で、どの道路、優先順位等々の算定基準、民主党が言う考えを持っているか、一番知りたかった。必要な道路がある。宮崎県でも。平均以下、大分(だいぶ)遅れている。そこをどうしてくれるか。自民党さんのビーバイシ(費用対効果)に対抗した何か算定基準みたいなのが、新しいのがあれば、比較しやすい」
<【ビーバイシー】(Benefit By Cost =B/C。「費用便益比、費用対効果。政策や事業の評価を事業投資額、費用(コスト)に対し、社会的効果(ベネフィット)がどれだけ得られるかという費用便益分析方法のこと」)
【Benefit】「個人または集団の幸福[福祉]につながる利益」)
日本に於ける「Benefit」は「政治家・役人の幸福[福祉]につながる利益」と訳される。>
菅直人「まさにそこなんです。その基準を誰が決めるかです。それはやっぱり民主党が決めることでもないし、自民党が決めることでもないし、場合によったら国土交通省が決めることでもない。もっと客観的に色んな要素を入れて決めなければいけない。私は基本的には幹線の一部は国が責任を持つにしても、それ以外は県が決めるべきだと。そういうふうに言っている。ですから、私は東国原知事と話しをして、あの討論会の前の2日間、宮崎県に伺って、例のを見せてもらいました。ですから、知事が東北九州道路、延岡の前後が全く高速道路がない。しかし、熊本が都城、宮崎というこっち方は、西の線はもう約30年前にできた。なぜこんなに遅れたんでしょうかねとお聞きしたら、あのときもやっぱり政治的な何かあったんでしょうかね、とか知事も言われていました」
東国原「いやいや巷間言われている。そうです。けれども、ただ政治の問題だと言ったんです」
菅直人「巷間言われているのはそういうふうに言ってました。決め方そのものがちゃんとした公平・公正のルールがなくて、私はこれからも59兆円、10年間、国土交通省に丸投げしたら、今日の新聞に相変わらずの天下りで1880億円とかで、これは河川局ですがまあ、厚生省ですが(新聞をめくりながら)、つまり決め方が最大の問題です」
(新聞は東京新聞の一面で、≪天下り法人に1888億円 06年度 道路財源から支出≫の記事。<東国原宮崎県知事のハコモノ思想に陥った道路建設執着(2)>に引用。「河川局」はMSN産経インターネット記事で後段引用。)
(いわば地元選出の国家議員の〝政治力〟の強弱が地域間の道路建設状況の格差を招いているということ自体が既にそれぞれの地域社会全体の中で、さらに一段上の九州という地域社会全体の中で、さらに一段上の日本という国全体の中で計画し、設計された道路とはなっていないことを物語っている。少なくとも計画はあっても、実施されていない。)
黒岩司会「知事が決めるという案だとどうするか」
東国原「いや、だから、私も高規格道路とかも幹線道路は国の責任に於いてやってもらわなければいけない。うちも東九州自動車道路を、九州横断自動車道路とかあって、この2本ぐらいは国の責任でやっていただきたいと。そのためにはどうするかなんですよ。そのあと、国県道、国道も半分ぐらいは46%ぐらいは自治体払ってるんですよ、実はね。ですから、その辺はまあ地方自治体の裁量権になると思うけども、私が今言ってるのは、この幹線道路、国の責任に於いて造ってもらいたい。そのためにはどうしなけやいけない。おっしゃるように道路特定財源が10年間に59兆円必要かどうかと言う議論も含めて、ザックリした議論じゃないですが、それはやっぱり緻密に、もっときめ細かく議論していただきたいことと、ムダはムダなところがあると私も思いますけれど、そういったことは言語道断ですよ、ムダをなくして真に必要な道路を造っていただくという点です」
(「ムダをなくして真に必要な道路」は言い古されてお題目で終わっている理念に過ぎない。自分たちで勝手に決めていた「必要」だからであり、「ムダ」は当然の副産物に過ぎない。そこには天下りも必要要素として含めていた。そのような仕組みをつくったのは自民党政治であり、国交省である。当然、「高規格道路とかも幹線道路は国の責任に於いてやってもらわなければいけない」にしても「国の責任」自体が当てにならない「責任」となっているのであって、そのことを忘却している。)
黒岩「ムダな道路だと判断する基準は何です?」
