玄文講

日記

死んでしまえとののしっておくれ、ねぇ、お前だけは

2005-04-05 21:32:25 | 個人的記録
父が心臓病になったそうだ。
その病気にはタバコがよくないらしい。

兄は心配しているが、父はタバコを止めるつもりはないようである。

兄は英語とフランス語しかしゃべれない孫に日本語で「たばこやめて」という言葉を覚えさせて父を説得する計画を立てていた。
そして私にも何か考えろと言うのであった。

私:「兄さんがそんな計画をたててましたよ。ベタですよね」

父:「まったくだな。そんな単純な手に引っかかるものか。それで、お前は?」

私:「はい?」

父:「お前はどんな計画をたてて俺にタバコをやめさせようとしているのだ」

私:「そんなもん考えていないですし、考えるつもりもありませんよ。
だって社長、あなたはもう66年も生きたじゃないですか。もう十分でしょ?
タバコを止めて惨めな気持ちで長生きするくらいなら、どんどんタバコを吸ってさっさと死ねばいいのですよ」

父:「……やめる。俺はタバコを止めるぞ」



これを「北風と太陽」と言う。

そしてこのあとの話し合いで来年度からの私の給料は月給9万円と決まった。
社長、福建省の労働者でも、もう少しもらっていると思います。

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録画しておいた映画「ジュリアス・シーザー」を見た。
クズだった。

神話化された偉大な英雄の人間的な面を見せているつもりなのだろうが、人間味を見せるのと安っぽい人間に貶めるのはまったくの別物だと思った。

戦争シーンは迫力がなく、ナレーターで3万人が死んだ、1万人が死んだと言っているが、あの映像では100人も殺せやしない。

シーザーは常にいきあたりばったりで何も考えずに行動しているようにしか見えない。ガリア遠征は単なる出世のために行っただけで、ポンペイウスとの内乱は敵が自滅したようにしか見えないし、エジプト遠征は女にたらしこまれて起こしている。
彼の頭にあったはずの個人の思惑を超えた「国家100年の計」はまるで見えやしない。

スッラは単なる猜疑心の強い独裁者で、ポンペイウスは筋肉バカ、ブルータスは逆恨み青年、筋肉バカのはずのアントニウスは貧弱に描かれていた。

クレオパトラとの仲を妻に嫉妬されて暗殺計画の報告を聞きそびれて殺されてしまうラストシーンは、いくら浮気をしても女の恨みを買わなかったというカエサルの魅力を台無しにしている。

昔、知り合いが陳 舜臣氏の「曹操」を読んで

「曹操はこんな安っぽい漢(おとこ)じゃあない」

と怒っていて、私は「蒼天航路の読みすぎじゃないの?」と思ったものだが、今は彼の気持ちがなんとなく分かるような気がする。

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今日のタイトルは「中島みゆき」の歌詞である。