蜘蛛網飛行日誌

夢中説夢。夢の中で夢を説く。夢が空で空が現実ならばただ現実の中で現実を語っているだけ。

閑古鳥を鳴かせてはいけない。

2005年11月16日 06時15分29秒 | 彷徉
わたしは気が塞ぐような日には、いきなりどこかへ出かけることにしている。別にどこでもよいのだけれども、極端に人出の多いところや少ないところはいけない。ちょっと勝手だが手頃な混雑が必要だ。この前は横浜橋商店街を散策した。いや散策とは大げさかも知れない。商店街の通りを一往復と脇道の店を見て回っただけなのだから。
ここの雰囲気は浅草のひさご通り商店街とよく似ている。といっても浅草の方が幾分猥雑性が勝っているように思う。もっともわたしは夜の横浜橋商店街を知らないので、この判断が正しいのかどうかは判らない。
ここはこれまでに何回か訪れているが、いつも客で賑わっていて「手頃な混雑」を満喫できるのがよい。客足の途絶えた商店街は物悲しいというよりも気味が悪い。前に「幻想舊書舗」の回でも少しくふれたけれども、高崎の中央ぎんざ通りやスズランデパートの閑散とした光景はまるでトワイライト・ゾーンの世界だが、それにくらべてこちらは生きた人間の息吹を感じることができる。商店街の目玉はなんといっても食品だろう。生鮮食品と並んで総菜屋が多いのがいかにも下町的なところだ。夕餉の買い物客を眺めていてなんとなく郷愁を覚えるのは、わたしが年をとってきたからだろうか。といってもまだ老人と呼ばれるほどの年齢ではない。
じつは中村川を渡った中村町側にも商店街が続いているのだけれども、こちらはかなり渋い。中央ぎんざ通りとまではいかなくとも下手をすればそんな状態になりかねない、ちっと「午後三時」的な店舗がならんでいる。このような雰囲気が好きな人にはたまらないところなので、暇なおりには出かけてみるのもよいかも知れない。港町とは違ったむかしの横浜がそこにはある。このときは疲れ気味だったので中村町まで足を延ばさず、三吉演芸場の前で伊勢佐木町方面へと引き返した。
コーヒー屋で一休みした後、市営地下鉄で横浜駅に向かった。