防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

平家の里

2009年11月15日 | 各地でのTOPICS

実名顔出し毎日のモットーがブログなので、後日談を続けます。
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今回の現場は平家の里という温泉街の近くです。これまで四国や南九州など、平家の伝説の残る土地には何箇所か訪れたことがありますが、今回は北関東です。

今でも4WD車でないとつらい山道に断崖絶壁、一体どうやって安住の地にたどり着いたのか。にごりのない清らかな水、、、やはり日本は森と岩清水の国だと再認識させられます。


山は死にますか?

2009年11月13日 | 雑感
最近ときどき”教えてください”なんてメールを下さる方がいて、相手の方がベテランなので、さだまさしの歌詞みたいですねえと、、最近土石流や地すべりに対して机上の空論を連発しなければならないことが多くって、、、山が死んだらこんなマニュアルどおりの土石流になるんでしょうねえ、、、

疲れています。

実名の効果

2009年11月12日 | 雑感
先日下山先生にケンプラッツの記事を紹介したのですが、ケンプラッツではまれに見るコメント数になっています。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20091030/536517/

ハイゼンベルク「現代物理学の思想」といった自然科学の古典も登場して、様々な立場の人が活発な討論をされています。確かに、思いがけない結果だったと思うのですが(私は建築は素人なので立ち入ったコメントは差し控えます)、それ以上に、下山先生がフルネームで(先生のブログ同様)実直な意見を述べられているからだと思います。

特に会議室を設けることもなく、交通費も使わずに活発な会議場が出来るのはITがもたらした最大の功績のひとつでしょう。

過去に学ぶということ

2009年11月11日 | 災害の記憶と想像力

今日11月11日は、昭和46年に川崎生田緑地で行われた斜面崩壊実験事故の日です。この実験は、斜面崩壊の発生機構を解明すべく斜面崩壊に関する総合研究の一環として行なわれたもので、実際に斜面に散水し降雨を再現することで、人工的に斜面崩壊を発生させ、基礎データを収集しようと試みでしたが、崩壊土砂が15人もの犠牲者を出した悲劇です。このあと、2003年に森林総合研究所が実験を行うまで、現地での斜面崩壊実験は見送られることになります。

http://www.ohta-geo.com/siryou23/kabayama.htm
http://www.ffpri.affrc.go.jp/shoho/n34-04/034-4.htm

森林総合研究所はその後、地下水の音を聞く装置を開発し、斜面崩壊のメカニズムに迫っています

地下水の音で土砂崩れを予測、長さ15cmのセンサーで「曝気音」を測定
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20080604/522174/

PCより現実の方が、はるかに精度が高い、実用的な結果が得られます。当たり前ですが、最近このことがわからない人が増えています。


ブックマークの追加 - 建築をめぐる話…つくることの原点を考える

2009年11月10日 | 雑感

ブックマークを追加しました。

建築をめぐる話…………つくることの原点を考える
http://blog.goo.ne.jp/gooogami

考えさせられるコメントを以下に列記します。

現場で長年積み重ねてきた知恵の蓄積は、ほんの数年の実験とは、比べ物にならない内容の濃いものなのだ、と私は考えています。歴史は、いわば壮大な実験室です

scientific に耐震診断をやるならば、それぞれの建物の建つ場所の「地質図」「地形図」「土地条件図」そして「地質調査」などを通じて「地盤」をよく知り、その建物の「構築法の考え方」と「工事法」が、その地に適したものであるかどうかを検討すべきなのです。
そして、その「判断」は決して、法令の規定に合っているかどうかを判定基準にしてはならないはずです。法令基準は、絶対的かつ科学的「正」なのですか?
もしそうなら、それはあまりにも non-scientific な思考法ではありませんか。法令とは、そういう性格を持ってよいのでしょうか


ECO と LOGY

2009年11月09日 | 防災・環境のコンセプト

ことしもだんだん残りが少なくなってきました。政府は”聖域なき事業仕訳”とやらで、早くも師走の様相ですね。どこまで本質的な議論がなされているのでしょうか。ここでキーワードとなるのは、やはり”エコ”になってくるんだと思います。流行語大賞でも取れそうな感じもしますね。

