防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

フリーソフトQGIS

2010年03月09日 | Design with Nature
最近はいろんな機能を持ったフリーソフトが出回っています。また、10000円もだせば、地すべりの安定計算の簡便法がエクセルでできるなど、かなり便利なツールも出回っています。私が最近”オオッ”と思ったのは、QGISです。以前は本当にshpファイルを見るだけって感じでしたが、編集・検索機能が大幅に増強され、メニューも日本語になりました。

http://qgis.org/en/download/current-software.html

週間防災格言より

2010年03月03日 | Design with Nature
地味なニュースほど重要な鍵を握っていることがあります

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週間防災格言より

南米チリでM8.8の大地震が発生する2月27日(土)同じ日の早朝、沖縄近海でM6.9の地震が発生した。
この沖縄本島近海地震では、沖縄県糸満市で震度5弱を記録。
沖縄本島で震度5以上の地震が記録されたのは実に1911年6月以来99年ぶりという。

地震による人的被害は軽傷2人。その他、文化財(世界遺産)の勝連城跡で城壁の一部が崩壊するなど130件以上の住宅。非住宅被害があったという。
心配されていた津波は、地震が津波の発生しにくい横ずれの断層だったこともあり、幸いにして、10cm程度の津波を確認したものの大きな津波災害は起こらなかった。

私(店長)は、この日の朝に、嫁さんから「沖縄で震度5弱の地震があったみたいだけど、ほとんどニュースでやってないので良くわからない」と連絡を受けた。
確かに、朝8時頃、テレビをつけてみても、インターネットで見ても、沖縄の地震に関連するニュースは見当たらなかった。

一時、気象庁から沖縄などに津波警報や注意報が発令されたものの、早朝5時半の地震発生だったため、警報・注意報は午前7時までに全て解除されたこともニュースが少ない理由なのだろうか・・・。

不幸にもこの後、チリで1960年以来の大地震が発生した。南米チリでは戒厳令も布かれる大被害となった。翌日には日本の太平洋岸を中心に日本全国の沿岸に最大1.4mの津波が襲来した。
そして、本来なら大手テレビ局でも報道されるべき沖縄地震のニュースが、関東ではほとんど見られることはなかかった。(ちなみに私は一度も沖縄地震のニュースをテレビで見ていない)

ちょっとした実験をしてみた。私の住む首都圏で2人ほど知人に「沖縄で震度5の地震あったの知っているか?」と聞いてみたら2人とも知らなかった。

沖縄本島を99年ぶりに襲った震度5の地震は忘れ去られてしまった。

この本は良く使ってます

2010年02月24日 | Design with Nature
専門書にはアマゾンのカスタマーレビューがあんまりつかないのですが、この本にはありました。

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4381018214/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

生態学を組み入れた斜面工学は,これからの土木工学のありかたの一面を示しているように思います.防災は大切ですが,生態系を大事することも非常に大切なことです.本書は,これが両立できることを示してくれています.本書のなかでも旧建設省が策定した「環境政策大綱」に触れ,「環境の保全」「地球環境問題への対応」を理念としていることが紹介されており,国の土木行政が本気で環境問題に取り組もうとしていることが記されています.それはこの著者たちの所属,経歴からも伺われます.内容は切り土斜面から河川の斜面,そして海外の斜面工学まで網羅しており,これから多用されていくであろう生態学的新工法について詳細に紹介されています.どれも,とても実用的です.コンクリートや鋼材にむやみに頼らない緑化による安定化工法は,重機もいらず,女性や子どもの手でも構築できる工法もたくさんあり,土木工学におけるパラダイムの転換を感じさせます.とくに土木行政職員,環境に関心のある市民団体にお奨めです

2010年スタート

2010年01月01日 | Design with Nature

皆様、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします
21世紀も10年目のシーズンを迎えるわけですが、最近の情勢をみると2008年後半に発生した不況風から政権交代にいたるまで、なかなか落ち着かない状態です。

