もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

憲法記念日にコスタリカを学ぶ

2020年05月03日 | 歴史

 憲法記念日を迎えたが、改憲に前向きな自民・維新、護憲を主張する公明・立民・共産・社民との色分けは、中国コロナ禍で緊急条項の創設が急浮上している今も変わらない。

 今年は3密回避のために、各派も集会・街宣・署名等の活動を自粛しているようであるが、憲法9条死守を標榜する団体が理想として掲げる中米コスタリカの現状を勉強した。なお、それぞれの数字の後には相当する県と数字を( )書きしている。コスタリカは面積51,00(九州:59,000)㎢、人口489(福岡県:500)万人であり、一見すると人口密度は低いように感じられるが、国土の背骨部分には4つの山脈と最高峰チリポ山(3901m)があるために人口の約65%が都市に居住しているとされている。2013年のコスタリカのGDPは約496億ドルで愛媛県とほぼ同じ経済規模、一人当たりのGDPは10,528ドルで世界平均とほぼ同じ水準とされる。さて、9条死守派が理想とする軍備であるが、1949年に憲法で常備軍を廃止したが、国家の非常事態には国会議員の3分の2の賛成を得た場合には、大統領に徴兵制の実施及び軍隊の編成の権限を与えており、また、平時にあっても必要に応じて軍を臨時に設置することが認められている。常備軍は持たないものの、有事に徴兵・編成する軍隊では近代戦闘の役に立たないことを熟知しているためか、海上・航空を合わせ合計で14,000(福岡県:10,500)人とされる武装警察という組織を持っているが、国際戦略研究所では、このうち9,000名を準軍事的要員としており、国内にはアメリカ軍が指導する訓練センターも持っている。さらには、公的・私的の民兵組織もあり、隣国のニカラグアはコスタリカの武装警察を含めた体制を「軍」と明言しており、1965年のドミニカ内戦時にはOAS平和維持軍の一員として武装警察を派遣していることから列国と同等の戦闘力を持っているものと観られている。近年は麻薬の集積・中継地なっていることから凶悪事件も多発しており2016年には13,000(福岡:800)件(1万人当たりの発生件数27.6(福岡1.6))件とされている。永世中立については、1983年に永世非武装中立を宣言しているが、現在まで周辺国からの承認が得られない状態が続いている。ちなみに、国際的に永世中立国とみなされるのは、スイス(1818年~)、オーストリア(1955年~)、ラオス(1963年~)、トルクメニスタン (1995年~)の4か国で、宣言に留まっているのはカンボジア、モルドバ、リヒテンシュタイン、コスタリカとされている。

 確かに、常備軍放棄と軍事費の削減によって生じた福祉・教育の充実によってって、コスタリカは一時期「中米の優等生」とも呼ばれてきたが、他の先進国と同様に各種の格差や歪みの拡大に直面しているのも事実であるように感じられる。周辺国が承認・同意しない永世非武装中立が何時まで命脈を保てるのか、麻薬戦争に勝てるのか、中国マネー依存度を高めているが債務漬けにされる日は来ないのかと考えれば、コスタリカは護憲勢力の主張する通り日本が手本とすべき国なのであろうか。


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