東国原「その基準をきちんと作っていただきたいと言ってるわけです。国幹会議で民主党さんも言っていますし、国幹会議が形骸化していると、そう言われればそうかもしれないが、新しい、まあ、民主党さんだったら、革新的ラジカルな政党ですので、この算定基準をきちんと出していただいてもいいんじゃないかと思いますがね」
(地域社会全体の生活機能を高めることに役立たない――いわば地域社会全体の活性化に役立たない上に必要不可欠な最小限の規模を超える道路を「ムダな道路」と言うのではないか。高速道の「費用対効果」に合格点をつけることができても、その高速道路がその地域を通過するだけの役目しか果たさないなら、地域全体の生活機能を高めることにはならない。いわば単なるルートの意味を出ない。ルートを決める段階でその地域の生活機能を全体的に高める何らかの付加価値を用意することが生活機能の地域間格差をなくす方法ではないだろうか。
あるいは高速道路がその地域にとって単なるルートの意味しか持たないなら、そのことを補ってその地域を発展させる別の手段を創造することが日本全体を視野に入れたバランスのよい発展につながるのではないだろうか。)
黒岩「算定基準というものはきちんと出るもんなんですか?」
菅直人「昨日私、高知に行ってきました。高知の播磨屋地下駐車場っていうのがあったんですよ。200台分の駐車場で108億円かけています。国道の下なんです。で、地元の人は国が勝手に造ってくれたんだから、うちは1円も出していないからいいや。実際にはこれも天下り団体ですよ。
つまりこういうものを誰が決めるんですか。全部お役人が天下りにやってるんじゃないですか。ですから、私は59兆も使えば、半分近くは天下り用に使われると見ています。
例えばアクアライン、1兆4400億円でした。しかしあれをもし無料とか千円以下とかしたら、多分頑張って使われるでしょう。しかし3千円とか4千円だから、使えない。じゃあ、3千円、4千円なぜ造ったか。物凄い高い建設費なんですね。じゃあ、それが適切だったか、誰がチェックしてるんです?全部国土交通省が自分たちでチェックしたと言って、誰一人責任を取っていません。ですから民主党がその道路がですね、いくらでちょうどよくて、この道路がいくらで高過ぎるかとかっていうのを政党がする仕事ではありません。
例えば、イギリスなどでは施工する役所以外にそういうことをきちんと判断する。それは学者でもいいんです。そういうものがある。国幹会議というのは国土交通省の審議会ですよ。国土交通大臣がすべて最終的には決めることになっている。しかも先月予算委員会でちゃんと聞いたら、平成15年に1回、18年に1回、18年の初めに。19年の終わりに1回。2年に1回しかやってないじゃないですか」
黒岩「道路特定財源については東国原さんは民主党は目に見える形で対案示すべきだと。じゃないと信用できないということをおっしゃって、そのあとで民主党の案が纏りましたね?」
フリップ
民主党・対案のポイント
・暫定税率の廃止
・道路特定財源の一般財源化
・国道直轄事業の地方負担分の廃止
黒岩「対案を出していただいたから、先ず前進と言う感じですね。まあ、今まで言っていたことと中身変わっていません。ちょっと具体化したかなって・・・」
東国原「アメリカは地方分権の社会だけど、幹線道路は国が決めますからね。そういうことをやっていただきたいと。だから、ムダを省いて必要にということなんですよ。で、そのため菅さんがおっしゃるのは道路特定財源はムダが絶対生じてくるから、それではシステムを変えましょと。じゃあ、一般財源化ってなりますよね。民主党さんがおっしゃるのは地方でおカネも自由に裁量する、自由に使え、おカネは差し上げますよ、だから地方が決めてくれればいいじゃないですか、話なんですね。でも、ちょっと色々とポイントあって、道路特定財源というのは国交省ですよね。国会ですね。一般財源化するというのは財務省が入るんですよね。財務省が使うことになって。でも、国交省と財務省、似たり寄ったりじゃないですか、という感じなんですね。で、財務省に入って、一般財源化しても、公金なり、一括公金なりお配りになると思うんですけども、そこにまた天下りとかこうとか、何とかムダとかが出てくるんじゃないですか。おんなじじゃないですかという――」
(地域社会全体の生活機能を高めるという上記視点に関連するが、道路建設を国が決めようと県が決めようと、単にルートはここにしよう、あそこにしようではなく、通過していくすべての地域の生活機能を高める点も視野に入れて計画し、設計することが必要となる。