そして(こじつけの部分もありますが)いろんな節目の年でもあります

阪神・淡路大震災かから15年、防災の日制定から50年、大阪万博から40年、平城京遷都1,300年、バブル絶頂期から20年、いろんな価値観をガラリと変えていくべき年かもしれません。公共事業は大分減るようですが、それをまざまざと実感してしまう年にもなるのではないでしょうか。これは、私たち技術者の自立を示唆するものと思います。公共事業の“待ち”の姿勢から“マーケット・イン”への転換です。防災への事前対策、商品開発など、公共事業の受注額の引き算・割り算の結果の多少に一喜一憂するのではなく、新しいことをどれだけやったかという足し算と掛け算の発想で心の利益も生む。。。そんな1年にしたいものです。


江ノ島

2009年12月29日 | Design with Nature
今日は久々に休みを取り江ノ島に行ってきました。江ノ島といえばサザンオールスターズや多くの文豪が愛した景勝地です。これらに比べるとあまり知られていませんが、大正関東大震災により2m隆起し、海食台も出現しています。自然の美しさと厳しさは表裏一体であると想いを新たにしました。かつての白砂青松はマンションに変わっています。

これぞDesign with Nature

2009年12月27日 | Design with Nature
日本の建物づくり-人はどこにでも住めたか
http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/31a97d11acdc29d010ec4d548e7df7b5
集落の「秩序」が大きく変り始めた、と言うより、新たな「秩序」が見出せないまま集落が崩れてゆく、と言う方が当っているでしょう。

観ていると、都会のあとを追いかけているのではないか、とさえ思います。なぜなら、自然環境はまったく以前と変っていないのに、「都会の環境?」向きのつくりが多く見られるようになっているからです。
「必要条件」は所によって変ることはありませんが、「十分条件」は、地域によって当然異なります。
各地域なりの「十分条件」を考えない「都会風の貪欲化」が農村地域にも現われ始めている、そんな風に思えます。

「必要にして十分な条件」を備えて初めて建物はその地の建物になる、そう私は思います再検・日本の建物づくり-1:かつて私も会社のコラムに、日本の都市計画の無秩序さを書いた事があります。
http://www.kankyo-c.com/column/inagaki_3.htm

イアン・マクハーグが提唱した『Design with Nature』の悪い例と示された都市計画と日本の都市が酷似しているという例です。

新住宅ジャーナル新年号発売

2009年12月18日 | Design with Nature
私が記事を連載をしている「新・住宅ジャーナル」の2010年1月号が発売になりました。

http://socks-center.xsrv.jp/media/nhj/nhj.html

すごく手前味噌ですが引用します

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1年のうち、防災が強く意識される日が年に2日あります。最もよく知られているのが9月1日の「防災の日」です。この日は1923年関東大震災が発生日ですが、「防災の日」として制定されたのは1960(昭和35)年であり、今年は50年目の節目に当たります。そして、もうひとつの、いわば“平成の防災の日”とも言うべき日が、1995(平成7年)に阪神・淡路・淡路大震災が発生した1月17日です。
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2000年代も二桁目に入り、私が卒論を提出した翌々日に起こった阪神・淡路大震災から15年がたちます。そして、この15年間、大きな被害のでる内陸地震も相次ぎました(このブログを書いている今朝も地震がありました)。2004年の中越地震では、地すべり地形の形成過程で多くの知見も出されました。情報処理技術や物理探査手法も格段に進歩して地下深部の地質構造が”みえる化”され、地表・地質踏査結果とのマッチングが可能になり、先日紹介した高橋先生の日本列島の形成史と将来予測に画期的な知見も出てきました。

しかし、一般社会に対するアウトリーチはまだまだです。防災は相変わらず事後の一点豪華主義で、いかにも簡単な数値シミュレーションが信望される気配もあります。

現場を知る大切さはいつの世も変わらないはずなので、もっと地表・地質踏査、定性的な観察の重要性を伝えていく必要があるでしょう。

地質学の原点

2009年12月13日 | Design with Nature
先日、日本列島の成り立ちについて画期的な知見をまとめられている、地質調査所の高橋雅紀先生の講演を聞く機会がありました。全ての話を書くと(本来描くというべきですが)いくら紙面があってもたりませんし、壮大すぎて高度すぎて、私のキャパシティが追いつかないなあというのが正直なところです。

