ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

時代の移り変わりによって成立しなくなった事柄

2024年05月09日 | 其の他

手塚治虫氏の代表作の1つ「ジャングル大帝」。此の作品が漫画雑誌漫画少年」で連載開始となったのは、今から74年も前の1950年の事。自分が実際に読んだのは半世紀近く前だが、最初の方に記されていたアフリカ大陸嘗て暗黒大陸と呼ばれて来た。という文章がとても衝撃的だったし、今も忘れられない。「嘗てヨーロッパ人達はアフリカ大陸を、“自分達が入った事の無い未開の地”と認識していたが呼称。」なのだが、彼等にとってアフリカ大陸は「良く判らない、怪し気な地域。」というイメージが在ったのだろう。

自分が「ジャングル大帝」を読んだ頃には、暗黒大陸なんて呼称は使われていなかったが、「アフリカ大陸には“土人”や“人食い人種”が住んでいる。」みたいな考え方は“潜在的”に在ったし、“ホッテントット”なんていう呼称も普通に使われていた。今じゃあ此れ等は、「差別的だ!」として批判されるのは間違い無い。

時代の移り変わりによって成立しなくなった事柄というのは、決して珍しく無い。ミステリー・ファンならば常識と言って良いだろうが、「ノックスの十戒」の一部内容もそうだ。ロナルド・ノックス氏が1928年に発表した“ミステリーを書く上での10のルール”で、以下の内容となっている。

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「ノックスの十戒」

① 犯人は、物語の当初に登場していなければならない。但し其の心の動きが、読者に読み取れている人物で在ってはならない。
② 探偵
方法に、超自然能力用いてはならない。
③ 犯行
現場に、秘密の抜け穴・通路が2つ以上在ってはならない。
④ 未発見
毒薬難解科学的説明を要する機械を、犯行に用いてはならない。
⑤ 主要
人物として、「中国人」を登場させてはならない。
⑥ 
探偵は、偶然や第六感によって、事件を解決してはならない。
⑦ 変装
して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人で在ってはならない。
⑧ 
探偵は、読者に提示していない手掛かりによって、解決してはならない。
⑨ 
サイドキックは、自分の判断を全て、読者に知らせねばならない。又、其の知能は、一般読者よりも僅かに低くなければならない。
⑩ 
双子一人二役は、予め読者に知らされなければならない。
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10のルールが設定された理由は此方に記されているが、一番不思議に感じるのは、⑤の「主要人物として、『中国人』を登場させてはならない。」ではないだろうか。西欧人の間に『中国人は頭脳が優秀で在り乍らモラルの点で劣る者が多い。』という偏見根強いから。というのが理由で、「中国人はモラルの点で劣る者が多いから、考えられない様な理不尽な事でもしてしまうので、読者が謎解きをする上で“問題が在る障壁”となるから。」という事なのだろう。又、「『中国人は、“魔術めいた事”が出来る。』という妙な思い込みも、当時は在ったのではないか。」と考えている。中国人は魔術めいた事が出来てしまうから、彼等の行動には、常識的な推理が成立しない。という事だろう。何れにしても偏見という点で、現在では在り得ないルールだろう。

ミステリーで言えば、嘗ては「犯人からの電話を逆探知するには、出来るだけ長く会話を引き延ばさないと、犯人が電話している場所は突き止められない。」というのが常識だったが、デジタル交換機の時代となった今は、「通話時間は1秒で在っても、犯人が電話している場所を突き止められる。」と言う。

又、余程の場所で無い限り、監視カメラが到る所に設置されている現代では、街中で犯行をした場合、犯人は追跡されて逃げ切れない。」、「スマホを誰もが所有している様な現代では、辺鄙な場所で被害者が公衆電話を見付けなくても、連絡を簡単に取る事が出来る。」という事から、“ミステリーで嘗て良く使われていた手法”は成立しない(乃至は、成立し辛い)だろう


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