福島原発事故メディア・ウォッチ

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大飯原発のヤラセ再稼働が許されないこれだけの理由

2012-01-21 17:16:25 | 新聞
 経産省の保安院が大飯原発再稼働に向けた安全評価を『妥当』とするヤラセ審査結果を出した。現在、日本の原発は54基中49基停止中、残る5基も4月下旬には定期検査で停止する。それでも、電力の供給には全く支障なく、原発の全停止だって、私たちの生活をおびやかしたりしない。もちろんそれがわかっているから、土俵際においつめられた経産省や原子力マフィアの業界・御用学者は、何としても再稼働をごり押しして、最後の利権にしがみついている。なりふり構わない彼らは、1月末にやってくるという国際原子力マフィアの元締めIAEAの立派なお墨付きを頂いて、地元をいつものように金の力でローラクして「原発のある豊かでクリーンな国民生活」の復活をもくろんでいる。だが、そんなもくろみが許されるわけがない。
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「犯人が裁判官」である安全評価
 安全評価=ストレステストなるものが、どれほどまやかしか、「ブルガリア原子力安全庁の元長官で、欧州連合(EU)加盟国の原発の安全性を評価するストレステスト(耐性評価) の議論に加わったゲオルギ・カスチエフ氏」が東京新聞()に語っている。

 言うまでもないことだ。コンピュータによるシミュレーションなど、前提やパラメーターや予測や想定をいくらでも操作できる。それをやるのが電力会社でそれを審査するのが、原発マフィア御用学者集団では、「安全」という結果が出るに決まっている。国会の原発事故調査委員会メンバー・山崎比早子氏の言う「犯人が裁判官になっている」構図だ。カスチエフ氏は「原発は安全」という結果になることを『賭けてもいい』といっているが、氏はこの賭けに勝てない。だって、反対に賭けるやつがいないから賭け自体が成立しないのだ。
 シミュレーションなどは、やる側の姿勢いかんにかかっている。審査する保安院が、これまでどんなに事故を最小に見せかけようとし、東電や原子力業界を守ろうとしたか、いまや周知のことだ(来年度の経産省の原子力予算をみても、彼らが事故前とまったく変わってないのがわかる)。それが「規則通りに選出した」の委員会の委員には、原発会社から寄付をもらっている御用学者もいる。議長役の岡本孝司(東大)=三菱重工業200万円、阿部 豊(筑波大)=三菱重工業500万円、山口 彰(大阪大)=(株)ニュークリア・デベロップメント(三菱重工業系)3,385万円たちだ。

 おまけに、山口などは、去年の3-4月ごろには「メルトダウンはあり得ない」とか言っていたのではなかったか。

 さらに、この委員会のいい加減さは、委員の出席状況を見てもわかる。18日深夜に大飯原発のテストを『妥当』とした委員会には、11人の委員のうち4人しか最後の決定まで参加していない。こういう状況での決定に正当性はあるのか。伊野委員と後藤委員がいないのは、傍聴者を締め出して、会場を変更したことに抗議したからだが、そもそも、日本の脱原発の行方がかかり、国民的関心の的であったこの委員会に最初から出る気のない委員もいる。委員会は2011年11月6日から2012年1月18日までの7回開かれたが、記録が公開されている6回の委員会のうち、4回欠席しているやつが二人いる。

小林 信之 青山学院大学 理工学部機械創造工学科教授
佐竹 健治 国立大学法人東京大学 地震研究所教授

 こいつらは、まったくやる気がなく、お役所の数合わせに協力しているだけだ。これは、この連中にとってはいつものことだろうが、せめて、これだけの事故の後だからちょっと気をつけようという計算すら働かない。いつもと同じ、産官学連携のまやかしぶりだ。これは官僚の方も「いつもと同じ」ごまかし・ごり押し・おしつけ精神で、今回の再稼働をかすめ取ろうとしているのと対応している。悲劇的な鈍感さ、悪と退廃の陳腐さ、なんて、ハンナ・アーレントのように言ってみたくなる。

 こうした委員会の状況で、井野 博満氏と後藤 政志氏の二人は、御用委員たちの業界癒着を指摘し、技術の社会的検討を主張し、傍聴排除に抗議して、よくやってくれていると思う。保安院が彼らを委員に入れたのは、もちろんアリバイで、二人では数の上では、(小林・佐竹といったエア委員を別にしても)御用一派にかなうわけがないと踏んでのことだろう。むろん、伊野氏・後藤氏もそれを承知で委員になったのだろう。彼らの役割は委員会内部のひどさを外部に伝えること。むちゃくちゃが行われていることを、彼ら自身とのコントラストで、私たちにわからせることだろう。だから、審査結果がどうであろうと、どうかこれからもガリガリ抵抗し、どんどん発信してください。

 シミュレーションが、やる側の姿勢・目的・原則(哲学)いかんにかかっている、ことは東京新聞のカスチエフ氏も指摘している。出てきた数値自体の問題ではないのだ。

『日本では、電力会社が一次評価で、「今ある指標の一・八倍の地震、四倍の高さの津波まで耐えられる」といった評価結果を国に報告しているが、カスチエフ氏は「この数値をどう受け止めればいいか、誰も何とも言えない」と指摘した。』

 原発の危険性を正確に認識したいのか、それともとにかく原発を安全なことにしてとりあえずすぐに動かしたいのか。シミュレーションのいちいちのステップで、「安全」側に結論が出るように操作することなどいくらでもできるし、その操作を経たプロセスを正当化するための操作も付加することができる。たとえば東電は、柏崎刈羽のテストを正当化するために、同じやり方の簡易版で今回の津波状況で福島第一がどうなるかやってみたら確かに過酷事故になりました、と報告している。

 しかし、これはシミュレーションではない。結論は出ている。東電のたくらみはだれでもわかる。すなわち、福島第一で過酷事故、柏崎刈羽では安全となるようなプロセスを想定すればよい。東電福一では、そうなるようなデータ数値を「現実のもの」「起こったこと」として採用すればよい。当然、地震そのものによって配管に破損が起こり、冷却水の喪失が起こったという、シナリオは想定しない。こうなると、「事故原因はいまだ解明されていない」、という、本来なら他の原発の再稼働を阻むような事実が、シミュレーションの魔術を通してかえって「安全神話」創設に貢献する。

 電力会社が利潤と利権のために作り出したストレステストにゴーサインを出すドアホ院のむちゃくちゃ委員会による審査など、国家的なヤラセの典型といえる。どしどし経産省に抗議しよう。
また、大飯原発再稼働に反対する署名もある

あちこちから怒りの声をあげよう!

ワイロよりハイロ! 再稼働は地獄道!

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