ごく”触り”だけをいってしまえば、関東平野はなぜそこにあるのか?利根川の南北で地質分布・構造、火山フロントまでが大きく曲がっているのはなぜなのか、中央構造線は東北日本には存在しない、東北日本と西南日本の境界は関東地方の分厚い堆積層の中に埋没しているがその地下深部の地質を解き明かすことによって、なぜ日本列島が弓なりになっているのかがわかるという話でした。

詳しくは、高橋先生のホームページに”描かれています”。 

また、ご講演の内容は終始定性的なモデリングでした。そして、動画やアニメーションをとても効果的に使われていて、日本列島の蠢きが手に取るようにわかりました。そして、そこに至るには、個々の露頭をつなぎあわせ新しい普遍性を構築するこという地質学<WBR>の醍醐味があること、講演のタイトルは「ナウマンにひかれて」というもので「私はナウマンのつけた道筋をすこし明瞭にしたに過ぎない」という先人に対する敬意と自然と謙虚に向き合っておられることにも感銘をうけました。

このように、フィールドサイエンスの神髄であり壮大でロマンあふれる話を聞いていると、イエローゾーンがどうだこうだといっているのがとてもセセコマシイ話に思えてきます。

温暖化基本法案、国民の意見を公募 環境省

2009年12月08日 | Design with Nature
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地球温暖化基本法案、国民の意見を公募 環境省
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091209AT3S0901809122009.html
環境省は年明けの通常国会に提出予定の「地球温暖化対策基本法案」について、来週からホームページなどで国民の意見を募る。内閣の提出法案は国会の議論を通じて国民の声を反映させる。国民の意見を直接公募するのは珍しい。

 同法案は温暖化ガスの削減を実現させるため、国内排出量取引制度や地球温暖化対策税などについて、今後の政策の方向性や理念を盛り込む。同省のホームページに民主党が先の通常国会に提出した法案を参考資料として掲載し、国民の意見を取り入れたうえで最終的な法案を作成する。

 田島一成環境副大臣は9日の記者会見で「温暖化対策は日本が世界や未来に対して、どのような態度で臨むかの土台になる」と述べ、法案の重要性を強調した。(00:03)

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここまでくると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうも法律化、マニュアル化、基準化すると思考停止する傾向のある昨今です。自然と人間のかかわりについて、歴史に学ぶ謙虚さを感じません。


かわいいケーキで祝福

2009年12月06日 | Design with Nature
このケーキ、なんだと思いますか?125年だからちょっと人の誕生日ではなさそうですね。
これ、実はアメリカ地質調査所のサイトの画像なんです。12月3日のことです。

http://nationalmap.gov/125years/index.html
Henry Gannett を中心として、地形図の作成が始まった。さらには、広大なアメリカの地形・地質、そして地名の調査にも貢献し、国土の姿を明らかにするための礎を築いた。

私なりに翻訳すればこんなところでしょうか。日本にも、国土地理院や地質調査所が、国土の姿、成り立ちを明らかにし、防災や環境保全策を講じるための基礎資料を作成する機関として設立されています。その功績は大きいのですが、いまひとつ一般社会に浸透していません。日本の国土は湿潤変動帯にあって、あらゆる地形・地質が比較的小さな国土に博物館的に集約されていますが、展示する方法もまさに博物館的なので、つまりはちょっと敷居が高く娯楽性を感じない面があります。

その点、このUSGSの画像は、まず”かわいい”と思います。これほどの親近感はありません。私も”わかりやすいことは理路整然としていること”に終始し勝ちですので、親しみやすさをもっと考えていこうと思いました。

平山郁夫さん逝去

2009年12月03日 | Design with Nature

日本画家の第一人者、平山郁夫さんがなくなりました。絵画を鑑賞するのはもともとすきなのですが、平山さんのように、物理的には透明に見える空間に情景という心の色を感じさせられる人は稀有だったのではないかと思っています。