また、国土交通省も財務省も「おんなじじゃないですか」は道路の権限は国土交通省にとどめておけという文脈となる。一般財源化反対、ムダ・天下り容認論ともなる。宮崎県の高速道さえできればいいという感覚なのだろう。)
黒岩「一般財源化しても、道路造ることができるわけですからね」
東国原「いや、造れますけども、圧倒的にそのスピード?あるいは維持管理というのは減りますよ」
(特定財源か否かでスピード、維持管理に違いが出るというのはおかしい。財源が何であろうと、効率のよい建設スピード、適切な維持管理を徹底させるのが道路のみに限らず、国の予算を使う者の使命であり、責任ある義務であろう。常にその方法を模索してコスト削減に努めるべきである。過剰・過大な規模の駐車場を建設するエネルギーを省いて、肝心の道路建設の方にまわすとか、いくらでも手がある。限られた資金をムダなく有効に使う。カネを生かすという発想がない。カネ(=税金、あるいは予算)を生かしてこなかった結果の〝ムダ〟であり、地方の発展に寄与しない道路政策ということなのだろう。)
菅直人「これはね、私も現場を見せてもらって、なぜこの東九州のところだけ、誰が見ても重要だと思われる所が遅れてしまったのかなあと。ですから、東国原知事がそのことを強く主張されることは個人的にはよく分かっているし、公開討論会の場でも、我々もそう見ています、ということを申し上げました。それからムダという言葉を使われましたが、私たちも使うんですけども、普通ムダというと、100%のうちの5とか10がムダなんですよ。私が見ると国土交通省の事業の場合は倍ぐらい高い値段を使っています。諸外国と比べると、3倍4倍の高い建設費。ですから、実はムダと言っても、よく見ると、倍、3倍の高い値段で発注してゆっくりと工事をやっているんですよ。
なぜか分かりますか。天下り先はずっーと持ちたいんですよ。ですから、ゆっくりゆっくり高い値段でやって、天下り先を永久に持ちたい。ですからこういうふうに(新聞を取り上げ)ここにも188億、東京新聞ですよ。こうやっていろんな団体をつくる――」
黒岩「道路を造る。必要な道路を造ることについてはやぶさかじゃないと。しかし今の仕組み、道路特定財源の仕組みそのものが非常に無駄を生む仕組みになっている。これをやっぱり変えないと、僕は根本的な機関にならない」
東国原「ムダが起きてから道路特定財源をなくそうじゃなくて、道路特定財源を見つめていけばいいんですよ。みんながチェックしていけば、そしてムダがあったら、一般財源化する、その分はね。それは民主党さんも言ってますから。民主党さんもですね。ムダがあったから、これは全部廃止だ。これは乱暴な基準であって、むしろ修正というのはできないのかなあって。私は地方遅れた所に道路確保していただければいいんです。真に必要な道路ですね。それを確保していただければ、いいんですよ。そのために与野党はどういう修正する、という具体案を出してくれるのかというのを私は見ているんですよ」
(「ムダが起きてから道路特定財源をなくそうじゃなくて、道路特定財源を見つめていけばいいんですよ」――道路を過大な規模にすれば、利益率が上がって、それだけ天下り先企業に多くの利益を与えることができる。その利益の一部が天下り官僚の報酬を保障し、再び天下りを引き受けてもらえる見返りとなる。この過大計画と過大予算が天下りを保障していく循環構造は官僚たちの体質化したシステム・既得権益であって、これまでの例を見るまでもなく、「道路特定財源を見つめていけばいい」ぐらいのことで天下りという自分たちにおいしい将来を簡単には手放さすはずはない。「一般財源化」という一気に引き剥がす荒療治以外に方法はない。)
(ここでコメンテーターの竹村健一が余計な口出しをする。「福田首相が、宮崎の道路は造りますと。それが国のトップのやること。支持率が下がっているから、人気回復にいい」とか何とか。老害もいいところ。一つの県に限った政治決着は不公平が生じて、公平性要求の前にその限定性は簡単に崩れる。あっちの県もこっちの県も首相の政治決着を望むようになり、最初の政治決着が単なる前例づくりと化す。当然の帰結として、いくら首相裁定でも必要な道路なのかの最初の議論に戻ることになって、首相裁定が無意味化する。)
