ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

普通の人がなってはいけないのが総理大臣

2008年01月30日 | 政治関連
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・ 人生に於いて、それ以上の高い場所が無い人、即ち総理大臣とは当然、最も孤独な人でなくてはなりません。普通の人がなってはいけないのが総理大臣です。総理になる人は、自分の命は国民の物で在り、国民一人の死は全て自分の責任に繋がるという、それだけの覚悟と自他共に許した資質を持たなくてはならないのでしょう。大いなる野望を持って総理を目指す人で在れば、政治屋では無く政治家で在るべきで、同時に哲学者で在って貰いたいと思います。背伸びをして総理になれば、其処迄が精一杯です。それ以上飛び上がる事は出来ません。を少し曲げ、腰を屈めて余力を持って総理になれば、力強く大きく国民を統率してくれる事でしょう。

・ 今日の日本の政治の大間違いは、二代目、三代目の政治家、いやもう政治屋が増え過ぎた事で在る。学問もしない、社会で働いた事も無い。唯、秘書と称する鞄持ちをして、役人の使い方や陳情を受けて相手に恩を売る、口先だけの安っぽい芝居、腹芸恫喝見様見真似で身に着ける。親が死んだり、引退したりすると、唯選挙のみ争って地盤を守るタイプの多過ぎる事で在る。無論、中には立派な二代目、三代目も居るが、殆どの人は、選挙期間以外は頭が高い。自分は特別だと思っている人が多いのだ。
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32歳の時に慶応義塾大学病院から出向した或る病院で、岸信介元総理大臣の夫人・良子さんの担当をし、それが縁で岸氏の健康管理を担当する様になり、それから2~3年の内に鈴木善幸氏&中曽根康弘氏という現職総理大臣の外遊随行医に任命された水町重範氏。そんな彼が見た“政治家達の素顔”を綴ったのが「総理の随行医 -歴代首相の脈をとって-」。前から読みたかったこの本を、やっと読破した。

岸、鈴木、中曽根という歴代首相を軸に、彼が接して来た政治家達の素顔が紹介されている。冒頭で紹介した文章はこの本から抜粋した物だが、「その通り。」と相槌を打てる部分も在れば、「それはおかっしいだろ。」と納得し難い部分も何ヶ所か在る。特に「北朝鮮と異常な迄に懇ろな関係となり、売国奴的な言動をずっと続けて来た癖に、今では憂国の士を気取ってマスメディアに登場している元大物政治“屋”」の事を、「本当に国を心配している人物で、総理大臣になって欲しかった。」と迄持ち上げているのは全く解せない。この人物に関する“裏話”を、マスメディアに従事している複数の知人から聞いているというのに。水町氏自身が色々批判されている面も在る様なので、この本の内容を100%鵜呑みにしてしまう訳にはいかないのかもしれない。しかし、政治家達の意外な素顔が垣間見れるという点では、なかなか面白い本だった。

「和の政治」を掲げていた鈴木元総理。その素顔は想像と違わず、生真面目さが感じられる。唯、「それ迄の総理大臣が就任するや否や、まるで江戸時代参勤交代の如くワシントンに出向いていた。」のに対して、「徒に欧米と接する事より、先ずアジアの隣人達への挨拶を重んじたい。」とアセアン諸国を最初の外遊先に選んだ鈴木元総理の思いには感じ入る所が在った。(「工業より、先ず農業・水産等第一次産業を大切にしたい。」という思いも在った様だ。)

何と言っても面白かったのが、“大勲位”こと中曽根元総理の素顔。

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(ウィリアムズバーグ・)サミット開会の前夜、就寝前の血圧チェックで総理の部屋を訪問した。内扉をノックしても応答が無いが、ドアが開いていたので中へ入った。風呂場の方から太い、英語の発音の様な声が聞こえた。総理の声だ。しかし、間違いなく総理は入浴中で在る。私はそのまま待った。暫くして、風呂から出られた。ガウン姿の総理の手にビニール袋に包まれたソニーのテープ・レコーダーが入っていた。水に濡れない様に、ビニール袋に包んであったのだ。総理は風呂で英語の講演の為、発音練習を繰り返しておられた。私は只管敬服した。更に驚くべき事に、その後、息子で在る秘書の弘文氏(現・参議院議員)と英語の言い回しや発音の仕方に付いて議論していた。パフォーマンスも多々見せ付けられたが、それを裏打ちするだけの努力をしっかりしている所が並みの代議士とは全く違うと、しみじみ思った。
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中曽根元総理は普段から常に、「何故?」と疑問を口にする人物だとか。知らない事が在ると、不愉快そうでさえ在ったという。この溢れんばかりの探求心は見習わなければと思う。

