有機化学にっき

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JACS, 2005, 127, 8250.

2005-06-24 07:43:52 | 新着論文
Selective Cleavage of the C-C Bonds of Aminoethyl Groups, via a Multistep Pathway, by a pincer Iridium Complex

PCPピンサーのIr錯体がアミノエチル基から脱水素をおこし、C-C bondへのinsertionを経由して、イソシアニド錯体を生じています。
ピンサー錯体の脱水素や挿入反応を研究しているGoldmanのグループです。錯体の構造決定を1,2,3級アミン全て行っています。アミンから脱水素、生じたイミンのC-Hへの挿入、続くメチルの切断により錯体が生じると反応機構を説明しています。キレートや環歪みを利用しないC-C bond切断を温和におこすという点を強調しています。
北大の高橋先生のチタノセンを用いた反応(J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 9568)も驚きでしたが、今回の反応も錯体の反応性で終わらず、応用の展開が楽しみです。