菅直人「一般財源化について東国原知事はよく財務省に単に移るだけだと言われるんですが、私が言っているのは、例えば医療とか教育とかは別に特定財源はない。だから、財務省といっても国民がこのおカネをどれに使うということは国会で議論する。例えば先日私が宮崎に行ったあとに委員会から確か視察が行って、医師会との党の視察をですね、我が党の山之井くんがですね、小児科医が46番目だと、出生率は高いが小児科医が非常に不足していると。医師会からは小児科医が足りないから、病院が遠いから道路の整備が必要だと言われたそうですが、小児科医が足りないこと自身は問題ないわけです、当然だからですね。道路特定財源は小児科医を配置することはできません、残念ながら。ですから一般財源にすると、何か役所から役所に移るだけだと言われますが、私は一般財源というのは全部一般財源ですから、基本的に国民・県民の選択に任せます。特定財源のままですと、選択が国土交通省と道路族の議員にしか任されていないという現実がある、ということをですね、これだけは是非知事に分かってもらいたい」
(「小児科医が足りないこと自身は問題ないわけです、当然だからですね」の意味が分からない。東国原も司会の黒岩もその意味を聞かずにやり過ごしている。道路は患者移送の時間短縮には役立っても、小児科医そのものを増やすわけではないと言う意味なのか。)
東国原宮崎県知事のハコモノ思想に陥った道路建設執着(2)に続く
黒岩「一般財源化についてちょっと世論調査してみました」
フリップ
「道路特定財源を一般財源化すべきか」
YES NO
68.0% 211.2%
女性アナ「東国原さん、これいかがですか?」
東国原「これ、どういうことですかね。これ、完全一般財源化ってことですかねえ。意味が分からない。耳障りのいい言葉だから」
(納得できない口調。「耳障りのいい言葉だから」誤魔化されているのではないかと言わんばかりである。)
黒岩「今のですね、道路造るとか病院造るか、医師の確保のためにおカネを使うか。これは知事の裁定に任されるから、そっちの方がいいと――」
東国原「小児科医と産科が少ないのは宮崎県だけじゃありません。全国です。これは医師の診療科間の偏在、地域間の偏在があります。その医師の絶対数もOECDの中で27位くらいだったかな、非常に低いんですよ。医師を増やすことがどうのこうのって。菅さんが少なくしたんですよね、2回程。厚生大臣のとき」
菅直人「そういう根拠のないことは言わないでください。どういうことですか、根拠を示してください。ちゃんとした根拠をですよ」
東国原「ま、まあ、いいですよ」
菅直人「だから、根拠のないことは言わないでください」
東国原「じゃあ、国の政策で医師の絶対数を減らされたじゃないですか、80年代から2回――。医師の数は問題じゃないです。医師は少ないですよ、それは。それと道路をリンクしてすることじゃないと、いうことですよ。だったら我々は救急医療体制っていうのは三次救急が70分以上かかるんですよ。二次救急よりも30分以上かかるんですよ」
(「医師の診療科間の偏在、地域間の偏在」は道路ができても変わらない。道路が必要だと言うなら、道路を患者移送の時間短縮を機能の一つとすることにとどめるだけで政策を完結させるのではなく、地域社会全体の生活機能を高めるために最小限の医師・病院の確保も並行させた政策遂行が必要となる。当然カネ(=予算)を必要とするようになる。いわば財源手当ては道路だけで済ますわけにはいかない。)
黒岩「そうするためには道路以外のおカネを使えばいいんじゃないですか?」
東国原「ちょっと待って。鹿児島、熊本、宮崎、一般財源化されて100億、100億、100億貰ったとする。で、鹿児島と熊本はもう道路、大体整備されていますから、殆ど医療とか福祉に使える。いや宮崎はまだ道路は足りないですから、道路に殆ど使う。じゃあ、医療とか福祉の分はどうなるんですか?その格差はどうする?だから、僕は配分の基準を示して欲しいと。つまり、道路は遅れていたところには道路を多く造れるような公金、あるいはそういったものを自由裁量権、おカネをたくさんくれるんだったら、いいんですよ、ということで――」
(九州全体を各県の上位社会、一地域と考えた場合、上位社会に於いても各生活機能のバランスのよい発展とより高度な有機的統一性は不可欠で、それを実現させるために国からの財源移譲以外に各地方自治体が自由に使える国の補助を設けて、そこに格差を設けたらどうだろうか。地域間格差という現実を前にして「100億、100億、100億」と一律に考えるのは単純すぎる。)
