玄文講

日記

匂い

2005-04-27 00:00:23 | 個人的記録
気温が上がり、湿度が高くなると物はその匂いを一段と強く発するようになる。
特に雨の日の前後はそれが濃くなる。

往来の花からは蜜の匂いがする。
人とすれ違うたびに、着物の匂いがする。女性は少し化粧の匂いが混じっている。

畑のそばからは朽ちた土の匂いがする。こやしの臭気も混じっている。
工事現場の近くからは乾いた鼻につく砂利の匂いがする。

廊下は木の匂いを充満させ、
非常階段では錆びた鉄から血のような匂いがする。
棟によっては薬品の匂いや、動物の匂いがする場所もある。

急須は茶渋が染み付いていて、そこから甘い匂いがする。

朝と昼と夜では匂いが違う。
気のせいかもしれないが、月があるのとないのとでも匂いが違うように感じる。
月の匂いは少しベンゼンに似ている。