私が気になっているのは、ECOの後の”LOGY”が忘れられていることです。ECOという言葉は、もともとギリシャ語で”家”を意味するのだそうですが、そうすると「エコ住宅」というのは、”家の住宅”ということになり、妙な語幹になってしまいます。世間の風潮では、”ECO”は緑あふれる雰囲気みたいなファジーさを残し、みなぼんやりとしたイメージで語っていますね。

ECOLOGYは、学問の分野でいえば生態学です。生態系を理解するためには、単に動物や植物の生息数だけじゃなくで、それを支える土壌・大気・水、土壌を生む地質(母岩といいますが、これは生態系を理解するうえでとても意味の深い、やさしい表現だと思います)、大気や水の循環ということを念頭において、相互関係・因果関係を理解しなければなりません。まさしく、これがロジックであり、"環境”を語る上での基本認識となります。

マスコミ報道やそれに煽られたともいえる世論は、”カンキョウ”というよりは”カンジョウ”論になりがちです。LOGYがないと”エコ”が”エゴ”へと変質する過程も止められないのかもしれません。


ユーティリティー・プレイヤー

2009年11月08日 | 雑感

プロ野球の広島や巨人で職人的な玄人好みの活躍をした木村拓也選手が引退を発表しました。日本シリーズでもすばらしい活躍をされていたので、とても意外でした。マスコミは”ユーティリティー・プレイヤー”という言葉で形容していました。投手以外はなんでも出来るというのは、確かに稀有なキャラクターだと思います。名前が名前だけに、目立ってしまう存在でしたが、こういう個性のある選手がいなくなるのはさびしいものです。

私たちの業界でも、最近”ユーティリティー・プレイヤー”が少なくなっているように感じます。現場を歩けば、業務の項目が"地質調査”であっても、地形を形成する営力や土石流の動き、植物・動物の生態系との関連、土地利用の歴史
など、自然環境に関わる諸現象がどのように成り立っているがわかってきますので、地形の判読や安定計算、地質解析や岩盤スケッチに森林モニタリング、いろんなことが出来るはずです。

しかし、最近では”守備範囲”に固執するあまり、それを専門高度化と錯覚すると、できることは限られてしまいます。本当にあったのは、地すべり地の放射能探査はできるが、地すべりによって発生したクラックがどれだかわからないといったことです。もちろん最初のうちはできることは限られているのでしょうがないのですが、ワンクリンクで答えを求めてきたいまの世代では、ユーティリティー・プレイヤーはなかなか出てこないでしょう。


国立国会図書館 NDL-OPAC

2009年11月07日 | 雑感
文献検索といえばCINIIが有名になってきています。最近は論文をPDF化している学会も多くあって、以前に比べるととても便利になりました。

12~3年くらい前に国会図書館図書館で文献調査をしたことがありますが、本当に一日がかりでした。真っ黒い画面に緑の文字、キーワード検索してめぼしい文献がみつかったら、その雑誌の製本を請求して長ければ1時間待ち。さらに、複写コーナーで1時間待ち。それも午後だと複写請求が2冊までしか受け付けてくれないので、本当に時間がかかりました。

出張に行く前は、あらかじめその地域の地形・地質を予習していくわけですが、その際に役立つ文献は往々にして1960~80年代に多い(本当によく歩いて記載されている)ので、まだPDF化が及んでいません。こういう文献を入手するには、このシステムはとても便利です。

コンクリートに罪はない

2009年11月06日 | 雑感
コンクリートには何も罪はありませんよね!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/321417/

 政府が掲げる「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズを取り上げ、「私のところに『コンクリート』という言葉を社名に使っている建設会社から大変な苦情が来ている」と怒りをぶちまけた。これには、さすがに首相も「申し訳ない」と陳謝。脇氏が「コンクリートなしに防災ができるのか」とたたみかけると、首相は「人の命を守るためにコンクリートは必要だ。コンクリート業界の人に頑張ってほしい」とエールを送るしかなかった