菅直人「あの、東国原知事はですね、なかなか発信力が強いですから、色んなことを言われてますが、実は知事はご存知でしょうけども、今東九州自動車道と言われているところの前後、何百キロありますが、計画で大体7割か8割は西日本株式会社が造るんです。これは道路特定財源じゃないんですよ。通行料なんですよ。その前後の新直轄というのは道路特定財源です。ですから今、東国原知事はですね、何か100億ずつ貰ってもですね、早く終わった所は有利だけど、遅い所は不利だって言われますが、その地方と国の問題は私たちは地方に重点的に財源を移そうという、国は少なくて、もっと(カイコチュウイ?、「関与・集中」か。聞き取れず当てずっぽう)することあると言ってます。地方はその中でどう選択するかというのは基本的には地方の自由に任せるわけですから、もし宮崎県は特に道路は必要だってことであれば――」
東国原「それは難しいです。おかしいです」
(何もおかしくない。これまで政治家の政治力を引力として、その地盤により多くの国家のカネが投じられてきた。その結果の九州地域に於ける鹿児島・熊本と比較した宮崎の後進性・地域間格差であり、東京や大阪、名古屋といった大都市と比較した地方都市の停滞・疲弊・地域間格差であろう。地元代議士の政治力を基準とするのではなく、それを排して日本全体を眺めて遅れている地域を重点にバランスのよい発展を図ることを基準にすれば、可能。)
菅直人「それは一般財源になっても県で、県議会で通せば十分できるんですよ」
東国原「ネックスコさんは半分ぐらい造ってらっしゃいますよ。有料道路ですね、ネックスコさんは。それ以外は新直轄なんですよ。もっと言うと、ネックスコさんが造ってるインターまでのアクセス道路は、国県道路は、道路特定財源は半分ぐらい使っているわけです。それはどうしてくれるんですか」
(【NEXCO】 (ネクスコ、Nippon EXpressway COmpany Limited) は、2005年10月に日本道路公団 (JH) の民営化により発足した高速道路会社3社の愛称。2006年4月より命名された・「Wikipedia」より)
黒岩「まあ、この話、国の形、どうするかって言うこと――」
菅直人「どうしてくれるんですかではなくて、自治体が自分たちがやってやれるように財源を移譲しようと言ってるんですから、それをどうしてくれるんですかというんですかから――」
東国原「だから、私は国交省に物申していいるんです」
菅直人「こんな天下り(と新聞を取り上げて、紙面を叩きながら)、信用できるんですか?」
東国原「ですからチェック体制を」
菅直人「こんなね、天下りを――」
東国原「だったら、民主党さんを信用できるんですかという話ですよ」
菅直人「同じですよ、同じですよ」
東国原「同じくらいですよ。だから・・・・」
菅直人「国交省信用できるんですか?」
東国バラ「どっちかったら(と両手を上げ下げしながら)、国交省ですよ」
菅直人「私は国交省は全く信用できない」
東国原「でも、これから私は期待してますよ」
(それはそうだろう。マスコミに露出している東国原を満足させさえすれば、道路特定財源維持に正当性を与えることができる。道路特定財源維持正当化こそ、自分たちの既得権益を守る唯一絶対の砦なのだから。東国原は道路建設をエサに国交省に抱き込まれたのではないか。胡散臭さが身体中から滲み出ているが如き雰囲気の冬柴国交相とにこやかに握手しているシーンが目に浮かぶ。)
黒岩「また、続きをやりましょう。今度また――」
菅直人「期待できるなんて言葉を聞いて、私はびっくりしましたね」
東国原「今まで遅れてきましたけど、これだけですね、国民が見たら、国交省さんだって、それは襟を正すしかないんですよ」
(甘い、甘い。立場上、国民が見ていなくても襟を正した行動を取ることを基本的姿勢としなければならない。そういった自発性が期待できなかったのだから、国民が見ていない場所では何も変らないだろう。国交省と手打ちがあったのではないかとますます疑いたくなる。)
菅直人「それは宮崎県に関しては優先的にいく可能性は十分にあるでしょう。こういう問題を(新聞を叩きながら)残したまま、信用できるなんて、私はちょっと信用できませんね」
