プロ野球の広島や巨人で職人的な玄人好みの活躍をした木村拓也選手が引退を発表しました。日本シリーズでもすばらしい活躍をされていたので、とても意外でした。マスコミは”ユーティリティー・プレイヤー”という言葉で形容していました。投手以外はなんでも出来るというのは、確かに稀有なキャラクターだと思います。名前が名前だけに、目立ってしまう存在でしたが、こういう個性のある選手がいなくなるのはさびしいものです。
私たちの業界でも、最近”ユーティリティー・プレイヤー”が少なくなっているように感じます。現場を歩けば、業務の項目が"地質調査”であっても、地形を形成する営力や土石流の動き、植物・動物の生態系との関連、土地利用の歴史など、自然環境に関わる諸現象がどのように成り立っているがわかってきますので、地形の判読や安定計算、地質解析や岩盤スケッチに森林モニタリング、いろんなことが出来るはずです。
しかし、最近では”守備範囲”に固執するあまり、それを専門高度化と錯覚すると、できることは限られてしまいます。本当にあったのは、地すべり地の放射能探査はできるが、地すべりによって発生したクラックがどれだかわからないといったことです。もちろん最初のうちはできることは限られているのでしょうがないのですが、ワンクリンクで答えを求めてきたいまの世代では、ユーティリティー・プレイヤーはなかなか出てこないでしょう。
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