相変わらずの技術論のないセンセイ方の会話ですねえ。疲れたので寝ます。


成果主義の後退

2009年11月05日 | 雑感

こんなニュースがありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091105-00000144-jij-bus_all
厚生労働省は5日、全国の企業を対象にした2009年就労条件総合調査の結果を発表した。社員(管理職除く)の基本給を決める際に重視する主な要素(複数回答)として「業績・成果」を挙げた企業は46.6%にとどまり、01年の前回調査から15.7ポイントも減少した。
 一方、今回初めて尋ねた賞与の決定基準は、「業績・成果」(58.9%)が「基本給」(32.5%)を大きく上回った。厚労省は「基本給は安定性が必要なため職務・職種を基本に考える一方、賞与に業績・成果を反映させる傾向が強まっている」とみている。

 給料をいわば"定量的”に算出すれば、効率があがると信じてやったのでしょうが、やはりあまりうまくいかないようです。私たちの業界で成果主義をやろうとすると、年間内部消化額が対象になりがちです。Aさんはひとりで何千万円分の物件の仕事をこなしたからエライといったようなことです。しかし、そこには斜面の見立てや最善策の提案力など、防災に関わるコンサルタントとしての根幹となる力は反映されません。昼休みに消灯して経費削減とそのモチベーションをあげるのは、負の効果として社員の向上心や向学心をそぐ損失の方が大きいという計算もできません。


歴史と現場に学ぶ - 建築に関わる人はホントに理科系か? -

2009年11月04日 | 防災・環境のコンセプト

最近防災科学技術研究所の家屋の耐震実験結果が注目を集めています。ケンプラッツの記事では、実験映像の動画とともに紹介されています。

長期優良木造3階立てが「想定通り」倒壊
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20091030/536517/

これをみると、耐震性能2に該当する家屋が「倒壊」に至っています。いろんなコメントを読んでいると、建物の剛性にこだわりすぎたとか、伝統的な木造建築物の耐震性をもっと見直すべきだという声が多いようです。そのなかで、以下のブログが紹介されていました。

建築をめぐる話・・・・・つくることの原点を考える   下山眞司
http://blog.goo.ne.jp/gooogami

興味深い記事としては、

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日本の建物づくりを支えてきた技術-12 古代の巨大建築と地震
http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/792cba3b7d2c718ef5671822c66625dd
古代の工法の「遊び」の多い「継手・仕口」が、地震の建物に与える影響を逓減させる効果があったのかもしれません。つまり、組物の「斗」「肘木」「斗」・・・と組み合わせてゆく各接点での「遊び」が、力を伝えるときに、伝える大きさ・量を減らしてしまう、のはないでしょうか。「ガタ」の効用です。

建築にかかわる人は、ほんとに《理科系》なのか
http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/dce40811dcf66a31f907506808f66b18
『理』とは「すじみち」のこと、「ものごとをすじみちを通して考えること」が「理科」であり「科学」のはずだ。それは決して、数学や物理の問題が解ける、計算がうまくできる、ということではない。単に計算ができても、それは「理科」「科学」を習得できていることではない。
 残念ながら、最近のいわゆる「理科系の人」は、計算はできても「理詰めで考える」のが不得手のようだ。「木造住宅耐震診断士」という「資格」がある。先日、その資格を得た幾人かと話をする機会があった。当然「木造」を理解しているものと思った。しかし違った。理解しているのは、木造建築にかかわる法律だった。「木造に関する法律の理解≠木造の理解」なのは自明ではないか。《法律の規定を充たせば耐震建物になる》と、ほんとに思っているのだろうか。恐ろしい話だ。
 私には、「理科系の人」ほど、理科系ではないように見える。
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私は砂防関係(広義で)に関わっていますが、同じようなことを感じることがあります。土石流は直進性がある、流線にそって、、大体30度くらいで氾濫する、、などどいった「マニュアルに書かれているとおりに設定したパソコンのなかの現象」を信じている人が増えてきています。実際に災害として報道される規模の土石流は、段派状に何度も繰り返し(その意味では山津波の方が的確な表現です)発生しますし、先頭巨礫や大きな流木の影響で、まずどちらに行くかわからないし、扇状地という言葉があるように30°に限定されることはない。地形を判読して過去の氾濫範囲を歩いて程度推測するとか、瀬と淵の分布の仕方からどのあたりからの崩壊・堆積土砂が被害をもたらすのか、現場を丹念に調べ歩くことしかありません。