(菅直人も気づいている国交省の陰謀と言うわけである。多分、国交省から、「特定財源維持されることによって宮崎の道路は県の予算を今までどおりに抑えながら建設可能となります。維持を条件に宮崎の道路を優先的に建設します」といった密約紛いの合意を成り立たせているのではないのか。そうとでも疑わなければ国交省への肩入れを信じることができない。清潔・清新が売り物の米民主党大統領候補オバマにしても、有権者には失業者の増加は低賃金労働者の流入をつくり出しているカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)が原因だと不評に対して再交渉すると公約しながら、カナダ政府に対しては「NAFTAに厳しい姿勢はあくまで政治的理由で、(大統領になっても)カナダとの合意は変えないだろう」と伝えたとする密約(二枚舌疑惑)が疑われているのである。日本の一地方県知事が国交省と密約を交わしたとしても不思議はない。オバマは汚職で起訴された有力資金提供者の不動産業者との癒着まで疑われいるらしい。)
東国原「どっちかと言ったら、民主党さんの案と国交省の、今の政府案のどっちかと言うと、地方としては――」
菅直人「宮崎県にとって、どっちがいいかというのはいいんです」
(地方全体の問題として取り上げて欲しいと言うことなのだろう。)
黒岩「ハイ、コマーシャルのあとに竹村さんのコーナーです」
(武村健一のコーナーを待たずにチャンネルを変える。つまるところ、東国原知事や宮崎県が満足する形で道路建設ができたとしても、医療や教育の問題は置き去りにされることになるのではないか。東国原知事の言動に医療や教育、その他の生活機能に向けた視線を感じないだけではなく、それらの生活機能は道路みたいにカネをかけて建設すれば片付くといった問題ではないからだ。地域社会全般に亘る生活機能の底上げがあって、医療も教育も形を整えていき、社会は有機的な統一性を備えていく。)
参考までに
* * * * * * * *
≪天下り法人に1888億円 06年度 道路財源から支出≫ (東京新聞/2008年3月2日 朝刊)
<道路特定財源を原資とする国の道路整備特別会計から国土交通省所管の独立行政法人と公益法人に、二〇〇六年度は補助金など計千八百八十八億円が支出され、同省からは千二百人余りが役員や職員として天下りしていたことが明らかになった。このうち年収が千数百万-二千万円余りと高額の常勤役員は、同省OBを中心に約二百二十人に上り、道路特定財源が官僚の広範な天下り権益を支えている実態が浮かび上がった。
道路整備特別会計から補助金や事業発注などの支出を受けたのは五十六法人あり、〇六年四月時点の国交省OBの役員と職員は千二百八十五人。
支出額の最多は、日本道路公団の民営化で発足した「日本高速道路保有・債務返済機構」(東京)で出資金など計約千四十四億円。主に首都高速と阪神高速道路の建設費を民営化会社に無利子で貸し付けている。
次に多かったのは都市基盤整備公団から業務を引き継いだ「都市再生機構」(横浜市)で、市街地整備補助金など計約百三十六億円。七人の常勤役員は全員国交省OBで、元事務次官の小野邦久理事長は二カ所目の天下り。国交省の試算によると、同機構の理事長は年収二千百四十二万円となっている。
三番目は全国の道路データの管理などを行う「道路保全技術センター」(東京)で約八十二億円。常勤役員三人は全員同省OBで、理事長の年収は上限が千九百五十六万円となっている。
次いで「中部建設協会」(名古屋市)や関東建設弘済会(東京)など、全国八カ所の地方整備局ごとにある建設弘済会・協会が続く。道路・河川の巡回や事業予定価格の積算などを行う弘済会・協会は、各地方整備局の有力な天下り先となっていて、八法人で計三十八人の常勤役員のうち二十九人が国交省OB。年収は千数百万円から二千万円近くとみられる。国交省OBの一般職員も八法人に計約五百八十人在籍している。
こうした実態は民主党が国交省に要求した資料で明らかになった。同党の長妻昭衆院議員は「道路特別会計は国交省の天下り団体を食わせるため、いくらでもカネを引き出せる財布代わりになっている」としている。>・・・・・
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≪天下り法人、内部留保527億円 独占的受注で潤う≫ (中日新聞/2008年3月2日 朝刊)
