岳遊のひとり言

日々の暮らしに農作業や好きな山登りのことなどを伝えていきたいです。

60年に幕を下ろす。

2010-03-24 22:47:52 | 日々の暮らし

       

       
黒部川の辺に大蛇伝説で有名な愛本地区があり、日本三大奇矯の一つと呼ばれた刎橋があったところでも知られている。 この愛本に黒部川の水を引き入れて、東西の扇状地に農業用水として分散している合口用水がある。

先日この用水の恩恵に授かる扇状地全体の江切りが行なわれた。

江切りとは川浚いのことで、農業用排水路の底に溜まった石や砂利に泥などを取り除いてやり、一年に一度春の田起こしが始まる前の丁度今時分に行なわれる。

あいにくこの日は雨で台風並みの強風が吹き荒れる最悪のコンディションであったが、村人の殆んどの家から一人づつの参加があった。

継続は力なりというが、長年に亘り取り組んできたお蔭で近年ではすっかりきれいになり、手間があまり掛からなくなってきた。


さて明けて翌日、風は幾分あったが天気は一気に回復し、予てより気になっていた我家の杉の大木の伐採に取り掛かることにした。

       
納屋の東側の二本の杉の木で樹齢おおよそ60数年。 建物に近すぎて台風が怖いので二本とも伐採することにした。

       
木の上部に括ったワイヤーをトラクターで引っぱり、建物側に倒れないようにしておいてチェンソーを入れる。

       
地響きをたてて倒れる大木。 もっと手強いかと思ったが、いともあっさりと拍子抜けだ。

       
バアチャンがこの家に嫁ぐ前からあった木で、雨風から家を守り、なお且つ真っ直ぐに聳え立派な太さだった。 一昔前なら梁や桁か柱などに加工されたであろうが、今では輸入材が顔を利かせ、為にその手間賃のほうが高くつくという嫌な時代になったものだ。

人間であったならまだまだこれからの人生であろうに何が哀しいかな、暇に掛けて薪にでもするしかないのだから・・

僕ら人間も何れこうなるのだろうか。 息子や娘に或は世の若者達に、ただの飯だけ喰う邪魔者と映るのだろうか、切ないねェ。