もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

大臣3人の更迭と国家安全保障会議

2022年11月21日 | 防衛

 内閣改造後1ヶ月で3人の大臣が更迭された。

 更迭された原因が、統一教会代弁?、軽口、政治資金虚偽記載と、開いた口が塞がらない以上に小物感に満ちている。
 高等小学校卒の今太閤ともてはやされた「田中角栄」氏は、悪し様に書けば「悪銭に塗れて」宰相の座を降りた。角栄氏は、数多の2世議員・東大卒官僚議員を押し退けて総裁総理に上り詰める過程で、親しい友人に「俺は常に刑務所の塀の上を歩いている」と漏らしていたとされるので、徒手空拳の身で国盗りを目指すために「塀の上を歩く」ことを必要な手段と覚悟していたように思うし、そこには日本列島を改造して、自分の生まれ育った越後の寒村でも豊かな暮らしを実現するという「理想」「政治的信念」があったように思う。
 今回更迭された3人の大臣を眺めると、いずれもが東大卒であるので善悪の判断は衆に抜きんでて政治倫理にも通暁していたと思うが、「無人販売所の商品万引」にも等しい行いを観ると、総裁・総理になるためのステップとも、理想を実現するための必要悪との覚悟など微塵も感じられない。
 山際議員・寺田議員の所業は置くとして、法相を更迭された葉梨議員の軽口は看過できないように思える。
 葉梨議員は、東大法学部卒業後17年間の警察庁勤務を経て政治活動に入り、以後法務副大臣や衆院法務委員長を歴任した、いわば司法・法曹のプロであると思える。法務大臣は利権も存在しない旨味の無い名誉職とも観られるとともに任命にもその匙加減が働くのであろうか、これまでも同様の失言・軽口で複数回の更迭劇があったと記憶しているが、一方で鳩山邦夫氏は膨大な裁判資料を読み込んで押印したとされ、千葉景子氏は自身のサインした死刑執行に立ち会ってさえいることを思えば、葉梨議員には国民の命を絶つことを法的に認められているのは法務大臣だけという認識も無かった、若しくは長年の警察庁勤務でその感覚がマヒしていたのかもしれない。

 ハリウッド映画では、大統領が重大な決定をする場合には同席している司法長官に法的判断を問う場面が描かれるが、日本の国家安全保障会議では法務大臣は委員に含まれていない。
 何故に、このような人選になっているかを考えれば、アメリカでは最高指導者と雖も違法行為を犯すという性悪説に立ったブレーキ役としての司法長官の判断を加えるのに対して、日本ではブレーキ役として財務・経産相しか参加しないのは、総理は違法を犯さないという性善説によるところが大きいのではと観ている。
 法曹の信頼回復と国策遂行の適法性を確保する意味からも、法務大臣の職責を強化して国家安全保障会議の主要閣僚に加えると共に、その任に堪えうる人間を任命して欲しいと願うところである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