<年間5兆円をゆうに超す巨額の道路特定財源。その中から1900億円もの金が、国土交通省所管の50余りの天下り法人に流れ込んでいた。国交省から独占的な事業受注で利益を上げ、多額の資産を持つ法人も目立ち、内部留保(余剰資金)は総額527億円に達した。天下りの常勤役員の年収はいずれも千数百万-2000万円余り。道路財源が多数の官僚OBらの懐にも流れている構図だ。
東京・西新橋のビルの8階に入る財団法人「道路保全技術センター」。道路整備特別会計から2006年度は約82億円の支出を受けた。具体的には全国に8つある国交省地方整備局から、データベース事業や調査業務などを受注している。
道路台帳などの紙データを電子化する「MICHIシステム」は、1990年のセンター発足から毎年、随意契約で独占受注。国交省によると、同センターの内部留保は2006年度が約41億円と多額に上った。
総資産額から公益事業を実施するために必要な基金や財産を除いた内部留保は、いわば公益法人の“利益”の蓄積。総務省は、事業費や管理費などの合計額の30%以下にとどめるよう指導しているが、同センターは42%と大きく上回っていた。
同センター幹部は「03年度は30%を切っていた。基準を超えたのは望ましくなく、反省している」と話す。職員235人のうち2割近くが国交省OB。国交省出身の3人の常勤役員の平均年収は約1800万円という厚遇ぶりだ。
かつては道路関連事業を随意契約で独占受注していた各地方の建設弘済会や建設協会。いずれも内部留保の多さが目立つ。約40億円と2番目に多かった「関東建設弘済会」(東京都)の理事長は、旧建設省で道路局長や事務次官を歴任した鈴木道雄氏。鈴木氏はほかにも8つの公益法人で、非常勤の理事長や理事を務める道路ファミリーのトップだ。
内部留保が約23億円だった「中部建設協会」(名古屋市)の幹部は「国道のパトロールや道路工事の検査など行政の補助的な業務をしている。内部留保は20%強で、かなり気を使っているつもりだ」と話している。>・・・・
* * * * * * * *
≪河川危機管理訓練、国交省天下り財団が独占受注 年3億円…高額随契≫ (MSN産経/2008.3.2 01:03
<国土交通省の河川事務所が洪水などを想定して行う危機管理訓練を、同省OBの天下り先の財団「河川情報センター」(東京都千代田区)が随意契約で独占的に受注していることが分かった。契約額は年間25件で総額約3億円、1回の訓練で平均1000万円以上にのぼる。センターに訓練を委託していた東京都が民間企業に委託先を変えた結果、委託費は6割以下に抑えられた。高コストが裏付けられた形だが、国交省は「(センターは)ノウハウが確立されており随意契約に問題はない」としている。
センター理事長は国交省の国土技術政策総合研究所長を最後に退官した同省キャリアの河川技官。平成19年4月現在で、センターの職員96人のうち36人が同省OB。
センターが請け負う危機管理訓練は、台風や地震で堤防が壊れ、浸水したなどの事態を想定して行う。センター職員がマスコミや自治体、町内会関係者などにふんし、市町村からの支援要請など次々に状況を変えながら対応させるロールプレーイング方式が特徴だ。訓練後にセンターが改善すべき点をリポートにまとめ指摘する。
1回の訓練費用は平均1000万円以上で、利根川上流河川事務所(埼玉県栗橋町)は16年度、4回の訓練で6300万円をセンターに支払った。
センターによると、国交省河川事務所などからの受注は12年度から始まり、18年度の河川事務所などの分だけで25件、総額約3億円。いずれも随意契約で落札率(予定価格に対する落札額の割合)は99%台という。
一方、河川沿いの自治体も同種の訓練を行っているが、12年度以降の7年間にセンターに委託した自治体は、東京都、横浜市など4件だけだった。
13年度からロールプレーイング方式の図上訓練を外注している都は、13、14、16年度に単独や他県市と合同の訓練をセンターに委託。契約額は2952万~5600万円だった。
都は18年度以降、随意契約をやめ、競争入札により民間企業に委託している。民間委託の契約額は都単独の訓練で798万~2800万円、8都県市合同訓練でも3150万円で、センターに委託するより6割以下の費用に抑えられたという。>・・・・