そして中曽根元総理と言えば、様々な疑獄事件が発覚する度にその関与が噂されて来た人物でも在る。だからこそ刑務所の塀の上を何度も歩いたが、上手く“内側”に落ちないで済んだ政治家とも呼ばれた訳だが、この本の中で紹介されている2つの逸話から、彼の猜疑心の強さ&狡猾さが透けて見え、それ故に“魔物”や“妖怪”が跋扈する政界を上手く生き長らえられのかもなあと思ったりも。

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・ 毎回、外遊前に総理公邸に伺って、出発前の挨拶と共に簡単な健康チェックをした。其処でやや血圧が高かったりすると、必ず、その日の内に国会内の診療所で、再確認をしておられた。私が公邸に伺い、診察をした翌日の朝刊の「総理の一日」の欄を見ると、時々、それを裏付ける記事が出ていた。血圧が高いと言われて、直ぐに確かめに行く事は私に対する信用の無さか、猜疑心か、自分が不安になられるのか判らないけれど、自分に弱点が在るのは嫌な方なのだろう。

・ ボンベイサンタクルズ空港出発の際、歓送式前の控え室で大統領と中曽根総理に振舞われたヤギのミルクを中曽根氏は臭いを嗅いだだけで、「大臣。」と言って、直ぐ(同行していた)安倍(晋太郎)外務大臣に回したそうだ。人の良い安倍氏は仕方なく目を瞑って、一口二口飲んだとの事。その直後からどんどん、腹の具合が悪化したらしい。点滴をしても、暫くベッドの上で、「あのヤギのミルクが・・・総理が俺に飲ますから。」と恨めしそうに溢しておられるのが印象的だった。御気の毒でも在った。
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4 コメント

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日本の政治の大間違いの部分にはうなずけます (マヌケ)
2008-01-30 11:09:55
人間性は普通であって欲しく、頭の切れや決断力などの能力は普通以上の人であって欲しいです。 子供たちにも尊敬できる人物が今の世の中になかなかいませんので過去の歴史上に求めるか、それこそ、趣味の世界などでスポーツ選手などに尊敬できる人物像を求めるしかない様子です。 名門とか名家とかに育ち世間一般の暮らしを経験したことのない人、金銭に縛られた上下関係の中で己を殺し、物やサービスを売るために汗を流した経験のない人、弱者への思いやりやいたわりを社会主義などとして道徳を無視する人、挫折したことのない人・・・こんなにあげていくとだんだんいなくなっちゃいますね。 だれしも、50歳くらいになると人生経験からして尊敬する部分が少なからずあるものです。 働いているというだけで、税金や社会保険料を納めているのですから、尊敬できます。 4週のうち1週は国のために働いているようなものですから。 まあ、でも安倍ちゃんとかタイゾウ君なんか見ているとヤバイなとも思います。 
>マヌケ様 (giants-55)
2008-01-30 16:35:16
書き込み有難う御座いました。

正直な感想を言えば、自身にとって利害関係の有無や、個人的な好き嫌いから政治家個々の“素顔”を記している様な面も“多少”見受けられる様な気がする本でした。唯、それを加味しても中々良い事も書いて在りましたね。

中曽根元総理は個人的に好きな政治家では無いものの、総理在職中から何事に関してもアクティブな姿勢は評価していました。又、この本でも触れられているのですが、自身の信条&思想とは必ずしも相容れない(もしかしたら正反対に近いかも。)人物だった後藤田正晴氏を“女房役”に据えるという懐の深さも、今の単なる政治“屋”には無い部分かもしれません。

最初は薄っぺらな人間でも、努力して中身を磨いて行けばそれはそれで良いと思っています。それは政治家でも同じ事。問題なのは薄っぺらな癖に、然も自分が物凄い事をしているかの様に装い“続け”、自分を全く磨かずに薄っぺらなままの人間かと。“美しい国”や“料亭坊や”(「小泉→武部→中川(昭)→飯島→鈴木(宗)」と爺さん連中に次々と取り入る様は、男版・小池百合子と言っても良いのではないでしょうか?)は、どうしてもその典型に見えてしまいます。
とはいえ。 (アラメイン伯)
2008-01-30 21:58:21
普通の人がなってはいけない総理大臣。これはその通りだと思います。
しかしよく庶民感覚を持った人が良いという意見もあります。
確かに庶民の生活に気を配ることは必要ですが、庶民感覚で一国を動かしては国を誤ります。
普通の人 (o_sole_mio)
2008-01-31 00:54:34
タイトルを拝見して徳川家光が将軍就任時に言った「私は生まれながらの将軍」というのと思い出しました。

総理大臣に相応しい人が平々凡々とした人物では確かに困り者ですが、歴史上でも「偉大なる凡人」型リーダーというのも存在すると思います。普通の人ではない=生まれ育ち、というのは世襲化している国会議員に言えるかもしれません。宮崎県や大阪府とタレント知事が相次いで誕生しています。確かに普通の人では政治化にはなれないのかもしれません。

個人の能力において、人にそんな大差はないと思います。要は地位が人を作り、最終的に総理に相応しい人物になるというのが理想かと思います。

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