私が仕事で扱う「図面」は、描写するという意味では絵画と共通する部分もあるのですが、科学的に正しくなければなりません。理にかなっていなければ価値を持ちません。言い方を帰れば、答えがある程度見込める分だけ想像力がいらないので楽ということもできるかもしれません。その点芸術は、人と共感するという座標には置き換えられない着地点を模索する旅路です。これほど難しい命題もないのかも知れません。

このブログでも大分前に「環境良心」という素敵な言葉があるということも書きましたが、文字通りの「Design with Nature」。自然に謙虚に学ぶために、心を洗うために、絵を眺めるのもいいかも知れません。


『種の起源』から150年

2009年11月24日 | Design with Nature

今日11月24日は、チャールズ・ダーウィンの「種の起源」が出版された日だそうです。1859年ですから、今日でちょうど150年の節目に当たります。

このような古典的名著を紹介したサイトがあることに気がつきました。金沢工業大学が作成した以下のサイトです。

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世界を変えた書物-「工学の曙文庫」-
http://www.kanazawa-it.ac.jp/dawn/main.html

チャールズ・ダーウィンの「種の起源」
http://www.kanazawa-it.ac.jp/dawn/185901.html
 初め医者を志し、エディンバラ大学で医学を学んでいたダーウィンは、麻酔なしの(麻酔はまだ発明されていませんでした)外科手術を経験してから医学が嫌になり、ケンブリッジ大学へ転学して、牧師になる勉強をしていました。ところが、ケンブリッジで彼は博物学に興味を持ち始め、その学習をすすめた植物学教授ヘンズロウと親交を結びました。イギリス軍艦ビーグル号が、南米及び太平洋の調査航海に出る為、研究員として動物学者を探していた時、海軍省にダーウィンを推薦してくれたのは、このヘンズロウです。ダーウィンはビーグル号に、ヘンズロウが「馬鹿げた本だ、中味を信用するな」といいつつくれたライエルの「地質学原理」を一冊携えて乗り込み、5年間の航海に出発しました。これは、科学史上、生物学史上最も重要な航海野ひとつとなったのです。
 航海中、ダーウィンはある地域から他の地域へ移動するに従って、地域変化に応じて動物相や植物相が変化していくのを魅せられたように観察しました。そうして、艦がガラパゴス群島にやって来た時、14種類ものアトリ科の鳥、フィンチの変種が夫々の変種毎に群島のあちこちの特定地域に繁殖しているのを見て、ショックを受けました。この少しずつ違う鳥の種の個々が、独立に創造、あるいは発生したとは考え難い、本土エクアドルの原種のフィンチから、この14の変種は展開したと考える方が妥当であると思ったのです。また、その際に思い合わせれたのがライエルの考えでした。つまり、地球上の険しい山々や海など多様な地理学的自然も、地質学的には何十億年という長いタイム・スパンに於いて、非常にゆっくりと変化して来た結果としてあるという思想です。それならば、同様に生物の種の多様も長い時間をかけて少しずつ変化を続けて来た結果なのではないか、とダーウィンは考えたのです。
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砂防堰堤や床固工は確かに土砂をとめて安全を確保してくれます。しかしそれは一時的なもので、地質の営みから考えると、止められるという発想よりは、土砂は動くものとして譲歩し調和しながら、被害が出ない程度に付き合っていくという発想が必要なのです。技術者や防災担当者が、そのような発想を転換するための航海に出る必要があります。


野帳

2009年11月17日 | Design with Nature

踏査をするときは、上の画像の野帳を持ち歩きます。雨でも大丈夫。最近「調査票」や「カルテ」などの書式ものが多くなったので影が薄くなったのですが、知的生産には野帳にメモすることがいちばん。

そういえば、スケッチの定義としては、今岡さんの以下の定義がいちばんです。

現場から読み取れる無数で多様な情報源から、経験と直観力によってノイズ(調査目的に対して無用なデータ)を削ぎ落とし、抽出したシグナルのみを、非専門の人々にも「見える化」する。その作業が現場の技術者の脳内で瞬時になされる。

それこそがスケッチです。

改めて、かっこいい定義です。