基準書に載っていないことを理由に”想定外”として免責することが簡単ですが、それではかなり行政書士的、文系的な仕事といえるでしょう(それらの仕事の意義がどうということではなく、それを自然科学と思っていることが問題)、もちろん道理にはかないません。


視察と調査

2009年11月03日 | 防災・環境のコンセプト
最近現地調査とは名ばかりの視察になっているなあと思うことがよくあります。発見がないのです。
地表・地質踏査では、事前にある程度予習をしておいていても、ああこんなころに安山岩が貫入していたのか、テフラをきっているということはおもっより活動時期が近いなあ、、とか、現場で仮説を修正し、現場に学び、新しい好奇心が沸いてくる、、、そんな経験をすることがあります。

しかし、最近では、ただ淡々と現状を確認する。あまり考えずに写真をとるだけといったことが増えてます。

この間も、同業他社も同じ仕事をする、足並みをそろえるために、スケッチの精度を落としてくれと言われたことがあります。まるで手をつないでゴールする没個性かけっこみたいです。考えるヒントさえつかめない。由々しき自体です。

コインポリッシャー

2009年11月02日 | 技術動向
付加価値の低い仕事を必要以上にこだわってやることを揶揄した言葉に、”コインポリッシャー”という言葉があるそうです。999枚の一円玉をピッカピカに磨いても、しわくちゃの1000円札一枚の価値はない。最近はなり苦なりましたが”黒表紙”の報告書は、コインポリッシャ的仕事が多かったように思います。基本的には地表地質踏査で得られると仮説とその検証、それに関するレポートと地質図だけで事足りるのですが、そこから"値段に見合う”装飾がついていきます。我が業界では”あんこ”と呼んでいましたが、最近はそのことを考える人も少なくなっているように感じます。

”家族を守る”斜面の知識

2009年11月01日 | 防災・環境のコンセプト

土木学会で出版された『家族を守る斜面の知識 - あなたの家は大丈夫? - 』が、ネットショップでも販売が開始されましたし、ジュンク堂書店でも販売されておりました。

家族を守る斜面の知識 - あなたの家は大丈夫? -
http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0001038003

私はこの本の"売り”は『家族を守る』というところにあると思っています。これまでの斜面関係の本といえば、地形・地質の解説に始まり適して対策工を整理するという流れでした。それは防災は公共事業でやるものであり、土建業界の代表的な分野でありました。

しかし、先日の記事でも書いたように、土木工学は"シビル・エンジニアリング”です。防災に関しは、伝統的に"パブリック・エンジニアリング”という観念が出来上がっていますが、やはり公共事業を受動的に待っていては、”順番待ち”をしている間に被災するかもしれません。そして、”事業の成立”が前提になっているため、必要最小限というわけには行きません。

この本は、家族を主体に置おことによって、必要最小限の投資で防災効果を上げるための知恵、コラム等がつめられており、とても読みやすい内容になっています。そういう意味では、書店の実用書に並んでほしい一冊です。

なにしろ、この充実の内容で、1000円でおつりがきます

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ちなみに、”家族を守る”だけでキーワード検索すると、どんな本があるだろうと思い試してみました。そしたら76件ヒットしました。やはり”実用書”コーナーに多いですね。専門書でもあるので、両方に置かれるようにしたいですし、リスクマネージメントのコーナーにも必要ですね。