玄文講

日記

匂い

2005-04-27 00:00:23 | 個人的記録
気温が上がり、湿度が高くなると物はその匂いを一段と強く発するようになる。
特に雨の日の前後はそれが濃くなる。

往来の花からは蜜の匂いがする。
人とすれ違うたびに、着物の匂いがする。女性は少し化粧の匂いが混じっている。

畑のそばからは朽ちた土の匂いがする。こやしの臭気も混じっている。
工事現場の近くからは乾いた鼻につく砂利の匂いがする。

廊下は木の匂いを充満させ、
非常階段では錆びた鉄から血のような匂いがする。
棟によっては薬品の匂いや、動物の匂いがする場所もある。

急須は茶渋が染み付いていて、そこから甘い匂いがする。

朝と昼と夜では匂いが違う。
気のせいかもしれないが、月があるのとないのとでも匂いが違うように感じる。
月の匂いは少しベンゼンに似ている。

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2 コメント

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詩人ですね (polestar)
2005-04-29 10:10:01
鋭敏な感性。
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なくなるものねだり (玄文講員)
2005-04-29 15:54:41
観察したことを記録していたつもりでしたが、なんかきざったたらしいことを書いてしまった気もしています。

「君の瞳に乾杯」みたいで。

詩人だなんて言われると何か恥ずかしい気分ですが、お誉めいただきありがとうございます。



ところで、うちの母は鼻の病気で嗅覚がマヒしています。だからガス漏れをした部屋で平然としていたこともありました。

匂いがまったく分からないそうです。



しかも困ったことに、この病気は遺伝します。

数人に一人の割合いで、成人してしばらくしてから発病するそうです。

兄と姉は大丈夫なようですが、私はあと10年間発病しなければ大丈夫だろうとのことです。



嗅覚がないと料理の味も半減です。

子どもの頃から「万が一の為に料理人や食品会社には行かない方がいい」と言われてきました。



いずれなくなってしまうかもしれないと思うと、匂いも味も今のうちに十分楽しんでおきたくなります。
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